USスチール
USスチール・タワー(2022年) | |
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | NYSE: X |
略称 | USスチール |
本社所在地 |
アメリカ合衆国 ペンシルベニア州ピッツバーグ |
設立 | 1901年 |
業種 | 鉄鋼 |
事業内容 | 製鉄、鋼材、採掘 |
代表者 | John P. Surma Jr.(会長兼CEO) |
売上高 | US$18.053 billion (2023)[1] |
従業員数 | 21,803[1] |
外部リンク | www.ussteel.com |
USスチール(英語: United States Steel Corporation(U.S. Steel)、NYSE: X)は、アメリカ合衆国のペンシルベニア州ピッツバーグに本社を置き、アメリカ合衆国と中央ヨーロッパに大きな生産拠点を持った総合製鉄会社である。2022年の粗鋼生産は世界24位、アメリカ合衆国第2位のシェアを占める。
1901年にアメリカ合衆国で設立された大手鉄鋼製造企業である。この会社は、著名な銀行家ジョン・ピアポント・モルガンと製鉄業界の大物エルバート・ヘンリー・ゲーリーによって創設され、設立当時の時価総額が10億ドルを超えるという、当時としては前例のない規模の企業であった。
USスチールの設立は、アメリカ合衆国の鉄鋼業界における巨大な合併の結果であり、この会社は初期にアメリカ合衆国の鉄鋼生産の約3分の2を占めるほどの影響力を持っていた。その後、国内外での競争が激化し、会社の市場シェアは減少したが、依然として鉄鋼業界の主要なプレイヤーとして残っている。
歴史
[編集]USスチールは、J・P・モルガンおよびエルバート・ヘンリー・ゲーリーが保有していたフェデラルスチールと、アンドリュー・カーネギーが保有していた製鉄会社カーネギースチールの合併により、1901年2月25日、ペンシルベニア州ピッツバーグにおいて設立された。
1901年には、USスチールがアメリカの鉄鋼生産の3分の2を支配していた。1911年に連邦政府は、USスチールを解体するために連邦法の反トラスト法を適用することを試みたが、結局失敗した。その後、USスチールは初代社長、チャールズ・M・シュワブによって運営されるベスレヘム・スチールのようなライバル会社に技術革新で先んじられるなどした結果、USスチールの市場シェアは1911年までに50%まで減少した。なお、ベスレヘムにもロックフェラーやモルガンの系列会社から役員などが出ていた。
1919年にはアメリカ労働総同盟(AFL)の計画により3ヶ月以上に渡る労働者の大規模なストライキ(1919 General Steel Strike)が行われたが、ストは目的を果たせないまま崩壊し、以後のアメリカの労働運動の衰退を招くことになった。
USスチールの生産量は1953年に3500万トン以上でピークに達した。当時340,000人を超える従業員がおり、その雇用者数は1943年の第二次世界大戦中でも最大であった。2000年の時点ではおよそ52,500人を雇用している。
1951年にハリー・S・トルーマン大統領は、全米鉄鋼労働組合(USW)による経営危機を解決するために、その製鋼工場を引き継ぐことを試みた。連邦最高裁判所は大統領に憲法上の権限が無いと裁決することにより、買収を無効とした。ジョン・F・ケネディ大統領はインフレに危機感を抱き、価格上昇を抑制するよう鉄鋼業界に圧力を加えた。連邦政府は、USスチールが1984年に ナショナル・スチールを買収するのを妨げた。また、連邦議会からの政治的圧力により、USスチールはブリティッシュ・スチールからスラブを輸入する計画を放棄するよう強いられた。
USスチールは、テキサス・オイル・アンド・ガスを買収。1982年にマラソン・オイルも買収した。20世紀末には、そのエネルギー事業からその収益と純益の多くを得ていたが、2001年10月に、トランスター以外の非鉄鋼資産を売却した。ただ、こうした石油開発事業で使用する鋼管などの鉄鋼は今も収益源となっている。
2003年に旧NKKの傘下だったナショナル・スチールが破産した後、同社の資産を買収した。
日本製鉄による買収計画
[編集]2023年12月、日本の製鉄会社である日本製鉄がUSスチールを買収することを発表した。買収予定額は約141億ドル(当時のレートで約2兆円)である[2][3]。買収にはアメリカの同業者であるクリーブランド・クリフスも名乗りを上げたが、買収額で競り勝つ形となった[4]。同年4月12日に臨時株主総会を開催し、日本製鉄から提示された買収計画が株主の賛成多数で承認された[5]。
