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なお、漫画、アニメ、ゲームなどのバーチャルなメディアが犯罪を誘発する有害なものであるという主張は、[[マスコミュニケーション|マスコミ]]、一部の学者、大学教授などが昔から主張しており(代表的なものとして[[森昭雄]]の[[ゲーム脳]]が挙げられる)、「「バーチャルな」子どもポルノは、「リアルな」子どもポルノに対する需要を作り出し、さらには実際の生身の少女に対する性的虐待への欲求を喚起」<ref>http://web.archive.org/web/20020528102155/http://www.app-jp.org/voice/02.04.17.html </ref>するとの主張も見受けられる。 |
なお、漫画、アニメ、ゲームなどのバーチャルなメディアが犯罪を誘発する有害なものであるという主張は、[[マスコミュニケーション|マスコミ]]、一部の学者、大学教授などが昔から主張しており(代表的なものとして[[森昭雄]]の[[ゲーム脳]]が挙げられる)、「「バーチャルな」子どもポルノは、「リアルな」子どもポルノに対する需要を作り出し、さらには実際の生身の少女に対する性的虐待への欲求を喚起」<ref>http://web.archive.org/web/20020528102155/http://www.app-jp.org/voice/02.04.17.html </ref>するとの主張も見受けられる。 |
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だが、現在のところ、実在しない18歳未満の児童を被写体とした創作物<!--やサブカルチャー-->と犯罪の因果関係を示す'''科学的な根拠や客観的なデータは一切存在しない'''。<!--[[おたく]]やサブカルチャーに対する偏見に基づいた意見も多い。--> |
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2008年11月8日 (土) 17:09時点における版
児童ポルノ(じどうポルノ、英: child pornography、中: 儿童色情制品〔児童色情製品〕)とは、児童を被写体としたポルノのことである。
日本においては、児童とは、普通、小学校に在学する者をさす[1]が、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律[2]で定義するところの児童、すなわち高校生などの青少年も含む18歳に満たない者を被写体としたポルノのことである。2007年には、17歳の女子高生がTバック姿で出演した作品が児童ポルノにあたるとして、出版会社社員が逮捕されている[3]。また2008年08月には、大手オンライン映像配信サービスが、18歳未満のアイドルの作品の一部レンタルを自主規制する動きに出ている[4]。
形式としては写真や動画像であり、媒体は書籍・雑誌やビデオテープ・DVDなどを用いたものの他に、ウェブサイトで公開されているものもあり、そちらは特に児童ポルノサイトという。
児童ポルノの対象には「女子のみならず、男子も含まれる」。男子に性欲を覚える性愛者もおり、男子も被写体にされる。日本では、2008年4月に、乳幼児のおむつ換えのシーン[5]や、小学生の入浴映像が「男児ポルノ」に該当するとして、放送倫理・番組向上機構(BPO)が、自主規制を要望する動きに出ている[6]。
なお、日本ユニセフ協会(ユニセフ東京事務所とは別の民間団体)が法規制を求めている「子どもポルノ」[7][8](法規制に反対する署名活動も展開されている[9][10])とは、18歳未満の児童および18歳未満に見える成人に加えて、実在しない架空の人物を対象としたものであり、協会の提唱した準児童ポルノを含めたものをいう。
定義について
国際的な観点でみた場合、児童ポルノとは何かという定義をするのは困難である。ひとつには被写体の年齢の問題、もうひとつにはポルノの範囲の問題がある。
前者の「被写体の年齢」については多くの国では18歳未満を対象としているが、歴史的・文化的理由からこれとは異なる年齢を基準として採用している国も見られる。[11]後者の「児童ポルノの範囲」については、現実の性的な行為を行うものについては疑いないとして、単に姿態をとらせるだけのヌード写真(児童エロチカの一部)や、あるいは姿態をとらせていないヌーディズムの写真、芸術に属するものなどの扱いが分かれる。
また、疑似児童ポルノとも呼ばれる、児童に見える成人によるもの、合成写真や写実的なコンピュータグラフィックスによるものについての扱いが分かれる。さらに、児童に見えない成人が児童の扮装をしているものや、アニメなどの現実の児童との対応がないことが明らかなもの、文章による表現を対象とする国も、カナダなど、ごく少数ながら存在する。ニュージーランドでは、2004年に、一般向けアニメ作品のぷにぷに☆ぽえみぃ[12]が、子どもや若者の性的目的での搾取を助長・支援するとして、児童ポルノと認定され発禁処分を受けている。なお、ポルノ全般を非合法としているために児童ポルノについて格段の定義を置かない国もある。
児童の権利条約
国際連合では、児童の権利に関する条約の選択議定書として児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書[13](略称: 児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書)を採択している。その第2条 (c) で、『「児童ポルノ」とは、現実の若しくは疑似の(real or simulated)あからさまな性的な行為を行う児童のあらゆる表現(手段のいかんを問わない)又は主として性的な目的のための児童の身体の性的な部位のあらゆる表現をいう』と定めている。この選択議定書の締結国は、条約に定められた法整備を行う義務を負っている。2008年現在、締結国は、日本も含めて126カ国(全体の65%)である。G8の国では、ドイツとイギリスが未締結、ロシアが未署名 であり[14]、アメリカは条約自体に未加入 である[15]。このような国連レベルでの取り組みによって、前述の対象年齢のばらつきは、従来、18歳より低い年齢を上限としていたものについては18歳未満を一律対象とする方向で、グローバルな標準化を推進している段階である。ただし、欧州評議会の「サイバー犯罪に関する条約」[16]などの地域レベルでのより拘束力の強い条約では、締約国は、16歳を下限として、18歳より低く定めることができるとされている。
日本
日本国の法律では、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(略称: 児童買春・児童ポルノ処罰法)(平成11年法律第52号)の2条3項に定義があり、特に次のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものである。
- 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
- 他人が児童の性器等(性器、肛門又は乳首)を触る行為又は児童が他人の性器等(性器、肛門又は乳首)を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
- 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
これらの提供・製造・頒布・公然な陳列・輸入・輸出が7条で禁止されている。
ただし、2008年(平成20年)年現在、以上の定義は法務省により「実在の児童を描写したものに限定される」と回答している。すなわち、架空の児童を扱ったポルノ作品(絵画・イラスト・漫画・ゲーム等)に関しては、現状では、本法の規制対象とされていない。これは本法が、「被害児童の人権保護」を本旨としているからである。
なお、現在日本国内で存在する、単純所持(提供・製造・頒布・公然な陳列・輸入・輸出を行わない、単に児童ポルノを所持することだけの行為)を罰する法律は、奈良県の条例「子どもを犯罪の被害から守る条例」13条のみである。
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日本における境界領域
