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Folio

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
FOLIO
作者 Folioコミュニティ
開発元 Open Library Foundationによる管理
初版 2016年6月24日 (8年前) (2016-06-24)[1]
最新版
Juniper / 2021年10月4日 (3年前) (2021-10-04)[2]
リポジトリ https://github.com/folio-org
プログラミング
言語
Java、JavaScript
ライセンス Apache v2
公式サイト https://www.folio.org/
テンプレートを表示

Folio(正式名称:FOLIO、ラテン語の「葉」に由来)は、国際的なFolioコミュニティが開発した、図書館管理のためのクラウド対応オープンソースである。Folioは、ソフトウェア会社Index Dataが2015年から開発し、EBSCO Information Servicesが出資している。実行可能なソフトウェアの基盤は2016年9月から公開され、機能モジュールを備えた初期バージョンは2018年に発表された[3][4][5][6][7]

目標

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特に拡張性が高く、単体でもマルチクライアントのクラウドシステムとしても運用でき、メタデータ管理、収集、電子リソースの管理、貸出、ユーザー管理、システム管理、統合などの分野で学術図書館の要件を満たすことが望ましい。機能要件は、ドイツの図書館協会GBVとhbz、およびSOAS[8]によってまとめられ、Folioコミュニティによってさらに開発が進められている。

このプロジェクトは、ExLibrisの独自のクラウドシステムAlmaおよびOCLCのWMSに代わるオープンソースを作成することを目的としている[3]

コードとアーキテクチャ

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ソフトウェアコードはGitHubで管理され、記録されたウェビナーは、潜在的なソフトウェア開発者に対する紹介動画となっている[9]

使用される技術は、モジュール間通信用のVert.xとJSON、ユーザーインターフェイス用のReactとRedux、および永続性インターフェイス用のRAMLである[10]

「プラットフォーム」と呼ばれるソフトウェア基盤は、ユーザーインターフェイス用のビルディング・ブロック、モジュール間の通信を行うメッセージ・バスである「Okapi」、およびデータベースを含むシステム管理レイヤーで構成される。貸し出しや購入などの機能モジュールは、このソフトウェア基盤上に構築される[11]

名称

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英語とドイツ語では、Folioという名前は図書館分野で3つの意味を持つ。ページの数え方(Foliumを参照。)に加えて、Folioは本のフォーマットと歴史的な紙のフォーマットも示す。

「the Future of Libraries is Open(図書館の未来は開かれている)」という英語のモットーは後で追加されただけであり[12] [13]、フォリオはバクロニムと言える。

オープンライブラリ財団

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組織だけではなく、財政や著作権を管理するために、米国に本拠とし、Open Library Foundation(OLF)が2016年にNPOとして設立された。Kuali Open Library Environmentのコミュニティは、Kuali Foundationを離れ、2016年にOLFに加わり、新しいFolioソフトウェア基盤でこれまでの目標を追求することとなった[3][14]。ドイツ語圏のメンバーは、図書館協会GBVとhbzで、新しいFOLIOプラットフォームでの図書館管理システムの開発に取り組んでいる[15][16][17]

反応

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図書館関連の学会[18] [14]およびウェブサイト[4][3] [19][20]では、Folioのプロジェクト発表の場が広くとられ、活発な議論が行われた。図書館ネットワークhebisは、2022年からFOLIOへの複数年にわたる移行プロジェクトを開始する予定である[21]

導入機関

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以下が導入(予定)機関の一覧である[22]ERMからFullに移行した機関の場合、導入年はERMを導入した年としている。

