国際天文学連合
国際天文学連合(こくさいてんもんがくれんごう、英:International Astronomical Union:IAU)は、世界の天文学者で構成されている国際組織。国際学術会議 (ISC) の下部組織となっている。
概要
[編集]IAUは1919年に多くの団体を統合して設立された。最初の会長にはフランスのバンジャマン・バイヨーが選出された。2019年現在、会員として、13,129人の天文学者などの個人会員と82の国家会員が所属している[1]。本部 (Headquarter) の事務局は、フランスのパリのアラゴ通り (Bd Arago) にある。
恒星や惑星、小惑星、その他の天体とその地形に対する命名権を取り扱っており、その命名規則のために専門作業部会が設けられている。IAUは1920年以来天文電報の発行業務にも関わっており、ハーバード大学地球惑星物理学教室が運営している天文電報中央局 (Central Bureau for Astronomical Telegrams; CBAT) について支援していたが、2015年に第6委員会が解散したことによりCBATへの支援を終えている[2]。
組織
[編集]国際天文学連合の活動の多くは、天文学の分野ごとに分けられた8の分科会 (Division) を通じて行われる。各分科会の下部には更に細かい研究領域ごとに35の委員会 (Commission) が存在し[1]、委員会の下部に個別の研究テーマに関連した85のワーキンググループ (Working Group) がある[1]。
総会 (General Assembly) は、様々な国を開催地として3年ごとに開催され、IAU 全体の活動方針に関する討議や研究発表などが行われる。これ以外に、欧州、アジア太平洋、ラテンアメリカの各地域では地域会議 (Regional Meeting) も開かれている。これよりも小規模な研究会議として、シンポジウムやコロキウムも随時開催されている。
分科会と委員会
[編集]2012年8月の北京での総会で部会 (Division) の見直しが行われ、それまで12あった部会が以下の9つに統合された[3][4]。
- Division A : 基本天文学 (Fundamental Astronomy)
- Division B : 施設、技術、データサイエンス (Facilities, Technologies and Data Science)
- Division C : 天文教育、アウトリーチ、天文遺産 (Education, Outreach and Heritage)
- Division D : 高エネルギー現象と基礎物理学 (High Energy Phenomena and Fundamental Physics)
- Division E : 太陽と太陽圏 (Sun and Heliosphere)
- Division F : 惑星系と宇宙生物学 (Planetary Systems and Astrobiology)
- Division G : 恒星と恒星物理学 (Stars and Stellar Physics)
- Division H : 星間物質と近傍宇宙 (Interstellar Matter and Local Universe)
- Division J : 銀河と宇宙論 (Galaxies and Cosmology)
関連組織
[編集]- 小惑星センター (Minor Planet Center; MPC) - DivisionFの後援の下、スミソニアン天体物理観測所が運営している[5]。
- 国際彗星季報 (International Comet Quarterly; ICQ)
- 国際報時局 (Bureau International de l’Heure; BIH) - 1987年に国際地球回転事業(現国際地球回転・基準系事業)に改組。
- 天文電報中央局 (Central Bureau for Astronomical Telegrams, CBAT) - 2015年、監督していた第6委員会が解散したことにより、IAUの補助や監督から外れ、ハーバード大学地球惑星科学教室が独立して運営している[2]。
総会
[編集]回 | 開催年 | 開催地[6][7] | 開催国 |
---|---|---|---|
1 | 1922年 | ローマ | イタリア |
2 | 1925年 | ケンブリッジ | イギリス |
3 | 1928年 | ライデン | オランダ |
4 | 1932年 | ケンブリッジ | アメリカ合衆国 |
5 | 1935年 | パリ | フランスの旗 フランス |
6 | 1938年 | ストックホルム | スウェーデン |
7 | 1948年 | チューリッヒ | スイス |
8 | 1952年 | ローマ | イタリア |
9 | 1955年 | ダブリン | アイルランド |
10 | 1958年 | モスクワ | ソビエト連邦 |
11 | 1961年 | バークレー | アメリカ合衆国 |
12 | 1964年 | ハンブルク | 西ドイツ |
13 | 1967年 | プラハ | チェコスロバキア |
14 | 1970年 | ブライトン | イギリス |
15 | 1973年 | シドニー | オーストラリア |
16 | 1976年 | グルノーブル | フランスの旗 フランス |
17 | 1979年 | モントリオール | カナダ |
18 | 1982年 | パトラス | ギリシャ |
19 | 1985年 | ニューデリー | インド |
20 | 1988年 | ボルチモア | アメリカ合衆国 |
21 | 1991年 | ブエノスアイレス | アルゼンチン |
22 | 1994年 | ハーグ | オランダ |
23 | 1997年 | 京都 | 日本 |
24 | 2000年 | マンチェスター | イギリス |
25 | 2003年 | シドニー | オーストラリア |
26 | 2006年 | プラハ | チェコ |
27 | 2009年 | リオデジャネイロ | ブラジル |
28 | 2012年 | 北京 | 中国 |
29 | 2015年 | ホノルル | アメリカ合衆国 |
30 | 2018年 | ウィーン | オーストリア |
31 | 2022年 | 釜山 | 韓国 |
32 | 2024年 | ケープタウン | 南アフリカ共和国 |
33 | 2027年 | ローマ | イタリア |
出典
[編集]- ^ a b c “About us”. 国際天文学連合. 2019年12月7日閲覧。
- ^ a b Yamaoka, H.; Green, D. W. E.; Samus, N. N. et al. (2016). “Division B Commission 6: Astronomical Telegrams”. Proceedings of the International Astronomical Union 11 (T29A): 90-98. Bibcode: 2016IAUTA..29...90Y. doi:10.1017/S1743921316000661. ISSN 1743-9213.
- ^ “Divisions”. 国際天文学連合. 2019年12月7日閲覧。
- ^ “IAU戦略計画2020-2030”. 国定天文学連合. 2020年2月7日閲覧。
- ^ “IAU Minor Planet Center”. 小惑星センター. 2019年12月9日閲覧。
- ^ “Past IAU Meetings - General Assemblies”. IAU (2021年8月26日). 2024年2月14日閲覧。
- ^ “Future IAU Meetings - General Assemblies”. IAU. 2024年2月14日閲覧。