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WHITESHIFT 白人がマイノリティになる日

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
WHITESHIFT 白人がマイノリティになる日
Whiteshift: Populism, Immigration and the Future of White Majorities
著者 エリック・カウフマン英語版
訳者 臼井美子
発行日 イギリスの旗 2018年
日本の旗 2023年6月20日
発行元 イギリスの旗 アレン・レーン
日本の旗 亜紀書房
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
ページ数 イギリスの旗 624
日本の旗 784
コード ISBN 978-1468316971
ISBN 978-4750517964(日本語版)
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WHITESHIFT 白人がマイノリティになる日』(ホワイトシフト はくじんがマイノリティになるひ、Whiteshift: Populism, Immigration and the Future of White Majorities)は、ロンドン大学バークベック・カレッジ教授のエリック・カウフマン英語版による2018年のノンフィクション書籍である[1]。『エコノミスト』誌から「民俗的人口動態の変化に関する記念碑的な研究」と評された[2]本書は、欧州と北米の政治を取り上げ、ポピュリスト右派の政治的見解を検証している[3][4]。カウフマンは、アメリカ合衆国におけるドナルド・トランプや欧州におけるポピュリスト右派の台頭は、「経済不安」ではなく、大規模な人口動態の変化に対する反応であると主張している[5]

評価

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発売と同時に『タイムズ』紙は本書を「今週の一冊」に選んだが、デヴィッド・アーロノヴィッチ英語版による懐疑的な書評が掲載され[6]、彼は「大きな物議を醸す主題についての大きな物議を醸す一冊」と述べた[7]。『パブリッシャーズ・ウィークリー』誌は、「大きな話題を呼ぶだろう」と評し[8]、また『フィナンシャル・タイムズ』紙は、政治ジャンルにおける「2018年の良書」の1冊として挙げた[9]。『ザ・ニューヨーカー』誌は、カウフマンと本書がホワイト・アイデンティティ・ポリティクスを擁護していると評した[10]ダニエル・トリリング英語版は『ロンドン・レビュー・オブ・ブックス』で本書を批評し、カウフマンの視点は「大雑把すぎるし、狭量すぎる」と述べた[11]

ケナン・マリク英語版は、「『WHITESHIFT』は、データとグラフを詰め込んだ重厚な作品である。しかし、主に人口統計学的な観点から世界を観測することの問題点は、事実や数字がそろっていても、社会的文脈が見えなくなりがちであるということである」と評した[12]

『エスニシティズ』誌における本書のレビュー・シンポジウムにおいて政治学者のロバート・フォード英語版は、「ここには賞賛すべき点が多い。カウフマンは方法論的には普遍的であり、進化するホワイト・アイデンティティ・ポリティクスを検証し、吟味するために様々なリソースを活用している」と評した。しかしながら彼はまた、「カウフマンの白人民族政治に関するマニッシュな説明には、いくらかのおかしな省略や誤解が含まれている」と指摘し、さらに「民族文化的白人、コスモポリタン的白人、民族的少数派の競合する主張に関するカウフマンの議論には、バランスの欠如が繰り返し見られる」と述べた[13]。社会学者のジョン・ホルムウッド英語版は、「入植者による植民地主義、あるいは先住民族の立場、アフリカ系アメリカ人の奴隷化、米国のジム・クロウ法による人種隔離」についての議論がまったくないことは、「ホワイト・アイデンティティの象徴の復活を目的とした本書の中で、重大な、事実上の致命的な怠慢」であると論じた。ホルムウッドはさらに、「この本は619ページという大作であるが、編集が下手であり、繰り返しが多く、私が指摘したように不完全でもある」と評した[14]

日本語版

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  • エリック・カウフマン英語版 著、臼井美子 訳『WHITESHIFT 白人がマイノリティになる日』亜紀書房、2023年6月20日。ISBN 978-4750517964 

参考文献

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  1. ^ Isaac Chotiner (30 April 2019). "A Political Scientist Defends White Identity Politics". The New Yorker.
  2. ^ Two new books explain the Brexit revolt”. The Economist (November 3, 2018). 2024年10月5日閲覧。
  3. ^ A Different Way to Think About White Identity Politics”. New York magazine (March 1, 2019). 2024年10月5日閲覧。
  4. ^ The Virtue of Nationalism and Whiteshift: Books that explain Trump”. Vox (February 26, 2019). 2024年10月5日閲覧。
  5. ^ Whiteshift: Identity Politics in an Era of Demographic Change”. National Review (April 4, 2019). 2024年10月5日閲覧。
  6. ^ Review: Whiteshift: Populism, Immigration and the Future of White Majorities by Eric Kaufmann — are white people really in decline?”. The Times (October 26, 2018). 2024年10月5日閲覧。
  7. ^ Will racist white people 'exit into a 1950s-style simulation' to avoid growing diversity in the West?”. Metro (January 30, 2019). 2024年10月5日閲覧。
  8. ^ Whiteshift: the turbulent journey from a world of racially homogeneous white majorities to one of racially hybrid majorities. Abrams Books. (5 February 2019). ISBN 9781468316971. https://www.abramsbooks.com/product/whiteshift_9781468316971/ 
  9. ^ Best books of 2018: Politics”. Financial Times (November 23, 2018). 2024年10月5日閲覧。
  10. ^ Isaac Chotiner (30 April 2019). "A Political Scientist Defends White Identity Politics". The New Yorker.
  11. ^ Daniel Trilling (201). “'I'm not racist, but ...'”. London Review of Books 41 (8). https://www.lrb.co.uk/the-paper/v41/n08/daniel-trilling/i-m-not-racist-but. 
  12. ^ Malik, Kenan (2018年10月21日). “White identity is meaningless. Real dignity is found in shared hopes”. the Guardian. 2022年7月25日閲覧。
  13. ^ Ford, Robert (2019-04-15). “Raising the white flag”. Ethnicities (SAGE Publications) 20 (1): 228–233. doi:10.1177/1468796819839071. ISSN 1468-7968. 
  14. ^ Holmwood, John (2019-04-15). “Claiming whiteness”. Ethnicities (SAGE Publications) 20 (1): 234–239. doi:10.1177/1468796819838710. ISSN 1468-7968. 

外部リンク

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