コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

MODEL2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

MODEL2(モデルツー)は1993年セガによって開発されたアーケードゲームシステム基板である。

概要

[編集]

MODEL1と同じく、セガと米国マーティン・マリエッタが共同で開発した。リアルタイム3DCGの黎明期のハードだったため当時としては非常に高価だった。

MODEL1の後継機という位置付けではあるが、完全な新規設計によりMODEL1との構造的な共通点はない。メインCPUにインテルi960。描画プロセッサは富士通のMB86234。MODEL1と同様、音源制御にMC68000を採用。28チャンネルのPCM音源を搭載する。

MODEL2のレンダリング機能はMODEL1にも実装されたフラットシェーディングと、限定的ではあるがテクスチャマッピング機能が追加された。1枚のテクスチャあたり使用可能な色数は1色のみで、同一テクスチャ内では、それを16階調のトーンのみで表現するという非常に限定的な仕様であったため、色の境界でポリゴンを分割しなければならなかった[1]。また、半透明なテクスチャが扱えず、メッシュによる表現で代替せざるを得なかった。しかし、ゲーム開発にあたっては、デザイナーの工夫(高精細なモデルをテクスチャに落とし込む)によってMODEL1では不可能だったリアルな質感表現を実現し、MODEL1のゲームと比べキャラクターモデルあたりのポリゴン数を減じる事も可能となった。

描画能力も約30万ポリゴン/秒と、MODEL1から見てもほぼ倍に増えた。その性能向上分は1秒あたりの描画フレーム数を増やすという方向で使われ、MODEL1より滑らかな動きのリアルタイムCGを表現することに成功した。第一弾タイトルの『デイトナUSA』では、60fpsで描画しているにもかかわらず最大で40台ものストックカーがサーキット上を同時に走ることが可能となっている。

MODEL2は、MODEL2/2A/2B/2Cの4つのバージョンが存在するが、それぞれ互換性はない(一部のタイトルは、2A用と2B用にリリースされたが、セキュリティICに互換性が無いので、ROMキットは各バージョン専用となっている)。 初代のMODEL2のみ、MODEL1同様にサウンド機能は別基板となっており、MODEL1のサウンドボードをそのまま流用していたが、2A以降はサウンド機能が統合された。2A/2B/2Cの違いは、設計の効率化と、周辺DSPの高速化が主体である。

部品調達難に伴い、2017年3月31日を以って修理サポートが終了した[2]

主なスペック

[編集]
CPU
Intel i960(32bitRISC) @ 25MHz
数値演算
DSP(32bit) @ 50MHz
3Dマトリックス・軸回転・浮動小数点演算機能搭載
RAM
1MB + 128KB(ROM:90MB)
VRAM
5,984 KB (Model 2/2A-CRX)
14,596 KB (Model 2B/2C-CRX)
3Dグラフィックエンジン
最大300,000ポリゴン/秒(色付きグレースケールテクスチャーマッピング可)
パースペクティブテクスチャーマッピング・フラットシェーディング機能搭載
鏡面・拡散反射モード内蔵
発色数
65,536色 1,024カラーパレット(16,777,216色中)
スクロール:32,768色(2面)
ウインドウ:32,768色(2面)
共に水平方向ラインスクロール可能
解像度
496(H) x 384(V) 水平周波数24kHz
その他
通信機能拡張、MIDIによるサウンド通信

対応タイトル

[編集]
  • 特記が無い場合、開発元と発売元はセガ。
  • ◎は、専用筐体と専用デバイスがそれぞれ必要となるタイトル。

MODEL2基板

[編集]

MODEL2A基板

[編集]

MODEL2B基板

[編集]

MODEL2A/B両方

[編集]

ROMキットに互換性は無いので注意が必要。

MODEL2C基板

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ GE Aerospace社が1992年、マーティンマリエッタに吸収されたもの。後に、ロッキードとの合併により、民需向けに特化、Real 3Dと改名した。1999年にインテルに売却され、解散した。

出典

[編集]

参考文献

[編集]
  • セガ・アーケード・ヒストリー, エンターブレイン, (2002) 

関連項目

[編集]