エニグマ (ミュージシャン)
エニグマ ENIGMA | |
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出身地 | ドイツ |
ジャンル | ニューエイジ、電子音楽 |
活動期間 | 1990年 - |
レーベル |
ヴァージン・レコード EMI Charisma |
公式サイト |
www |
メンバー | Micheal Cretu |
旧メンバー |
David Fairstein Frank Peterson Sandra Cretu Louisa Stanley Peter Cornelius Jens Gad Andreas Harde Todd Alan Peleg Ruth-Ann Boyle Elizabeth Houghton Margarita Roig Nanuk Sebastian Cretu Nikita Cretu Andru Donalds |
著名使用楽器 | |
Korg M1 Alchemist Merlin |
Enigma(エニグマ)はドイツを活動拠点とするヨーロッパの音楽プロジェクトの名前。1990年にマイケル(ミヒャエル)・クレトゥと元アラベスクのサンドラ・アン・ラウアー (現・サンドラ・クレトゥ〔Sandra Cretu〕、マイケル・クレトゥの元妻)を中心に結成された。
中心人物のクレトゥは1957年にルーマニアのブカレストで生まれている。ブカレスト、パリ、フランクフルト・アム・マインでクラシック音楽を学び、1970年代後半にセッション・ミュージシャン(担当はキーボード)として活動を始めた。サンドラと出会ったのもアラベスクのツアーにクレトゥが参加したのがきっかけである。1979年にはアルバム『Moon, Light & Flowers』でソロ・デビューを果たしている。
概要
[編集]民族音楽やグレゴリオ聖歌(グレゴリアン・チャント)、カンタータなどの古典音楽とダンスビートを緻密なサウンド・プロダクションで融合したサウンドで、世界的にヒットした。世界的に大きな影響を及ぼし、模倣とも思われる作品も続出した。一般的には、後のディープ・フォレストやアディエマスのような、いわゆる「ヒーリング・ミュージック」の先駆者として語られることが多い。膨大な音素材を劣化なく迅速に合成する必要があるため、活動当初からハードディスクレコーディングを導入している。
略歴
[編集]1990年暮れ、ヴァージン・レコードからシングル「サッドネス・パート1」でデビュー。翌1991年初頭には本国ドイツを始めヨーロッパ各国でヒットし、2月にはアメリカでも発売され、4月にはトップ5入りを果たす。また、この年に発売された1stアルバム『サッドネス・永遠の謎(MCMXC a.D.)』もヒットした。同作品の世界的なヒットにより、全面に使用されたグレゴリオ聖歌が再び脚光を浴びるという波及効果をもたらしている。
1993年、パラマウント映画『硝子の塔(Sliver)』(主演=シャロン・ストーン)のフィリップ・ノイス監督より同映画への音楽を依頼され、2曲の新曲と前作アルバムの1曲を提供した。その新曲の1曲である「カーリーの歌(Carly's song)」は、更に改訂されて「エイジ・オブ・ロンリネス(カーリーの歌)(Age Of Lonliness (Carly's song))」と改題され、翌1994年にリリースされた2ndアルバム『エニグマ2 ザ・クロス・オブ・チェンジス (The Cross of Changes)』に収録された。なお、同アルバムからは「リターン・トゥ・イノセンス(Return To Innocence)」がシングル・カットされ、1996年夏季オリンピックのテーマソングとして使用され、エニグマの代表曲のひとつとされている。
この『リターン・トゥ・イノセンス』については、サンプリング元の音源になった台湾アミ族の歌い手であるDifang(郭英男)らに、1998年、音源の無断使用につき訴訟を提訴されたが、のち和解金の支払いと更なるリリースについてはDifangらをクレジットする(ロイヤリティ含む)ことで和解している。この件についてクレトゥは、録音の時点では、パブリックドメインに属する音源と信じていたという趣旨の弁解をしている。またこの一件を機に、それまでワールドミュージックのひとつとして認識されていた「台湾原住民」の音楽が広く知られることとなった。
1995年、3rdアルバム『エニグマ3 (Le Roi Est Mort, Vive Le Roi!)』をリリースした後、サンドラの出産に伴い一時活動を休止した。2000年、カール・オルフの『カルミナ・ブラーナ』をサンプリングした『ザ・スクリーン・ビハインド・ザ・ミラー(The Screen Behind the Mirror)』で活動を再開。以後『ボヤジュール(Voyageur)』、『ア・ポウステリオーリ(A Posteriori)』、『七つの命、無数の顔(Seven Lives Many Faces)』と、2~3年に1作ペースでアルバムをリリースしている。
『ア・ポウステリオーリ』と『七つの命、無数の顔』はヨーロッパではDVD版もリリースされ(後者についてはw:en:Seven Lives Many Faces#DVD release参照)、DVD版『七つの命、無数の顔』では、DVD版『ア・ポウステリオーリ』の一曲「ジ・アルケミスト(The Alchemist)」で試験的に用いられた5.1chサラウンドを導入している。
「サッドネス・永遠の謎」の時点では、エニグマという音楽プロジェクトの正体は告知されていなかったが、「ザ・クロス・オブ・チェンジス」「エニグマ3」のCDライナー・ノーツにおいて、クレトゥ(サンプリング、ボーカル。「ザ・クロス・オブ・チェンジス」では「Carly M.C.」名義)を中心に、サンドラ(メイン・ボーカル、「ザ・クロス・オブ・チェンジス」では「Sandra」名義)、ルイーザ・スタンレイ(メイン・ボーカル)、ピーター・コーネリウス(ギター)、イェンズ・ガート(ギター。サンドラのソロプロジェクトにも参加)らの参加が明らかにされた(「ザ・クロス・オブ・チェンジス」の日本版ライナーでは他にもフランク・ピーターソン、トーマス・シュワルツ、マイケル・ウェアー等が参加している(らしい)事が記載された)。「エニグマ3」からはアンドルー・ドナルズ(ボーカル)、ルース・アン(イギリスのアンビエントポップスバンド、"Olive"のボーカリスト)がゲスト扱いながら毎回参加している。「ア・ポウステリオーリ」以降はマイケル・クレトゥのソロプロジェクト色が一層強まり、ゲストの参加もかなり少なくなっている。
