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エスポラ級コルベット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
MEKO 140型フリゲートから転送)
エスポラ級コルベット
基本情報
種別 コルベット (フリゲート)
建造所 アルゼンチンの旗リオ・サンチアーゴ造船所
運用者  アルゼンチン海軍
就役期間 1985年 - 現在
建造数 6隻
前級 ドゥルモン級
要目
基準排水量 1,560トン
満載排水量 1,790トン
全長 91.2 m
最大幅 11.0 m
吃水 3.33 m
主機 SEMT ピルスティク16PC2-5 V400ディーゼルエンジン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
速力 27ノット
航続距離 4,000海里 (18kt巡航時)
乗員 士官11名+下士官46名+兵36名
兵装
搭載機 フェニック哨戒ヘリコプター×1機
C4ISTAR DAISY戦術情報処理装置
レーダー
  • DA-05 対空・対水上捜索用
  • WM-28 目標捕捉・火器管制用
  • デッカTM 1226 航法用
ソナー ASO-4 船底装備式
電子戦
対抗手段
  • RDC-2ABC電波探知装置
  • RCM-2電波妨害装置
  • DAGAIEデコイ発射機×2基
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エスポラ級コルベットは、アルゼンチン海軍コルベットの艦級。西ドイツブローム・ウント・フォス(B+V)社のMEKO 140型フリゲートの設計を採用しており、ジェーン海軍年鑑やアメリカ海軍協会(USNI)ではフリゲートとして類別している[1][2][3]

設計

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本級は、ポルトガル海軍ジョアン・コーチニョ級コルベットを参考に[1]MEKO 360型フリゲートをスケールダウンした設計となっており[注 1][2]、B+V社の呼称としてはMEKO 140 A16とされる[3]。MEKO 360型と同様の中央船楼型船型やモジュール設計が踏襲されており、装備の換装・更新が容易になっている[1]。ただしデッドスペースの発生が避けられないモジュール設計を適用するには船型過小であり、ベストセラーを多く輩出してきたMEKO型としては珍しく、本級以外には採用国は現れなかった[4]

主機としてはSEMT ピルスティク16PC2-5 V400ディーゼルエンジン2基を搭載し、5翼式のスクリュープロペラを駆動する方式とされた[2]電源としては、出力470キロボルトアンペアのディーゼル発電機3基を搭載した。行動用燃料として230トン、航空燃料5トン、清水70トンを搭載できる。なお小型の艦型で航空運用能力を確保するため、フィンスタビライザーを備えている[3]

装備

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全艦がDAISY戦術情報処理装置を搭載するほか、5番艦は国産の指揮システムも搭載する。艦橋上の前檣にはWM-28火器管制レーダーが設置されており、これには目標捕捉機能も付加されている[3]。またその前面には航法レーダーが設置された。一方、煙突の排気口間には背の低い後檣が設けられ、対空・対水上捜索用のDA-05が設置された。ソナーとしてはASO-4を搭載する[2]

船首甲板に62口径76mm単装速射砲(76mmコンパット砲)、また船首楼甲板前端部および船尾甲板に70口径40mm連装機銃を1基ずつ設置した。機銃方位盤として、後部上部構造物にLIROD射撃指揮装置が設置されており、2009年には国産技術によるアップデートが行われた。また必要に応じて12.7mm機銃が増備される。後部機銃の直前には、エグゾセMM38艦対艦ミサイル単装発射筒4基が設置されている。また船首楼甲板後部両舷には324mm3連装魚雷発射管(ILAS-3)が設置されており、A244S短魚雷を発射する[2][3]

船楼甲板後端部はヘリコプター甲板とされており、また後期建造分3隻では、上部構造物後端部に伸縮式の格納庫が追加されている。艦載機としては、リンクス哨戒ヘリコプターの運用も可能とされているが、実際にはアルエットIIIが搭載された[1]。これは2010年に運用を終了しており、以後はAS.355MNフェニックが搭載されている[3]

同型艦

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一覧表

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# 艦名 起工 就役
P-41 エスポラ
ARA Espora
1980年3月 1985年7月
P-42 ロセール
ARA Rosales
1981年1月 1986年11月
P-43 スピロ
ARA Spiro
1982年4月 1987年11月
P-44 パーカー
ARA Parker
1982年2月 1990年4月
P-45 ロビンソン
ARA Robinson
1983年6月 2000年8月
P-46 ゴメス・ロカ
ARA Gómez Roca
1983年12月 2004年5月

運用史

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発注は1979年8月1日に行われ、全艦がリオ・サンチアーゴ造船所で建造された。なお4番艦は、進水後の1986年10月2日に浸水事故を起こし、竣工の遅れにつながった。また1992年、最終2隻の艤装は中断され[3]、そのまま廃棄処分とする予定とされた[2]。しかし1997年5月8日、建造を再開する決定が下され、7月18日、工事再開の行事が開催された。その後、2000年と2004年に順次に就役した[3]

全艦がプエルト・ベルグラノ海軍基地を母港とし、第2フリゲート戦隊を編成している。通常は外洋哨戒・漁業監視にあたっているが、2・3番艦は1990年から1991年にかけてペルシャ湾に派遣された[2]

脚注

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注釈

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  1. ^ MEKO 360型はアルゼンチン海軍も1978年に発注しており、1983年よりアルミランテ・ブラウン級駆逐艦として就役を開始した[1]

出典

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  1. ^ a b c d e Gardiner 1996, pp. 9–10.
  2. ^ a b c d e f g Saunders 2009, p. 15.
  3. ^ a b c d e f g h Wertheim 2013, pp. 10–11.
  4. ^ 海人社 2002.

参考文献

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  • Gardiner, Robert (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. ISBN 978-1557501325 
  • Saunders, Stephen (2009). Jane's Fighting Ships 2009-2010. Janes Information Group. ISBN 978-0710628886 
  • Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545 
  • 藤木, 平八郎「第1艦誕生から20年 MEKO型フリゲイトの系譜」『世界の艦船』第598号、海人社、2002年7月、69-73頁、NAID 40002156380 
  • 海人社(編)「世界のMEKO型フリゲイト 現有全タイプ」『世界の艦船』第598号、海人社、2002年7月、35-45頁、NAID 40002156375 

外部リンク

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