セガ・システム16
システム16(SYSTEM16)は、セガ(現・セガ フェイブ)が1985年に開発したアーケードゲーム基板。
概要
[編集]本基板は、システム16Aと後発のシステム16Bの2種類が存在し、CPUは両方とも68000とZ80のデュアル構成で、音源チップはヤマハのYM2151が使用されている。配線はJAMMA規格ではなくセガ配列。ソフトウェアの交換は、16AはICソケット上のROMの差し替えで行い、16BはROMボードで交換する仕様となっており、16BのROMボードは1メガビットタイプと512キロビットタイプがある。16Aは、ICソケットが接触不良を起こしやすい不具合があり、発売後1年ほどでシステム16Bに代替わりするなど短命に終わった。
16Bはボード全体が16Aよりも1回り小型化され、推奨電力も16Aの7Aに対して16Bでは3.5Aの半分と省電力化が施されている。メインCPUもセガ特有のセキュリティ機能を搭載した電池内蔵のいわゆる「羊羹CPU」になっている。この為、メーカーサポートが終了している現在では(セガ・ロジスティクスサービスによる修理も終了)電池切れで起動不能になっている基板も多い。また、ゴールドキャパシタというコンデンサによる設定のバックアップ機能、スプライトの拡大縮小機能、音源にADPCM(μPD7759 )1chが付与されている。
さらに後述するファンタジーゾーンII・リメイク版向けにカスタマイズされたバージョンも存在する。これらのバージョンにロムキットの互換性はない。
仕様・主要諸元
[編集]- メインCPU: モトローラ 68000 @ 10 MHz
- メモリ: 16kB+2kB(16A)
- サウンドCPU: ザイログ Z80 @ 4 MHz (16Bは5 MHz)
- 音源チップ: ヤマハ YM2151 @ 4 MHz、NEC μPD7751 ADPCM デコーダ(16Bのみ)
- 解像度: 320 x 224
- 発色数: 2048/32768色
- スプライト: 画面内に最大128個。拡大縮小機能(16Bのみ)
- スクロール画面: 2面
- ウィンドウ画面: 2面
- 適用コネクタ:セガオリジナル(56ピン、JAMMAではないため注意が必要)
ファンタジーゾーンII・リメイク向け特別版
[編集]有限会社エムツーの堀井直樹ディレクターがプログラマへ、本基板の仕様で『ファンタジーゾーンII』をリメイクする話を持ちかけたところ「現在のプログラムスタイルではワークメモリが足りない」と否定されたため、ワークメモリを256kB+8kBへ大幅に増強した専用のSYSTEM16を、リメイクのためにわざわざ作成した。これを堀井は、正式な基板コードではないが「SYSTEM16C」と名づけている。
主なタイトル
[編集]初期のタイトルは16A用のみでのリリースで、システム16B用のロムキットは存在しない。16Bの登場後の中期~後期タイトルは一部を除いて基本的には16B用のみのリリースとなり、16A用のロムキットは存在しない。ただ、テトリスのように発売当初は16Bのみでのリリースだったものが、後に社会現象クラスの大ヒットとなった為に、セガの16Bの在庫だけでは需要がまかなえなくなったという事情で、急遽中古の在庫で抱えていた16Aでもリリースしたという例外もあった。[注釈 1][注釈 2]
- (◎)は、ロムキットがシステム16A用のみのタイトル
- (★)は、ロムキットがシステム16A用とシステム16B用でそれぞれ存在するタイトル
- メジャーリーグ(◎)[1][2]
- ファンタジーゾーン(◎)[3][4]
- カルテット(◎)[5][6]
- ダンプ松本(◎)(制作:サンリツ電気)[7]
- アクションファイター(◎)[8][9]
- アレックスキッド ザ・ロストスターズ(◎)[9]
- ダンクショット[10][11]
- タイムスキャナー(★)[12][11]
- エイリアンシンドローム[13][14]
- SDI(★)[15][14]
- バレット[16][17]
- スーパーリーグ[18][19]
- ヘビーウェイトチャンプ[20][19]
- 忍 -SHINOBI-(★)[21][19]
- ソニックブーム[22][19]
- エースアタッカー[23][24]
- 獣王記[25][26]
- パッシングショット[26]
- エキサイトリーグ[27][26]
- ワンダーボーイIII モンスター・レアー(★)(制作:ウエストン)[28][29]
- テトリス(★)[30][31]
- ダイナマイトダックス[31]
- スケバン雀士竜子(★)(制作:サントス)
- タフターフ(制作:サン電子)[32]
- レッスルウォー[33][32]
- ベイルート(制作:サン電子)[34]
- ゴールデンアックス[35][36]
- フラッシュポイント[37][34]
- E-SWAT[38][34]
- MVP[39][40]
- オーライル(制作:ウエストン)[41]
- 琉球[41]
- コットン(制作:サクセス)[42][43][44]
- ライオットシティ(制作:ウエストン)[45]
- 登龍門(制作:ジャンプ)[46][47]
- ファンタジーゾーンII・リメイク *イベントのみの公開
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ [1]
- ^ セガ・アーケード・ヒストリー, p. 80.
- ^ [2]
- ^ セガ・アーケード・ヒストリー, p. 81.
- ^ [3]
- ^ セガ・アーケード・ヒストリー, p. 82.
- ^ セガ・アーケード・ヒストリー, p. 83.
- ^ [4]
- ^ a b セガ・アーケード・ヒストリー, p. 85.
- ^ [5]
- ^ a b セガ・アーケード・ヒストリー, p. 86.
- ^ [6]
- ^ [7]
- ^ a b セガ・アーケード・ヒストリー, p. 87.
- ^ [8]
- ^ [9]
- ^ セガ・アーケード・ヒストリー, p. 88.
- ^ [10]
- ^ a b c d セガ・アーケード・ヒストリー, p. 90.
- ^ [11]
- ^ [12]
- ^ [13]
- ^ [14]
- ^ セガ・アーケード・ヒストリー, p. 91.
- ^ [15]
- ^ a b c セガ・アーケード・ヒストリー, p. 92.
- ^ [16]
- ^ [17]
- ^ セガ・アーケード・ヒストリー, p. 93.
- ^ [18]
- ^ a b セガ・アーケード・ヒストリー, p. 94.
- ^ a b セガ・アーケード・ヒストリー, p. 95.
- ^ [19]
- ^ a b c セガ・アーケード・ヒストリー, p. 97.
- ^ [20]
- ^ セガ・アーケード・ヒストリー, p. 96.
- ^ [21]
- ^ [22]
- ^ [23]
- ^ セガ・アーケード・ヒストリー, p. 98.
- ^ a b セガ・アーケード・ヒストリー, p. 100.
- ^ “【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「コットン」 コットンがかわいすぎる! 1コインクリアに萌えた想い出のファンタジーシューティング”. GAME Watch. インプレス (2020年12月10日). 2024年10月29日閲覧。
- ^ [24]
- ^ セガ・アーケード・ヒストリー, p. 101.
- ^ セガ・アーケード・ヒストリー, p. 103.
- ^ [25]
- ^ セガ・アーケード・ヒストリー, p. 131.
参考文献
[編集]- セガ・アーケード・ヒストリー, エンターブレイン, (2002)