一度ライブを計画していたものの、準備に二年間掛かることが判り、それだけの期間があるのであればエニグマのレコーディングに費やした方が得策だとして、結局実現しなかった。
中心人物であるマイケル・クレトゥは音楽のダウンロードによる販売に対して前向きであり、「森林や石油資源等の保護にも繋がる」とコメントしている。日本におけるダウンロード販売はiTunes Storeとmoraを通して行なわれており、特に『ザ・スクリーン・ビハインド・ザ・ミラー』はmoraでしか購入できない。
日本国内では「Sadeness」はテレビ朝日で1991年頃に放送されていたドラマ「不思議な幻燈館」に、2ndアルバムの収録曲「Age of Loneliness」は三菱・ギャランのCM (1994年)、「Beyond The Invisible」はトヨタ・ランドクルーザー PRADO (J90系、1998年)など、1990年代のCMやドラマVTRのBGMに使用されていた。
海外ではアメリカ・CBSテレビで放送されていたドラマ「コールドケース」でも使用された[1]。
2010年に「MMX(The Social Song)」をリリースした以降は大きな動きがなかったエニグマだったが、2016年夏頃に約8年ぶりに最新のアルバムが発売すると発表、2016年11月4日にヨーロッパで、 日本では11月11日に「フォール・オブ・ア・レベル・エンジェル(堕ちた反逆の天使) (The Fall Of a Rebel Angel)」がリリースされた。アルバムにはミヒャエル・クンツェやアングンらが参加している。日本ではEMIがユニバーサルの傘下になったこともあり、今作ではユニバーサルミュージックジャパンからのリリースとなった。
ディスコグラフィ
[編集]アルバム
[編集]年 | タイトル | アルバム詳細 | チャート最高位 | 認定 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
GER [2] |
AUS [3] |
AUT [4] |
FRA [5] |
NLD [6] |
NOR [7] |
SWE [8] |
SWI [9] |
UK [10] |
US [11] |
||||
1990 | MCMXC a.D. | 3 | 2 | 3 | 1 | 7 | 4 | 3 | 2 | 1 | 6 | ||
1993 | The Cross of Changes |
|
5 | 2 | 5 | 9 | 7 | 5 | 3 | 4 | 1 | 9 | |
1996 | Le Roi Est Mort, Vive Le Roi! |
|
3 | 10 | 4 | 8 | 6 | 1 | 8 | 4 | 12 | 25 | |
2000 | The Screen Behind the Mirror |
|
2 | 44 | 6 | 16 | 4 | 2 | 7 | 4 | 7 | 33 | |
2003 | Voyageur |
|
6 | — | 19 | 32 | 13 | — | 31 | 29 | 46 | 94 | |
2006 | A Posteriori |
|
16 | — | 17 | 98 | 8 | — | — | 24 | — | 95 | |
2008 | Seven Lives Many Faces |
|
15 | — | 30 | 93 | 22 | — | — | 18 | 116 | 92 | |
2016 | The Fall of a Rebel Angel |
|
10 | 73 | 24 | 71 | 29 | — | — | 19 | 40 | 122 | |
"—"は未発売またはチャート圏外を意味する。 |
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ Sadenessは「コールドケース」シーズン2第5話、「ブレスレット」 時代設定は1991年、 Return To Innocenceはコールドケースシーズン3第15話、「教会」時代設定は1998年
- ^ “Charts.de: Enigma (albums)”. Media Control Charts. Charts.de. 2012年12月28日閲覧。
- ^ Australian (ARIA Chart) peaks:
- Top 50 peaks: “Australian-charts.com: Enigma”. Hung Medien. 2013年10月2日閲覧。
- Top 100 peaks to December 2010: Ryan, Gavin (2011). Australia's Music Charts 1988–2010. Mt. Martha, VIC, Australia: Moonlight Publishing
- "The Eyes of Truth": “The ARIA Australian Top 100 Singles Chart – Week Ending 24 Jul 1994”. ARIA. 2016年3月9日閲覧。
- "Age of Loneliness": “The ARIA Australian Top 100 Singles Chart – Week Ending 02 October 1994”. ARIA. 2016年3月20日閲覧。
- "Out from the Deep": “Response from ARIA re: chart inquiry, received 12 July 2016”. Imgur.com. 2016年7月12日閲覧。
- The Fall of a Rebel Angel: “ARIA CHART WATCH #395”. auspOp (2016年11月19日). 2016年11月19日閲覧。