児童ポルノ処罰法については、上記3号規定の「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という一文について「定義が曖昧で規制が大きくなりかねない」といった懸念が施行当時から存在した。よって、法律施行直後は各グラビア雑誌において、18歳未満を使わないといった事態が起きた(現在でも、いわゆる”女子校生”を扱った作品において「モデルは18歳以上である」旨の断りを入れているのが多い)。
しかし、2005年度においては、一般書店に流通しているアイドルのグラビア雑誌や写真集等においては、法律施行前と同等の肌の露出を含む写真や動画の流通が容認されているようである。具体的に言えば、18歳未満の
といったものが摘発対象とされる一方で、
といったものを含みつつ摘発とされずに流通しているものが少なからず存在している。このため、児童ポルノ処罰法以前より、わいせつ物頒布罪、児童福祉法、青少年条例等を根拠に未成年の性行為の撮影や、その写真・映像の流通はそれ以前から違法性を認識されており、児童ポルノ処罰法はそれらに加えて少年・少女ヌード写真集ないしビデオの流通を新たに禁止したと理解するむきは多い。ただし、法律では前述のように「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」を児童ポルノの定義に含めているため、上にあげたような摘発対象と認識されていないものと肌の露出の度合は変わらなくとも、具体的内容によって摘発対象とすることもできる。
なお、わいせつ物頒布罪、公然わいせつ罪、児童福祉法、青少年条例などの従来の法律の適用が無くなることはなく、状況に応じて併合罪が適用されたり、観念的競合や牽連犯も適用することができる。
なお、構成用件の明確化を目的として、3号規定そのものを削除することが民主党などからは提案されている[17]。
日本における経緯と動向
児童ポルノは、児童に対する重大な人権侵害であるとして、世界的な法的規制がなされている。
日本国内では、ECPATの日本における公式関連団体である「ECPAT/ストップ子ども買春の会」(共同代表の宮本潤子は、日本キリスト教婦人矯風会性・人権部幹事。所在地は日本キリスト教婦人矯風会第2会館)が、かねてより積極的な活動を展開している。
2008年4月17日「G8司法・内務大臣会議」において日本は「児童の性的搾取との闘い」を議題案として提示した[18][19]。
法改正の流れ
日本では、かつては児童ポルノに対する規制が比較的緩やかであった。すなわち、撮影行為のうち一部が児童福祉法や強制わいせつ罪、強姦罪、あるいは淫行条例の対象となり、また表現内容によってその販売などがわいせつ物頒布罪に問われるのみ、といった具合であった。実務においては、ある時期までは性器の写真が問題とされず、またそれ以降においても写真の修正によって商業的に流通していた。
しかし、1996年にストックホルムで開催された児童の商業的性的搾取に反対する世界会議(ストックホルム会議)において、日本から出席したecpat関東・矯風会の宮本潤子氏の報告[20]をきっかけとして、「日本は児童に対する性的搾取の規制を怠っている」と非難を受けた(第2回会議は2001年に横浜で開催された。通称横浜会議)。
これをきっかけに法改正が行われたが、その一環として制定された児童買春・児童ポルノ処罰法によって児童ポルノが厳しく規制される事になった。同法では児童を「18歳に満たない者」と定義した上で、性交等に係る児童を描写した写真等を児童ポルノと定義した。
児童ポルノを提供、製造(撮影と複製)、頒布、公然と陳列すると同法により処罰され、これにはその目的による所持や外国への輸出および外国からの輸入も含まれる。さらに、児童ポルノは関税定率法によっても輸入禁制品とされたため、その輸入は関税法によって予備罪も含めて罰せられることになる。
また、前述の選択議定書の義務を果たすため、2004年の児童買春・児童ポルノ処罰法改正では児童ポルノの提供行為が新たに処罰対象とされた。なお、「姿態をとらせ」ることがない盗撮行為による児童ポルノ製造については、提供、頒布、公然と陳列や、これらの目的がある製造、所持、運搬を行った場合は児童買春・児童ポルノ処罰法の対象であるが、自己で盗撮行為を行い製造しその所有のみを目的とする場合は、その盗撮行為が軽犯罪法違反や迷惑防止条例違反に問われるに留まる。[21]
なお、単純所持(提供・製造・頒布・公然な陳列・輸入・輸出・盗撮行為を行わない、単に児童ポルノを所持することだけの行為)を罰する奈良県の条例「子どもを犯罪の被害から守る条例」13条が平成17年7月1日に公布、平成17年10月1日から施行された[22]。現在、日本国内で存在する単純所持を罰する法律はこの条例のみである。
児童買春・児童ポルノ処罰法を改正するための議案「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(第169回国会 衆法 169回32号)」[23]が森山眞弓外4名によって提出される。議案は2008年6月10日、衆議院に受理され衆議院での審議に入った。
図書館での取り扱い
既に述べた通り、過去の規制が緩やかであったため納本制度によって国立国会図書館に児童ポルノとみなされる書物が多数収蔵されている。国立国会図書館法第8章が収蔵資料の閲覧制限を想定しない「一般公衆及び公立その他の図書館に対する奉仕」を定めていることもあり、児童買春・児童ポルノ処罰法の施行から暫くは同図書館での該当書物の閲覧が可能であった。
当然のことながらこれを問題視する声があがり、児童ポルノの提供一般を処罰対象とした改正児童ポルノ処罰法が2004年7月に施行されたのち法務省から利用提供の違法性を指摘されるに至って、同図書館は2005年7月から閲覧制限を開始した[24][25]。これまでの国会図書館における閲覧制限はわいせつ物頒布罪による有罪確定や名誉毀損裁判における出版差し止めの確定をもって行っていたためこれに準ずる扱いを検討した。これは、図書館というものが「知る自由」の保障を第一の目的として自主規制を行わないべきであるとされてきたためである[26]。しかし、提供について有罪が確定した児童ポルノ図書の情報の網羅的・継続的入手に困難があることや、摘発事例の有無に関わらず対応することを法務省から求められたため、該当性判断は法令や入手できた判例をもとに館独自に行うこととなった。当初は閲覧請求に対して正当目的であるかどうか審査を行う制限措置であったが、2006年4月1日からは特例内規を設けて完全な閲覧禁止措置とした。写真集など118点、雑誌2タイトルが対象とされているという[27]。
男児ポルノの規制
2008年1月22日、BPO/放送倫理・番組向上機構が開催した、第9回青少年委員会(通算86回)で、ECPAT/ストップ子ども買春の会の共同代表の宮本潤子氏がレクチャーを担当している[28]。
同氏によると、日本の子どもポルノの現状として、男子児童の被害も増えてきているという。その根拠として、警察庁の外郭団体であるインターネット・ホットラインセンターに寄せられた通報等をあげている。また、男児ポルノと性犯罪との因果関係については、「直接の原因ではないが画像を見ることによってその種の犯罪を犯す可能性が増大することは確かである」との主張を展開している。
同年4月11日、同BPOの青少年委員会は、「児童の裸、特に男児の性器を映すことについて」[29]と題した注意喚起の文書を公開している。次にあげるのは、同文書において、問題であると指摘されたケースである。
- お笑い芸人のお宅での入浴シーンで6歳と11歳の兄弟の性器が写っていた。
- ニュース番組で小学生の強化合宿に密着取材し、小学6年の男児が合宿所で局部丸出しの状態で入浴しているシーンをモザイクやボカシ等の映像処理もなく、そのまま放送していた。
また、創作物に関しては、2008年5月に、東京都立産業貿易センターで行われたショタケットで、「主催者である東京都より、青少年保護条例および公序良俗に関する非常に強い要請」により、前例のない厳しさの自主規制が実施されている。
また2008年には、男児(8歳)の陰部を携帯電話のカメラで撮影した男が児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで逮捕されている[30]。
