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:竜輝の母。ヴァグーラの娘で、炎魔神と水魔神の[[ハーフ]]。竜王の娘マナーサを母に持つ。ギレウスは母親違いの弟。 |
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:冷酷なヴァグーラに唯一可愛がられる存在ではあったが、ナーガスの誕生を恐れられるあまり、城からの外出は一歩も許されなかった。しかし、父譲りの奔放な性格が幽閉を我慢できるはずがなく、本編開始より18年前、城を抜け出し、ティアの手引きで人間界へと出奔することとなる。人間界で輝安と出会い、息子・竜輝をもうけるが、炎界の捜索隊に息子が見つかることを恐れ、家を出たところを発見され、炎界に連れ戻された。 |
:冷酷なヴァグーラに唯一可愛がられる存在ではあったが、ナーガスの誕生を恐れられるあまり、城からの外出は一歩も許されなかった。しかし、父譲りの奔放な性格が幽閉を我慢できるはずがなく、本編開始より18年前、城を抜け出し、ティアの手引きで人間界へと出奔することとなる。人間界で輝安と出会い、息子・竜輝をもうけるが、炎界の捜索隊に息子が見つかることを恐れ、家を出たところを発見され、炎界に連れ戻された。 |
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:現在は自らの体を水晶と化し、その身体はヴァグーラ城にて安置されている。<ref>炎の孫を産んだとはいえ愛しい娘に変わりなく、何れ時が来て自らの行動に対し深く反省したら封印を解くつもりであったと述べていた</ref> |
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:名前の由来は[[ケルト神話]]の[[バロール]]の娘'''エフネ(エスリン)'''。 |
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2007年11月10日 (土) 13:14時点における版
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『輝竜戦鬼ナーガス』(きりゅうせんき-)は、増田晴彦によるファンタジー漫画。
概要
1991年、エニックス(現スクウェア・エニックス)の漫画雑誌『月刊少年ガンガン』が創刊された際に、ラインナップのひとつとして連載が始まる。以降、1994年10月号に至るおよそ3年間、連載を続けて大団円を迎えた。作者のガンガン掲載作品群の中では、一応の決着が付いた唯一の作品ではあるが、これでさえも、明かされるべき謎が多数見受けられ、終盤では連載終了を急がされたことが察せられる。作者の全作品内で、最長連載記録を誇る。
もともとの企画では『浦島伝説ナーガス』というタイトルであり、タイトル通り、竜宮城の登場ははじめから決まっていたという。編集長より「お伽噺をストレートにやってはだめ」という意見が出たため、今の形になった。また、作中に宗教ネタ(使われている宗教は架空のものである)が挿入されているが、こちらも企画段階から入れる予定であったという。
主人公・竜輝を中心とする家族構成は、ケルト神話の光神ルーを中心とした祖父殺し神話をモチーフとしている。
コミック版は、1991年、エニックスより新書版サイズで発行された。全9巻構成。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
作品世界背景
本作の舞台は現代日本及び魔精界である。
現代日本は、現実世界とほとんど変わりがない。
魔精界は、「地」「水」「炎」「風」の四界で構成される、魔神(ディーバ)の世界である。 魔神とは、人間達から見た神ないし悪魔の総称であり、大自然の営みを司る自然神を指す。魔神は、己の属する界の精霊の力をもって、自然の営みの調整を行ったり、敵を討つ力と成したりする。
本作開始直前において、魔精界の王は水魔神(ハイドロ・ディーバ)である竜王ラージャスが務めていた。その治世は500年に及び、その間、魔精界は平和であった。だが、近年になって、自然破壊によりラージャスの力の衰えが著しくなると、炎界より魔精界制覇を目論む魔神が台頭した。炎界の高位魔神(ベール・ディーバ)ヴァグーラである。
あらすじ
ヴァグーラは炎魔神(パイロ・ディーバ)達を率いて、竜王の本拠地である水界へと侵攻、壮絶な一騎打ちを経て、ついにはラージャスを下し、新たな魔精界の王となった。
だが、竜王は死の直前に、竜(ナーガ)一族に伝わる伝説を残した。
「悠久の平和の後、炎が竜の王を倒す時、炎の孫ナーガスが現れ、炎を打ち消さん」
ヴァグーラは意に介さず、竜王の娘マナーサを妃とする。マナーサはヴァグーラとの間に娘エスリーンをもうけた。
30年が経過し、帝王となったヴァグーラは魔精界のほぼ全てを手中にしていた。竜王直属であった水界の魔神達は、将軍オアンネスを中心とした抵抗を続けていたものの、恐怖によって率いられた地風炎三界の連合軍によって、ついには陥落した。しかし、その直前に、オアンネスの娘ディーナは、父よりナーガス探索を命ぜられ、魔精界と人間界を繋ぐ越界の鏡の守り主であるティアと共に、人間界へと赴くのだった。
人間の少年、霧山竜輝(きりやま りゅうき)は、母こそ幼い頃に亡くしていたものの、父・輝安(てるやす)と幼馴染みの少女・美森沙智(みもり さち)をはじめとした人々に囲まれ、ごく普通の日々を送っていた。しかし、級友が授業中に謎の死を遂げたことを皮切りに、ついにはクラス全体が謎の生物に喰い殺されるという怪異に遭遇する。現れた化け物は魔神ドリワームと名乗り、竜輝の母が人間ではなく魔神の王女であると告げる。そして、ドリワームの触手が唯一生き残った沙智に及んだ時、竜輝の中で魔神の力が目覚めた……。
