Flitto
会社のロゴ | |
アプリのアイコン | |
現地語社名 | 주석회사 플리토 |
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ラテン文字名 | FLITTO Inc. |
種類 |
KOSDAQ上場 (2019年7月17日)[1][注 1] |
業種 | IT・通信業 |
事業分野 | 翻訳、ソーシャルメディア |
設立 | 2012年9月[注 2] |
創業者 | イ・ジョンス |
本社 |
ソウル特別市 江南区テヘラン路211 韓国高等教育財団ビル 9階[注 3]、 韓国 |
サービス |
翻訳プラットフォーム運営 企業への言語データ提供 |
売上高 |
(連結)59億ウォン (2020年12月期)[3] |
営業利益 |
(連結)△50億ウォン (2020年12月期)[3] |
利益 |
(連結)△45億ウォン (2020年12月期)[3] |
総資産 |
(連結)248億ウォン (2020年12月31日現在)[3] |
純資産 |
(連結)197億ウォン (2020年12月31日現在)[3] (資本金は26億ウォン) |
従業員数 |
84名(2020年12月31日現在) (うち期間の定めなし61名)[3] |
子会社 | 中国、日本 |
ウェブサイト | https://www.flitto.com/ |
Flitto (ふりっと、韓国語名:플리토) とは、AI翻訳とクラウドソーシング翻訳を組み合わせたプラットフォームを提供することで、ユーザー同士が自由に翻訳を依頼し合えるサービス、及びそれを運営する企業[注 4]である。会社は2012年9月[注 2]に設立された。2021年現在、173ヵ国の1,000万人以上のユーザーがプラットフォームを利用している[2]。
会社概要
[編集]2012年9月[注 2]、イ・ジョンス(Simon Lee、現代表理事/CEO)[注 5]とカン・ドンハン(現社内理事/CTO)、キム・ジング(現社内理事/CDO)が共同でFlittoを設立した[注 6]。共同創業者はは3人ともSK Telecom / SK planetのマネージャーの経歴があり[5]、同年代(1980~1982年生まれ)である[3]。CEOのイ・ジョンスが、発行済株式の25.44%を保有しており、最大株主となっている(2020年12月31日現在)。共同創業者はそれぞれ4.24%を保有するにすぎず、自己株式0.46%を除いた残りの65.62%がその他株主に属する[3]。
Flittoは翻訳プラットフォームの運営とともに、蓄積した言語データを企業に販売することによっても収益を得ている。2012年12月に、シリコンバレーIRにより「2013年に最も期待されるスタートアップ」に選ばれるなど、創業直後より注目を集めた[注 7]。2020年4月には、フィナンシャル・タイムズの「アジア・太平洋地域における急成長企業 2020」の83位に選ばれた[6]。
設立以来、Flitto はネイバー(2014年6月)[注 8]、NTTドコモ(2016年6月)、Microsoft(2017年4月)、サムソン電子(2017年7月)、カカオ(2017年9月)、テンセント(2017年11月)、現代自動車(2019年4月)などの企業と「パートナーシップ」を締結してきた[注 9]。
中国と日本に子会社[注 10]を持つ[注 11]。中国子会社は2015年3月[注 12]、日本子会社(フリットジャパン株式会社)は2018年7月18日に設立された[8][9]。いずれも100%子会社であるが、中国には、もう一社連結対象のソフトウェア・サービス会社が存在する(中国の100%子会社を通じて実質的に100%支配している)[注 13]。
Nice D&B(韓国の信用評価会社)による格付けは、2020年5月8日時点で、AAAからDまでのうちB-である[3]。2020年12月期の当期純損益は45億ウォンの赤字だった。少なくとも5期連続で同程度の赤字となっている[3][10]。つまり、2019年のKOSDAQ上場前後も継続して赤字を計上していたことになるが、利益が出ていなくても事業モデルについて高評価を得られれば上場申請ができる「事業モデル特例上場」制度(2017年1月導入)を利用した。なお、2020年12月期には、「継続企業存続不確実性」は認められていない[11]。
サービス概要
[編集]Flittoは、2021年11月現在、25か国語をカバーしている[注 14]。ウェブサイトだけでなくアプリケーションでもサービスを利用できる。google翻訳と同様に無料で機械翻訳サービスを利用できるのに加え、「ポイント」を用いた翻訳の依頼ができる[注 15]。利用にあたってはテキストだけでなく、画像や映像、音声ファイルもアップロードすることができる。また、位置情報を用いて、過去の類似翻訳リクエストを参照することもできる[注 16]。