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創作物の規制
推進派の動向
2008年3月11日、日本ユニセフ協会(国際連合児童基金の構成機関ではない一つの民間団体。国際連合の組織であるユニセフ東京事務所とは別の団体。)は、漫画やアニメなど「子どもの性を商品として取引するもの」を「子どもポルノ」と定義しており、「子どもに対する性的虐待を性目的で描写した写真、動画、漫画、アニメーションなどを製造、譲渡、貸与、広告宣伝する行為に反対する」と表明して、インターネットによる署名活動を開始した。この署名活動では、18歳未満の児童が出演する作品に加えて、18歳以上の人が児童を演じる作品の規制も求めている。[31]その呼びかけ人[32]には、アグネス・チャンなどの日本ユニセフ協会の関係者をはじめとして、元警察官僚でインターネット・ホットラインセンターの創立者の一人である竹花豊(おやじ日本会長)などの著名人のほか、賛同団体[33]には、日本キリスト教婦人矯風会や創価学会女性平和委員会などのほか、マイクロソフトやYahoo! JAPANといったインターネット関連企業も名を連ねている[34]。
同日、「日本ユニセフ協会大使(公的組織の役職ではない。民間団体が作成した役職。)」のアグネス・チャンは、元法務大臣森山眞弓らとともに衆院第2議員会館で開いた記者会見の場で「子どもへの性的虐待は犯罪。ポルノを持ってもだめ、漫画を買って読んでもいけないと訴えていくべき」と発言し、森山は「自民党の小委員会では単純所持は禁止の方向で一致しており、今後具体的に進めていく」とした。チャンはNHK教育テレビの視点・論点に出演し、番組の中で「単純所持を禁止し、アニメ、マンガ、ゲームに対する規制をかけることにより児童ポルノを根絶させるべきである」という持論を展開した[35]。
読売新聞や毎日新聞はこのキャンペーンに参画していないものの、創作物の規制に関して積極的な姿勢を見せている。ことに毎日新聞は、海外に向け、防衛庁が幼児性愛漫画のキャラクターで政策をアピールしているとして、これを問題視する記事を過去に配信していたが、現在では削除に至っている[36]。
また、エクパット関東の構成員であるArto Tsunanoは、海外に向けて日本の萌え文化を紹介する内容の報告書[37]で、子どもを含めた多くの日本人が、チャイルド・ポルノ的なイメージを当然のものとして受容しはじめており、これがオタク文化による現象であると主張している。
また、2008年には、「街中に氾濫している美少女アダルトアニメ雑誌やゲームは、小学生の少女をイメージしているものが多く、このようなゲームに誘われた青少年の多くは知らず知らずのうちに心を破壊され、人間性を失っており、既に幼い少女が連れ去られ殺害される事件が起きている」として、美少女ゲーム等の販売規制を求めた請願が参議院に提出されている。しかし、請願の取り上げていた小学生以下の幼い少女を被害者とした性犯罪件数(1988年~2008年)が、警察庁の統計によれば[38]極めて低位のまま安定的に推移していることや、そもそも幼い少女への性的虐待事件と美少女ゲーム等との因果関係を示す科学的・統計的な根拠があげられていなかったことから、紹介議員の一人であった円より子の公式HPの掲示板が炎上するという事件が起こっている[39]。
慎重派の動向
一方、慎重派の動きとしては、創作物の規制/単純所持規制に反対する署名活動が展開されている[40]。賛同人一覧には赤木智弘、後藤和智、斎藤環、里中満智子、藤本由香里(明治大学)、宮台真司(首都大学東京)、森川嘉一郎(明治大学)他が名を連ねている。
また、民間団体では、日本ペンクラブ、日本弁護士連合会などが反対の声明を出している[41][42]。またMIAUが、日本ユニセフ協会に対して質問状を送付している。[43]。また全国同人誌即売会連絡会は署名活動(前述の「創作物の規制/単純所持規制」の反対署名をさす)を行う予定であることを発表した[44]。
なお、著名人では、宮崎哲弥、勝谷誠彦、宮台真司(法論議の際に参考人として参加)、藤井誠二、伊集院光、後藤和智や森永卓郎、藤本由香里、江川達也などが、出演するテレビ番組・ラジオ番組・ブログなどで表現の規制に反対もしくは慎重の態度を示している。
また、内閣府の実施した対面方式での調査によると、これらの「架空の児童」についても何らかの規制が必要であるという意見が大半であった[45]が、これについて弁護士の山口貴士は「調査の手法に問題がありすぎだ。この調査の結論には何の信用性もない」と述べている[46]。
なお、法学者の奥平康弘(東京大学)は、わいせつ規制に関する裁判で、「憲法的な表現の自由を媒介として、それをルールとして切り開いて作られた理論としてコンセンサスがあるわけではない」とし、表現の自由の本質は、あくまでも少数者の利益を確保することにあるとの指摘を行なっている[47]。
単純所持の規制
2008年5月30日、法政大学の法学博士白田秀彰は「2001年まで完全に合法であり 一般書店で市販されていた「18歳未満の人物の裸の写真が扇情的な様相で掲載されている写真集を現在一冊保有している」ことを宣言した(「単純所持宣言」)[48]。単純所持の違法化が実現した際には、他の誰を摘発するよりも先に、自らを摘発することを法執行関係者に呼びかけている。
なお、単純所持を違法として罰する奈良県の条例「子どもを犯罪の被害から守る条例」13条が2005年(平成17年)7月1日に公布、同年10月1日から施行された[49]。現在、日本国内で存在する単純所持を罰する法令はこの条例のみである。
政党、政治家の反応
自民党および公明党は児童ポルノの単純所持の違法化に積極的な立場であり、法制定時や2004年改正で単純所持違法化を検討した。
特に、自民党の森山眞弓や野田聖子、高市早苗や公明党の丸谷佳織、松あきらなどの女性議員らは「児童ポルノの単純所持の違法化」や「漫画・アニメ・ゲームの規制」に積極的な態度を見せており、児童ポルノ禁止法を代表的に推し進め、更なる規制を目指している中心人物である。福田内閣の法務大臣鳩山邦夫も児童ポルノの単純所持の違法化に積極的である(創作物の規制については2007年11月8日の参議院法務委員会での松浦大悟に対する答弁で慎重論を唱えた)。
福田康夫も「漫画ポルノ、あれもあのときに問題になったけれども、やっぱり日本はそういうものを許容する、そういう社会なのだろうか。これは決して誇るべき社会でないと思う」「そういう観点から、この問題についてはしっかりと対応すべきであり、私もこれは何らかの手を打たなきゃいかぬと、こう思っている」と発言し、創作物の表現規制に積極的な姿勢を見せている[50]。
ただ、自民党内でも、慎重意見が存在しないわけではない。与党プロジェクトチームの早川忠孝は、個人ブログで、児童ポルノ法の問題を連日に渡って取り上げ、読者からの合計コメント数が1000件を突破した。これらのやり取りを通じ、規制派から慎重派に転じた早川は、個人的見解[51]として、定義の厳格化、所持ではなく譲り受けといった特定の具体的行為を禁止対象とすること、かつて適法とされていた物件の所持は対象から外し廃棄を義務づける、などの対案を示しており、法務部会では、「証拠を集めない限り、警察は強制捜査が出来ない」[52]ようにすることを目的として、「所持にプラスして、所持に至った原因行為である取得行為や製造行為の立証も必要になるような規定」を提案していた[53](ただし公明党の主張が与党PTとしての結論となった関係で[54]、部会としての結論とはならなかった)。また、児童ポルノ法の本来の目的は、児童ポルノによる児童の被害をなくすことにあり、単なる「児童ポルノ禁止法」という捉え方をすべきでないとの見方を示している[55]。
また、自民党と深い関係にあるとされている宗教団体「統一協会」では、「自民党は現行法を改正して、「所持」を禁止する方針を固めたが、ぜひとも今国会での法改正を実現してほしい」として単純所持の違法化に賛同しているだけでなく、「幼い子供がレイプされる場面などを描いた漫画が書店に並ぶのは国家としての恥である」として、アニメ・漫画・ゲームの規制もすべきという意見も出している[56]。なお、教団のこうした意見は以前から見られる。
公明党は、創作物の規制に関し、「禁止行為とすることが望ましい」との判断を示している。
