Wikipedia‐ノート:良質な記事/良質な記事の選考/エバーグレーズの排水と開発 20160511
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具体的な感想文
[編集]ざっと読んで感じたことをいくつか列記します。「感想文」レベルなので、直ちに修正しないとダメだよ、というほどのことではないのですが。
- 直訳や、補足したほうがよさそうな部分
- 「シシキリガヤと呼ばれる鋭い葉をもつ雑草」(「探検時代」)
- (原文)sawgrass
- 「のこぎり草(sawgrass)」という英名だと、服や手足が傷つくという文脈にぴったりなんですが、和名の「シシキリガヤ」にしてしまうとそこらへんがぼやけてしまいます。エバーグレーズの地形と生態系では「ソーグラス」のままです。
- 一方で、旱魃節では「ソーグラス」のままになっており、そっちはそっちで意味がわからないのではないかなと。
- 「南フロリダのスラッシュ・パインが広く取り払われ、材木に使われたものもあったが、この木は密度が高く、釘を撃ちこんだ時に割れることが分かった。この樹種はシロアリへの耐性もあり、家屋の建設に必要とされるのが急だった。」(「ブームと羽の収穫」)
- ここは「裂け松(スラッシュパイン)」という植物の名前の由来の話をしているんですね。南フロリダ原産のとあるマツの木が、材木として釘を打つと「裂ける(スラッシュ)」。だから「スラッシュパイン」という名前になった。
- 「家屋の建設に必要とされるのが急だった」というのは、まあ意味はわかるのですが、表現としてはどうでしょう。
- 「その最後の章は「第11時」と題され、エバーグレーズは死に近づいている」(「旱魃」)
- ここは原文に忠実に訳されているのですが、よくわからない。普通に考えると、この「the」を「第」とするのはどうかなあと思います。それにしても、わざわざ「章のタイトル」に言及するのはなんなんだろう。午前なのか午後なのかわかりませんが、「12時」が「死の時間」であり、死ぬまであと残り1時間、秒読み段階だよ、というようなニュアンスなんだろうなあと想像するのですが、もしかすると聖書とか何かの下敷きがある表現なのかも。あるいは全然違って、この本の「最後の章」がたまたま第11章で、それより前が「第8章」「第9章」「第10章」「第11時」みたいになっているとか?ここは英語版の原文を見ても理解できません。
- 「その呪いは逆転もできる」
- 前後関係をみるとなんとなく雰囲気的に収まっちゃってる感じもするんですが、実は原文は「the course could be reversed」、「course(歩む道)」であって「curse(呪い)」ではないです。
- 「いずれは庭園のように花々しい土地へと変貌するだろう。」(探検時代)
- (原文)「will be made to blossom like a garden.」
- 「花々しい」という表現は日本語として間違いではないとはいえ、「華々しい」に比べると珍しい当て字ではないでしょうか。で、この語の意味はふつう「派手だ」みたいなニュアンスであって、「花がたくさん咲いている」という意味はもはや失われているんじゃないかと思うんですよね。原文は文字通り「庭園のように草花が咲く」ということでして、「花々しい」という表現が、一周回ってなんだか合ってるような、合ってないような。
- 「プロジェクトは公園に多くの水を送ることを拒否したが、公園の東側に接する運河67を建設し、オキーチョビー湖の過剰な水を大西洋に送った」
- 全体としての意味が通じにくいです。「運河67(Canal 67)」というのは、おそらく「第67号運河」みたいな名前の運河を指すんですよね。でもなんだか67本の運河を掘ったみたいにも読めてしまう。全体としては要するに、「排水先を公園にするのではなくて、ダイレクトに大西洋に注ぐ運河を作りましたよ」ということなんだろうなあと。
- 「その土地は脅威あるいは憎しみの異常な反応を引き起こすように見られた。」
- 「史上最大の自然の見本市の無駄遣い。」
- 「その場所は野生で寂しく見えた。3時頃に、ヘンリーの神経に取り入ったように見え、我々は彼が泣いているのを見た。」
- 「「多かれ少なかれ」1万匹のアリゲーターがいる」
