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ジンクピリチオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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ジンクピリチオン
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二量体
識別情報
CAS登録番号 13463-41-7 チェック
PubChem 3005837
ChemSpider 21513957 チェック
UNII R953O2RHZ5 チェック
ChEMBL CHEMBL1200471
特性
化学式 C10H8N2O2S2Zn
モル質量 317.70 g/mol
外観 無色の固体
融点

240℃ (分解[1])

への溶解度 8 ppm (pH 7)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ジンクピリチオン(Zinc pyrithione)は有機亜鉛錯体で、ピリジン誘導体の一種。抗菌剤防腐剤としての作用がある。フケ脂漏性皮膚炎に有効なため[2]シャンプー化粧品に添加される。独特のにおいがする。

特性

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溶解性が低く、ジンクピリチオンの粒子はすすぎ洗いをした後も皮膚表面に残り殺菌作用を持つ[2]

殺菌

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細菌類に対する最小発育阻止濃度(MIC)はO157枯草菌で10ppmMRSA緑膿菌では3ppmであり、比較的低濃度で効果を発揮する。

真菌、グラム陰性菌、グラム陽性菌と幅広い殺菌スペクトルがある[2]

使用

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脂漏性皮膚炎に有効な成分のひとつである[3]。抗菌効果に伴いフケを抑える効果もあり[2]、ジンクピリチオンを配合したシャンプーも市販されている。国際的には1960年代から使用されてきた[2]

1970年から2006年まで、花王が発売するシャンプー、メリットにはジンクピリチオンが配合されていた[4]が、2006年4月からは、グリチルリチン酸ジカリウムに変更された。なお2007年、P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)の日本においての新ヘアケアブランドh&sではジンクピリチオンが有効成分として配合された。

毒性

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ラットに経口投与した場合の半数致死量(LD50)は200mg/kgである。1999年に国立環境研究所により環境ホルモンの疑いがあることが報告された[5]

ジンクピリチオン効果

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花王が日本で初めてジンクピリチオン配合シャンプーのメリットを発売したが、そのCMのキャッチコピー「ジンクピリチオン配合」によってジンクピリチオンについて何も知らない消費者が購入することにつながり、メリットはヒット商品となったとされる。

この事例から、小説家の清水義範が論考「インパクトの瞬間」[6]の中で、ジンクピリチオン効果と命名し、「どのようなものかは分からないのに、その言葉の響きだけですごそうだ」と思ってしまう心理的な反応があると説明した[7]

出典

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  1. ^ Entry on Zink-Pyrithion. at: Römpp Online. Georg Thieme Verlag, retrieved 5 November 2020.
  2. ^ a b c d e James R. Schwartz (2016-2). “Zinc Pyrithione: A Topical Antimicrobial With Complex Pharmaceutics”. Journal of drugs in dermatology : JDD 15 (2): 140–144. PMID 26885780. 
  3. ^ Naldi L, Diphoorn J (May 2015). “Seborrhoeic dermatitis of the scalp”. BMJ Clin Evid 2015. PMID 26016669. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4445675/. 
  4. ^ なお、1985年ごろからはミクロジンクピリチオンと呼んでいたほか、1970年代、CMなどでz-pt(ゼットピーティー)と呼んでいた時期があった。
  5. ^ 平成11年度 内分泌攪乱化学物質関連調査計画について 環境庁
  6. ^ 清水義範『インパクトの瞬間: 清水義範パスティーシュ100 2の巻』筑摩書房ちくま文庫〉、2009年1月7日(原著1991年)、70-71頁。ASIN 4480425527ISBN 978-4-480-42552-2NCID BA88628570OCLC 675824398全国書誌番号:21545727。「ジンクピリチオン効果(これは今私が命名した用語である)」 
  7. ^ 近藤滋. “第一回:研究論文や申請書におけるジンクピリチオン効果について”. 2017年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月17日閲覧。
    近藤滋 (2018年11月9日). “研究論文や申請書におけるジンクピリチオン効果について”. 大阪大学大学院生命機能研究科・近藤研究室. 2019年5月31日閲覧。

参考文献

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