公明党は党内に児童買春・ポルノ禁止法の見直しプロジェクトチーム(座長丸谷佳織)を発足し協議を行い、米国での児童ポルノの対策などについて米国連邦捜査局(FBI)法務官のローレンス・J・フタ氏、駐日米国大使館政治部のスコット・ハンセン氏と意見交換話をするなどしている[57]。また、単純所持禁止の裏づけとなる性犯罪との因果関係を示すデータが存在しないとして、国の調査・研究による裏づけを求めている[58]。
一方、野党側は規制の動きを批判する意見が多い。
民主党は松浦大悟や枝野幸男、中村哲治(非議員では本多平直、山花郁夫も含め)を初めとした「表現規制反対派・慎重派」が多く、一貫して「児童ポルノの単純所持違法化」や「創作物の規制」について反対の姿勢を見せており[59]、幹部クラスの議員からも「適用範囲が広すぎて不正捜査を招く危険がある」と規制の弊害を危惧する意見が出ている[60]。法改正検討PTの座長の千葉景子と事務局長の吉田泉も慎重な姿勢を見せている。
しかし、日本ユニセフ協会が単純所持禁止を訴える「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンの記者会見において出席した、民主党の参院議員神本美恵子らの女性議員が「同党内でも議論するべき」と発言しており、他にも小宮山洋子や泉健太、アダルトゲーム等の規制に関する請願を提出した円より子や下田敦子など民主党内の一部(特に女性議員)にも規制推進派は存在している。かつて在籍していた水島広子は、単純所持違法化・創作物規制にかなり積極的であった。
社民党は自社さ連立時代に法案作成に携わっており、当時在籍していた清水澄子が「絵も規制の対象に含むべきだ」と主張していたが、党内や民主党の反発もあって清水の主張は退けられた。現在、党レベルで「権力や支配層の意思、考え方が一方的に押しつけられることがないように、表現および言論の自由を徹底的に擁護する」と宣言をしている[61]。
また、社民党党首福島瑞穂は、「児童ポルノにはもちろん反対だが、ポルノかどうかの判断は、人によって違ってくる。拳銃や麻薬のように単純に違法なものかは判断できない」とコメントしており、単純所持の違法化には反対の姿勢を見せている[62]。創作物の規制に関しても、「一見児童ポルノを処罰をするようで、実は、ポルノ全体の処罰とならざるを得ない」[63]との認識を示しており、「(仮に漫画などが規制された場合)判定をする人間、最終的には、裁判官が「アニメのこの子は、19歳に見える、いや17歳くらいだろう」と判断をすることになる。はっきり言ってそれは、不可能でありかつ恣意的になる。法廷で、いや18歳以上に見えると論争をするのだろうか」として、漫画などの規制に懸念を示している[64]。また同党所属の保坂展人もこれらの意見に同調している[65]。
日本共産党は、児童ポルノの単純所持違法化については方針が不明確ではあるが、小池晃が日本ユニセフ協会のメンバーと懇談しており、その中で「(実写はもとよりアニメ・マンガ・ゲームを含め、日本の児童ポルノは)現状は放置できないひどい実態」「みなさん(日本ユニセフ協会)の要望をしっかりと受け止める」とコメントしており、規制の強化に積極的に姿勢を見せている[66]。
海外での状況
アメリカ合衆国においてFBIはインターネットの児童ポルノの摘発に乗り出し、複数の作戦を決行している。その作戦のコードネームとその概要を記す。
- イノセント・イメージス
- アメリカ・オンラインを通じ違法行為の調査を進めた連邦捜査局は2年間の捜査活動を経て、1995年9月13日に容疑者12名を逮捕。100件以上の家宅捜索を実施。1997年4月時点で91名を逮捕し、83件の重罪の有罪判決が下された。これはFBIが1つのオンラインサービスの捜査を全国規模で実施した初の例であった。
- オペレーション・キャンディマン
- FBIのおとり捜査官が児童ポルノに関わる3つのEグループを特定。2001年1月から一斉摘発を開始。2002年7月時点で100名以上の逮捕を報告。同年8月には米国と西欧諸国の捜査当局が連合し、国際的な児童ポルノリングの組織を摘発。20名を逮捕。この事件における被害者は容疑者らの子供も多く、その映像は世界中に配信された。
2003年にはザ・フーのギタリストであるピート・タウンゼントが児童ポルノのサイトに接続したとして性犯罪者リストに登録されてしまったが、彼は幼い頃虐待を受けておりその著書のための下調べという事情もあったが、それであっても逮捕された。
なお、アメリカでは、18歳未満の子どものように見えるポルノグラフィ(含む創作物)を、児童ポルノ法によって一律に規制したCPPAが、表現の自由に反するとして、2002年に、連邦最高裁より違憲判決を受けており、現在では、ミラー基準の枠内で、わいせつ法の条文を利用した規制(PROTECT Act of 2003)が行なわれている。
なお、イギリスにおいては2004年に行われた児童ポルノの一斉摘発作戦(オペレーション・オーen:Operation Ore)によって32人の自殺者が出ており、その大半は妻帯者であった。日本でも、こうした状況が少なからず発生する懸念がある。
なお、児童ポルノを所持し視聴する行為が、それだけでも児童を性的に虐待する行為の誘因となるという主張も存在する。アメリカでは、両者の相関関係を示す資料として、子どもポルノを受動的に視聴した受刑者 の76%が接触犯罪が犯していたとのヘルナンデス調査が報告[67]されている。ただし、両者の因果関係を示す科学的・統計的な資料がいまのところ存在しないことも事実である。
児童ポルノの需要状況を示すデータは、イタリアの児童保護団体のレポート[68]によると、2007年における小児性愛者サイトのユーザー・訪問者の割合は、米(22. 82%)、英(7. 02%)、仏(3. 56%)、独(14. 57%)、伊(6. 14%)、加(3. 16%)、露(8. 39%)、日本(1. 74%と)なっている。
児童ポルノの供給状況を示すデータは、イギリスのインターネット監視財団IWFのレポート[69]によると、2006年における児童ポルノサイトのホスティングは、アメリカ(62%)、ロシア(28%)となっている。
なお、児童ポルノの二大消費国としてアメリカに加えて日本が取り上げられることがあるが、その統計的な根拠は明らかではないことを日本政府も認めている[70]。
単純所持の禁止と問題点
現在の日本の法律では児童ポルノの製作者は罪に科すことができるが、2008年時点の規定においては、条文による規制範囲から単純所持(「持っているだけ」という状態)の者を罪に問うことはできない。
仮に、単純所持が違法化された場合、数多くの問題と危険性が指摘されている[71]。
規制範囲の問題
代表的なものとしては、所持している本人が「性的な画像」という自覚が無くても摘発される危険性である。
外務省では、児童ポルノの単純所持がすでに違法化されているアメリカで、自分の子供が入浴した時の写真を現像に出しただけで逮捕に至った事例を紹介し、「日本では何でもないと思われること」であっても処罰の対象となることもあるとして注意を喚起している[72]。
また、自分の子供の裸の写真や映像(水浴びや入浴している時に撮影したものなど)や、自分自身が子供の頃に撮影した裸の写真や映像をアルバムなどに保存しているだけで、「児童ポルノ所持」の容疑者として摘発されるという危険性も指摘されている。自分自身が赤ちゃんやまだ物心がついていない時に「両親が撮影した幼い自分の裸の姿の写真や映像」、第二次大戦前に生まれた人々についてでさえ、その人の両親が生前に撮影するなどして残っている可能性もあり、こうした写真などを所持しているだけで摘発されることになる。もし、被写体本人や撮影者が既に死亡した後に遺品として、そういう写真や映像が発見された場合、遺族が罪に問われることにもなる。
もっともこうした点については、「被写体本人が自分自身であり、かつ自分自身がその写真や映像の存在によって不快に感じているわけでもないのに、単に“裸の子供の画像”というだけで一律に法規制の対象にするのはおかしいのではないか」といった意見も多くあり、実際に法規制の対象になるかどうかは議論を呼ぶところである。