登場人物
各人物は種族で分類しているが、ハーフなどの分類しがたい者に関しては、本人の認識等に依っている。各説明を参照されたし。
人間
- 霧山竜輝(きりやま りゅうき)(ナーガス)
- 本作の主人公。ごく普通の高校生活を送っていた赤毛の少年。実は魔神とのハーフである。魔神化すると翼を持つ直立歩行の竜人のような姿になる。
- 父は人間・霧山輝安。母は魔精界の王女エスリーン。そして、祖父母は魔精界の王ヴァグーラと竜王の娘マナーサであるため、伝説にうたわれる「炎の孫」と目される。祖母より竜(ナーガ)の血を受け継いでいるため、首元に竜族の証である竜玉を擁する。
- もともとは外国人(と思っていた)の母恋しさゆえに海外特派員を目指す(なので英語の成績だけはよかった)、少々気弱なところのある少年だったが、戦いを経て、精神的に成長していく。立ち位置としてはケルト神話のルーに対応する。ちなみに学校生活では保健委員だった。
- 美森沙智(みもり さち)
- 本作のヒロイン。竜輝の幼馴染みで、勝ち気な少女。成績はかなりよいが、自分に絡んだ恋愛事には疎く、太輔の片想いには最後まで気づかなかった。
- 竜輝と共に保健委員だった。ごく普通の生活を送っていたが、魔神ドリワームにクラス全員が食い殺される事件を経て、魔神の戦いに深く関わっていく。
- ただの人間の少女であるため、直接的な戦闘能力こそないが、その行動力や決断力は戦いにおいて重大な局面を左右していく。ギレウスに生命を狙われることもあるが、そのギレウスの内心を理解した者のひとりでもある。
- 狢谷太輔(まみや たすけ)
- 竜輝の親友にして戦友。出会った時には誤解から敵対したが、すぐにうち解けた。陽気でお調子者。意外にもかわいいもの好き。実家はアパート経営者。
- 地魔神(ゲー・ディーバ)の先祖返りであるらしく、ムジナのような獣人に変身することができる。その力を利用して妖怪ハンターのまねごとをしている。自分の力に関しては「常人には想像もつかない体験ができて面白い」と語るが、心の奥底では疎外感を感じていた(初恋の相手の前で初めて魔神に襲われて変身し、彼女にも怖がられてしまったため)。
- 自分の正体を知っても態度を変えなかった沙智に惹かれるが、竜輝との連携を乱さない為にその想いは伏せていた(但し、ディーナとサザナミには見抜かれている)。当の本人はサザナミに思いを寄せられており、彼女によれば浦島子(浦島太郎)に瓜二つだという。また、沙智に言わせれば、ディーナとお似合いとのこと。
- 霧山輝安(きりやま てるやす)
- 竜輝の父。剣道家。妻亡き(ということにした)後、男手ひとつで竜輝を育て上げた。エスリーンとのなれそめは不明だが、魔神と知ってなお妻とした懐の大きい男。
- ボレアースの襲来時、スグシスの手によって傷つけられ、戦う息子に助言をして死んでいった。名前の由来はケルト神話のキアン(名前を音読みすると「きあん」と読める)。ヴァグーラをバロールと見なした時の立ち位置に対応している。
- 相田光四郎(あいだ こうしろう)
- 都立武蔵ヶ丘高校世界史教諭。太輔が属する部の顧問(本編では明らかにされていないが、怪奇現象研究部)。実は専門は考古学で、特に古代の宗教や魔術について調査している。その知識で、竜輝達の戦いを助けることになる。用途不明の発掘品を「使い方がわからないなら使ってみればいいじゃないか」という、案外豪快な人。そのために魔術師や占い師、宗教家の助言を求め、魔導書すら収集し、ついには魔神を呼び出すことに成功した。普段でもブラウニーの召喚実験をやったりしている変人なので、彼が住むマミヤハイツには住人は少ない。
- 久野政玄(くの せいげん)
- 聖星神月教(せいせいかむづききょう。以下「神月教」)教祖。相田教諭の知人。神月教は、『神』(ここでいう神は魔神ではなく「大宇宙全体を動かす大いなる意志」である)の意志を体感し、それを体現することを旨とする宗教である。婆倶羅教団を邪教と非難し、報復として「神罰」を宣言されギレウスに殺された。その間際にもギレウスに『神』から与えられた使命があると諭す。
- 久野久道(くの ひさみち)
- 政弦の孫で、神月教の熱心な信者。
- 祖父の死に際し、自分が神月教を「知っている」だけで「理解している」わけではないことを自覚し、教団の運営を信頼できる幹部に任せ、一人前の宗教家になるべく、社会勉強の旅に出た。
- 及川加茂(おいかわ かも)
- 婆倶羅教団(ばぐらきょうだん)教祖。婆倶羅教団は、埼玉県奥秩父を本拠地とし、婆倶羅様こそが世を変えると唱える。その実体は、ギレウスがヴァグーラを崇めさせ信精波を集めるために利用している教団である。ギレウスを養子としているが、その実逆らえない。
魔神(ディーバ)
魔神の本来の姿は、自然界を統べる精霊の長である。
太古の地球には魔神は存在せず、精霊だけがいた。精霊を統べる大地母精の下で自然の営みを司り、地に生命を栄えさせていたのである。やがて人間が誕生し、自然を「神」として崇めはじめたとき、まず信仰を集めたのは、恵みを与える大地母精であった。そうして大地母精は大地母神となった。これが最初の魔神である。
人間の信仰の力は信精波として魔神の力「神力(メギン)」(「魔神力(ディーバ・メギン)」とも言う)の源となる。人間の信仰により巨大な神力を得た大地母神は、その力で様々な神々を生み出した(魔精界もこのころ成立したと思われる)。その神々がさらに信仰を集め、信精波を得る代わりに人間に自然の恵みを与え、双方は互いに発展していった。