- ^ “Austriancharts.at: Enigma”. Hung Medien. 2013年10月2日閲覧。
- ^ French peak positions for albums:
- For MCMXC a.D. and The Cross of Changes: “Le Détail des Albums de chaque Artiste”. Infodisc.fr. 2012年2月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月28日閲覧。
- For Le Roi Est Mort, Vive Le Roi!, The Screen Behind the Mirror, Voyageur, A Posteriori, Seven Lives Many Faces:“Artiste Enigma: French album-positions to Enigma”. Hung Medien. 2010年8月12日閲覧。
- ^ “GfK Dutch Charts: Enigma”. Hung Medien. 2013年10月2日閲覧。
- ^ “Norwegiancharts.com: Enigma”. Hung Medien. 2013年10月2日閲覧。
- ^ “Swedishcharts.com: Enigma”. Hung Medien. 2013年10月2日閲覧。
- ^ “Artist Enigma: Swiss album-positions to Enigma”. Hung Medien. 2010年8月12日閲覧。
- ^
- For all albums except where noted: “Official Charts Company: Enigma (Singles/Albums)”. Official Charts Company. 2013年10月2日閲覧。
- For Seven Lives Many Faces: “Official Charts Analysis: Olly Murs fifth album debuts at No.1”. Music Week. 18 November 2016閲覧。
- ^ “Enigma: Billboard 200”. Billboard. 2010年8月12日閲覧。
- ^ “Catalog Albums”. Billboard (1997年4月19日). 22 August 2012閲覧。
- ^ “Biography E3 Le Roi Est Mort, Vive Le Roi! (1996)”. enigmaspace. 6 March 2011閲覧。
- ^ a b c d "Gold-/Platin-Datenbank (Enigma)" (German). Bundesverband Musikindustrie. 2010年8月12日閲覧。
- ^ a b c Ryan, Gavin (2011). Australia's Music Charts 1988–2010. Mt. Martha, VIC, Australia: Moonlight Publishing
- ^ a b c “Gold & Platin”. International Federation of the Phonographic Industry (Austria). 2011年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月12日閲覧。
- ^ a b c “Les Certifications depuis 1973”. infodisc.fr. 2010年6月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月12日閲覧。
- ^ a b “Sweden's certification-database 1987-1998”. International Federation of the Phonographic Industry (Sweden). June 16, 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月2日閲覧。
- ^ a b c d “Hitparade.ch: Edelmetall (Enigma)”. International Federation of the Phonographic Industry (Switzerland). 2013年10月2日閲覧。
- ^ a b c d “BPI: Certified Awards Search”. British Phonographic Industry. 2014年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月2日閲覧。
- ^ a b c d e f g “Search Results: Enigma”. RIAA. 2010年8月12日閲覧。
- ^ “ÅR 2000”. International Federation of the Phonographic Industry (Sweden). June 16, 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月2日閲覧。
- ^ “Upcoming Releases”. 'Hits Daily Double'. HITS Digital Ventures. 28 September 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。28 September 2016閲覧。
外部リンク
[編集]- 公式サイト(英・独語)
- Enigma Planet - MySpace
- Enigma Music TV (Official Enigma YouTube Channel)
- Crocodile-Music.de (Official Enigma management website)
- ENIGMA - Discogs