小学生の女児のヌードを撮影した写真集が仮にあったとしても、その写真の撮影から10年〜18年以上が経過し、出版物として世の中に発表された時点で既に出版を決意した女性本人が成人になっている場合、それも児童ポルノと呼べるのか?といった意見も少なからず存在する。
意図しない所持に伴う問題
メールや郵便で他人の児童ポルノの画像や本を送りつけたり、相手の所持品の中に他人の児童ポルノの写真を(本人に知られないように)紛れ込ませた後、警察に通報するだけで特定の個人や団体を簡単に社会的に抹殺することが可能となる。児童ポルノは拳銃や麻薬と違って入手や複製が容易であり、実際に作成することも可能なので、こうした冤罪が横行する可能性が大きくなる。
加えて、一般的なウェブブラウザでは表示した画像を一定期間ハードディスクにキャッシュとして保存する仕様になっているため、児童ポルノの画像があるウェブサイトに(たとえ過失であれ)接続しただけでも、キャッシュや履歴が残ることで犯罪者となってしまう。サイトによっては、アダルトサイトでなくともポップアップ広告などでアダルト画像を使ったバナーを表示するサイトや、他のページへのリンクとして画像を縮小表示したりしいてるサイトも存在するため、そういったサイトに接続するだけで「児童ポルノ所持」の容疑で犯罪者になってしまうことが危惧されている。
なお、児童ポルノの単純所持などがすでに違法化されているアメリカではWindowsの「Thumbs.db」という自動的に作成されるサムネイルファイルに児童ポルノと思われる画像が表示されるだけで、たとえ元の画像ファイルがハードディスク内に存在しなくても、児童ポルノ所持の容疑で逮捕されている[73]。このサムネイルファイルは、迷惑メールなどの添付ファイルや、ウェブページを見た際のキャッシュなどにたまたま含まれていた児童ポルノ画像を見ただけでも生成されてしまうため、アメリカでは大多数のパソコンユーザーが、児童ポルノ所持の容疑で摘発される可能性がある。
また、コンピューターウイルスの中には自動的に児童ポルノの画像をダウンロードするものも存在し、そういったウイルスが原因で、アメリカでは本人に「児童ポルノの画像を集めている」という自覚が無いまま逮捕されると言う事件も起きている[74]。
捜査権の拡大
さらにアメリカでは、FBIが児童ポルノサイトへのリンクを装った「だましリンク」をネット上の電子掲示板などに貼り付け、そのリンクを一度でもクリックした人物を児童ポルノ処罰法違反容疑で逮捕するといった、おとり捜査も行われている。「おとり」というよりは「罠」という表現もできる。この場合、誤ってクリックしただけで逮捕される。しかもFBIのやっていることは本質的にはワンクリック詐欺と同様であり、被害者が存在しないにもかかわらず犯罪者を次々と生み出すことに繋がる[75][76]。
日本でも児童ポルノの単純所持が違法化されれば、警察のこういった捜査が横行する危険性が出てくることになり、「犯意誘発型」に相当するはずのおとり捜査までもが合法化される危険性も出る。弁護士で社民党の福島瑞穂は、「「単純所持」が処罰をされるということは、単純所持が、犯罪になるということであり、つまり、捜索が可能となるのである」として、捜査権の拡大を懸念している[77]。
ほかには、アメリカでは、通関に際し、携帯電話やパソコンなどの情報機器が検査の対象となっており、内部に記録されたデータの一切を開示しなくてはならない。これには、プライバシーの重大な侵害との批判の声が上がっているが、あくまでも児童ポルノの捜査を目的としたものであるとして、現状では、合憲との判断が下っている[78]。
その他
それ以外にも、いわゆる「ワンクリック詐欺」を働く業者がウェブサイトに誘導し、「あなたは児童ポルノのサイトに接続したため、今すぐ口止め料を振り込まなければ警察に通報する」というような、詐欺目的で悪用される危険性も出てくる。また「振り込め詐欺」の業者が郵便やメールで児童ポルノの画像や本を送りつけ、口止め料を請求するという手口に出るというように、児童ポルノの単純所持が違法となることでそれを利用した新手の詐欺行為が噴出することに繋がる危険性も潜んでいる。
創作物の規制と問題点
年齢の問題
漫画・アニメ・ゲーム(特に少年漫画・子供向けアニメ)などのキャラクターは、原作者による公式設定で年齢を明確に設定し、または小・中学生に設定されている場合もあるが、あえて年齢を不詳とし、劇中でも言及されないキャラクターも数多い[79]。年齢を確認しようにも、漫画やアニメに登場するキャラクターは「架空の存在」であるため、戸籍などを調べて年齢の確認ができないという特徴がある。よって、公式な年齢の設定がなされていなければ、18歳以上か否かの判断は事実上不可能に近いため、こういった規制の動きを批判する声も少なくない。
「見た目は幼女だが、設定上成人女性」ということになっている場合や、「見た目は成人女性だが、設定上は幼女」の場合などはどうなるのかといった、具体的な「児童ポルノ」の定義については一切示されていない。それ以外にも、特殊な魔法や薬などで子供が一時的に成人の肉体になったり、逆に成人が子供の肉体になるといったシーンが入っている作品も数多く存在しており、そういった、肉体が変化したキャラクターの扱いについてはどうなるのかも同様に不明である。
漫画などに登場するキャラクターは人間だけとは限らない。天使、悪魔、妖精、宇宙人といった現実の世界に存在しない、または存在が確認できていない種族のキャラクターも数多く存在する。作品によっては「10歳で成人を迎える種族」という設定になっている種族が登場する場合もあり、そういった種族に属する10歳のキャラクターが性行為を行った際は児童ポルノとして扱われるのかどうかは定かではない。ただ、児童の権利条約では、児童を人間(human being)と定義していることも事実である[80]。
表現の自由
その他にも、「被害者が存在しない」「表現の自由を侵害している」という指摘がある。
写真や映像に関しては、それも著作物の表現の一種として考えた場合、厳しすぎる規制は、表現の自由や公序良俗との兼ね合いにおいて問題となるが、とくに、漫画やアニメ、ゲームなどの場合、規制は、ただちに「表現の自由の侵害」につながる恐れも大きいため、法改正にあたっては、慎重な議論が求められる。
漫画家のちばてつやも、政府による創作物の規制は、過去に大日本帝国が第二次世界大戦終了まで行った報道の検閲や情報操作に類似しているとして、「法律などで(創作物を)規制するべきではない」という意見を述べている[81]。
なお、アメリカ最高裁の違憲判決[82]では、実在する児童の虐待を伴わないバーチャルな児童ポルノは、表現の自由に優越する公共の福祉というロジックによって規制されるべきものではない、との見解が示されている。
保護法益の問題
また、規制派からは架空の人物に対しては「準児童ポルノ」として扱い、これらも児童ポルノ法により規制すべきとする活動が行われている。これに対しては、児童ポルノ法が、実在する児童の保護(個人法益)をその本旨としている関係から、実在しない児童を取り扱った創作物を、児童ポルノ法によって規制することには慎重意見も根強い。弁護士の奥村徹は有害図書かわいせつ図画で扱うべきだと意見を述べている[83]。なお、実在する児童の人権侵害を伴わないのであれば、18歳未満の児童を性的対象と見なす風潮(社会法益)は、それだけで独立しては問題とならないとの指摘も見受けられる[84]。
ただし、自民党の高市早苗は、子供を性の対象とする社会的風潮を助長する可能性が高いと見られる創作物について、その規制を可能にするために、個人法益から社会法益へと重点を移すことを検討する必要性を示唆している[85]。この点、裁判実務では、なお実在の児童に限定されてはいるものの、しかし社会法益をも保護法益とした判例がすでに多く出されていることも事実である[86]。また、円より子参議院議員が、衆院法務委員会で、18歳未満の「児童を性の対象としてとらえることのない健全な社会を維持することもこの法案では目的としております」とし、現行法においても付随的にではあるが社会法益も対象とするとの趣旨の答弁をしている[87]。
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3号規定との関係