しかし、人間は文明を進歩させ、もはや自然の力に頼らずとも生きていけるようになった。そうして神々すなわち魔神への信仰は衰え、信精波は乏しくなり、自然は破壊されていった。特に水の魔神達は、水という水が汚されたために、日に日に弱っていくこととなった。逆に炎の魔神達は、神力自体は弱まっているものの、その活力源である炎の力が人間の文明で多用されたがために、全体としてみれば力を増している。
- 神力は単純に魔神の力となるだけではなく、その肉体構成にも密接に関係している。魔神の身体は構成元素と、その構成元素を固定する強力な神力で形作られている。身体を形作る神力は魔神の姿を記憶しており、仮に身体の一部を失っても、速度に個体差はあるが、再生することができる(特に竜族の再生力は群を抜いて強力だというが、ナーガスのように腕一本を一瞬で再生するほどの者は稀である)。この神力を、普通の神力同様に活動に転用すれば、普段の何倍もの神力で活動することができる。しかし、肉体を構成する神力を使うということは、肉体の一部を相応に失うということであり、失われた肉体は二度と再生することはなく、しかも全身の神力のバランスの崩れによる全身の崩壊の危険性も孕む。諸刃の剣ゆえに最後の手段である。また、死んだディーバは属する構成元素に戻るため、見た目的には水や火などに戻って散っていくことになる。
- 余談ではあるが、ディーバ(diva)という言葉の語源は印欧祖語 deiw-(輝く)であり、同族言語において光、空、神に関わる単語に、同じ語源を持つものが見受けられる。たとえばギリシア神話のゼウス(Zeus)やローマ神話のユピテル(Jupiter)、北欧神話のテュール(Tyr)、バラモン教のディヤウス(Dyaus)、英語における神性(Divinity)、悪魔(Devil,Demon)などである。詳細は天空神を参照されたし。
炎魔神(パイロ・ディーバ)
炎魔神は、炎の力を司る魔神である。人間の怒りや憎しみを信精波として己の力とすることができる。本編では説明されなかったが、もともとは「変化」を司る者達であり、世界を大きなエネルギーによって変化させ、循環させていく原動力が、本来の炎魔神の力であった。だが、「変化」の過程上で発生する「破壊」に人間が関心を寄せ、そのような面を崇め始めたことで、作中のような破壊の権化という性格が形になっていった。死ぬとその身体は炎となって散っていく。
作中では敵となる炎魔神だが、はるか昔には、当時の炎魔王と竜王は仲がよく、魔精界の危機に際して共同戦線を張ったという逸話もある。
- ヴァグーラ
- 炎魔皇帝にして現魔精霊界王。前魔精界王である竜王ラージャスの衰弱に乗じ、魔精界制覇に乗り出した高位魔神。全身を炎に包まれた巨人の姿をしているが、あまりに炎が激しいため巨大な火の玉状になっている。
- 竜王の娘マナーサを強引に妻とし、魔精界を制覇した後は人間界を狙っている。竜輝にとっては母方の祖父なのだが、孫のナーガスに対しては一平の関心を向けない。ナーガス伝説については一見動じなかったが、ナーガスを産み出す要である娘エスリーンの家出に狼狽えたり、対抗してギレウスという抹殺者を用意するなど、ギレウスに言わせると「ケツの穴が小さい」ということになる。
- 冷酷な帝王だが、唯一、娘のエスリーンに対しては優しい父である。その立ち位置はケルト神話のバロールに対応する。
- 使用技
- ギレウス
- ヴァグーラの息子で、炎魔神と水魔神のハーフ。エスリーンとは母親違いの弟で竜輝の叔父にあたる。非情だが口先だけの約束はしない男。不羈たる「諸刃の剣」としてヴァグーラにも恐れられている。魔神としての姿は「黒いナーガス」というべき容貌である。
- エスリーンが行方をくらませた時、万が一ナーガスが生まれてしまった時の備えとして、最強の懐刀、輝竜戦鬼抹殺者(ナーガスエリミネーター)となるべく、ヴァグーラと暗黒竜との間に産み出された。皇帝の息子でありながら、切り札とするために、その存在を外部に知らされることはなく、炎界の辺境で戦いだけを叩き込まれ続けた。まだ胎内にいた頃、母を炎の神力で焼き殺してしまったため、自分すらも対象とした激しい憎悪を抱いている。[1]
- ナーガスが現れるまでは、人間界にて信精波を確保する任務に付いており、婆倶羅教団の教祖・及川加茂の養子として「及川秀鬼(おいかわ ひでき)」を名乗っていた。ナーガスの力を得てヴァグーラに取って代わろうと企むが、夢の世界でナーガスを助けようとする沙智と顔を合わせたことをきっかけに、その体と心に変調を起こしていく。
- スグシス
- ヴァグーラの侍従長ドーベントの部下らしき炎魔神。右目の眼球が飛び出した獣のような姿をしている。ヴァグーラがボレアースを刺客としてナーガスに差し向けた際、その監視役として派遣された。
- 輝安を人質としてナーガスを倒そうとするが、その卑怯な振る舞いを嫌ったボレアースに殺された。名前の由来は、登場してすぐ死ぬから。
- グライマー
- 炎界でも六将軍に次ぐ実力と残忍さを持ち合わせると恐れられる、炎魔神。炎に包まれた馬の姿をしている。人間界の富士五湖近辺に繋がる越界の鏡を監視していたが、手下の地魔神を捨て石とした後に自らナーガスに戦いを挑む。
- 小型の馬の形をした探索・監視用の分身メダマウマーを多数放出し、周囲を捜索させることができる。水魔神の必殺技を身につけたナーガスに一度は敗れ去るが……。名前の由来は英語「残忍な者(grimmer)」。
- 使用技
炎魔六将軍
