コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

PC-6600シリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

PC-6600シリーズは、日本電気(NEC)の子会社である日本電気ホームエレクトロニクス(略称「NEC-HE」、旧称:新日本電気)が発売していたパーソナルコンピュータシリーズである。NEC-HEの子会社の家庭電化製品卸ルートと、日本電気の特約店ルート(NECビットイン、NECマイコンショップ)を通じて販売された。

姉妹機種のPC-6000シリーズをベースにフロッピーディスクドライブを内蔵した構成となっている。

PC-6601

[編集]

1983年11月21日に発売。PC-6001mkIIの上位機種。メーカー希望小売価格は143,000円。

先に発売されたPC-6001mkIIの機能に加え、1D/片面倍密度の3.5インチFDDを1基標準で搭載しており、オプションで更に1基内蔵することが可能である。また、PC-6001mkII由来の音声合成に、2オクターブの音高を加えて歌う機能が追加された。NECが作成した店頭用デモには「佐渡おけさ」と松田聖子の「SWEET MEMORIES」を歌うデモが収録されている。

バンドルソフトウェアが充実しており、日本語ワードプロセッサ[1]、英文ワードプロセッサ『パソワード』[2]表計算ソフト『パソカルク』[3]、ソングエディタ、小松左京監修によるアドベンチャーゲームコロニーオデッセイ(冒険編)』などが付属した。アドベンチャーゲームは、プレイヤーの相棒のロボットが音声合成機能を利用して喋るなど、本体の機能を活かした作りとなっていた。反面、CP/Mのような汎用OSは添付されておらず、別売でリリースされることもなかった。

本体背面に内蔵FDDを切り離すスイッチが付いており、一部のPC-6001mkII用ソフトは、このスイッチで内蔵FDDを切り離さないと動作しないものがある。

オプションの拡張漢字ROMカートリッジ(PC-6601-01)を挿入することで、漢字ROMフォントが1024文字からJIS第一水準のフルサポートに拡張される。KANJI命令で使用する文字コードも独自の漢字コードからJIS漢字コードに変更される。

イメージキャラクターは、PC-6001mkII同様、武田鉄矢

仕様

[編集]

PC-6601SR

[編集]

1984年11月20日に発売された、PC-6601の後継機にしてPC-6001mkIISRの上位機種。メーカー希望小売価格は155,000円。愛称はMr.PC(ミスターピーシー)。キャッチフレーズは「六本木パソコン」。PC-6001mkIISRの機能に加え、3.5インチFDD(1DD/片面倍密度倍トラック)を一基搭載し、PC-6601同様増設可能な設計になっている。

PC-6000/6600シリーズ中唯一のセパレート型で、赤外線ワイヤレスもしくは有線によるキーボードを採用した。また、デザインが一新され、本体とキーボード、専用ディスプレイテレビPC-TV151の色は黒と赤が用意され、PC-6001mkII/PC-6601のオフィス的カラーと大きく違うものになった。キーボードの配列はPC-6001mkII以来のもの。

PC-TV151を使用した場合はワイヤレスキーボードからテレビの操作や番組予約、スーパーインポーズが可能になっており「テレビパソコン」と称していた。なお、PC-6001mkIIとPC-6601で接続可能だったスーパーインポーズユニットPC-60m54は利用不可となった。

テレビとの連携については既にシャープX1が初代から実現しており、ワイヤレスキーボードもIBM JXで使われているなど独自の目新しい機能は少なかった。

サウンド面ではAY-3-8910の互換機能を含むYM2203が搭載され、FM音源3音の表現力が追加された。

当時はすでにPC-8800シリーズや他の8ビット上位機種が主流となっており、本機種がPC-6000/PC-6600シリーズの最終モデルとなった。

工学社からPC-6601SR専用の「56K CP/M V2.2」が通信販売限定で販売された。1DDのディスクにOSと標準ユーティリティとフルスクリーンエディタFED66が収められている。

仕様

[編集]
  • CPU μPD780C-1 3.58MHz
  • RAM 64KB+1KB(FDバッファ)
  • テキスト表示 最大80桁×25行
  • グラフィック表示 640×200ドット 15色中4色、320×200ドット 15色
  • サウンド FM音源 YM2203 / 音声合成
  • BASIC N66SR-BASIC、N66-BASIC、N60-BASIC、N60-拡張BASIC
  • 3.5インチ 1DD FDD
  • インタフェース
    • 専用デジタルRGBモニタ(専用ディスプレイテレビの他に通常のディスプレイも接続可能。家庭用テレビへの接続はオプション)
    • オーディオ出力
    • CMT
    • プリンタ(セントロニクス準拠)
    • 専用カートリッジスロット
    • RS-232C(オプション)
    • アタリ規格ジョイスティック×2
    • スーパーインポーズ(専用ディスプレイテレビ接続時のみ使用)

PC-6000シリーズとPC-6600シリーズの互換性

[編集]

両シリーズに機能面で大きな違いはない。ただし、内蔵FDDについてはBASICおよびBIOSレベルでの互換性を持つにとどまり、BASICやBIOSを使用せず直接FDDを操作する場合、両者に互換性はない。

これは、PC-6000シリーズではFD制御用のCPUを内蔵した「インテリジェントタイプ」のFDDユニットを接続するようにしていたのに対し、PC-6600シリーズでは内蔵FDDのコストを下げるため、メインCPUが直接フロッピーディスクコントローラにアクセスする「ノンインテリジェントタイプ」としたのがその原因となっている。

この点は、PC-8001/8801との互換性を高めるため、内蔵5.25インチFDDにインテリジェントタイプのものを採用し続けたPC-8000/8800/9800シリーズとは対照的である。なお、PC-8800/9800シリーズには8インチ(1MB)FDDインターフェイスもあり、こちらは「ノンインテリジェントタイプ」である。

ただし、低価格ホビー機種であるPC-6000シリーズにわざわざ外付けのFDDを接続するようなケースがまれで、かつFDDを直接制御するソフトがほとんど存在しなかった。そのため、この非互換性の存在はほとんど知られていない[要出典]。非互換性が問題となったことは、市販ソフトウエアのコピープロテクトやCP/Mなどの汎用OSの移植などごく限定的である。また、PC-6000/6600シリーズ用CP/Mの中でも、FDDの制御にROMのルーチンを用いた実装のものは、両シリーズで相互に利用できる。

脚注

[編集]
  1. ^ 東海クリエイトの『ユーカラJJ』同等品。ディスクでフォントデータを持っておりJIS第一水準の漢字が全てサポートされる。
  2. ^ PC-6001mkIIにテープで付属したものと同じソフト。
  3. ^ 東海クリエイトからPC-6001用で発売されていたものと同じソフト。
  4. ^ PC-6001mkIIで15色表示に対応したが、RGBIではなくI相当の信号でカラーパレットを切り替える方式であるため、専用ディスプレイ以外を接続すると本来の色とは異なる表示になる。