さらに、現行の児童ポルノ法では、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」と規定されているが、肌の露出やキャラクターの行為などが、どの程度にまでなれば「性的なもの」と判断されるのかといった定義も同じく示されていない。仮に、創作物が規制された場合、製作者や所持者が「性的なもの」と判断していなくても、警察や裁判所に「性的なもの」と判断されれば、その者は逮捕されることになる。
規制の論理と問題点
強力効果論
児童ポルノを視聴する行為を、実際に児童に性的虐待をはたらく行為と安易に同一視できない、ということは言うまでもないが、「児童ポルノを見る者は、いずれは児童に実際に性的虐待をはたらくはずである(あるいは潜在的な性犯罪者である)」という強力効果論的な主張がなされることも少なくない。
このような主張に対しては、たとえば、「レイプを題材にしたアダルトビデオを観る者は潜在的な強姦犯である」「痴漢もののアダルトビデオを観る者は潜在的な痴漢犯罪者である」という論法が通じれば、「テロを題材にしたアクション映画を観る者は潜在的なテロリストである」という主張も通ることになる、との反論も見られる。
そもそも、ポルノと性犯罪との因果関係を肯定する強力効果論は、ポルノが、無数に存在する引き金の一つに過ぎず、しかも、もともと犯罪的な傾向の強い人間に対してしか引き金として機能しない、とするクラッパーの限定効果説によって、学問的には退けられている。
被害者支援の問題
児童ポルノ法にくわしい奥村徹弁護士は、国や自治体、国内のNPOが、「声高に規制を求めた割には全く(被害者の)救済に動かない」として、これを問題視しており[88]、弁護人としての経験から、「児童ポルノ・児童買春の被害者は、条文上存在するが、実際には姿が見えない」と指摘している。また、教育、啓発及び調査研究の推進を定めた第14条に、予算がつけられていないことも指摘している[89]。
なお、児童ポルノ法が、風紀取締りのための風俗犯罪処罰法でなく、被害児童の保護のための法律であることを明確にする趣旨から、「児童ポルノ」の用語を「児童性行為等姿態描写物」と改めることと、あわせて被害児童の保護の具体的な実施主体として児童相談所などを規定するとともに、厚生労働省に設置された審議会などにおいて、フォローアップの体制を制度化することなどが民主党からは提案されている[90]。
供給者・加害者側の取り締り
また、児童に対する性的虐待の取り締まりは、加害者側の取締り強化を前提とすべきところ、現状の議論では、児童ポルノと、それを鑑賞する所持者を摘発することのみに集中しているとの主張がなされている。
そもそも、児童ポルノ規制の根拠とされているのは、ポルノの被写体になることによって傷つけられた被害者となる児童の存在である。しかし、その供給者(あるいは加害者)は、被害者となる児童を被写体にした大人(あるいは出演を承諾した親)である。日本ユニセフ協会によれば、児童に対する性的虐待の多くが、被害者児童の保護者、つまり親や親戚などの身近な関係にある親族によるものであるという[91]。[92]
評論家の赤木智弘は[93]、日本ユニセフ協会が、子どもを搾取の対象としている「「親の欲望」を大きくは取り扱わない」として批判している。サブカルチャーに属する「アニメやゲームというスケープゴートを批判して、親やマスコミの溜飲を下すような口当たりのいいキャンペーンを行って募金を集めるのではなく、しっかりと現実を直視して、本当に子供たちのためになるキャンペーンを行うべき」と提言している。
なお、児童に対する性的虐待者(チャイルド・マレスター)は、状況的虐待者(小児性愛者でない者)と選好的虐待者(小児性愛者)に分けられるが、加害者の大半を占めるのは前者(状況的虐待者)である[94]。また、非商業的な場面での被害は、その大半が、児童と顔見知りであり、児童に対して親的な立場にある大人によるものである。具体的には、両親・保護者・親戚などの親族の他、幼稚園・学校・大学などの教師、児童のための施設の職員、教会の聖職者、その他スポーツクラブのコーチ、外国への交流旅行に関わる大人などがあげられる[95]。
定義年齢の問題
児童ポルノとは、児童に対する性的な虐待の記録物であるが、児童性的虐待の綜合的な定義は、性交同意年齢を基準としている(SCOSACによる)。にもかかわらず、日本における児童ポルノ法の定義では、性交可能な性交同意年齢(13歳)に達している18歳未満の未成年者が対象に含まれている。これは、成熟した判断能力を備えていない未成年者を、永久的な記録性をもつポルノグラフィの被写体とされる危険から保護する目的によると説明されている[96]。
しかし、高校生も含む被害児童(援助交際などの当事者もこれに含まれる)の定義年齢が多少高すぎるという議論がなされていることも事実である[97][98]。日本ペンクラブは、「対象年齢を「十八歳未満」とするのは「児童」の概念から甚だしく逸脱しており、せめて義務教育年齢以下とすべき」と提言している。なお、青少年健全育成条例では、18歳未満の児童との性交又は性交類似行為は、これを罰則をもって禁止しているが、婚姻年齢に達している16歳以上の「年長青少年」については、公権力をもってその性的自由に不当な干渉を加えるものであるとした谷口正孝裁判官の意見も存在している[99]。
なお、単純所持を規制した奈良県の条例[100]においては、法律上の児童のなかでも特に小学生以下の者について、心身の未成熟、不充分な判断能力、犯罪被害に遭う危険性が特に高いこと、犯罪に対する抵抗力が乏しいことなどを理由[101]として、その定義年齢が13歳未満と定められている。
所持の規制の問題
現行法においては、実在する児童を被写体とした児童ポルノは単純所持の規制対象とされていないが、違法な電磁データは、その複製が容易であることから、その流布の危険性の高いこと[102]を根拠として、新たに児童ポルノを対象に加えることが主張されている。衆議院議員の鳩山邦夫は、「単純所持を認めているとやはりそこから穴が広がっていって、結局その所持した物がインターネットに載るというようなことがあり得るのではないかと思います。麻薬と同じような考え方をしてもいいのではないか」との考え方を示している[103]。
なお、これと同様の考え方を根拠として、わいせつ物にあたる児童ポルノデータを所持していたケースで、それ自体は販売意図がなかったとしても、刑法175条にいう「販売目的所持」にあたるとして、2006年に有罪判決が確定している。ただし、法学者の森尾亮(久留米大学)は、この判決が、175条に規定のない予備[104]行為の処罰にあたり、罪刑法定主義に反するとの否定説を支持している。また、銃器・麻薬等の単純所持の規制には理解を示しつつも、「わいせつ物との接触は(人間もまた動物である以上)私たちの社会生活においてほとんど不可避なもの」であり、また175条の保護法益が性道徳の保護にあるからには、現行の「児童ポルノ処罰法の規制対象には含まれないような「合成写真」や「アニメ・ポルノ」等」までもが対象となりかねないとして、上記判決に批判的な見方を示している[105]。
また、法学者の松原芳博(早稲田大学)は、近年の日本では、危険社会論を背景とした抽象的危険犯の形式の下での処罰の早期化の傾向が顕著であり、「しばしば犯罪に用い得る一定の物ないし情報の提供・取得や所持・保管を構成要件化する立法形式が採用されている」[106]との認識を示している。その上で、内心の思想や意思を対象とする心情主義 [107]と対立する行為主義 [108]を擁護する観点から、特に児童ポルノの単純所持の違法化には、「「所持」や「保管」は、本来、社会的外界に顕現する以前の私的領域にとどまるものであって、その犯罪化には行為主義との関係で特別の正当化を必要とするように思われる」との懸念を示している[109]。
また、単純所持の規制には、それに伴う捜査権の拡大の危険性も指摘されているが、元警察庁職員で弁護士の後藤啓二は、反復取得や有償譲受など明白な行為に限定するとした民主党案について、「既に所持するポルノは『合法』となるうえ、『取得の禁止』では、誰からどこで入手したかの立証が難しい」[110]「冤罪のおそれなどということを理由に児童ポルノの単純所持を禁止するべきでないというのは、子どもを児童ポルノの被害に遭うことから守ることの重要性の認識に欠けているとしか思えません。民主党の懸念を正当化してしまえば、すべての犯罪で冤罪の危険はあるわけですから、殺人でも強姦でもあらゆる行為を罰してはいけないことになってしまうのではないでしょうか」と批判している[111]。ただし、衆議院議員で弁護士の早川忠孝は、「証拠を集めない限り、警察は強制捜査が出来ない」ようにするため、あくまで「取得行為や製造行為の立証も必要になるような規定」ぶりを提案している[112]。
