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KCNA1

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
KCNA1
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

2AFL

識別子
記号KCNA1, AEMK, EA1, HBK1, HUK1, KV1.1, MBK1, MK1, RBK1, potassium voltage-gated channel subfamily A member 1
外部IDOMIM: 176260 MGI: 96654 HomoloGene: 183 GeneCards: KCNA1
遺伝子の位置 (ヒト)
12番染色体 (ヒト)
染色体12番染色体 (ヒト)[1]
12番染色体 (ヒト)
KCNA1遺伝子の位置
KCNA1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点4,909,905 bp[1]
終点4,918,256 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
6番染色体 (マウス)
染色体6番染色体 (マウス)[2]
6番染色体 (マウス)
KCNA1遺伝子の位置
KCNA1遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点126,617,360 bp[2]
終点126,623,347 bp[2]
遺伝子オントロジー
分子機能 potassium channel activity
delayed rectifier potassium channel activity
voltage-gated ion channel activity
potassium ion transmembrane transporter activity
イオンチャネル活性
血漿タンパク結合
voltage-gated potassium channel activity
disordered domain specific binding
voltage-gated ion channel activity involved in regulation of presynaptic membrane potential
voltage-gated ion channel activity involved in regulation of postsynaptic membrane potential
細胞の構成要素 axon terminus
juxtaparanode region of axon
integral component of membrane
細胞質基質
細胞体
cell projection

細胞膜
シナプス
integral component of plasma membrane
cell surface
細胞結合
soma
樹状突起
神経繊維
potassium channel complex
apical plasma membrane
小胞体
paranode region of axon
presynaptic membrane
cytoplasmic vesicle
voltage-gated potassium channel complex
ヘルト萼状シナプス
glutamatergic synapse
integral component of postsynaptic membrane
integral component of presynaptic membrane
生物学的プロセス regulation of muscle contraction
detection of mechanical stimulus involved in sensory perception of pain
cellular response to magnesium ion
驚愕反応
膜電位の制御
cell communication by electrical coupling
neuronal signal transduction
regulation of ion transmembrane transport
イオン輸送
magnesium ion homeostasis
potassium ion transport
脳発生
neuromuscular process
膜貫通輸送
potassium ion transmembrane transport
neuroblast proliferation
detection of mechanical stimulus involved in sensory perception of touch
protein homooligomerization
海馬発生
神経活動電位
化学的シナプス伝達
positive regulation of voltage-gated potassium channel activity
regulation of postsynaptic membrane potential
regulation of presynaptic membrane potential
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_000217

NM_010595

RefSeq
(タンパク質)

NP_000208

NP_034725

場所
(UCSC)
Chr 12: 4.91 – 4.92 MbChr 12: 126.62 – 126.62 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス

KCNA1(potassium voltage-gated channel subfamily A member 1)もしくはKv1.1は、ヒトではKCNA1遺伝子にコードされるShaker英語版電位依存性カリウムチャネル英語版である[5][6][7]アイザックス症候群は、Kv1.1イオンチャネルに対する自己免疫反応によって引き起こされる[8]

遺伝子

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KCNA1遺伝子は12番染色体英語版短腕(12p13.32)に位置する。この遺伝子の長さは8,348塩基対で、495アミノ酸(予測分子量56,466)からなるタンパク質をコードする。

構造

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Kv1.1カリウムチャネルの各サブユニットは6つの膜貫通領域(S1からS6)を持ち、S5とS6の間のループがチャネルの透過孔を形成すると考えられている。この領域には保存された選択性フィルターモチーフも含まれている。機能的なチャネルはホモ四量体である。タンパク質のN末端はβサブユニットと結合している。βサブユニットはチャネルの不活性化や細胞膜への発現を調節している。C末端は、チャネルの標的化に関与するPDZドメイン含有タンパク質と結合している[9][10]

機能

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Kv1.1チャネルはカリウム選択性チャネルとして機能し、電気化学的勾配に従ってカリウムイオンが透過する。これらのチャネルは膜の再分極化に関与している[9]

RNA編集

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このタンパク質のpre-mRNAアデニン(A)からイノシン(I)へのRNA編集を受ける[11]

編集を受ける部位は、タンパク質の400番残基に相当する部位である。この残基は6番目の膜貫通領域、透過孔のinner vestibuleと呼ばれる領域に位置している。RNA編集は、pre-mRNAのこの部分でのステムループ構造の形成によって媒介される。この部位(I/V部位)を選択的に編集する酵素はADAR2英語版である可能性が高い。編集によってコドンはATTからGTTに変化し、コードされるアミノ酸はイソロイシン(I)からバリン(V)に変化する。mFOLDプログラムによって編集に最低限必要な領域が予測されており、不完全な逆向き反復配列がヘアピン構造を形成すると考えられている。この領域は114塩基対から構成される。同様の領域は、マウスやラットでも同定されている。編集を受けるアデノシンは6塩基対の二本鎖領域内に位置する。この6塩基対二本鎖領域近傍の変異実験により、編集が行われるために必要不可欠な塩基が同定されている。この領域は、エクソン配列のみによって形成されるヘアピン構造であるという点で他のものとは異なっている。AからIへの編集が起こるために必要な相補的配列(editing complementary sequence、ECS)は、イントロンに位置しているものが大部分である[11]