- 「水位の低下は単純に運河の能力の問題であり、その救援のために掘られた可能性がある」
- などなど、なんとなーく勢いで雰囲気は通じるんですけど、きちんと説明しろと言われるとわからない、という感じなんですよね。これは原文がそうなっているので、翻訳が間違っているということではないのですが、もう少し「意訳」や説明をしたほうがいいんじゃないかなあ。
- 「公園の美的な訴求は、家屋や生活の需要ほどには強くなり得ない。マナティやオーキッドは抽象的な方法で人々に何かを意味しているが、マナティはその財布を満たすことはできず、オーキッドはその空腹を満たすことはできない」(公園制御)
- エバーグレーズの地形と生態系を読めば、湾にマナティが来るということはわかるのですが、この文脈でいきなりマナティとか言われてもなんのことやら。「オーキッド」は「ラン科の花」の蘭のことなんでしょうけど、「オーキッド」で通じるかなあ?要は、「公園整備するより被災者の家や食料確保が先だろ」ということなんでしょう。
- 「旱魃」節
- 最初の部分で旱魃の進行について述べられているのですが、正直、ほぼまるごと、何を言っているのかわからないです。なぜ堤防を作ると干上がり、なぜ干上がると海水が井戸に入るのか。そうかと思うと急に「焼けた」話になり、しかも地下まで焼けている。エバーグレーズの地形と生態系#野火あたりがその答えなのかなあと想像するのですが。
- 段落も変わらずにそのまま急に土壌とか酸素の話が始まり、一体なんの話をしているのかわからなくなります。高床式の話もわからない。どうやら、耕すことで、土壌分解が始まり、それによって地盤沈下が起きて表層土のレベルが下がったんでしょう。それは「旱魃」とは関係ないのでは。そして、地盤沈下の対策が「高床式」というのもよくわからない。地盤が下がった場合にするべきことは基礎を深くすることかな?とか思って原文をみると「homes had to be moved on to stilts」、アメリカの建築における「stilts」が何なのかは存じ上げませんが、要するに地盤面が下がってしまったので嵩上げ工事が必要になった、ということなんでしょうねえ。
- そもそも「旱魃」という語が適切なのかなあ。排水して干上がらせたいと思ってそうしたわけであって、雨が降ってほしいのに干上がってしまったわけではない。干拓したことによる予想外の悪影響、のことを「旱魃」とは言わないんじゃないかなあという感じ。
- これは本当にどうでもいいところですが、「フロリダの装飾的ガーデニング」は「Ornamental Gardening in Florida」という書名なので、『フロリダでの観賞用ガーデニングづくり』とでもするのではないかと。(Ornamentalというのは、農産物目当ての実用的なものじゃないよ、ということなんでしょう。)
- 「最強の候補者だったナポレオン・ボナパルト・ブロワードが」
- 「排水に関する異常な熱狂」
- 「我々の壮大な森の中で彼らの唯一の考えは何かを撃つという野生の願望であるように思われ」
- こういうのは英語版の記事ではちょくちょくおみかけする表現でして、訳そのものには問題はないのですけども、Wikipedia:大言壮語をしないとかWikipedia:中立的な観点・Wikipedia:言葉を濁さないだとかの観点であどうかなあという感じです。翻訳ではない日本語版の記事でこういう書き方をすると、「直した方がいい」と指摘されるような表現・言い回しだなあと思います。--柒月例祭(会話) 2016年5月23日 (月) 07:43 (UTC)
御世話になっております。柒月例祭さんがご指摘いただいた訳語のうち、「シシキリガヤ」「花々しい土地」「史上最大の自然の見本市の無駄遣い」というのは、わたくしDamena(会話)の編集であり[1]、初版を作成された龍伯さんは別の訳語を用いています。これについて補足させてください。
- sawgrassの標準和名は「ヒトモトススキ」であり、初版でも[[ヒトモトススキ属|ソーグラス]]となっていますね。日本語話者にニュアンスを伝えるためには「のこぎり草」がよいとはじめは思ったのですが、キク科の別種の植物を意味することになってしまうので、ヒトモトススキの別名である「シシキリガヤ」を訳語として選びました。「シシ(肉)」を「切る」「カヤ(萱)」というつもりでしたが、わかりにくかったですね。