架空の創作物
児童ポルノ規制派には、「実在しない架空の人物の出演する作品といえども『準児童ポルノ』として扱い、これらも法律により規制すべきだ』との主張も見られる。ひとつは、性道徳(社会法益)の保護を理由としたものであり、もうひとつは、実在する被害児童(個人法益)の保護を理由としたものである。
性道徳の保護
前者については、カナダでは、道徳を堕落させる罪(カナダ刑法典第163条)[113]として、被写体の存在しない創作物が規制の対象とされている。具体的には「(a)事実にせよフィクションにせよ、犯罪の実行を扱うもの(b)犯罪の実行の前後を問わず、事実にせよフィクションにせよ、犯罪の実行に関連するイベントを扱うもの」が「犯罪コミック」として刑事罰の対象とされている。
このカナダの規制は、いわゆるリーガル・モラリズムに立脚したものであるが、ある個人の行為が、たんに道徳的でないことを理由として、その当人のものではない特定の価値観を、外部から法によって国家権力が強制的に実現すべきことを主張するリーガル・モラリズムは、充分な判断能力をもつ個人の自己決定権(ことに精神的自由権)を擁護するリベラリズムとは鋭く対立する[114]。
またリーガル・モラリズムは、不快感情を根拠として他者の自由の制限を求める不快原理[115](ただし不快物非公開の原則は、リベラリズムと調和する)によって助長される[116]ものであるが、弁護士で衆議院議員の枝野幸男は、2008年7月のオープンミーティング[117]で、法と倫理の区別をはかる立場から、不快感情[118]を根拠とした規制が、ポルノグラフィ全般の規制に及ぼされることに危惧を表明している。
なお社会学者の宮台真司(首都大学東京)は、リーガル・モラリズムに関し、日本における児童ポルノ規制法が、青少年の人権を擁護する法案から青少年の道徳を規定する法案へと変容しているとの認識を示しており、日本国憲法第19条「思想・良心の自由」に規定される「法と道徳の分離」の原則、すなわち法は道徳を命令してはならず、道徳的に中立な法の下、市民同士が何が道徳的かをめぐるコミュニケーションをすることのみを許容するという原則に対する理解の欠如によって、「市民が自己責任でなすべき道徳的コミュニケーションが、「お上」に委ねられてしまう」として批判している。
また法学者の奥平康弘(東京大学)は、成人向けコミック規制の是非をめぐる裁判[119]で、一般に成立している慣習倫理を根拠とした規制論を退けており、表現の自由の本質が、少数者の利益を確保することにあるからには、「「一般の人々が「いいんじゃないの、これは」ということがしきたりとして成り立っていて、議論をしないで「そういうもんだろう」と思っていること」(すなわち世論)を基準とすることはできないと論じている。[120]
実在する児童の保護
後者については、駐日米国大使館政治部のスコット・ハンセンが、「子どもに性的関心を抱きがちな人間が見れば、子どもに対する性的虐待を描いた漫画やアニメ」さえも、「子どもに対する性的空想を促し、こうした行為を正当化する手立て」になりえるとして、「彼らが子どもを性的に虐待して自分の空想を実行に移す危険」が高まる[121]と主張している。また、日本国内では、シーファー駐日米国大使が、同様のロジックで、日本政府に対し創作物の規制を要望している。
ただ、ハンセンらが主張しているような、創作物が、実在する児童に対する性的な人権侵害を助長・誘発する不安を高める、というロジックに基づいた(児童ポルノ法による創作物に対する)規制は、本国のアメリカでは、連邦最高裁の下した違憲判決[122]によって、バーチャルな作品と児童に対する性的搾取との客観的な因果関係が明白ではないとして退けられている。
また、単なる間接的な波及効果(助長・誘発)に基づいた規制論に対しては、「テレビドラマや映画で暴力・殺人の描写があるものは、観る者に暴力・殺人欲求を喚起させないとは言い切れないので規制すべきだ」という主張と同類であるとの反論がなされており、たとえば枝野幸男衆議院議員などが同様の認識を明らかにしている[123]。
しかし、規制派のなかには、「漫画やアニメの子どもポルノの方が、ユダヤ人や黒人を人間以下の虫けらとして描き出すプロパガンダよりもはるかに有害」であり、「「表現」は、直接的に暴力」であることは自明であるとして、「漫画やアニメやゲームの子どもポルノを擁護する人々は、主観的にはどうあれ、その行為によって、事実上、子どもに対する性的虐待とレイプと人身売買を擁護」している[124]として、前述の宮台真司や、アメリカ最高裁の下した違憲判決を批判する主張も見られる[125]。
なお、漫画、アニメ、ゲームなどのバーチャルなメディアが犯罪を誘発する有害なものであるという主張は、マスコミ、一部の学者、大学教授などが昔から主張しており(代表的なものとして森昭雄のゲーム脳が挙げられる)、「「バーチャルな」子どもポルノは、「リアルな」子どもポルノに対する需要を作り出し、さらには実際の生身の少女に対する性的虐待への欲求を喚起」[126]するとの主張も見受けられる。
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- ^ 特にアダルトゲームにおいて顕著で、またコンピュータソフトウェア倫理機構の規程でも「性交渉を行う相手が18歳未満であってはならない」「年齢(が18歳未満であること)を特定できる描写をしてはならない」と、その旨禁止されているため「性交渉を行うキャラクターは18歳以上である」と強調するケースも見られる。
- ^ http://www.nichibenren.or.jp/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/child_convention_en.html
- ^ ちばてつやによる「表現の自由」考:『~と、ボクは思います!』
- ^ http://www.translativearts.com/log20080416.html
- ^ 奥村徹弁護士の見解 10月25日の項
- ^ http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/etc/zakkan20080519.pdf
- ^ http://rep.sanae.gr.jp/tusin2/tusin2_contents.html?MID=40
- ^ http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/etc/zakkan20080519.pdf
- ^ http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000414519990512011.htm
- ^ http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20080607
- ^ http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20080604/1212534573
- ^ http://www.dpj.or.jp/news/files/080611ir.pdf
- ^ http://www.unicef.or.jp/special/0705/cyberporn01.html
- ^ また、小学生以下の児童が殺害された事件は、その加害者の6~7割が家族であるという。 森田ゆり『子供が出会う犯罪と暴力防犯対策の幻想』(生活人新書)
- ^ http://news.livedoor.com/article/detail/3558486/
- ^ http://www.unicef.or.jp/code-p/pdf/essay.pdf
- ^ http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/pdf/sakusyu.pdf