編集はイカ、ショウジョウバエ、マウス、ラットで観察されており、高度に保存されている[11]

編集頻度は組織によって異なり、尾状核では17%、脊髄では68%、延髄では77%である[12]

影響

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編集によって、編集部位のアミノ酸はイソロイシンからバリンに変化する。この部位はチャネルの高度に保存されたイオン透過孔に位置しており、チャネルの速い不活性化過程に影響を及ぼしている可能性がある[13]

電位依存性カリウムチャネルは、電位に応答してカリウム選択性透過孔を開閉することで興奮性を調節する。カリウムイオンの流れは、不活性化を担う領域との相互作用によって妨げられる。ヒトのKv1.1チャネルではこうした相互作用は補助タンパク質によって担われているが、他の種ではチャネル内の部分によって行われている。IからVへの変化は不活性化領域と透過孔の内壁との相互作用を妨げると考えられている。その結果、速い不活性化過程が妨げられる。活性化の速度論はRNA編集の影響を受けない[11]。不活性化の速度論的変化は、活動電位の持続と頻度に影響を与える。編集を受けたチャネルは不活性化領域がイオン透過孔と相互作用できないため、未編集型と比較してより多くの電流を流し、活動電位は低くなる。このことは電気生理学的解析によって明らかにされている[14]。膜の脱分極の持続時間は減少し、神経伝達物質の放出効率も低下する[12]。編集はチャネルを構成する四量体のいずれにも生じうるため、チャネルの不活性化には広い範囲の影響が生じる場合がある。

速い不活性化過程の変化は、行動的・神経学的影響を及ぼすことが知られている[11]

出典

[編集]
  1. ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000111262 - Ensembl, May 2017
  2. ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000047976 - Ensembl, May 2017
  3. ^ Human PubMed Reference:
  4. ^ Mouse PubMed Reference:
  5. ^ “Molecular cloning, characterization, and genomic localization of a human potassium channel gene”. Genomics 12 (4): 729–37. (1992). doi:10.1016/0888-7543(92)90302-9. PMID 1349297. 
  6. ^ “Characterization of a voltage-activated K-channel gene cluster on human chromosome 12p13”. Recept. Channels 3 (3): 213–20. (1995). PMID 8821794. 
  7. ^ “International Union of Pharmacology. LIII. Nomenclature and molecular relationships of voltage-gated potassium channels”. Pharmacol. Rev. 57 (4): 473–508. (2005). doi:10.1124/pr.57.4.10. PMID 16382104. 
  8. ^ Newsom-Davis J (1997). “Autoimmune neuromyotonia (Isaacs' syndrome): an antibody-mediated potassium channelopathy”. Ann. N. Y. Acad. Sci. 835 (1): 111–9. Bibcode1997NYASA.835..111N. doi:10.1111/j.1749-6632.1997.tb48622.x. PMID 9616766. http://www.annalsnyas.org/cgi/reprint/835/1/111. 
  9. ^ a b Entrez Gene: KCNA1 potassium voltage-gated channel”. 2023年4月30日閲覧。
  10. ^ KCNA1 - Potassium voltage-gated channel subfamily A member 1 - Homo sapiens (Human) - KCNA1 gene & protein”. www.uniprot.org. 2023年4月30日閲覧。
  11. ^ a b c d e “Control of human potassium channel inactivation by editing of a small mRNA hairpin”. Nat. Struct. Mol. Biol. 11 (10): 950–6. (October 2004). doi:10.1038/nsmb825. PMID 15361858. 
  12. ^ a b “Nervous system targets of RNA editing identified by comparative genomics”. Science 301 (5634): 832–6. (August 2003). Bibcode2003Sci...301..832H. doi:10.1126/science.1086763. PMID 12907802. 
  13. ^ Bhalla, Tarun; Rosenthal, Joshua J C; Holmgren, Miguel; Reenan, Robert (2004). “Control of human potassium channel inactivation by editing of a small mRNA hairpin”. Nature Structural & Molecular Biology 11 (10): 950–956. doi:10.1038/nsmb825. ISSN 1545-9993. PMID 15361858. 
  14. ^ Bezanilla, Francisco (2004). “RNA editing of a human potassium channel modifies its inactivation”. Nature Structural & Molecular Biology 11 (10): 915–916. doi:10.1038/nsmb1004-915. ISSN 1545-9993. PMID 15452561. 

関連文献

[編集]

関連項目

[編集]
  • GABRA3英語版 - 同様のRNA編集を受けるチャネルサブユニット

外部リンク

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