Wikipedia‐ノート:引用のガイドライン/草案/利用者:ディー・エム-引用のガイドライン(草案の修正案のメモ)
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概説
[編集]百科事典の執筆をする上で、誰かが作り出した文章などをそのまま、あるいは少しだけ改変して使用しなければいけない場面は、それほど多くありません。ウィキペディアでは、その資料を引き写すのではなく、あなたが十分その内容を理解し、咀嚼し、百科事典にふさわしいあなた自身の表現で執筆することが求められます。
しかし、どうしても誰かが書いたものを持ち込む必要があるかもしれません。記事本文だけでなく、ノートページで実際の原文を他の執筆者と確認しあう場合などもそうです。この文書では、著作権法上の引用と、ウィキペディアでの注意事項について解説します。
著作権法上の引用とは
[編集]他人の著作物を許諾なく複製、翻案したり、あるいはインターネット上で閲覧できるようにすることはできません。誰かが書いた文章を勝手に書き写すことは、著作物の使用にあたり、著作権者の権利を侵害することになります。
しかし、ある作品への批評など、どうしてもその記述をそのまま使わなければいけない場合も存在します。このため日本の著作権法では、著作物を引用して利用することを認める規定があります。条文は以下の通りです。
同第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。[1] (著作権法同第三十二条。昭和四十五年五月六日法律第四十八号)
また、過去の最高裁判例において「引用を含む著作物の表現形式上、引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ、かつ、右両著作物の間に前者が主、後者が従の関係があると認められる場合でなければならないというべき」との解釈が示されています(「パロディ事件」昭和55年3月28日判決[2])。これら著作権法や過去の判例より、具体的には次のような条件が挙げられます。
- 引用されている文が公表されていること(著作権法第三十二条)
- 未公表、未刊行の原稿や手紙などを用いることはできません。
- 引用する必然性があること(同第三十二条)
- 目的上正当な範囲内でのみ引用できます。私たちの目的はもちろん、史上最高峰の百科事典を書き上げることです。たとえば、無断転載した著作物に重要性の乏しい批評や解説を付け加えて正当な引用を装ったり、ひとつの著作物だけ引用すれば足りる場合に、同様の引用をいくつも列記したりすることはしないでください。
- 原則として一部であること(同第三十二条、「パロディ事件」)
- 必要な文言のみを抽出して引用して下さい[3]。例外的に全部を引用できるのは、元々ごく短い俳句などに限られます[4]。
- 地の文が主、引用文が従の関係にあること(「パロディ事件」)
- 主となるオリジナルの文章に対して、引用文はその補助的な一部でなくてはなりません。他の著作物に注釈を付ける程度のものは、引用文が主となるので認められません[5]。また、創作性、著作物性のないリストやデータベースなどへの転載もいけません。
- 引用されている著作物と、引用している著作物が明瞭に区分できること(「パロディ事件」)
- カギ括弧や、行空き+字下げなどを用いるのが一般的です。区分できないまま混在すると、引用ではなく、表現を無断使用した二次的著作物となってしまうので注意してください[5]。
- 引用されている文が改変されていないこと(同第二十条、第四十三条、「パロディ事件」)
- 表現の書き換えをしてはいけません[6]。そもそも、そのままの表現を必要として引用するのですから、改変する必要はないはずです。ただし、翻訳して引用することは可能です。
- 引用元を明示していること(同第四十八条)
- もちろん、ウィキペディアでは、検証可能性が求められますから、引用元は常に明示されているはずです。著者、作品の題号、書籍のタイトルや雑誌名と巻号、ページ、出版社などを記して下さい。ウェブページであれば著者、題号、URL、閲覧日、テレビなどであれば製作者、作品名、放送日時など。翻訳であれば翻訳者の名前も忘れないようにして下さい[7]。
引用の書式
[編集]引用の実例として、この節の冒頭にあった2つの引用文をもう一度読み返してみて下さい。
この記事では著作権法の条文(同第三十二条)と最高裁判決(「パロディ事件」昭和55年3月28日判決)を引用しています[8]。それらの記述はいずれも、公表された著作物から必要な一部を、主となる本文と区別して原文のまま記載し、そして直後に引用元を明示しています。前者の引用文は改行と字下げによって、後者はカギ括弧を用いて、それぞれ本文と区別されています。各記事でも、これらの書式を参考に引用を行ってください。出所を示すには、脚注を用いてもよいでしょう。