炎魔神の中でも最強を誇る6神。いずれも人間界で力ある存在として崇められてきた者達だが、現在はヴァグーラ直属の将軍としてナーガスに襲いかかる。その炎の神力は沼を一瞬で干上がらせ、大地を溶かすことができるほど。しかしヴァグーラは彼ら6神が束になってかかってもかなわないという。
- ネルガル
- 水界残党狩りの指揮を執っていた、炎魔六将軍の1神。古代メソポタミア風の被り物のようなパーツのある巨人の姿をしている。
- 水界残党を追いつめ、ヴァグーラの勅命により自らオアンネス親子の生命を奪いに現れる。その際、ディーナは取り逃がしたものの、オアンネスを殺害している。
- 人間界ではバビロニアで太陽神にして冥界神、火星の守護神たるネルガルとして崇められていた。
- ウエウエテオトル
- 水界反乱軍と接触したナーガスを討伐するべく、ヴァグーラの勅命で水界に現れた、炎魔六将軍の1神で最古参。長いこと隠居していたため、世事に疎く、ナーガスのことを知らなかった。かつての水界侵略にも参加していない。いざ戦うとなると味方すら平気で巻き込む残忍さを見せる。
- 頭に巨大な口のあるパーツを乗せた、ひなびた老人の姿をしている。頭の中には、地球の生命の素となった原初の火を備え、その力でかつて活躍した炎魔神を蘇らせ、エネルギーが尽きない限り無尽蔵に増える「千の軍団」として操る。
- 人間界ではアステカで知恵者にして火の神ウエウエテオトルとして崇められ、頭に香炉を乗せた神として認識されていたようである。5巻でのみ「ウェウェテオトル」となっている。
- ヴァルカン
- 炎魔神と地魔神のハーフで、マグマの王と呼ばれる。そのふたつ名のとおり、地を割りマグマを操る。スルトの「軍団相手には役に立つが個人相手には大雑把」という言に憤っていたが、実際、ひとりずつちまちま潰していく戦い方は性に合わないようである。
- 全身がゴツゴツした印象の爬虫類のような姿をしている。ウエウエテオトルほどではないが年寄りらしい。
- 人間界ではローマ帝国で火の神ウルカヌスとして崇められていた。
- 使用技
- スルト
- ウザテースの「大いなる力」を探索するナーガス達の前に立ちはだかった、六将軍の1神。ヴァイキングの兜飾りのような雄々しい角を持つ、逞しい巨人の姿をしている。必殺技「炎の剣」は六将軍最強の破壊力を誇り、ナーガスのハイドラシュレッダーすら容易くはじき返す。
- 人間界では古代北欧に伝わる巨人族の長で、最終戦争ラグナロクを経た後も生き残り世界に炎を放って一度滅ぼす炎の巨人スルトとして恐れられていた。
- 使用技
- アグニ
- 本名、アグニ・ヴァイシュバーナラ。額に「第三の眼」のような器官を持ち、炎のように逆立つ髪を持った巨人の姿をしている。「六将軍の目」というふたつ名は、他者を圧倒する情報収集能力を持つためである。
- 「大いなる力」を、ヴァグーラ台頭以前より狙っていたが……。
- 人間界ではインド神話にて世界守護神たる火の神アグニとして、天地の至る所に存在する者として崇められていた。
- フェニックス
- 炎魔六将軍最後の1神。全身に炎をまとった巨鳥の姿をしている。魔精界一の再生力を持ち、身体に風穴が開いた程度では死なない上、粉微塵になっても炎の欠片が一片でも残っていれば、いつか復活するという。
- 人間界では不死鳥フェニックスとして、キリスト教の不死のシンボルとなったり、ソロモン王に従えられた魔神として伝えられたりした。その由来は古代エジプト神話の霊鳥ベンヌにまで遡るという。
- 使用技
水魔神(ハイドロ・ディーバ)
水魔神は、水の力を司る魔神である。人間の愛を信精波として己の力とすることができる。しかし、人間界の水が汚され、人間達の心も恨みや憎しみ=炎の信精波に傾きがちな昨今、水の神力はその力を減じられてしまった。そこを炎魔神につけ込まれ、攻め込まれて陥落した。だが、わずかに生き残った者達は、救世主ナーガスの伝説を拠り所にし、その後も抵抗を続けている。
竜族
本作では、いわゆる竜/ドラゴンは水界に属する。その強大な力ゆえ、人間界でも多くの神話で神とされ、また悪魔ともされた。本作での竜は二種族あり、片方は輝竜(ナーガ)族、もう片方は暗黒竜(ダーク・ナーガ)族である。
この項目では、竜族の血を引く登場人物を紹介する。ただし、霧山竜輝(ナーガス)、ギレウスについては既出の各項目を参照されたし。
輝竜族
輝竜族は、水界においては最も有力な一族で、おそらく一族の長「竜王」が水界の王を代々務めている。その姿は、純粋な水魔神であれば人間界での東洋の龍が多いようである。混血となると、西洋のドラゴンの形となったり、二足直立の竜人のようになったりもする。が、魔神の姿は多種多様である(特に女性は容姿も人間の姿に近くなる傾向がある)ため、絶対ではない。身体のどこかに竜玉と呼ばれる宝玉を持つ。竜の血が濃いほど大きいようである。力を使う時に光を放ち、その光の色は透き通った青。だが、炎魔の血を併せ持つ者が炎界の要素=怒りや憎しみなど、他人を傷つける破壊的な感情に染まった時には、燃えるように真っ赤な光を放つ。
- ディーナ
- 本作の第二のヒロインともいうべき存在。水界の将軍オアンネスの娘。金髪碧眼の美人で、魔神としての姿では、耳が外鰓状になっている。父からの命令で、ナーガス探索のために人間界へとやってきた。
- 竜の血は母方からわずかに引き継いでいるのみだが、同じ竜の血を引くナーガスを見分けることができ、額の竜玉でナーガスとテレパシーで交信することができる。また、霧に姿を変えることが可能。水界残党軍にあって生き延びてきただけあり、戦闘力もなかなかにある。作中では太輔とコンビを組んで戦うことが多く、息が合った戦いぶりを見せる。
- 名前の由来はローマ神話の月神ディアナ、あるいは水の精霊ウンディーネだと思われる。
