MICRO CADAM
MICRO CADAM(マイクロ キャダム)とは、日本で開発、サポートされている機械系2D CADソフト。
概要
[編集]キャダムサービス株式会社がメインフレーム用CADAMの機能をパソコン(IBMマルチステーション5550)へ移植することからスタートした。最初のバージョンは1985年に日本アイ・ビー・エムから販売され、1988年には富士通からも販売された。日本の製造業で多く採用され、2000年時点で約7万5千本(日本国内約6万5千本)の出荷実績があった。ワールドワイドでの製品サポートは2001年に終了したが、その後も日本のユーザの要望を反映して発展を続け、現在のソフトウェア・サブスクリプション&サポートサービス形態での提供に至っている。
開発元
[編集]株式会社CAD SOLUTIONS(略称:CAD'S)
- 設立:平成28年1月、本社所在地:東京都中央区日本橋箱崎町5-14-6F
歴史
[編集]- 1984年4月 - 米国CADAM.Inc[1]と川崎重工業株式会社の合弁会社としてキャダム・サービス株式会社(CSC)が設立され、メインフレーム版CADAMの導入支援をするとともにPC版CADAMの開発に着手。
- 1985年9月 - 日本アイ・ビー・エムよりMICRO CADAM発表。以降は、その開発・販売サポートが主力となった。
- 1988年7月 - 社名をキャダムシステム株式会社(CSC)に変更。
- 1989年11月- 米国CADAM.IncがIBMに売却され、一方の株主は米IBMに代わった。
- 1990年6月 - OS/2版MICRO CADAM(MC/2)発売。
- 1991年10月 - EWS版MICRO CADAM(MC-X)発売。
- 1993年 - DOS/V版MICRO CADAM(MC/V)発売。
- 1995年11月 - Windows版MICRO CADAM(MC/W)発売。
- 1997年7月 - MICRO CADAM Helix V4R1(Design & Modeling、Design & Drafting)発売。[2]
- 2000年6月 - IBMおよびダッソー・システムズ社と、CATIA V5との製品統合・販売・ソリューションサービス提供に関する提携に合意。[3]
- 2000年9月 - IBMグループの100%子会社となる。[4]
- 2001年7月 - MICRO CADAM Helix Design & Drafting V5R2 発売。
- 2002年4月 - マイクロキャダム・ヒーリックス・サポート(MCHS)サービス開始。
- 2004年1月 - 日本アイビーエム株式会社の別子会社(エンサイクロソフト株式会社)と合併して、日本アイビーエム・アプリケーション・ソリューション株式会社(IASC)となる。[5]
- 2010年8月 - 日本アイビーエム・アプリケーション・ソリューション株式会社(IASC)は、日本アイ・ビー・エム・サービス株式会社(ISC-J)に統合。MICRO CADAMの開発・サポートはそのまま引き継がれた。
- 2012年10月 - MICRO CADAM Helix Design & Drafting V5R2の後継として、MICRO CADAM Helix 2013を発表/リリース。この後継リリースでは、従来のハードウエアーによるライセンス提供から年間ライセンスの方式に変更し、それに伴って価格も改定された。
- 2016年4月 - 株式会社CAD SOLUTIONS(株式会社アルゴグラフィックスの100パーセント子会社)が、日本アイ・ビー・エム・サービス株式会社(ISC-J)から、MICRO CADAM事業を引き継ぐと共に、ISC-JでMICRO CADAMの開発・サービスに従事していた開発者、営業スタッフ全員も、CAD’S社に移り、引き続き当該製品の販売、保守サービスに従事するとなった。[6]
- 尚、MICRO CADAMのコピーライトは、下記のとおり両社併記となった。
- © Copyright IBM Corp. 2002,2016 All rights reserved.
- © Copyright CAD SOLUTIONS Inc. 2016 All rights reserved.
製品体系
[編集]ベースモジュール
[編集]MICRO CADAM Helix 20xx( "20xx" の部分は西暦年、最新(2023年5月現在)は MICRO CADAM Helix 2023 )
- MICRO CADAM Helix Design & Drafting V5R2(5617-CZA) の後継リリース
- ライセンス体系は、PLC(Primary Licence Charge:初期料金) とALC (Annual Licence Charge:年額料金) となる。
- ALCを継続されている期間中は、最新モジュールのライセンスの提供及び後述のサポートサービスと同等のサービスが受けられる。
- ALCを休止するとベースモジュールは使えなくなる(再加入により再び利用可能)。
- ネットワーク環境で利用するには別途サーバモジュール(ファイルサーバ/プリントサーバの機能を持ったモジュール)が必要。
関連製品(ハード含む)
[編集]MICRO CADAM Helixファミリー製品としてプリンタードライバー、データバックアップツール、あるいはファンクションキーボードなど。
- これらの製品はいずれも、後述のサポートサービス(MCHS)に加入することで利用可能。
サポートサービス(MCHS)
[編集]MCHSとは、MICRO CADAM Helix Support(マイクロキャダム・ヒーリックス・サポート)の略称で、マイクロキャダムのユーザに対して、新たに、契約ベースで 提供するソフトウェア・サブスクリプション&サポート。 加入対象は、MICRO CADAM Helix Design & Drafting V5R2あるいはそれ以前のバージョンで、目的は、最新のOS環境に対応したメンテナンス・バージョンの 提供 及び WEB経由でのQ&A,不具合などへの対応。
- 提供開始 2002年4月から MCHSサポートサービスについて
MCH支援サービスのメリット
[編集]https://www.cad-solutions.co.jp/micro-cadam-helix/summary0/
- 64ビット Nativeモードで利用できるモジュールの提供
- シンクライアント環境への対応
- グローバルコミュニケーション対応(日本語環境で、中国語などでの注記の作成)
- 3D製品との連携(CATIA,SOLIDWORKS,SpaceClaim)
- Windows 11の環境のサポート
- iPhone/iPad対応のViewerの無償提供
主な稼働OS
[編集]バージョン履歴
[編集]バージョン | リリース | 備考 |
---|---|---|
1.x | 1985年9月 | DOS版 V1.9まで |
2.x | 1990年6月 | OS/2、UNIX版 V2.3まで |
3.1x | 1995年11月 | Windows版を追加 V3.18Bまで |
Helix V4R1 | 1997年7月 | 2次元/3次元統合設計環境、新GUIの採用 |
Helix V4R2 | 1998年5月 | |
Helix V4R3 | 1999年7月 | |
Helix V5R1 | 2000年8月 | 2次元設計環境 |
Helix V5R2 | 2001年7月 |
脚注
[編集]- ^ 当時、ロッキード社の子会社でCADAMの開発・サポートを担当。
- ^ 新生「MICRO CADAM(R) Helix V4.1」も同時発売, 富士通 2017年4月20日閲覧。
- ^ キャダムシステム、IBM、ダッソー・システムズ 日本市場に対する戦略的提携に合意, 日本アイ・ビー・エム株式会社 2017年3月18日閲覧。
- ^ キャダムシステム株式会社の株式譲渡契約締結について, 日本アイ・ビー・エム株式会社 2017年3月11日閲覧。
- ^ 日本IBM、子会社2社を統合して新会社IASCを設立, 株式会社インプレス 2017年3月25日閲覧。
- ^ MICRO CADAM事業をCAD SOLUTIONSに承継, 日本アイ・ビー・エム株式会社 2017年4月20日閲覧。