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DXコード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
135ネガカラーフィルムパトローネのDXバーコード (上段) および DX CASコード (下段)。ISO 400、24枚撮り、露出寛容度+1/−1 。

DXコードとは、写真フィルム感度や枚数情報などをカメラに伝達するための、35mmフィルム(135フィルムパトローネに設けられた電気接点のこと。正式な名称はCASコード1983年にアメリカのイーストマン・コダック社によって規格化され、世界中のフィルムメーカーが採用した。DXコード対応カメラにDX接点付フィルムを装填すると、フィルム感度や撮影枚数が自動的に設定される。

構造と規格の内容

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接点は12個のマス目状になっている。マス目は、軸の凹側を手前にしてフィルム乳剤面が上を向くようにパトローネを置いたときパトローネ側面右上に位置する。

DXコード
DXコード

図のフィルムはISO感度10036枚撮り一般用カラーネガフィルムの例である。本来、各マス目には区切り線は無いが、ここではわかりやすくするために区切りを入れている。

パトローネは通常金属でできているため導電性がある。このことを利用してマスにプリントパターンで情報を記録することができる。ICなどを内蔵しているわけではなく、パンチカードなどと同じ原理である。カメラはフィルム室内に設けられた接点で各マス目が導通しているか絶縁されているかを読み取る。

DXコードの接点12個は4つのエリアに分かれている。上図の1と7がグランドで、必ず導通になっている。1と7は同じものなので、カメラ側の接点は最大でも11個までしか必要ない。 残りの三つのエリアについては以下で個別に記す。

感度情報部分

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上図の2〜6の部分には、フィルムの感度が記録されている。DXコードで規定されている感度はISO25〜5000のほか8つまでのカスタム設定が可能である。

感度とプリントパターンの関係は以下の通りである。

DX感度情報パターン
接点2 接点3 接点4 接点5 接点6
ISO25/DIN15
ISO32/DIN16
ISO40/DIN17
ISO50/DIN18
ISO64/DIN19
ISO80/DIN20
ISO100/DIN21
ISO125/DIN22
ISO160/DIN23
ISO200/DIN24
ISO250/DIN25
ISO320/DIN26
ISO400/DIN27
ISO500/DIN28
ISO640/DIN29
ISO800/DIN30
ISO1000/DIN31
ISO1250/DIN32
ISO1600/DIN33
ISO2000/DIN34
ISO2500/DIN35
ISO3200/DIN36
ISO4000/DIN37
ISO5000/DIN38
カスタム設定1
カスタム設定2
カスタム設定3
カスタム設定4
カスタム設定5
カスタム設定6
カスタム設定7
カスタム設定8

撮影枚数情報部分

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接点8〜10の部分には撮影枚数が記録されている。パターンは以下の通りである。

1980年代中頃の
ILFORD HP5 AUTO WINDER
72枚撮り黒白フィルム
DX枚数情報パターン
接点8 接点9 接点10

(10枚、16枚、27枚撮りなど)
12枚撮り
20枚撮り
24枚撮り
36枚撮り
48枚撮り
60枚撮り
72枚撮り

DXコードの規格には27枚撮りの設定は無い。そのため27枚撮りフィルムの枚数情報部分はすべて絶縁となっている。これは枚数情報を持っていないのと同じであり、枚数情報を使用する一部のカメラはフィルム枚数に関連する機能が正常に作動しない。この現象の防止と感光事故の防止を兼ねてフィルム装填時に全数巻き上げて撮影したコマを巻き戻すプリワインディング機構を持つカメラも存在した。

ラティチュード情報部分

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接点11・12にはフィルムのラティチュードが記録されている。パターンは以下の通りである。

DXラティチュード情報パターン
接点11 接点12
±0.5段
±1段
+2段・-1段
+3段・-1段

基本的にリバーサルフィルムは±0.5段、ネガフィルムは+3段・-1段に設定されている。一部プロユースのネガフィルムなどでは±1段などに設定されているものもある。

富士フイルム製品の独自仕様との共存

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1970年代後半からDXコードの導入まで富士フイルム製コンパクトカメラには自社製フイルム使用時にISO 100とISO 400の感度が自動設定できる2接点式の検知機構が導入されていた。このため、フジカラー400系、フジクローム400(RDH)系、ネオパン400系のパトローネには移行期間として長らく独自接点がDXバーコード付近にDX CAS接点と並列して設けられていた。(廃止時期不明)

カメラ側の接点

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DXコード対応カメラのフィルム室にはDXコードを読み取るための接点があるが、必ずしも11個の接点をすべて持ち合わせているわけではない。

コンパクトカメラをはじめとする多くのカメラでは感度情報以外の情報は読み取っていない。枚数情報を利用しているのは一部の一眼レフカメラなどだけで、逆算カウンタなどに利用している。ラティチュードの情報は極めて少数のカメラだけが利用している。

本来、DX非対応フィルムを装填した場合はそれを検知して手動設定できるように規格が作られているが、コンパクトカメラなどの多くはDX非対応のフィルムの感度を100として設定し、手動設定もできないものが多い。

接点は板バネ状になっているため、フィルムパトローネを押し返してしまいフィルムの装填がしにくくなってしまう欠点がある。このため、裏蓋を閉じるまで接点を収納する仕組みやカメラ底部からパトローネを滑り込ませる機構を持つ機種もある。

詰め替え用パトローネ

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長巻フィルムを詰め替えるためのパトローネでもDXコードつきのものもある。しかし、この場合そのパトローネにDX情報と合致しないフィルムを装填すると、間違った感度で撮影してしまったり、フィルムが途中で巻き戻されるなど失敗の原因になる。このためDXコードがプリントされた金属製シールが添付、または別売りされていた。