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2021年10月14日 (木) 13:53時点における版
オンドル(温突) | |
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オンドルの煙突 | |
各種表記 | |
ハングル: | 온돌 |
漢字: | 溫堗/溫突 |
発音: | オンドル |
日本語読み: | おんとつ |
ローマ字: | Ondol |
オンドル(朝: 온돌)または温突(溫堗、おんとつ)は、朝鮮半島の伝統的な暖房法で、床暖房の一種である。クドゥル(구들)ともいう。
概要
伝統的
本来の形式は台所の竈で煮炊きしたときに発生する煙を居住空間の床下に通し、床を暖めることによって部屋全体をも暖める設備。火災の危険を避けるためオンドルを備えた家の土台はすべてクドゥルジャン(구들장)という板石を用いて築き、部屋の床は石板の上を漆喰で塗り固め、その上に油をしみこませた厚紙を貼る。朝鮮半島においてはすでに三国時代から使用の痕跡が見られ、飛鳥時代の日本に渡来した高句麗や百済出身者もオンドルを備えた家に住んでいたらしい。しかしこの暖房方法は燃料の消費量が多く、湿気が多い地域には向かないことから日本では普及しないまま廃れてしまう。
台所で調理する際の排気を利用した暖房システムだが、炊事を行わない時も暖房用として竈に火を常時入れておく。台所が無い別棟には、暖房目的での焚口を作る。また、暖房の必要が無い夏季はオンドルに繋がらない夏専用の竈を炊事に使用する。しかし床下の殺菌、殺虫目的で半月に一度ほどオンドルに火を入れることもあった。
かつては薪、わらなどを燃料としたが、大量の燃料を使うオンドルは朝鮮半島の森林破壊(はげ山)の元凶となった。韓国では人口増加とともに薪でオンドルの燃料を賄うのが不可能になり、1960年代までには練炭を燃料としたオンドルが主流となった。しかし不完全燃焼により一酸化炭素が床のひび割れや隙間から室内に流入し、一酸化炭素中毒を引き起こす事故が頻発したため、次述「現代のオンドル」に取って代わられることとなる。
現代
現在、特に韓国では中高層アパートの普及に伴い、旧来の方式でのオンドル暖房が構造・安全面から不可能になったため、温水床暖房が一般的に使用されており、「オンドル」といえば温水床暖房の事を指すことが多い。古くからある建物では温水床暖房ではない本来の形のオンドルが残っているが、その燃料は練炭から灯油に切り替わっているものが主流になっており、最近ではガスオンドルや電気オンドルを使用している家庭もある。
オンドルと住宅構造
冷涼乾燥気候の朝鮮半島では住宅へのオンドル設置は常識であった。同時にオンドルの設置と使用により、生活様式はさまざまな影響を受け、変革された。竈の火で床下を暖めるという構造上、2階以上の床下を暖めることはできない。そのため朝鮮半島では平屋の建築が主流となった。床下に煙が流れ込みやすいよう、竈がある釜屋(プオク・台所)は居室より低い半地下式に作られ、台所の天井裏には高低差を生かして「タラク」という納戸が設けられた。若い嫁が一人で泣けるのは、このタラクの中だけだったという。オンドルで温められる部屋は焚口=台所に近い場所ほど暖かいため、台所に近い場所が上座とされた。熱く乾燥した床に接して木材が狂わないよう、家具は「足つき」のものが主流となった。また、床のぬくもりが人体に伝わりやすいように蒲団や座布団は薄く作られた。
日本列島も朝鮮半島も夏は暑く冬は寒い四季の明瞭な気候だが、寒暖の期間と湿気の有無が異なる。このため日本と朝鮮半島の民家は一見すると似ているようだが、細部では違いがある。近世以降の日本の民家の多くが無暖房住宅(囲炉裏、こたつなどの採暖器具のみ)であり、大きな窓や縁側を設け、部屋も襖や障子を取り払えば風通しの良い大空間が得られるなど、高温多湿の気候に即した造りだった。かたや朝鮮半島の民家の多く、特に北部地域はオンドルを用いて暖房し、窓や出入口を極力小さくして冷気の侵入を防ぐなど、寒冷で乾燥した冬の気候に最適化した閉鎖的な造りになった。ただし、ある程度温暖な朝鮮半島中南部では、民家には縁側(툇마루・トェンマル)や大庁(대청・テチョン)という板張りの空間があり、夏の気候に対応した開放的な造りになっている。
その他のオンドル
日本の温泉地で、地熱の直接利用や温泉の蒸気を床下に通すことで床下暖房形式にしたものを「オンドル」と呼び、湯治に利用しているケースがある[1]。地熱の直接利用タイプでは、地熱により暖かい地面に直接ゴザを敷いただけ等の簡易な家屋を「オンドル小屋」と呼んでいるケースもある[2]。