しかし、全米鉄鋼労働組合(USW)はこの買収に反対[6][7]。また、第46代アメリカ合衆国大統領のジョー・バイデン(民主党)も難色を示したほか、2024年のアメリカ合衆国大統領選挙に名乗りを上げたカマラ・ハリス(民主党)やドナルド・トランプ(共和党)も日本製鉄によるUSスチール買収に反対する姿勢をみせた[6][7][8][9]。同年11月の大統領選挙ではトランプが当選し、12月2日に第47代大統領となるトランプが[10]、10日にはバイデンがそれぞれ改めて日本製鉄による買収に反対する姿勢を表明している[11]。
事業
[編集]米国では主力のゲーリー製鉄所などで12基の高炉を操業。年間の鋼材生産能力は1940万トンとされる。
- ゲーリー製鉄所(インディアナ州・ゲーリー) 高炉4基,750万トン
- グラナイトシティ製鉄所(イリノイ州・セントルイス都市圏) 高炉2基,260万トン
- フェアフィールド製鉄所(アラバマ州バーミングハム郊外) 高炉1基,240万トン
- グレートレイクス製鉄所(ミシガン州デトロイト近郊) 高炉3基,350万トン
- モンバレー製鉄所(ペンシルベニア州ピッツバーグ近郊のモノンガヒラ川添いに展開する、ホームステッド製鉄所など数カ所の工場の総称) 高炉2基,340万トン
中央ヨーロッパではスロバキアのUSスチールコシツェ、USスチールセルビア(スメテレボ)の2つを運営しており、欧州事業での生産能力は約500万トン。
2000年には神戸製鋼と自動車用鋼板の技術提携を結び、合弁会社・プロテックを展開している。
脚注・出典
[編集]- ^ a b Corporation, United States Steel (2 February 2024). “U.S. STEEL ANNUAL REPORT PURSUANT TO SECTION 13 OR 15(d) OF THE SECURITIES EXCHANGE ACT OF 1934 (2023)”. 13 February 2024閲覧。
- ^ “日本製鉄、アメリカの鉄鋼大手・USスチールを2兆円で買収へ”. (2023年12月18日) 2023年12月18日閲覧。
- ^ 小野満剛、黄恂恂 (2023年12月18日). “日本製鉄、USスチールを1株55ドルで買収-買収総額約2兆円”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ 2023年12月18日閲覧。
- ^ “USスチール買収合戦の内幕判明、日鉄に敗れたCクリフスの動き”. ロイター. (2024年1月25日) 2024年9月6日閲覧。
- ^ 日本放送協会(NHK) (2024年4月13日). “USスチール 臨時の株主総会で日本製鉄による買収計画を承認” 2024年4月13日閲覧。
- ^ a b Joe Deaux、Stephanie Lai (2024年1月31日). “トランプ氏、自分が当選なら「絶対」阻止-日鉄のUSスチール買収”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ 2024年2月4日閲覧。
- ^ a b “バイデン氏が日鉄買収反対 大統領選控え政治問題化”. (2024年2月3日) 2024年2月4日閲覧。
- ^ “日本製鉄のUSスチール買収に「反対」、バイデン大統領が支持…全米鉄鋼労組「確約を得た」”. (2024年2月3日) 2024年2月4日閲覧。
- ^ 真海喬生 (2024年9月3日). “ハリス氏、日本製鉄のUSスチール買収に事実上反対 組合にアピール”. 朝日新聞 2024年9月4日閲覧。
- ^ “日鉄によるUSスチール買収「阻止する」、トランプ氏が改めて反対表明”. ロイター. (2024年12月3日) 2024年12月3日閲覧。
- ^ 日本放送協会(NHK) (2024年12月11日). “バイデン大統領 USスチール買収計画 正式に阻止の意向 米報道” 2024年12月11日閲覧。
関連項目
[編集]- メサビ鉄山(メサビ・レンジ)
- 安全第一
- ベスレヘム・スチール
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- USスチールのビジネスデータ: