Paedophryne amauensis
Paedophryne amauensis | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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10セント硬貨上の Paedophryne amauensis
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Paedophryne amauensis Rittmeyer et al., 2012[1] |
Paedophryne amauensis はパプアニューギニアで2009年8月に発見され、2012年に記載されたヒメアマガエル科のカエルの一種である[1]。本種は体長7.7 mm(ミリメートル)で、発見当時、脊椎動物の中で最も体長が小さい種とされていた[1][2]。2024年現在、脊椎動物最小とされるのはブラジルに分布する Brachycephalus pulex と呼ばれるコガネガエル属の一種の成熟雄である[3][注釈 1]。
2013年5月、国際生物種探査研究所によって、2012年の世界の新種トップ10の一つに取り上げられた[4][5][6]。
発見
[編集]このカエルは2009年8月に爬虫両棲類学者のクリストファー・オースティンと院生のエリック・リットマイヤーによってパプアニューギニアの生物多様性の研究中に発見された[7] 。この新種は中央州のアマウ (Amau) で発見された。この発見は2012年1月に学術雑誌 PLoS ONE にて発表された[1]。
属名 Paedophryne は古代ギリシア語で子供を意味する παῖς (paîs[注釈 2]) の属格 παίδος (paidós[注釈 3]) とヒキガエルを意味する φρῡ́νη (phrū́nē[注釈 4]) の合成語である[注釈 5]。種小名の amauensis[注釈 6]は発見された地名 Amau[1]と地名の形容詞を作る接尾辞 -ēnsis[8]の合成語である。
特徴
[編集]本種は成熟雄の体長7.70 mm (±0.35 mm) で[1][3]、それまで世界最小の脊椎動物とされてきた全長7.9 mm のインドネシア産の淡水魚パエドキプリス・プロゲネティカ Paedocypris progenetica より0.2 mm だけ小さい[9][10]。
この種は幼生の姿を取らず、卵からいわゆる成体のカエルの形で孵化する(直達発生)[9][7]。本種は体長の30倍の高さに跳ねることができる。行動パターンは薄明薄暮性で、微小な無脊椎動物を食する。雄は昆虫を思わせるような高い周波数 (8400–9400 Hz) の鳴声で雌を呼ぶ[1]。
分布
[編集]他の Paedophryne 属のカエルと同様に本種は熱帯雨林の堆肥の中に住む[1]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ Brachycephalus pulex は雄の全長7.10 ± 0.47 mm、雌の全長 8.15 ± 0.40 mm である[3]。一方 Paedophryne amauensis の雄は7.70 ± 0.35 mm であり、雌はデータがないが、Paedophryne 属のほかの種で知られているデータでは、一般に雌は雄よりも大きい[3]。
- ^ /pâi̯s/(パイス)。のちに /pes/(ペス)。
- ^ /pai̯.dós/(パイドス)、のちに /peˈðos/(ペドス)。幼形進化を意味するペドモルフォシス (paedomorphosis) などと同源。
- ^ /pʰry̌ː.nɛː/(プリューネー)。英語読みでは /ˈfraɪni/ となる(cf. フリュネ)。
- ^ Wikipedia:外来語表記法/ラテン語に従うと、パエドプリューネー(パエドフリュネ)
- ^ Wikipedia:外来語表記法/ラテン語に従うと、アマウエーンシス(アマウエンシス)
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h Rittmeyer, Eric N.; Allison, Allen; Gründler, Michael C.; Thompson, Derrick K.; Austin, Christopher C. (2012). Etges, William J.. ed. “Ecological guild evolution and the discovery of the world's smallest vertebrate”. PLoS ONE 7 (1): e29797. doi:10.1371/journal.pone.0029797 2012年1月11日閲覧。.
- ^ “World's tiniest frogs found in Papua New Guinea”. The Australian. (2012年1月11日) 2012年1月11日閲覧。
- ^ a b c d Bolaños, W. H.; Dias, I. R.; Solé, M. (2024). “Zooming in on amphibians: Which is the smallest vertebrate in the world?”. Zoologica Scripta 53: 414–418. doi:10.1111/zsc.12654.
- ^ Newswise (22 May 2013). “Scientists Announce Top 10 New Species”. Arizona State University College of Liberal Arts and Sciences. Newswise, Inc. 2013年5月23日閲覧。
- ^ Arizona State University College of Liberal Arts and Sciences (22 May 2013). “Top 10 new species of 2012”. ScienceDaily. ScienceDaily, LLC. 2013年5月23日閲覧。
- ^ Varma S (23 May 2013). “Amazing top 10 new species include glowing cockroach, tiniest vertebrate and new monkey”. The Times of India. Bennett, Coleman & Co. Ltd.. 2013年5月24日閲覧。
- ^ a b “Tiny frog claimed as world's smallest vertebrate”. The Guardian. (2012年1月12日) 2012年1月12日閲覧。
- ^ 平嶋義宏『生物学名命名法辞典』平凡社、1994年11月1日、102頁。ISBN 978-4582107128。
- ^ a b “World's smallest creature with a vertebrate named”. The Telegraph. (2012年1月12日) 2012年1月12日閲覧。
- ^ “Hallan en Papúa Nueva Guinea a las ranas más pequeñas del mundo” (Spanish). eluniverso.com. 2012年1月12日閲覧。