一般ユーザー向けのサービスとして、「クラウドソーシング翻訳」「1対1専門翻訳」がある。また、有名SNSの書き込み等を翻訳して楽しめる空間「ディスカバリー」もある。好きなスターをフォローすると、スターの音声メッセージがアップデートされた時、アプリのプッシュ通知でアップデートを得ることができる。現在、チェ・シウォン、ヘンリー、TEEN TOP、Block B、G.NAなどの韓国人歌手が、海外のファンとコミュニケーションするためにFlittoを使っている。[要出典]現在、FlittoはTwitter・Instagram・WeiboなどのSNSをサポートしている。ブラジルの有名作家パウロ・コエーリョもツイートの翻訳にFlittoを利用したことがある[13]。
また、企業向けのサービスとしては、翻訳依頼を引き受けているほか、翻訳プラットフォームの運用により得た大量の言語データをコーパスとして販売している。さらに、25の言語でメニューや案内板を制作し、客がQRコードで読み取れるようにする「QRプレース」というサービスもある。
クラウドソーシング翻訳
[編集]一般ユーザー同士で翻訳をし合うサービスである。翻訳リクエストをする時、Flittoからのおすすめポイントが示されるが、これを参考に依頼者が直接ポイントを決めることも出来る。翻訳のリクエストが完了したら、該当の言語を使う翻訳家たちへとアラーム[要曖昧さ回避]が送られる。依頼者は数件の翻訳の中で一番自然な翻訳を採用し、採用された翻訳家は決められたポイントを得ることになる[注 17]。
長文の場合、いくつかに区切って翻訳リクエストを出すこともできる。 リクエストを分けることで、より多くの翻訳家の参加により、短い時間で長文を翻訳することが出来る。リクエストを分けることで翻訳の一貫性が失われるのを防ぐため、メモ欄に翻訳に関する簡単なリクエスト事項を残すことが出来る。翻訳家たちはプラットフォーム上で他の翻訳家の前後の文脈を参考にし、自分の翻訳に反映することが出来る[注 18]。
1対1の専門翻訳
[編集]依頼者と翻訳家が1対1の形式で翻訳のリクエストを取り交わせるサービスである。1対1翻訳のサービスは依頼者から直接設定した条件(価格・納期・専門分野)に合わせて、翻訳家に直接リクエストできるという長所があり、クラウドソーシング翻訳よりも専門的で、繋がりのきれいな翻訳を得ることができる。依頼者はより正確で早く、低価格で専門的な翻訳家を直接選択することが出来、翻訳家と1対1のメッセージを通じてコミュニケーションすることもできる。 翻訳家としては、市場に比べ、低いプラットフォーム手数料及び、自由に翻訳依頼を選べるという長所がある。
マスコミ報道
[編集]- 2014年[15]。 9月 - CNN Internationalで、韓国の有望なITスタートアップとして紹介された
- 2015年[16]。 1月 - Tech In Asiaで紹介された
- 2015年[4]。 4月 – BBCで、イ・ジョンスの生い立ちを中心に紹介された
- 2016年[17]。 1月 - KBS1の新年特集「青年大韓民国(청년 대한민국)」の第2部で特集された
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ コーポレートサイトでは、「社業モデル特例上場1号」だったとある[2]が、「社業」は「事業」の誤りと思われる(ハングル表記が同じ)。
- ^ a b c コーポレートサイトより[2]。韓国語版記事では2012年9月1日となっているが確認できない。しかし、公的な報告書(日本の有価証券報告書や四半期レビューにあたるもの)では2012年8月設立となっている[1]。なお、以上の情報は会社設立に関するものであり、「サービス開始」日は未確認。
- ^ 現時点(2021年11月18日)の韓国語版記事記載の住所と異なるが、2019年10月1日に移転しており、こちらが最新の住所である[1]。
- ^ 韓国における法人登録番号は110111-4945246、事業者登録番号は215-87-72878。
- ^ 同姓同名のサッカー選手や俳優とは別人物である。
- ^ イ・ジョンスは2007年にも翻訳サービスFlyingcaneを立ち上げたが失敗した経験がある[4]。
- ^ コーポレートサイトの「沿革」[2]より。その他受賞歴等についても「沿革」で確認できる。
- ^ 日本語では、2021年3月に「戦略的業務提供」を行ったというニュースがある[7]。
- ^ 「パートナーシップ」は情報源であるコーポレートサイト[2]で統一して使われている表現だが、具体的に何を指すのかが明確でない。韓国語版記事の「業務提携」も同様に意味が不明確である。韓国語版は英語版から翻訳されたものだが、英語版の表現は「working with」である。
- ^ コーポレートサイトでの表現は「支店」となっている。
- ^ 韓国語版記事の年表では、2013年7月にシリコンバレーに「支社設立」という情報がある(英語版では「set an office」)。記事編集時点のコーポレートサイトを参考にしたと思われるが、2021年11月18日現在のコーポレートサイトの沿革には載っておらず、「支店」としても紹介がない[2]。
