TDK D
D(ディー、Dynamic)はかつてTDK(1983年〈昭和58年〉2月28日以前は東京電気化学工業名義)が1972年(昭和47年)9月から1986年(昭和61年)1月まで[1]販売していたノーマルポジション(IEC TYPE I)用コンパクトカセットの名称である。
概要
[編集]1972年9月にそれまで販売していたTDK CASSETTE LOW NOISE(以下TDK LN)の後継かつ、1969年(昭和44年)3月[2]から1977年3月まで製造・販売されていた標準LH級音楽録音専用ノーマルポジション用カセットテープであるSD(エスディー、Super Dynamic)の下位製品として開発された標準ローノイズ(LN)級のカセットテープであり、磁性体にはガンマ・フェリック(D材)が採用され、SDで培ってきたノウハウを生かし磁性体そのものを超微粒子化することで従来品のTDK LNに対し感度が2dB向上し、新開発のコーティング技術や精度をある程度高めたカセットハーフの採用によりドロップアウトやワウ・フラッター(回転ムラ)を低減、更に耐久性も向上したことで従来品のTDK LNを上回る改良が加えられた。その後1979年(昭和54年)、1981年(昭和56年)、1983年(昭和58年)の計3回の改良を実施し、尤も、1981年(昭和56年)9月の改良製品では、カセットハーフの色がライトグレーからダークグレーに、1983年(昭和58年)9月の改良製品ではダークグレーから黒にそれぞれ変更された。また、初代製品には中期ロット品(2種のロットが存在)と後期ロット品が存在し、1972年に表示があった価格表示が中期ロット1の1974年(昭和49年)3月の仕様変更で廃止され、中期ロット2の1976年(昭和51年)3月の仕様変更時には注意書きが若干変更された。更に1977年(昭和52年)2月から1979年7月末まで製造・出荷された後期ロット品ではリーダーテープが無色透明からヘッドクリーニング効果のある乳白色のリーダーテープに変更されたほか、ラベルの表記のD★C○○がD-C○○に変更された(〇はテープの往復録再時間)。1979年9月に初の全面改良を実施し、磁性体が従来のガンマ・フェリック(D材)を基に更に微粒子化したハイグレインド・フェリックに変更されたほか、カセットハーフの設計も大幅に見直され、当製品専用に開発された「Reliable Cassette Mechanism」、および既存の上位製品(AD・SA・MA等)と同様のリールハブの真円度を高める独自のダブルクランプ機構やテープの走行時にフリクションロスを低減する「Dimple & Bubble Sheet」が採用された。その後は1986年2月の販売終了まで2度改良を実施し販売されたが、日本市場においてはAEに継ぐ形で1986年2月を以て後述する4代目Dの横展開商品となるDSと共に販売終了となった。
DS(1984年 - 1986年)
[編集]DS(ディーエス、Dynamic Spirit)は上記の4代目Dを元に、無色透明の高精度カセットハーフ仕様[3]に改めた横展開商品(派生商品)で1984年(昭和59年)2月に発売された。
- サンリオキャラクターズ
- HELLO KITTY - 1977年、および1985年発売。ベースは1977年版が初代D、1985年版がDSとなる。ラインアップは1977年版が60分用のみ、1985年版が46分用のみ。
- THE VAUDEVILLE DUO - 1985年発売。ベースはDSとなる。ラインアップは46分用のみ。
- Cheery Chums - 1985年発売。ベースはDSとなる。ラインアップは46分用のみ。
TDK Dを使用したOEMの一覧
[編集]- VICTOR LN[5]
- 東芝(現・東芝エルイートレーディング)
- TOSHIBA E
- TOSHIBA F
- TOSHIBA TD
- TOSHIBA FH
- BOMBEAT TS
- Aurex AF
- DIATONE B
など
CMキャラクター
[編集]参考文献
[編集]- FUTABASHA SUPER MOOK 〜TDKカセットテープ・マニアックス〜
- 2023年(令和5年)8月7日発行(双葉社) ISBN 978-4-5754-5945-6
- ONTOMO MOOK stereo編 カセットテープ完全アルバム 僕たちの青春を彩ったカセットテープのすべて
- 2023年(令和5年)12月1日発行 (音楽之友社) ISBN 978-4-276-96368-9
関連項目
[編集]- TDK
- TDK SD
- TDK AE
- TDK AD
- CDing
- コンパクトカセット
- ノーマルポジション
- Do it BANG BANG - 榊原郁恵の8枚目のシングルで、本人も出演した初代後期最終ロット仕様のDのCMソングとして起用された。
注釈
[編集]