- 竜王ラージャス
- 前魔精界王。マナーサの父で、ナーガスから見れば母方の曾祖父に当たる。ある時は荒れ狂う津波のように猛々しく、ある時は深界の暗黒のしじまのごとくおごそかな心を持つ、偉大な王。四爪の龍の姿をしている。
- 在位500年の間、平和に魔精界四界を統治してきたが、近年、人間界で自然が汚されるようになってから力を著しく衰えさせていた。そこを突いて攻め込んできたヴァグーラと互角に戦うも、ついには倒され、ナーガス伝説を言い残して息絶える。
- 名前の由来はインドで「王」を意味するラージャ。
- マナーサ
- 竜王の娘。ナーガスにとって母方の祖母に当たる。胸元に大きな竜玉のある、額に龍のような角を持つ女性の姿をしている。
- 竜王敗死時に、無理矢理ヴァグーラの妻とされ、やがて娘エスリーンを産む。以降30年以上、予言の成就=ヴァグーラの破滅の日を待ち続けていた。
- 名前の由来はヒンドゥー教の蛇の女神マナサーと思われる。
- エスリーン
- 竜輝の母。ヴァグーラの娘で、炎魔神と水魔神のハーフ。竜王の娘マナーサを母に持つ。ギレウスは母親違いの弟。
- 冷酷なヴァグーラに唯一可愛がられる存在ではあったが、ナーガスの誕生を恐れられるあまり、城からの外出は一歩も許されなかった。しかし、父譲りの奔放な性格が幽閉を我慢できるはずがなく、本編開始より18年前、城を抜け出し、ティアの手引きで人間界へと出奔することとなる。人間界で輝安と出会い、息子・竜輝をもうけるが、炎界の捜索隊に息子が見つかることを恐れ、家を出たところを発見され、炎界に連れ戻された。
- 現在は自らの体を水晶と化し、その身体はヴァグーラ城にて安置されている。[2]
- 名前の由来はケルト神話のバロールの娘エフネ(エスリン)。
- 瀬ノ王(せのおう)
- 竜の眷属にして、富士五湖の主。ディーナ達が人間界に脱出してくる時に使った、富士五湖にある越界の鏡を守っている。人間界の伝説によれば、その昔、竜ヶ岳に降臨し、富士山の噴火を予告したといわれ、竜神様と崇められている。本栖湖・西湖・精進湖を繋ぐ地底湖に居を定めている。
- 他の水魔神と同じく炎界の者に対抗できるだけの力はないが、ナーガスの成長を導き、竜族に伝わる技「水竜斬刃(ハイドラシュレッダー)」を伝授した。
- 使用技
- 水竜斬刃(作中では使用せず)
- サザナミ(乙姫)
- 竜宮城に住まう竜王家の親戚筋。劇中確認され限り唯一の竜輝の親戚である[3]。海の精霊力の中枢である竜宮をもって、人間界の海を司る。両側頭に角を持ち、胸元に大きな竜玉を持つ、羽衣のあるアジア風の服を着た黒髪の女性。外出時には大亀に変身する。
- 千年前に恋した浦島子(浦島太郎)に瓜二つの太輔に惹かれ、告白するが、敢えなく断られる。竜宮城が万が一にも破壊されるわけにはいかないため、ヴァルカンとの戦いを除き、ヴァグーラとの戦いには直接参加しなかった。
- 使用技
- 海竜砲(実際には名前が付いていない)
暗黒竜族
暗黒竜族は、邪悪な心を持つ竜族である。自分に逆らう者は、人間であろうと魔神であろうと皆殺しにするため、水界では嫌われ者となっている。人間界の伝説で退治される竜の多くは暗黒竜族である。人間界の伝説では、暗黒竜族の多くは炎を吐くが、この理由は、はるか昔に炎魔と混血したためだという。
竜王ラージャス存命の頃は、彼の強大な神力でもって、辺境に封じられていたが、竜王死後は封じの神力が失われ、暗黒竜族がいつ報復に動き出してもおかしくない状況にある。実際には作中で彼らが積極的な行動に出ることはなかったが、一族の女が一人、ヴァグーラの子を孕み、その子の炎の神力で焼き殺されたらしい。
反抗軍(レジスタンス)
竜王が斃れ、水界最後の砦が陥落した後も、水界の者達が炎界に屈することはなかった。残党同士が集まり、ヴァグーラにさらなる抵抗を続けている。しかし、その勢力は、一人の戦死ですら大きなダメージになるほどに衰えていた。魔精界に赴いたナーガスと出会うことで希望を見いだした彼らの戦いは、大きな転換期を迎えることとなる。
この項では反抗軍に属する水界の戦士を紹介する。便宜上、砦陥落前の残党の将であったオアンネスも、この項で説明する。
- オアンネス
- 水界の将軍。ディーナの父。魚の頭を兜代わりにかぶった人間のような姿をしている。竜王亡き後、ネルガル率いる炎界の手の者に屈することなく、残党を指揮して抵抗を続けていたが、力及ばず、ついに最後の砦の陥落を目前とすることとなった。
- 追いつめられた状況に至り、最後の希望としてナーガスを呼ぶことを決断、ディーナにナーガス探索を命じる。しかし、ディーナと共に越界の鏡の間に赴いた際、結界を破って侵入を果たしたネルガルから娘を守るために立ち向かい、その生命を落とす。
- 名前の由来は、バビロニア神話の水神オアンネス。
- サルマリュート
- 水界の反抗軍の隊長。砦陥落後の残党の寄せ集めである反抗軍をまとめ上げ、ナーガス伝説の希望の下に絶望的な戦いを続けていた。
- 育ちがいいため、副長ラーザニルとは最初ウマが合わなかったが、戦いの中で無二の親友となっていた。
- 使用技
- ラーザニル
- 水界の反抗軍の副長。カニを魔人化したような姿をしていて、ティアには「カニみそ」「みそ」と呼ばれる。恋人を殺された日から、死んでもいいつもりで戦い続けてきたが、生き残り、副長にまでなった叩き上げの古兵。
- ナーガスを迎えて沸き立つ反抗軍の中にあって唯一ナーガスを認めず、猜疑の目で見続けた。だが、共に行動するうちにナーガスの決意を目の当たりにし、認識を新たにしていく。対ウエウエテオトル戦では、頼りになる戦士として完全に認めていた。力を温存しなくてはならずに苦戦するナーガスの楯となり、一世一代の大勝負を仕掛けるが……。
