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TOMC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
TOMC
出身地 日本
ジャンル 電子音楽
ヒップホップ
アンビエント
実験音楽
活動期間 2015年 -
レーベル Inner Ocean Records
Local Visions
PURRE GOOHN
PIRA.MD Records

TOMC (トムシー) は日本の音楽家プロデューサー、ビートメイカー、DJ

アヴァランチーズ meets ブレインフィーダー[1]と評される先鋭的な音楽性で知られ、2020年以降はアンビエントに接近した作品を多数リリースしている。レアグルーヴやポップミュージックへの造詣に根ざしたプレイリスター〜ライターとしての顔も持つ[2]

来歴

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早稲田大学文学部を卒業後、主に箱付きのディスコDJとして活動する傍ら、下北沢を拠点に複数のインダストリアル〜ポストロック系のバンドに在籍しボーカル・パーカッションなどを担当する。同時期には電子書籍形式の文芸誌『Inside Out』にて営業統括兼編集者・小説家としても活動[3]

2015年-2016年にかけてメキシコPIRA.MD Recordsから2枚のアルバムをリリース。同時期には江東区高橋商店街で地域活性を目的とした音楽・アートのイベントを催し若者〜高齢者を問わず活況を呈する[4]

2017年、PURRE GOOHNよりアルバム『Yesternow Once Now』をリリース。音楽評論家からオリジナリティ溢れるサンプリング音楽として「アヴァランチーズ meets ブレインフィーダー」と評されるなど、日本人離れの感性でフライング・ロータス以降のビートメイクを一歩進めた作品[5]と捉えられている。

2018年、マンダリン・オリエンタル東京への委託作品としてベーカリーで発生する物音を一夜で録音・再構成した作品『Bake the House』を発表、Ross From Friends等当時のローファイ・ハウスムーブメントに通じるダンスミュージックと評される[6]。2018年8月にはハッカソン・運動会イベント「未来の渋谷の運動会」にDJとして参加〜DOMMUNEに出演[7]。同年は江東区森下にオープンした喫茶ランドリーにて定期的にDJを行い、高齢者を含む場を意識した選曲が「まちの縮図そのもの」[8]と評されたほか、渋谷Cast[9]・青山SHARE GREEN MINAMI AOYAMA[10]をはじめとしたデベロッパー主導による公共空間でのDJ活動を本格化する。

2019年、企業への委託作品として空港・港湾で発生する物音を用いたサウンドアート作品『Music for Transit』を発表[11]。2019年8月には中野区大和町八幡神社「大盆踊り会 2019」にDJミックスを提供する[12]。同年はASMR・環境音とローファイ・ヒップホップを折衷した音楽性のEP3枚をリリースし、特に2作目『Stories & Studies』はSpotifyを通じて台北・パリ・ロサンゼルスを中心にヒットし[13]、翌年のiTunesインストゥルメンタル・トップアルバム(日本: 2020.2.22付)でも2位を記録。ヨルダンでは収録曲「Yin & Yang」がApple Musicインストゥルメンタル・トップソング(2019.9.11付)1位を記録した[14]

2020年1月、近現代アメリカ文学を題材にしたアンビエント/ ニューエイジ路線のEP『Lunar Maria』を発表[15]。iTunesニューエイジ・トップアルバム(日本: 2020.1.17付)1位を記録する[14]。同年6月にはビートメイカーcoyolateとの共作シングル『Curiosity』[16]を、7月には日本のインターネット・レーベルLocal Visionsからシティポップに接近したヨシカワミノリとの共作アルバム『Reality』[17]を連続してリリース。『Reality』はMake Believe Melodies「2020年の日本の音楽アルバム10選」に選定された[18]ほか、収録曲「オンラインの幽霊たち (feat. Gimgigam)」がFluxblogの2020 Survey Playlistに収録される[19]など、海外メディアを中心に支持を集める。同年はライターとしても7月刊行『ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド』にコラムを寄稿[20]したほか、12月刊行『シティ・ソウル ディスクガイド 2』にレビュー執筆者として参加[21]。また、同年6月にリリースされたビートメイカーcanooooopyのカムバック作『天地を解くコデックス[codex to uncoil the cosmos]』ではディレクション及びマスタリングを担当した[16]

2021年1月、昨年発表の『Reality』から7インチレコード『夢の話をしよう / オンラインの幽霊たち(feat. Gimgigam)』がシングルカットされ、Jet Set週間チャートで1位を記録[22]。同年3月、カナダInner Ocean Recordsからソロとしては4年ぶりのアルバム『Liberty』をリリース。同作はカセットテープ形態でも発売され、初回生産分は発売2日で完売[23]。中目黒のカセットテープ専門店waltzでは「ジャズ系ビートテープ今年度最高傑作有力候補」と評される[24]。同年はプレイリスターとしても「特定アーティスト作品のサブスク解禁直後のプレイリスト発表」が恒例化[2]したほか、ライターとしてMikikiサイゾー等ウェブメディアへの寄稿を多数行っている[2]

ディスコグラフィー

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アルバム

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  • McKinsey N' de Kooning (PIRA.MD Records, 2015年)
  • Arkhai & Naked Shortin' (PIRA.MD Records, 2016年)
  • Yesternow Once Now (PURRE GOOHN, 2017年)
  • Reality (Local Visions, 2020年) *「ヨシカワミノリ & TOMC」名義
  • Liberty (Inner Ocean Records, 2021年)
  • Music for the Ninth Silence (Inner Ocean Records, 2022年)