- ^ 設立日はコーポレートサイト[2]に基づくが、事業報告書によれば中国子会社「역특網絡技术(北京)有限公司」(역특망락기술(북경)유한공사)の設立日は2016年6月27日である[3]。
- ^ その会社(북경비역망락유한공사)の設立日は2015年4月20日である[3]。
- ^ 対応言語は韓国語、英語、簡体中国語、繁体中国語、スペイン語、フランス語、日本語、アラビア語、ドイツ語、ロシア語、ポルトガル語、イタリア語、インドネシア語、ベトナム語、ヒンディー語、タイ語、トルコ語、タガログ語、オランダ語、スウェーデン語、マレー語、ポーランド語、チェコ語、スワヒリ語、フィンランド語。
- ^ ポイントは購入するほか、自ら翻訳を行うことでも獲得できる。ポイントは「Flittoストア」で商品を購入したり、現金と交換することができる。
- ^ 元は韓国語記事にあった説明だが、アプリの説明文では「使用者の位置情報を用いることでさらに正確な翻訳文を提供できます」とのみ記されている[12]。
- ^ 本段落は、英語版記事・韓国語版記事を元にしている。
- ^ 本段落の内容は、最新の英語版記事を元にしている。現時点の韓国語版記事は、2016年時点の英語版記事を元にしており、その後該当部分の大きな編集がないので、情報が古い可能性がある。
出典
[編集]- ^ a b c “분기 보고서(제10기 3분기)”. 주식회사 플리토 (2021年11月15日). 2021年11月18日閲覧。
- ^ a b c d e f g “企業情報”. Flitto(日本語). 2021年11月18日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l “사업보고서(제9기)”. 주식회사 플리토 (2021年3月18日). 2021年11月18日閲覧。
- ^ a b Smale, Will (2015年6月21日). “How doing homework for friends inspired a global company”. BBC News 2021年11月18日閲覧。
- ^ “役員紹介”. Flitto. 2021年11月18日閲覧。
- ^ Kelly, Maxine (2020年4月21日). “FT ranking: Asia-Pacific High-Growth Companies”. Finacial Times 2021年11月18日閲覧。
- ^ “Flitto、NAVERと戦略的業務提携を発表”. PR TIMES (2021年3月5日). 2021年11月18日閲覧。
- ^ “会社概要”. Flitto Japan. 2021年11月18日閲覧。
- ^ “日本のAI産業の発展、言語データの確保にかかった”. PR TIMES (2018年7月18日). 2021年11月18日閲覧。
- ^ “주식회사 플리토 재무제표에 대한 감사보고서 (제5기, 제6기)”. 대주회계법인 (2018年3月19日). 2021年11月18日閲覧。
- ^ “감사보고서 제출”. 주식회사 플리토 (2021年3月18日). 2021年11月18日閲覧。
- ^ “Flitto(フリット)-無料翻訳&外国語学習”. Google Play. 2021年11月18日閲覧。
- ^ Parmar, Neil (2013年7月16日). “Gangnam: The Silicon Valley of South Korea”. Entrepreneur. 2021年11月18日閲覧。
- ^ “The Top 7 Things You Missed at SXSW”. Kanzas City Business Journal. (2013年3月15日) 2021年11月18日閲覧。
- ^ “On the road: South Korea tech start-ups”. CNN. (2014年9月30日) 2021年11月18日閲覧。
- ^ Bischoff, Paul (2015年1月31日). “Korean entrepreneur went from translating K-Pop tweets to selling language data to web giants”. TECH IN ASIA 2021年11月18日閲覧。
- ^ “청년 대한민국, 청년 정신의 힘, 청년만세, 청년의 만드는 세상, 좌절의 시대, 청년정신이 미래다, 신년 특별생방송”. 설리아닷컴 (2016年1月1日). 2021年11月18日閲覧。※韓国語版にも記載あり実際に放送されたようだが、信頼できる情報源に乏しい。便宜的に出典として個人サイトを挙げた。
外部リンク
[編集]Flitto - サービスのトップページ。