導入機関
機関名 国・地域 種別 Full/ERM レガシーシステム 導入年 導入 ホスト 備考
Biblioteca Nazionale Centrale di Firenze イタリア 国立図書館 Full 2021 At Cult EBSCO
Brandman University 大学図書館 ERM 2021 EBSCO EBSCO
チャルマーズ工科大学 スウェーデン 大学図書館 ERM->Full Sierra 2019 EBSCO
Chapman University 大学図書館 ERM 2021 EBSCO EBSCO
College of the Holy Cross 大学図書館 ERM->Full Sierra 2021 Index Data
コーネル大学 米国 大学図書館 ERM->Full Voyager 2020 EBSCO
デューク大学 米国 大学図書館 Full Aleph 2023 Index Data
Durban University of Technology 大学図書館 Full 2021 UKS EBSCO
Fenway Library Organization ネットワーク/コンソーシアム Full Voyager,Millennium 2020 Index Data
Five Colleges 米国 ネットワーク/コンソーシアム ERM ALEPH V22 2020 EBSCO
Flagler Full 2021 EBSCO EBSCO ERMとAcquisitionは対象外
Grand Valley State University 米国 大学図書館 Full 2021 EBSCO EBSCO
hbz: pilot-library ドイツ ネットワーク/コンソーシアム 2021 hbz Circuationのみ
ラファイエット大学 米国 大学図書館 ERM Sierra 2021 EBSCO EBSCO
リーハイ大学 米国 大学図書館 Full Open Library Environment (OLE) 2020 Index Data
Linköping University スウェーデン 大学図書館 Full 2022 Self-hosting
ルイジアナ州立大学 米国 大学図書館 ERM 2021 EBSCO EBSCO
ミシガン州立大学 米国 大学図書館 ERM 2021 EBSCO EBSCO Acquisition
ミドルテネシー州立大学 米国 大学図書館 Full Sierra 2021 EBSCO
ミズーリ大学 米国 大学図書館 Full Sierra 2020
National Széchényi Library ハンガリー 国立図書館 KIFU
Okanagan College 大学図書館 Full Voyager 2021 EBSCO
Roseman University of Health Sciences 大学図書館 ERM 2021 EBSCO EBSCO
上海図書館 上海 公共図書館 Sirsi-Dynix Horizon
Skidmore University 大学図書館 Full 2021 EBSCO EBSCO
Spokane Public Library 公共図書館 Full Sirsi-Dynix Horizon 2020-2021 Self-hosting
St. Thomas University 大学図書館 OCLC WMS ByWater EBSCO
St Michael's College 大学図書館 Full 2021 EBSCO EBSCO
テキサスA&M大学 米国 大学図書館 Full Voyager 2022 Self-hosting ERMなし
トリニティ・カレッジ(ケンブリッジ大学) 英国 大学図書館 Full 2021 EBSCO EBSCO
Truman College 大学図書館 ERM 2021 EBSCO EBSCO
コンセプシオン大学 チリ 大学図書館 Full 2021
サラゴサ大学 スペイン 大学図書館 Full 2021 IBAI-Scanbit EBSCO
Universita degli Studi di Ferrara 大学図書館 ERM 2021 EBSCO EBSCO
Universita di Modena e Reggio Emilia イタリア 大学図書館 ERM 2021 EBSCO EBSCO
ライプツィヒ大学 ドイツ 大学図書館 ERM Libero 6 2019 Self-hosting
アラバマ大学 米国 大学図書館 Full Voyager 2021-2022
シカゴ大学 米国 大学図書館 ERM->Full Kuali OLE 2021 Index Data
University of Colorado Boulder 大学図書館 Full Sierra Self-hosting
リヴァプール大学 英国 大学図書館 ERM 2021 EBSCO EBSCO
University of Tennessee Martin 大学図書館 Full EBSCO EBSCO
Villanova University 大学図書館 ERM Voyager 2021
VZG - GBV network libraries ドイツ ネットワーク/コンソーシアム
Warner University 大学図書館 2020
Washington & Jefferson College 大学図書館 Symphony 2020 ByWater EBSCO
Wellesley College 大学図書館 Full 2022 EBSCO
Widener University 大学図書館 ERM 2021 EBSCO EBSCO

脚注

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  1. ^ FOLIO 2016:A Retrospective”. 2021年12月21日閲覧。
  2. ^ FOLIO Launches Juniper Release”. 2021年12月21日閲覧。
  3. ^ a b c d Marshall Breeding (2016年4月22日). “EBSCO Supports New Open Source Project”. 2016年7月15日閲覧。
  4. ^ a b FOLIO - eine neue Kooperation zwischen Bibliotheken, Serviceanbietern und Entwicklern” (2016年6月28日). 2016年7月15日閲覧。
  5. ^ The Repos Are Here—FOLIO Source Code Repositories Released” (2016年9月27日). 2016年9月28日閲覧。
  6. ^ Nassib Nassar (2016年9月1日). “FOLIO Developer”. 2016年10月6日閲覧。
  7. ^ Nassib Nassar (2016年9月1日). “FOLIO Developer”. 2016年10月6日閲覧。
  8. ^ About FOLIO at the Wayback Machine (archived 2016-07-15)
  9. ^ Primer on FOLIO Code” (2016年9月21日). 2016年10月6日閲覧。
  10. ^ FOLIO Glossary”. 2016年10月6日閲覧。
  11. ^ A new platform.”. 2016年10月6日閲覧。
  12. ^ Sebastian Hammer (2016年6月7日). “FOLIO” (PPT). 2016年10月4日閲覧。
  13. ^ Jakub Skoczen (2016年6月7日). “FOLIO” (PDF; 1,4 MB). 2016年10月4日閲覧。
  14. ^ a b Kirstin Kemner-Heek (2016年9月14日). “OLE – Ein Open-Source-Projekt im Wandel”. 2016年10月6日閲覧。
  15. ^ Ziel- und Leistungsvereinbarung 2017” (2016年12月20日). 2017年1月5日閲覧。
  16. ^ Kirstin Kemner-Heek (2016年12月20日). “Lokale Bibliothekssysteme”. 2017年1月5日閲覧。
  17. ^ hbz-/VZG-Projekt”. 2016年9月28日閲覧。
  18. ^ About FOLIO”. 2016年10月6日閲覧。
  19. ^ Bibliothèques : un projet international open source susceptible de "changer le marché des systèmes de gestion"”. 2016年10月6日閲覧。
  20. ^ FOLIO: An Open Library Services Platform”. 2016年10月6日閲覧。
  21. ^ Die Zukunft heißt FOLIO”. 2021年11月8日閲覧。
  22. ^ Implementation Details”. 2021年12月21日閲覧。

外部リンク

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