N/A (小説)
N/A | ||
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著者 | 年森瑛 | |
発行日 | 2022年6月22日 | |
発行元 | 文藝春秋 | |
ジャンル | 小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 上製本 | |
ページ数 | 120 | |
コード | 978-4-16-391562-3 | |
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『N/A』(エヌエー)は、年森瑛による小説。第127回文學界新人賞の受賞作である。
概要
[編集]タイトルの「N/A」とは、「not applicable(該当なし)」、「not available(使用不可)」の2つの意味を持つ言葉である[1]。
SNSや検索エンジンといった、インターネット上のやり取りが多く描写されている。また、性的少数者の視点も交えた社会的マイノリティもテーマの一つとなっている[2]。
2022年4月7日に発売された『文學界』2022年5月号に、第127回文學界新人賞受賞作として掲載された[3]。
2022年6月22日、文藝春秋より単行本として刊行された[4]。
あらすじ
[編集]高校2年生の松井まどかは、月経で自分の体内から出血することを嫌悪していた。中学校の時に配布された保健室だよりで、低体重になると月経が止まることを知って以来、炭水化物を抜くなど食事を制限する生活を続けている。体重は、13歳から40キロ弱を維持し、通っている女子高では「王子様」と担ぎ上げられていた。
「かけがえのない他人」を探しているまどかは、教育実習のためやって来たうみちゃんと知り合う。恋愛の対象としてまどかに接近してきたうみちゃんに対し、まどかは「他の人では代替不可能な関係」になれるならと「お試し」で付き合うことにした。
しかし、友人の翼沙から、うみちゃんがTwitterで特別な関係としてまどかのことをツイートしていることを知り、まどかは不快感を覚える。そして、うみちゃんに対し、LINEで今までの投稿を削除するよう要求する。
評価
[編集]第127回文學界新人賞では、選考委員である青山七恵、東浩紀、金原ひとみ、長嶋有、中村文則、村田沙耶香の満場一致で受賞した[5]。
その中の東浩紀は、「安易なマイノリティ表現への違和感の表明であり、同時にそのような表明の安易さへの批判でもあるという点で、まさにいま求められる文学なのではないか。」と評した[6]。
一方、第167回芥川賞・第36回三島賞の候補作となったが、受賞はならなかった[7]。
出典
[編集]- ^ “芥川賞はどうなる? 文學界新人賞を満場一致で受賞した年森瑛インタビュー「私は正確に書き起こす機械でいたい」”. リアルサウンド (2022年7月20日). 2022年10月14日閲覧。
- ^ “「尊重」「配慮」がひとり歩きする社会のしんどさを描く…芥川賞候補作”. 文春オンライン (2022年6月30日). 2022年10月14日閲覧。
- ^ “N/A【第127回文學界新人賞受賞作】”. 文藝春秋 (2022年4月12日). 2022年10月14日閲覧。
- ^ “【6/22(水)発売】雑誌掲載時から大注目! 文學界新人賞受賞作・年森瑛『N/A』単行本発売決定”. 文藝春秋 (2022年6月13日). 2022年10月14日閲覧。
- ^ “【文學界新人賞受賞作『N/A』】選考会で異例の満場一致!”. ダ・ヴィンチ (2022年6月24日). 2022年10月14日閲覧。
- ^ 『N/A』作品紹介
- ^ “候補作すべて女性の芥川賞は高瀬隼子さん、5作のうち4作が女性の直木賞は窪美澄さん”. 読売新聞オンライン (2022年7月20日). 2022年10月14日閲覧。