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openJur

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
openJur
URL openjur.de
言語 ドイツ語
ジャンル ドイツ裁判所の判例データベース[1]
運営者 openJur gGmbH (非営利団体)[1][2]
営利性 非営利[1]
登録 不要[1]
現在の状態 現行
ライセンス
判決文および判決要旨はパブリック・ドメイン[注 1]

openJur (オープンユール) はドイツ裁判所の公表した判決や判決要旨をまとめた判例オンライン・データベース[1]。ウェブサイトは無料で一般公開されている[1]。運営主体であるドイツの非営利団体 openJur gGmbH はドイツのハンブルクで2008年に設立され[4]、これまでに裁判所が公表した60万件以上の裁判記録を収録し、ウェブサイトの閲覧累計数は4億回を超えている (2024年11月時点)[5]日本弁護士連合会 (日弁連) の2023年公表報告書によると、ドイツ裁判所公式サイト以外で無料公開している判例データベースではopenJurが最も知名度が高く、有料データベースのJurisと並んで広く知られている[6]

ただしドイツでは判決すべてが裁判所によって公表されるわけではなく、2021年の統計データによると、過去50年の裁判のうち判決が公開されたのはわずか1%にとどまっている[7]。したがってopenJur未収録の事件も多い。

公開コンテンツの処理と再利用

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openJur公開データのうち、ドイツ裁判所の判決文および判決要旨はパブリック・ドメインに帰している。したがって、商用目的も含めてライセンス・フリーで再利用できる[8]ドイツ著作権法ドイツ語版英語版 (略称: UrhG) の第5条では「官公庁の著作物」について規定しており、第1項で裁判の判決および官公庁の作成に係る判決要旨は「著作権保護の対象外」と明記されているためである[2][3]:2。ただし判決文内には法廷参考資料として画像が含まれていることがあり、こうした官公庁以外の作成した著作物は著作権保護の対象となりうる。そのため、判決の引用・転載といった当初の目的外でこうした画像を再利用する際には、著作者の許諾を要する[2]

ドイツではEU一般データ保護規則 (GDPR) などのデータ保護規制に則り、民事事件の関係当事者情報は匿名化されることが多い[9]。個人名だけでなく、法人名や法人の所在地なども匿名化の対象に含まれ、「原告」や「被告」といった抽象的な表現が用いられることもある[9]。ただし、どこまでを匿名化するかは州ごとに異なり、個別の裁判所・裁判官判断に任された実運用がなされている[9]

評価と批判

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ハンブルク地方裁判所ドイツ語版英語版が訴訟事件の関係当事者の匿名化を怠って、実名のまま判決文を2022年に公表した[7]。openJurは裁判所の判決文を自動で取得して転載するシステム仕様のため[7]、openJur上でも実名が公表されてしまい、翌年2023年にopenJurはこの当事者から提訴されて損害賠償を請求されている[10]。なお、openJurは当事者本人からの通報を受け、20分後にはopenJur上で実名の匿名化を行っている[10][7]。個人情報保護を定めたEU一般データ保護規則 (GDPR) は、官公庁が公表する著作物を単純転載したopenJurにまでおよぶのかが問われることとなった[7]。GDPRには例外規定があり、ジャーナリストが報道の自由の範囲内で個人情報を報道することが認められている。この「ジャーナリスト」にopenJurも含まれるのかが争点となっている[7]。2024年11月現在、本件は係争中である[11]

関連項目

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外部リンク

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脚注

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注釈

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  1. ^ ドイツ著作権法 第5条では「官公庁の著作物」について規定しており、第1項で裁判の判決および官公庁の作成に係る判決要旨は著作権保護の対象外と明記されている[2][3]:2

出典

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  1. ^ a b c d e f About us” [当ウェブサイトについて] (英語). openJur. 2024年11月6日閲覧。
  2. ^ a b c d Impressum” [発行者情報] (ドイツ語). openJur. 2024年11月6日閲覧。
  3. ^ a b 本山雅弘 (訳、国士舘大学 知的財産法教授) (2024年1月). “外国著作権法 >> 外国著作権法令集(62) — ドイツ編 —” (PDF). 改訂第4版. 公益社団法人著作権情報センター (CRIC). 2024年11月2日閲覧。 “2021年6月23日に成立した「テレコミュニケーション現代化法(Telekommunikationsmodernisierungsgesetz, Artikel 25)」(BGBl. I S. 1972:連邦法律広報Ⅰ部1972頁)による改正までを反映”
  4. ^ Herzlich Willkommen auf der Internetseite des openJur e.V.” [登録済社団 openJurのページへようこそ] (ドイツ語). openJur. 2024年11月6日閲覧。
  5. ^ Herzlich willkommen!” [ようこそ! (トップページ)] (ドイツ語). openJur. 2024年11月6日閲覧。
  6. ^ 日弁連 2023, p. 8.
  7. ^ a b c d e f Kolter, Max (2024年4月27日). “LG Hamburg verhandelt Klage gegen "OpenJur" | Copy, Paste and Pay?” [ハンブルク地裁でopenJur訴訟の聴聞実施 | コピペで損害賠償?] (ドイツ語). Legal Tribune Online. 2024年11月6日閲覧。
  8. ^ Nutzungsbedingungen” [利用規約] (ドイツ語). openJur. 2024年11月6日閲覧。
  9. ^ a b c 日弁連 2023, pp. 9–10.
  10. ^ a b Zenthöfer, Von Jochen (2023年8月20日). “Klage gegen OpenJur | Fremder Fehler könnte das Aus bedeuten” [openJurが提訴される | 外部起因の瑕疵が命取りに] (ドイツ語). Frankfurter Allgemeine Zeitung (ドイツ日刊紙). 2024年11月6日閲覧。
  11. ^ Keine Zukunft für frei dokumentierte Rechtsprechung?” [無料閲覧できる判例の将来はいかに?] (ドイツ語). openJur. 2024年11月6日閲覧。 “Aktualisierung vom 08.10.2024 (サイト最終更新日: 2024年10月8日)”

参考文献

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