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RNAウイルス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
RNAウィルスから転送)

RNAウイルスとは、ゲノムとしてリボ核酸 (RNA)をもつウイルスのこと。

分類

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ウイルスは、ゲノム核酸としてデオキシリボ核酸(DNA)を持つDNAウイルスと、リボ核酸 (RNA)をゲノムとするRNAウイルスに分けられる[1]

レトロウイルス

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ゲノムRNAからDNAを介さずに遺伝情報が発現するタイプのウイルスと、ゲノムRNAをいったん逆転写酵素によってDNAとしてコピーしそのDNAから遺伝情報を読み出すタイプのものとがある。後者をとくにレトロウイルスと呼ぶ。

二本鎖RNAウイルスと一本鎖RNAウイルス

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RNAウイルスは更に、二本鎖RNAウイルス(dsRNA)、一本鎖プラス鎖RNAウイルス(+鎖型)、一本鎖マイナス鎖RNAウイルス(−鎖型)に分類される[1]

一本鎖マイナス鎖RNAウイルスと一本鎖プラス鎖RNAウイルス

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一本鎖プラス鎖RNAウイルスはウイルスゲノムRNAがそのまま翻訳されウイルスタンパク質が作られる[1]。一本鎖の+鎖RNAウイルスはゲノム自体がmRNAとして機能し得る。SARSの原因であるコロナウイルスはこれに含まれる。レトロウイルスもここに含まれるが、上記のようにいったんDNAに遺伝情報を移す。

一本鎖マイナス鎖RNAウイルスではウイルスに由来するRNAポリメラーゼ(RNAを合成する酵素)により相補的なRNAが合成される[1]。−鎖RNAウイルスゲノムはmRNAと相補的な塩基配列のためそのままではmRNAとして機能できない。これをRNA依存性RNAポリメラーゼによって+鎖に転写して機能する。

RNAウイルス一覧

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国際ウイルス分類委員会の2005年報告書第8版[2]では、第1群と第2群はDNAウイルス、その他の第3群から第7群はRNAウイルスである。

二本鎖RNAウイルス(dsRNA)

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一本鎖マイナス鎖RNAウイルス

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一本鎖RNA+鎖逆転写

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一本鎖プラス鎖RNAウイルス

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生物の進化とRNAウイルス

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レトロウイルス

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RNAウイルスと宿主である人類とは共進化してきた。ウイルスが生物のゲノムに内在化した痕跡である「ウイルス化石」としてはこれまでにレトロウイルスが知られる[4]。生物はレトロウイルスの遺伝子をゲノムに組み込み、内在性レトロウイルス(Endogenous retrovirus, ERV) として遺伝し、ゲノムの多様性を広げてきた[4]

ボルナウイルス

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2010年、大阪大学微生物病研究所は、ヒト、非ヒト霊長類げっ歯類ジリスのゲノム内に塩基配列「内在性ボルナ様Nエレメント(Endogenous Borna-like N,EBLN)」を発見した[4]。またボルナ病の原因となるボルナウイルスを感染させた細胞で遺伝子が逆転写され、細胞のゲノムに挿入されること、逆転写酵素を持たないRNAウイルスが宿主のレトロトランスポゾンを利用してゲノムに挿入されることを示した[4]

この発見によってレトロウイルス以外にもRNAウイルスの一つボルナウイルスの遺伝子が取り込まれており、ウイルス感染が4000万年前までさかのぼることとなった[4]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j 科学技術振興機構報第279号平成18年4月10日 科学技術振興機構「語句説明」
  2. ^ International Committee on Taxonomy of Viruses.ICTV
  3. ^ 「アレナウイルス感染症」谷 英樹, 福士 秀悦, 吉河 智城, 西條 政幸, 森川 茂、ウイルス / (2012) 62 巻 2 号, 日本ウイルス学会, p. 229-238.
  4. ^ a b c d e 堀江 真行, 朝長 啓造「哺乳類ゲノムに内在する非レトロウイルス型RNAウイルス」2010 年 60 巻 2 号 p. 143-154、科学技術振興機構「ヒトのゲノムにRNAウイルス遺伝子を発見 4000万年前までに感染か 最初の「RNAウイルス化石-生物進化の解明とRNA利用拡大の道を開く-」プレス平成22年1月7日。ウイルス学:ゲノムに残ったウイルスの「化石」2010年1月7日 Nature 463, 7277

文献

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関連項目

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