- 名前の由来は作者がアイスランド語の本より抜き出した単語で構成した造語であり、「忠告する者」を意味する。
- 使用技
- カイル
- 反抗軍に参加している水魔神の少年。水界最後の砦の陥落時に両親を失った。鋭く尖った巻き貝の帽子をかぶったような姿をしている。どうやら母親似らしい。
- 平和な頃の水界をほとんど知らず、伝説を知った時からずっとナーガスに憧れていた。やや先走りしすぎるところはあるが、一人前の立派な戦士である。
- 使用技
風魔神(アエロ・ディーバ)
風魔神は、風の力を司る魔神である。また、大気の力や、寒気、暖気、気圧などを己が力とする。例外なく飛行能力を持つ。飛行能力自体は他の界の魔神にも持つ者がいるが、速度では追随を許さない。ヴァグーラの恐怖の支配を受け、あるいは自ら進んで、炎界側に味方している。
- ボレアース
- 北風の古老の一神として名高い魔神。武勇に聞こえた老兵。巨大な翼を持つ鳥人のような姿をしている。一族を人質に取られ、ヴァグーラに従っているが、その実、誰もが恐れる炎魔皇帝を前に呼び捨てにしたり、傲慢な態度を取るなど、反抗的である。
- ナーガス討伐を申しつけられた時にも、その内心には、ヴァグーラを倒すというナーガスが本物かどうかを確かめるという目論見があった。卑怯な振る舞いを嫌い、戦士としての生き方を全うすることを望む。ナーガスを認めた後は魔神としての戦い方を教授するべく戦い、敗れても満足そうに逝った。
- 名前の由来はギリシャ神話の北風の神ボレアス。
- モリガン
- ギレウスに付き従う風魔神。黒い翼を持つ黒い肌の女神の姿をしていて、カラスを使いとすることができる。
- 実はギレウスの監視としてヴァグーラから遣わされたのだが、ギレウスには最初からばれていた。それでいてなお自分を傍に置く剛毅さを持ちながら、凄まじい過去を持つギレウスに、モリガンは惹かれていくが……。
- ある意味でこの物語の三番目のヒロインと言うべき存在。本来の話運びの予定ではギレウスに倒されるだけのチョイ役だったが、最終的にはレギュラーキャラとなった。
- 名前の由来はケルト神話の戦女神モリガン。
- 使用技
地魔神(ゲー・ディーバ)
地魔神は、地の力を司る魔神である。人間界に存在する大地や岩の力、人間外の獣や虫の力を己の力とする。特有の能力として隠形の術があるが、全ての地魔神が持ち得るものかどうかは不明である。風魔神と同様に、ヴァグーラの恐怖の支配を受け、あるいは自ら進んで、炎界側に味方している。死ぬとその身体は土塊となって崩れていく。
- ドリワーム
- ヴァグーラの命を受け、ナーガス討伐のために人間界にやってきた地魔神。頭部から何本もの触手を生やしたカマキリのような姿をしており、配下として環形動物に似た(体長は実際の環形動物の比ではないが)「虫」を操る。
- 虫は人間の体内に潜むことができ、備えた鋭い牙によって人間の肉体を食い破る。この虫により、沙智以外の竜輝のクラスメート全員(+教師2名)が無惨な死を迎えた。ドリワーム本体の触手は虫よりは強靱。また、損傷から再生する際に形態を変えることがある(作中では鞭状→牙を持つ蛇状になった)。
- 名を上げるために竜輝を魔神化させて倒そうと目論んだことがあだとなって、ナーガスの力を目覚めさせてしまう。
- クザン
- グライマー配下の地魔神。富士五湖の越界の鏡の監視を、人間界側で行っている。鎧武者のような風体をしている。グライマーよりナーガス討伐を命じられ、ヴァグーラに地魔神の力を見せつけるべく、同僚のガルカイン、バリオンスクスと共にナーガスの前に姿を現す。
- 両手首にはそれぞれ曲刀のパーツが備わっており、「岩斬剣」と呼称される。実際は岩どころかダイアモンドすら切り刻む硬度を持つ。また、全身を包む鎧は、サラマンドラバーンすら受け付けない。
- 名前の由来は「クザンナイフ」から。
- 使用技
- ガルカイン
- グライマー配下の地魔神。クザンらと共に行動している。細長い頭部を備えた頭と、滑空用の皮膜状の翼を持つ、どことなく爬虫類めいた印象の姿をしている。
- 舌はストロー状になっており、獲物の精気を吸い取ることができる上、自分の意志で根元付近から何本にも枝分かれさせ、獲物を拘束することもできる。また、細長い頭部は破壊しても大きなダメージにはならず、中に詰まっている「吸精銛」という無数の器官で敵を串刺しにし、こちらからも精気を吸うことができる。
- ナーガスが現れるまで、竜ヶ岳で退屈しのぎに人間の精気を吸っていたが、ミイラ状の遺体が残るため、謎の怪死事件として話題になっていた。
- バリオンスクス
- グライマー配下の地魔神。クザンらと共に行動している。ワニのような頭をしているが、身体には四肢はなく、蛇のようである。地中を自在に動き回る力があり、敵の不意を突いて地面から顔を出し、鋭い牙を備えた強靱な顎で噛みつき、人間程度なら、そのまま地中に引きずり込むこともできる。
- ナーガスが現れるまで、ガルカインと共に、竜ヶ岳で退屈しのぎに人間を襲っていた。
- ゴウライ
- ギレウス配下の地魔神、額に4又に枝分かれした形状の角を持つ、恐竜のような印象があるが、上腕は逞しい人間のものである。
- 左右3つずつ横に並んだ眼を持つ。ビルなどの建造物に同化して移動し、その建造物を破壊して実体を現す。角より放出する雷撃は一撃で建造物を半壊させるほどの力がある。
- ヴァグーラからギレウス経由で伝えられた「人間共に神の意志を見せつけよ」という命に従い、思うがままに力を振るう。
- 使用技
- ドーベント