- おっしゃるとおり、ここでのto blossomは「魅力的になる」という意味の動詞であることは承知しております。ちょっと言葉遊びが過剰だったかもしれません。
- 「史上最大の自然の見本市の無駄遣い」は、やはり苦しい日本語ですね。もうちょっと工夫が必要です。
私もこの記事を素晴らしさを多くの方に知ってもらいたく、つたない英語力で頭の方だけ推敲してみましたが、全体的にやりかけのまま放置する結果となってしまいました。ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。--Damena(会話) 2016年5月23日 (月) 10:11 (UTC)
- 生物分野から。元にヒトモトススキ属とあるのであればそう訳するべきです。それをシシキリガヤとすると、これはヒトモトススキという種に特定したことになる上に、そのまた別名を使うので二重に変です。ここはヒトモトススキ属と訳した上で、必要とあれば『手が切れる』等の注釈を入れるのが良いと思います。--Keisotyo(会話) 2016年5月23日 (月) 21:28 (UTC)
- 「The Eleventh Hour」ですが、やはり聖書由来で、「土壇場」「ギリギリ」といった意味のようです。[2] [3] をご参照。--Iso10970(会話) 2016年5月23日 (月) 14:20 (UTC)コメントの位置を変更しました。--Damena(会話) 2016年5月23日 (月) 14:34 (UTC)
- (お礼)ほー!これはありがとうございます。ここに解説がありました。マタイ伝20章、和文は[4]にあるのですが「11時」という表現ではなくなってしまっています。「日が暮れる寸前」「なぜ今まで何もしなかったのか」「しかしまだ間に合う」という寓話なんですね。最後の審判のギリギリ直前に滑り込みでもちゃんと天国いけますよと。それに、このユダヤの時間の区切り方(日出から日没を12区分する)においては、「第11時」というように「第」をつけて言い表すようですね[5]。これは勉強になりました。改めて英和辞書を引いてみるとちゃんと出ていました。これは調べもせずに言いがかりをつけた私も悪いかな。しかしまあこれはやっぱり補足がないと普通は意味がわからないですよね。「土壇場」「ギリギリ」「瀬戸際」あたりで意訳しておいて、注で「原文のelevnth hourというのは聖書のこれこれのことで・・・」とかって補足するぐらいかなあ。
- 「のこぎり草」についても別の植物があるんですね。これもやっぱり注をつかって補足するんだろうなあ。
- たまたま「選考」にあがっていたので口うるさいことを言ってしまいましたが、基本的にはよくできている記事だと思いますし、これだけのボリュームを翻訳されるのが大変なのはわかります。「選考」でなければいちいち目くじら立てるようなことではないと思います。もちろん「迷惑」なことなんかではないと思いますよ。--柒月例祭(会話) 2016年5月23日 (月) 15:13 (UTC)
- ソーグラスについては、かなり泥臭い方法ですが、Keisotyoさんのご意見も踏まえ、注をつかって補足してみました[6]。--Damena(会話) 2016年5月23日 (月) 23:37 (UTC)
- スラッシュパインについてですが、名前の由来は沼地(slashes)に生える事だそうです。またこれは柒月例祭さん宛てと言う訳ではないのですが、スラッシュマツという和名が当てられているようです参考--雲霞(会話) 2016年5月25日 (水) 09:32 (UTC)
- *おおっと*
- これはまた酷い当てずっぽうをしてしまいましたね。すみません。仮説を立てたらちゃんと確認する、大事だなあ。私もちゃんと調べてから言うべきでした。どちらかというと「沼松」って感じなんですね。今さら私も調べてみましたが[7]、[8]、[9]、[10]、[11]、「釘を打ったら割れる」のは、単純に材木の取り扱いがマズイだけなんじゃないかという気もしてきますね。しかし、「耐久性は低い(low durability)」「材木としての寿命はせいぜい7年(expectancy of less than seven years above ground)」というような記述がありました。--柒月例祭(会話) 2016年5月25日 (水) 10:07 (UTC)