コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

GCaMP

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

GCaMPとは、タンパク質で出来たカルシウムセンサーの一種である。

概要

[編集]

GCaMPは主として循環置換型緑色蛍光タンパク(cpGFP)、カルモジュリン(CaM)ミオシン軽鎖フラグメント(M13)を遺伝子工学的に結合させたカルシウムセンサータンパク質である。

このタンパク質はcpGFPの片側(N末端側)にカルモジュリンを、もう片側(C末端側)にはミオシン軽鎖M13フラグメントを結合した形をしている。

カルシウムイオンがカルモジュリンと結合すると、Ca2+/CaM複合体がM13と相互作用してcpGFPの立体構造を変化させ、これによって蛍光強度が変化する。これを利用することによってカルシウム濃度の変化をGCaMP蛍光強度の変化として検出することができる。

タンパク質であるため遺伝子に組み込むことが可能であり、特にモデル動物において組織・細胞特異的プロモーターと組み合わせることによって目的の組織・細胞種のみをカルシウムイメージングすることができる。

種類

[編集]

GCaMPはLoren L. Looger(ハワード・ヒューズ医学研究所Janelia Research Campus Looger Lab)らのグループ(表中LL)と中井淳一、大倉正道(埼玉大学脳末梢科学研究センター中井研究室)らのグループ(表中MO)をはじめとした複数の科学者によって改変・改良されており、現在では様々な種類のGCaMPが存在する。GCaMP3の導入された遺伝子改変動物は広く普及しており、これを用いた研究は今も発表されている。[要出典] また、新しく作られる遺伝子改変動物にはG-CaMP6-8, GCaMP6s,m,fが用いられている。[要出典]

table. GCaMPシリーズ
名前 発表年 開発者 備考 doi
G-CaMP 2001 Junichi Nakai, et al. 最初のGCaMP, MO 10.1038/84397
G-CaMP1.6 2005 Masamichi Ohkura, et al. MO
GCaMP2 2006 Tallini, et al. LL
GCaMP3 2009 Lin Tian, et al. LL(普及版) 10.1038/nmeth.1398
G-CaMP4.1 2010 Asako Shindo, et al. MO 10.1371/journal.pone.0008897
GCaMP5 2012 Jasper Akerboom, et al. LL 10.1523/JNEUROSCI.2601-12.2012
G-CaMP6, 7, 8 2012 Masamichi Ohkura, et al. MO(最新) 10.1371/journal.pone.0051286
GCaMP6f, 6m, 6s 2013 Tsai-Wen Chen, et al. LL, f: fast, m: medium, s: slow の3種 10.1038/nature12354
jGCaMP7f, 7s, 7b, 7c 2019 Dana, et al. LL, (最新?) 10.1038/s41592-019-0435-6

GENIEの紹介ページ

GCaMP-X 2018 Yaxiong Yang, et al. ※名前はGCaMPだが基本構造が異なる 10.1038/s41467-018-03719-6