- ヴァグーラの侍従長。作中では属する界がどこかは最後まで不明だったが、実は地魔神である。おそらく侵略最初期にヴァグーラに取り入って成り上がった、典型的な日和見主義者。忠誠心自体はあまりないようである。
- ヴァグーラ側からは(「いつでも使い捨てられる、便利な道具」という認識かもしれないが)それなりに働きを評価されている模様で、六将軍やボレアースなどを呼び出す役目を与えられたり、ギレウスの秘密を明かされたりしている。齧歯類にも似た小動物のような姿をしている。手指は4本で非常に長い。
- 最初期のモデル及び名前の由来は、アイアイ(daubentonia)である。
その他の魔神
界の分類が不明の魔神、またはもともと魔神ではなかったものである。
- ティア
- エルフのように長く尖った耳を持つ、手のひらサイズの小人の姿をした、属界不明の魔神。見かけとは反して、オアンネスよりもはるかに古い魔神である。水界の砦の内部にある越界の鏡の番をしていて、炎界を逃げ出したエスリーンを人間界に送ったこともある。砦陥落時に、ナーガス探索の使命を受けたディーナと共に鏡を抜け、以降、行動を共にする。
- 魔神の力を使う度に少しずつ縮んでいくという特性がある。さまざまなことを知っているが、本人は昔の記憶を忘れてしまっている。その正体は作中で明かされることはなかった(予定としては明かされる展開があったらしい)。
- 明言はされていないが、「オアンネスよりも遥かに古い魔神」という設定から、そのモチーフは原初のバビロニア神話に登場する水龍ティアマトではないかと推測される。
- 魔の樹城
- 水界の辺境にある巨大な樹。通称「呪われた城」。この城に向かって、生きて帰ってきた者はいないという。それ自体が巨大な魔神であると言われ、すさまじい神力を持ち、自分の回りにある魔神力を全て封じてしまう力がある。:入り口に、根に意識を吹き込んだ「生ける門番」を、内部に夢魔や「炎の回廊」を擁し、最上階には魔神ウザテースが住むという。また樹城自身も意識を持つ。ティアと何らかの関係があるらしい。
- 夢魔
- 魔の樹城内に住み着く魔神。ただし、樹城の力で魔神化しているだけであり、もともと魔神ではない。樹城への侵入者に幸せな夢を永遠に見せることが生き甲斐。
- その夢から逃れることは決して容易ではないが、もともと幸せを望まない者には夢を見せることができない。正体は、6つの乳房を持つ、おぞましい外見を持つ魔物である。
- ウザテース
- 魔の樹城に住む、伝説の魔神。魔精界誕生の頃、四界が完全に分かたれる前から生きているため、属する界ははっきりしない。「勇者を導く者」という異名を持つ。
- 若い頃は強大な神力を誇り、慢心して魔精界の帝王になろうと考え、当時の竜王と炎魔王が率いる連合軍と戦ったという。巨大な角と第三の眼を持つ。
使用技
この項では、各魔神が使用する、主な技を解説する。
- 流水弾(りゅうすいだん)
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- 水魔神の基本技と思われる攻撃技。高圧の水を打ち出して攻撃する。柔らかい体組織程度なら簡単に打ち抜く威力を持つ。
- 竜斬鱗(りゅうざんりん)
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- ナーガスの前腕表面部に、左右4本ずつ並ぶ、刀状の鱗。普段は他の鱗と並んで目立たないが、いざという時に伸張する。「斬」という名が付くことに反し、主に防御に使われる。ボレアースの気流刃を受け流すほどに硬いが、クザンの岩斬剣では2本目までをへし折られ、3本目にひびを入れられることになつた。なお、命名者はティアである。
- 水幕結界(すいばくけっかい)
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- 水魔神が使う防御技。多数の魔神が使うため基本技だと思われる。水の幕を自分の前方またはドーム状に現出させ、その力で炎を防ぐ。しかし、使い手の力量如何によっては、強力な炎は防ぎきれず、水蒸気爆発を引き起こすこともある。普通の盾のように、ある程度の物理的衝撃を防ぐこともできる。
- 炎竜焼牙(サラマンドラ・バーン)
- 水竜斬刃(ハイドラシュレッダー)
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- 炎竜焼牙に代わるナーガスの必殺技。水を結集させ、9つの頭を持つ竜の形をした水流を放ち、敵を切り刻む。
- 竜族に伝わる技の仲でも屈指の威力を誇り、瀬ノ王が会得していたが、水界の衰えと共に後継者もなく、衰えて技を使えなくなった瀬ノ王を最後に失伝する運命であった。怒りや憎しみという炎の心に流されて戦うのではなく、心を水に傾けることで、水の精霊の助力を得たナーガスは、瀬ノ王よりこの技を会得するに至り、グライマーに勝利を収めたのである。
- 水竜渦動衝(ハイドラストリーム)
- 大車輪針
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- 太輔の攻撃技。針のように硬く鋭くなった体毛を大量に撃ち出す。跳躍し、身体を前に高速回転させながら撃ち出すこともある。跳ね返したのはナーガスが初めてだという。
- ムジナの最後っ屁
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- 太輔曰く「奥の手」。屁を敵に浴びせかける。強い匂いが苦手な魔神には強力な牽制となる。
- 焦熱結界
