ezmlm
ezmlmは、ダニエル・J・バーンスタイン (DJB) が開発したメーリングリストを管理するためのソフトウェアパッケージ。GNU MailmanやMajordomoに似たものだが、qmailメール転送エージェントでのみ動作する。パブリックドメインの下にリリースされている。
開発元 | ダニエル・J・バーンスタイン (D.J. Bernstein) |
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最新版 |
0.53
/ 1997年6月30日 |
対応OS | Unix系システム |
種別 | メーリングリスト管理ソフトウェア |
ライセンス | パブリックドメイン (フリーソフトウェア) |
公式サイト | http://cr.yp.to/ezmlm.html |
最新のバージョンは0.53 (1997年) である。ezmlm-idxパッチは、MIMEの処理のような現代的な仕様を追加している。
仕様
[編集]ezmlmは、電子メールによるメーリングリストに共通して見られる機能を提供する。モデレーションのあるリスト、登録と登録解除の自動化、ダイジェスト (一定期間ごとに投稿をまとめて送付するもの) の生成である。ezmlmでは、qmailの仕様をうまく利用して、普通のユーザでもスーパーユーザー権限なしにメーリングリストを作成し管理できるようにしている[1]。
多くのメーリングリスト管理ソフトウェアとは異なり、ezmlmのユーザインタフェースはコマンドラインを用いる。通常、メーリングリストを管理するユーザが直接編集すべきファイルはない。たとえば、新たにメーリングリストを作成するコマンドは
- ezmlm-make ~/list ~/.qmail-list `whoami`-list host
であり、だれかを (手動で) このリストに登録したりリストから登録解除したりするコマンドは
- ezmlm-sub ~/list mailbox
や
- ezmlm-unsub ~/list mailbox
である[1]。
個々のメーリングリストの挙動は、リストのディレクトリ (先の例では~/list
としている) にあるファイルによって制御される。このディレクトリには、リストに送られたメッセージすべてのアーカイブ (投稿を蓄積しておく場所) も置かれる[1]。
リストがモデレーションありか否かは、リストのディレクトリにpublic
という名のファイルがあるかどうかできまる。先の例で言うと、~/list/public
というファイルである。ファイルがあると、リストはモデレーションなしになり、だれでも (本文のない) 電子メールメッセージをメーリングリストの特別な電子メールボックス (リスト名-subscribe
やリスト名-unsubscribe
) に送れば登録したり登録解除したりできるようになる。ファイルがなければ、リストはモデレーションありになり、リストの所有者だけがezmlm-subコマンドやezmlm-unsubコマンドを使って登録や登録解除をできるようになる。ezmlm-idx拡張ではほかにもモデレーション機構を提供する[1]。
標準のezmlmにはウェブインタフェースがないが、ezmlm-web拡張はこの機能を提供する。
ほかのメーリングリスト管理ソフトウェアの多くが単なるプレインテキストファイルを使っているのに対し、ezmlmはデータベース型のファイルを利用するため、極めて高速に動作する。ezmlmはセキュリティも高い。
関連書籍・ウェブサイト
[編集]- John R. Levine (2004). Qmail. O'Reilly. pp. 168–174. ISBN 1565926285
- Daniel J. Bernstein. “ezmlm”. 2010年4月14日閲覧。
外部リンク
[編集]- ezmlmとezmlm-idxの情報やマニュアル
- ezmlm-web - ezmlmのウェブインタフェース。
- Crypt-ML - ezmlmパッケージで、リストに送ったメッセージを暗号化できるようにするためのスクリプト群。
参考文献
[編集]- ^ a b c d Mark F. Komarinski and Cary Collett (2000). Red Hat Linux System Administration Handbook. Prentice Hall PTR. pp. 172–173. ISBN 0130253952