- ^ http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/pdf/jido_p.pdf
- ^ http://www.law.keio.ac.jp/~hkatoh/gyakutai/2_3_A.htm
- ^ http://www.japanpen.or.jp/seimei/981126.html
- ^ http://www.kcat.zaq.ne.jp/iranet-hirakata/851023fukuoka-seisyonenikuseijorei.txt
- ^ http://www.police.pref.nara.jp/kodomojourei/050701.htm
- ^ http://www.police.pref.nara.jp/ikenbosyu/050613kekka.htm
- ^ ちなみに、以前に交際していた女性のわいせつ画像を流布した行為などは、わいせつ物頒布罪と名誉毀損罪によって処断される
- ^ http://www.moj.go.jp/kaiken/point/sp080205-01.html
- ^ 実行の着手にいたる前段階の状態のこと。通例では放火や殺人などの重大犯罪に適用される。
- ^ http://www.tkclex.ne.jp/commentary/pdf/2007-3-23.pdf
- ^ 具体的には、コンピュータウイルスの作成・所持を要件とする不正指令電磁的記録作出罪などがあげられる。 http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/2603/1/A03890546-00-079040237.pdf
- ^ 思考や人格態度を国家の規制下に置く心情主義は、ナチス時代の立法で登場したもので、リーガル・モラリズムに類し、特別予防の観点を強調すると行為者主義刑法に至るとされている http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/2603/1/A03890546-00-079040237.pdf
- ^ 処罰の対象は、外界に現実にあらわれた行為でなければならないとする立場。
- ^ http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/2603/1/A03890546-00-079040237.pdf
- ^ http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080818ddm002010131000c.html
- ^ http://www.law-goto.com/0302/012/
- ^ http://ameblo.jp/gusya-h/entry-10103773052.html
- ^ http://www.isc.meiji.ac.jp/~sumwel_h/doc/code/act-1993-Canada-Child.htm
- ^ ただしパターナリズムは、充分な判断能力をもたない人々を彼ら自身の利益のために彼ら自身から守るものであるかぎり、リベラリズムと調和する H.L.A. Hart(1963) Law、Liberty、and Morality
- ^ いわゆる他者危害原則と対比されるもの。
- ^ http://saturn.aichi-u.ac.jp/info/com/com21-4.pdf
- ^ http://www.edano.gr.jp/om/0801om.html
- ^ ベンタムは同性愛をとりあげた論文で、その害悪が非常に間接的で、しかも不確実であるにもかかわらず、その刑罰が厳しいのは、その唯一かつ真実の動機が、生理的な嫌悪感、ないしは快楽を悪とする禁欲主義に起因する「反感(antipathy)」にあることを認めている。そして、不快原則がいかなる場合でも十分な根拠として認められるならば、「人民主義の原理でも、すべての人、あるいは少なくともそれぞれの社会の多数派が同様の理由ですべての人を処罰するのは正しいことになってしまう」と批判している。 http://www.columbia.edu/cu/lweb/eresources/exhibitions/sw25/bentham/index.html
- ^ http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Tone/9018/shoubun0714-04.html
- ^ なお青少年の健全育成をかかげた規制論については、発展過程にある子どもを基準として、「大人の読むことのできる領域を子供の読む領域まで下げてしまう」ことは、あらゆる表現領域で表現の自由を保障する意味を完全に失わせることになると論じている。
- ^ http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-20080416-72.html
- ^ http://www.seirin.org/rep141018.html
- ^ 2008年7月オープンミーティング http://www.edano.gr.jp/om/0801om.html
- ^ http://web.archive.org/web/20020528102155/http://www.app-jp.org/voice/02.04.17.html
- ^ ちなみにラディカル・フェミニズムの古典であるロビン・モーガンの「理論と実践:ポルノグラフィとレイプ」では、「ポルノグラフィは理論であり、レイプは実践である」とされ、ポルノグラフィは「性差別主義的プロパガンダ」であるとの認識が示されている。
- ^ http://web.archive.org/web/20020528102155/http://www.app-jp.org/voice/02.04.17.html
参考文献
- 『性と暴力のアメリカ理念先行国家の矛盾と苦悶』(鈴木透、2006)ISBN 4-12-101863-X
- 『9人の児童性虐待者NOT MONSTERS』(パメラ・D・シュルツ、2005、翻訳2006)ISBN 4-89500-092-3
関連項目
- 児童福祉法
- 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
- 児童の権利に関する条約
- 子供
- 福祉
- 児童労働
- 児童虐待 - 性的虐待 - 児童性的虐待 - 少年への性的虐待
- 準児童ポルノ
- 言論統制 - 検閲 - 焚書
外部リンク
- 幼女レイプ被害者数統計
- 「第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議」の外務省による概要
- ECPAT/ストップ子ども買春の会
- エクパットジャパン関西
- 児童ポルノとは何か?(PDF)(横浜会議で配られた資料を外務省が和訳したもの)
- 増加する児童ポルノサイト、日本はワースト8位2003年の統計調査記事(Hotwired Japan)
- 日本ユニセフ協会・特集 子どもポルノから子どもを守るために - 日本ユニセフ協会
- アニメ・漫画・ゲームも「準児童ポルノ」として違法化訴えるキャンペーン MSとヤフーが賛同 - ITmedia News
- Child porn suspect suicide tally hits 32 - オペレーション・オレによる自殺者に関する記事(英文)
- 個人情報を盗まれた結果、職を失い起訴される(個人情報盗用による児童ポルノ検挙被害事件) - スラッシュドット・ジャパン
- 警察庁の『漫画・アニメ・ゲーム表現規制法』検討会問題まとめ @Wik - 見出し
- あなたの知らない児童ポルノの真実 - 山本弘(SF作家・と学会会長)による、「少女ヌード」と「児童ポルノ」の境界や、犯罪統計に基づく取締りの有効性の検証を行ったページ。
- 創作物の規制/単純所持規制に反対する請願署名市民有志(2008年) - 「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」の改定で、「児童ポルノ」への規制が性的な創作物に及ぶ事と、単純所持の処罰に反対する請願を行う為に結成された有志のサイト。被害児童保護の所轄を厚生労働省と明記する事も要求している。