また、ウィキペディアでは記事の公正さと正確性を高めるため、記載される情報の検証可能性を重要視しています。法律の要請にかかわらず全ての引用について、同様にその範囲と情報源を明示してください。
ウィキペディアでの注意事項
[編集]画像の引用
[編集]ウィキペディアの記事に画像を掲載するには、画像の複製を専用のページに一旦保存する必要があり、記事とは別に画像単体でインターネット上に公開される形となります。書籍の表紙やCDのジャケットなどを含め、そのような形態での転載が許されていない画像の引用はできません[9]。
GFDLと引用
[編集]ウィキペディアの記事は、誰でも自由に書き換えることができます。これは、GFDLと呼ばれる特別な著作物利用許諾によって、各記事各版の著作権者同士、すなわちウィキペディアに参加する全ての編集者同士が記事のあらゆる自由な複製、改変を許可しているためです[追記事項]。しかし、だからといって法律や公序良俗に反する編集行為まで自由に許されるわけではありません。あなた自身が他人の著作物を引用する際はもちろん、既に引用を含んでいる記事をあなたが編集する場合にも、引用した文章を改変したり、本文と引用部分の区別を曖昧にしたり、引用元の明示を省略したりするなど、このガイドラインに反する編集はしないでください。誰もが執筆に参加できるウィキペディアの仕組みの中では、引用の事実とその正確な情報を後の編集者に示しておくことがとても重要なのです。そしてまた、誰もが自由に編集できるウィキペディアの魅力を損なわないために、過剰な引用は行わないようにしましょう。
ガイドラインに従っていない記事を見つけたときは
[編集]引用されている文章が著作権の保護を受けるもので、上記の要件を満たしていないと判断できる場合は、削除依頼を提出して下さい。同時に、ノートページやその執筆者の会話ページなどでこのガイドラインを示し、その趣旨を丁寧に説明しながら今後の編集方針を話し合ってください。
自分では十分判断できないと思ったら、どの部分について、どの記述を転載しているかを、記事のノートページや要約欄に書いてみてください。
参考文献
[編集]- 中山信弘2007『著作権法』有斐閣
- 田村善之2001『著作権法概説』第2版 有斐閣
- 半田正夫2003『著作権法概説』第11版 法学書院
- 上野達弘2007「引用をめぐる要件論の再構成」『ICT活用教育における著作権の課題と対応』独立法人メディア教育開発センター 2007(pdf)
脚注
[編集]- ^ ベルヌ条約第十条(1)にも同様の規定がある。「既に適法に公衆に提供された著作物からの引用(新聞雑誌の要約の形で行う新聞紙及び定期刊行物の記事からの引用を含む。)は、その引用が公正な慣行に合致し、かつ、その目的上正当な範囲内で行われることを条件として、適法とされる。 [1]」
- ^ 旧著作権法下の判決であることに注意。ただし、以後「脱ゴーマニズム宣言事件」(東京地裁・平成11年8月31日判決)ほか、多くの判例は踏襲している。中山2007.p258、上野達弘2007.p75脚注を参照
- ^ 正当な範囲を逸脱したとされたものとしては「ラストメッセージin最終号事件」(東京地裁・平成7年12月18日判決)
- ^ 中山2007.p257。詩の全文を掲載した事例として「中田英寿事件」(東京地裁・平成12年2月29日)
- ^ a b 主従関係と明瞭区分性については、条文にはないこともあり、学説上は様々な意見がある。中山2007.pp.258-260.を参照
- ^ 改変については、「パロディ事件」で第二十条を根拠として同一性保持を求めている(ただし、田村2001.p.●に反論がある)。また、「論文掲載事件」(東京高裁・平成3年12月19日判決)では、句読点・改行・送り仮名などを変更することが同一性保持権の侵害にあたるとされた。要約引用については、「本田勝一反論権事件」(東京地裁・平成4年2月25日判決)や「血液型研究書事件」(東京地裁・平成10年10月30日判決)では認めているが、学説上は第四十三条を根拠として認められないとする見方が強い(田村2001.pp.240-247.、半田2003.pp.155-158.)。中山2007.pp.262-264.も参照。
- ^ 「絶対音感事件」(東京高裁・平成14年4月11日判決)
- ^ なお、判決文および条文は、著作権法の保護が及ばない。
- ^ 「それ自体、独立して鑑賞することができる場合には、引用とはいえない」「藤田嗣治絵画無断複製」事件(東京高裁・昭和60年10月17日判決)
追記事項
- ^文章中の記述「著作権者」は「著作者」の誤りです。本文は投稿時の原文どおり掲載します。