シングル

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  • Bake the House (PURRE GOOHN, 2018年)
  • Curiosity (Not on label, 2020年)
  • 夢の話をしよう / オンラインの幽霊たち(feat. Gimgigam) (Local Visions / JET SET, 2021年) *「ヨシカワミノリ & TOMC」名義

EP

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  • Blockchainers (PURRE GOOHN, 2019年)
  • Stories & Studies (PURRE GOOHN, 2019年)
  • Reminiscin’ (PURRE GOOHN, 2019年)
  • Lunar Maria (PURRE GOOHN, 2020年)

ミックスCD

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  • CONVENI MIX 001 | City Pop MIX by TOMC (レコードコンビニ, 2018年) *限定品(完売)
  • CONVENI MIX 002 | City Soul MIX by TOMC (レコードコンビニ, 2018年) *限定品(完売)

脚注

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出典

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  1. ^ エンタメステーション | 若手ライターが選ぶ!買ってでも聴くべき本当の名曲  vol. 6 オリジナリティ溢れる「サンプリング」音楽の世界、必聴作品4選 (2018年3月28日) 2019年9月23日閲覧
  2. ^ a b c TOMCが全曲4分33秒の初アンビエントアルバム『Music for the Ninth Silence』をリリース”. Mikiki. 2022年1月4日閲覧。
  3. ^ 「すばる」2013年1月号(集英社)P.322
  4. ^ 深川経済新聞 |「高橋のらくろード」で初のDJライブ&アートイベント 「のら天市場」の一環で (2015年5月8日) 2019年9月23日閲覧
  5. ^ ototoy | TOMC、ニュー・アルバム『Yesternow Once Now』を10/4配信リリース (2017年9月26日) 2019年9月23日閲覧
  6. ^ uroros | TOMC、配信シングル『Bake The House』本日9月19日リリース。ベーカリーのあらゆる環境音を再構築したメランコリックかつ享楽的なダンスミュージック (2018年9月19日) 2019年9月23日閲覧
  7. ^ ラブラブ渋谷。「未来の運動会プロジェクト」上京記念SPECIAL!!! (2018年8月30日) 2019年9月23日閲覧
  8. ^ 「喫茶ランドリー」はどうしてヤバい?市民の能動性を引き上げ、受け入れる。グランドレベルの壮大な実験がはじまりました。 (2018年1月28日) 2019年9月23日閲覧
  9. ^ 渋谷キャスト周年祭2018『SHIBUYA CASTING!』これからの渋谷をつくるクリエイティブフェス (2018年4月28日) 2019年9月23日閲覧
  10. ^ REALGATE | 青山一丁目駅徒歩4分 カフェ・ショップ・オフィスが共存する施設 「SHARE GREEN MINAMI AOYAMA」のオープニングイベント 『OUTDOOR RECORDS』を10月6日~8日に開催! (2018年9月18日) 2019年9月23日閲覧
  11. ^ CNET Japan | 渋谷GALLERY AND MUSIC BAR「TestFlight」とトラックメイカー「TOMC (トムシー)」によるコラボアンビエント楽曲を発表 (2019年4月18日) 2019年9月23日閲覧
  12. ^ 大盆踊り会 “DAIBON” さんのツイート:”⚡メガヒッツ盆⚡  昨日も大いに盛り上がった、DAIBON名物「メガヒッツ盆」略してメガ盆のコーナーです。…”
  13. ^ Indiegrab | 【NEWS】TOMC 人気のビート短編集第3弾『Reminiscin’』の配信を開始 (2019年8月21日) 2019年9月23日閲覧
  14. ^ a b https://twitter.com/tstomc/status/1352224207325655045”. Twitter. 2021年5月5日閲覧。
  15. ^ ototoy | ビートメイカーTOMC、新EP『Lunar Maria』ハイレゾ配信開始 (2020年1月16日) 2020年12月28日閲覧。
  16. ^ a b uroros | TOMC、新曲「Curiosity」配信開始。Flyloチルドレンの新鋭coyolateと紡ぐ”好奇心”を掻き立てる音響派ジャジーヒップホップ (2020年6月17日) 2020年12月28日閲覧
  17. ^ Spincoaster | 〈Local Visions〉よりリリースされたヨシカワミノリとTOMCによるコラボ作が7インチ化 (2020年8月14日) 2020年12月28日閲覧
  18. ^ Michel, Patrick St (2021年12月8日). “Make Believe Melodies Favorite Japanese Albums Of 2020: #10 - #01 (One Year Later)”. Make Believe Mailer. 2022年1月4日閲覧。
  19. ^ Fluxblog 2020 Survey (2020年12月15日) 2020年12月28日閲覧
  20. ^ TOWER RECORDS ONLINE | 書籍『ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド』|歴世界的なニューエイジ・リバイバルを読み解く決定版発売! (2018年4月15日) 2019年12月28日閲覧
  21. ^ ARBAN | 大好評「シティ・ソウル ディスクガイド」第2弾刊行!佐藤竹善インタビューも (2020年12月9日) 2020年12月28日閲覧
  22. ^ https://twitter.com/tstomc/status/1352932460166701057”. Twitter. 2021年5月5日閲覧。
  23. ^ TOMC - Liberty” (英語). Inner Ocean Records. 2021年5月5日閲覧。
  24. ^ waltz online | TOMC | Liberty | カセットテープの通販”. waltz online | TOMC | Liberty | カセットテープの通販. 2021年5月5日閲覧。

外部リンク

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