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SCB-125

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1956年の「エセックス

SCB-125(英語: Ship Characteristics Board Program 125) は、アメリカ海軍エセックス級航空母艦を対象に実施した近代化改装であり、SCB-27改装の対象艦に対し1954年から1959年の間に実施された。目的は、アングルド・デッキ装備をはじめとした飛行甲板の拡張による艦上機運用能力向上および航海性能向上にあった。

改装の経緯

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イントレピッド」の艦影を竣工時、SCB-27C改装後、SCB-125改装後で比較

イギリスではカタパルトの発明に続き、より発着艦を合理化できる飛行甲板設計としてアングルド・デッキが考案され、1952年2月より試験を実施していた。アメリカ海軍でも1953年より「アンティータム」で同様の試験を実施した後、当時SCB-27C改装の途上にあった「シャングリラ」「レキシントン」「ボノム・リシャール」の3隻に対し、アングルド・デッキ化などを含む改装をSCB-125と総称して同時に施行することとした。1954年からは、SCB-27A/C改装を受けた艦のうち「レイク・シャンプレイン」を除く10隻も同様の改装を受けた。

本改装の工期は1年半程度で、SCB-27に比べると船体の基本構造の変更は少ないものの、後部エレベータの移設や艦首のエンクローズド・バウ化等によって外見上は大きく変化している。

改装の内容

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ワスプ」の図面
共通内容
  • アングルド・デッキの装備
  • 艦首部を甲板と一体化(エンクローズド・バウ化)
  • ミラー・ランディング・システムを導入
  • Mk.7アレスティング・ギアの装備
  • 第一航空管制室を艦橋後端に移設
  • 空調設備の設置
艦ごとの差異
  • SCB-27A改装を受けていた艦のみ、飛行甲板後方のエレベータ(第三エレベータ)を甲板上から右舷デッキ端に移設(SCB-27C改装では既に実施済み)
  • カタパルトについてはSCB-27C改装で蒸気式のC-11が導入されていたが、SCB-27A改装対象艦は能力の劣る油圧式H8のままで結局更新されなかった(カタパルト機器室の容積不足により)。
  • ハンコック」「イントレピッド」「タイコンデロガ」は第三エレベータの位置が若干後方であり、この三艦と「オリスカニー」は飛行甲板前方のエレベータ(第一エレベータ)の面積が拡大され五角形となった(大型機に対応するため)。なお、第一エレベータの拡大については「シャングリラ」「レキシントン」「ボノム・リシャール」も追加で実施している[1]
  • オリスカニー」はSCB-125改装を最後に受けた艦であるが、飛行甲板の素材にアルミニウムを導入、カタパルトを油圧式H8から蒸気式改良型のC11-1に、アレスティング・ギアをフォレスタル級と同じMk.7-1に更新するなど、さらに充実した内容となった[2](本艦の改装のみ「SCB-125A改装」と呼ばれる[3])。

SCB-125改装対象艦の一覧

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1970年の「ボノム・リシャール」(後方から)

[4]

艦番号 艦名 区分 改装場所 開始 完了 退役
CVA-38 シャングリラ
USS Shangri-la
SCB-27C/125 ピュージェット・サウンド 1952年
10月
1955年
1月
1971年
7月30日
CVA-16 レキシントン
USS Lexington
SCB-27C/125 ピュージェット・サウンド 1953年
9月
1955年
8月
1991年
11月8日
CVA-31 ボノム・リシャール
USS Bon Homme Richard
SCB-27C/125 ハンターズ・ポイント 1953年
5月
1955年
9月
1971年
7月2日
CVA-20 ベニントン
USS Bennington
SCB-125 ニューヨーク 1954年
6月
1955年
5月
1970年
1月15日
CVA-10 ヨークタウン
USS Yorktown
SCB-125 ピュージェット・サウンド 1955年
3月
1955年
10月
1970年
6月27日
CVA-18 ワスプ
USS Wasp
SCB-125 ハンターズ・ポイント 1955年
3月
1955年
12月
1972年
7月1日
CVA-15 ランドルフ
USS Randolph
SCB-125 ノーフォーク 1955年
8月
1956年
2月
1969年
2月13日
CVA-9 エセックス
USS Essex
SCB-125 ピュージェット・サウンド 1955年
8月
1956年
1月
1969年
6月30日
CVA-12 ホーネット
USS Hornet
SCB-125 ピュージェット・サウンド 1956年
1月
1956年
8月
1970年
6月26日
CVA-19 ハンコック
USS Hancock
SCB-125 ハンターズ・ポイント 1956年
4月
1956年
11月
1976年
1月31日
CVA-33 キアサージ
USS Kearsarge
SCB-125 ピュージェット・サウンド 1956年
7月
1957年
1月
1970年
2月13日
CVA-14 タイコンデロガ
USS Ticonderoga
SCB-125 ノーフォーク 1956年
8月
1957年
4月
1973年
9月01日
CVA-11 イントレピッド
USS Intrepid
SCB-125 ニューヨーク 1956年
9月
1957年
5月
1974年
3月15日
CVA-34 オリスカニー
USS Oriskany
SCB-125A ハンターズ・ポイント 1957年
1月
1959年
3月
1976年
9月30日

脚注

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  1. ^ 改装後でも時期によって前方エレベータの形状が異なるのが確認できる。[1][2][3]Aircraft Carrier Photo Index
  2. ^ 野木恵一「エセックス級戦後近代化改装の概要 (特集 米空母エセックス級)」『世界の艦船』第761号、海人社、2012年6月、102-109頁、NAID 40019305396 
  3. ^ Friedman, Norman (1983). U.S. Aircraft Carriers: An Illustrated Design History. Annapolis, MD: Naval Institute Press. ISBN 0-87021-739-9 
  4. ^ [4]Naval Historical Center home page

参考文献

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  • Friedman, Norman (1983). U.S. Aircraft Carriers: An Illustrated Design History. Annapolis, MD: Naval Institute Press. ISBN 0-87021-739-9 

外部リンク

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