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- ウエウエテオトルやヴァグーラが使用する高温の炎の結界。周辺を灼熱地獄と化し、大地を溶かし砕くほどの威力がある。似た名前の水幕結界とは違って攻撃技としての性格が強いが、己に向けられた攻撃を高熱で霧散させるといった防御的な面もある。また、炎魔の基本技ではなく、限られた高位魔神しか使えないと思われる。
- 炎の剣
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- スルトが使用する、六将軍最強の破壊力を誇る技。棒状と化した炎を剣のごとく振り回す。その威力の前では生半可な攻撃は容易く跳ね返される。また、ヴァグーラが使用した際は、攻撃の余波が遠い後衛にも届くほどの威力がある。
- マグマ
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- ヴァルカンが使用する技。地面からマグマを湧き出させ、広範囲を攻撃する。明らかに軍団向けの技で、単体の敵を相手取るには大雑把である。
- 豪炎流星雨(ブレイズ・ミーティア)
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- ギレウスおよびヴァグーラが使用する技。数百メートル四方に渡り、超高熱の火炎弾を降らせる技。範囲が広いため、並の水幕結界では防ぎきることはできない。この攻撃により竜宮城はズタボロにされてしまった。
- 全てを飲み込む火炎の嵐
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- ヴァグーラの髪が炎の渦と化して広がっていく技。この炎の渦が魔精界全土に広がる時、全ての魔神は死に絶え、『無』が世界を覆うという。魔精界がなくなればヴァグーラも生きていけないので、命と引き替えの技と言える。
- 火炎弾
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- 炎魔神の基本技と思われる、炎の弾を敵にぶつける技。使い手の力にもよるが、柔らかい体組織程度なら簡単に打ち抜く威力を持つ。
- 閃射炎弾
- 飛転斬鱗(ヘル・スピナー)
- 竜騎槍鱗(ランス・ドラグナー)
- 水竜盾輪
- 炎騎突撃衝(ファイアースタンピード)
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- グライマーの真の魔神力。自分の周囲に炎をまとい、その状態で敵に突撃する。竜でもこの突撃に耐えた者はいないという。実際、ナーガスは間一髪で避けたものの、その威力は激突した山を吹き飛ばす程。
- 千の軍団
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- ウエウエテオトルの頭部の「原初の火」から出現する、死んだ炎魔神達の総称。過去の精鋭達である。生殺与奪の全てを「原初の火」に頼っている為、事実上ウエウエテオトルの言いなりとならざるをえない。また、この技の裏付けがあるため、ウエウエテオトルは仲間の巻き添えをまったく考慮しない。
- 熱羽豪嵐
- 円月水裂輪(ムーン・ディヴァイダー)
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- ディーナの必殺技。水に圧力をかけて薄い円盤状にし、高速回転させながら敵に放つ。高圧で噴射された水が鋼鉄をも切り裂くように、この技も敵を両断し、その背後の樹木をも簡単に切り裂く。
- 氷霜円舞
- 竜王雷電撃
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- 冒頭でラージャスがヴァグーラに向けて放ったものもこの技だと思われる。
- 海竜砲
- スパイラル・シェイカー
- 発泡素沫射(はっぽうすまっしゃ)
- 転身貫通撃(ボーリングブレイク)
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- カイルの必殺技。貝殻状の頭部を先端に、回転しながら体当たりする技。当たれば相手の体に穴を穿つ威力を持つ。後にナーガスが水竜渦動衝を編み出す切っ掛けとなった。
- 気流刃(きりゅうじん)
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- 風魔神の基本技と思われる攻撃技。気流を高速でぶつけ、いわゆる伝承に言われるかまいたちのような現象を起こして敵を切り裂く。ボレアースレベルの使い手なら一度に多数の気流刃を発生させることが可能であり、しかも、そのひとつひとつが太い腕を一気に切り落とす程の威力を持つ。
- 風威・墜砕渦動流(ふうい・ついさいかどうりゅう)
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- ボレアースの必殺技。竜巻を操り、その中に敵を巻き込み空中高くに運び去る。さらに竜巻の渦を反転させる「渦動反転(リバース)」によって、敵を地面に叩きつける。巻き上げる高さはおよそ千メートルまではいくことが確認されており、反転時の最大速度は超音速であるという。
- 雹嵐撃砕射(ヘイル・バスター)
- 蜃気楼
- 岩斬剣
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- クザンの両手首にある曲刀状のパーツ。名前以上の威力を誇り、ダイヤモンドすら切り刻むという。ボレアースの気流刃にも耐えた竜鱗斬の2本をへし折り、3本目にもひびを入れた。
- 裂空砕迅槌
脚注