DDoS-Guard
種類 | 非公開会社 |
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業種 | Webサービス |
設立 | 2011年 |
創業者 |
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本社 | |
サービス | |
ウェブサイト | 公式ウェブサイト |
DDoS-Guardは、DDoS攻撃軽減・コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)、ホスティングなどを提供するロシアの企業である[1]。
研究者やジャーナリストは、DDoS-Guardの顧客の多くが犯罪行為を行っていると主張している[2]。調査報道を行うブライアン・クレブスは2021年1月に、DDoS-Guardがホストしているウェブサイトのうち膨大な数が、サイバー犯罪サービスやフォーラム、フィッシング詐欺サイトに結びついたドメインであると報告した[3]。顧客にはロシア政府の関連組織の他、ハマースやParlerなどが存在することが知られている[4]。
企業
[編集]現在のDDoS-Guardはロシアを拠点としており、2014年7月にウクライナ出身のロシア人であるEvgeny MarchenkoとDmitry Sabitovの2人によって、セヴァストポリにおいて設立された[2]。この他スコットランドに「Cognitive Cloud LLP」、ベリーズに「DDoS-Guard Corp」という関連会社が所在する[5]。
Meduzaによれば、同一人物による同一名の法人が2011年から存在していたとしており、DDoS-Guardの広報担当者はこれに対して、ただのソフトウェアの準備段階にあった企業だとしている。また広報担当者はロシアのロストフ・ナ・ドヌに拠点を置き続けたと主張したが、これに対してMeduzaは、2015年に初めて同市にオフィスを開いたと主張している。Meduzaはこれをウクライナからロシアへの移転とみなし、DDoS-Guardは否定しているものの、DDoS-Guardがクレジットカード詐欺のプラットフォームである「Verified」のホスティングを開始した結果、ウクライナのサイバー警察などが調査を開始したためであると主張した[2]。
2021年、ある研究者はDDoS-Guardがベリーズにおいて、その地域の団体にしか割り当てられないIPアドレスを入手するため、実態のない企業を設立したと考えられることを発表した。その発表においては、DDoS-Guardの2つの子会社が持つ11000以上のIPアドレスの3分の2が、ベリーズの子会社に対してLACNICから割り当てを受けていることが示された。これに対してDDoS-Guardは、ベリーズの子会社は実態があると反論したものの、LACNICは8000以上のIPアドレスの割り当てを廃止することを公表した[5]。
同年6月1日、サイバーインテリジェンス企業であるGroup-IB社は、DDoS-Guardが持つ、顧客の名前・支払情報・IPアドレスなどを含むデータベースの内容が、その信憑性について評価はなされていないものの、インターネット上の闇市場において取引されていることを発表した[6]。
顧客
[編集]MeduzaがDDoS-Guardの元従業員に取材したところ、DDoS-Guardはダークネットで活動を行う顧客と共に歩んできたとする。そのような顧客は、プロバイダの選択肢が少ない上にウェブサイトに対するセキュリティサービスを求めることから、より多くの収益をDDoS-Guardが得られるためであると、その元従業員は回答した[2]。
かつてのDDoS-Guardの顧客には、ハマース[5]、QAnonが利用することで知られる画像掲示板の8kun(旧8chan)[7][8][9][10][11][12][13][14][15]などが存在した。彼らに対するDDoS-Guardのサービスは、彼らがそのサービスを利用しているという報道がなされた後に停止された[16]。しかしMeduzaは同社が積極的に犯罪行為を監視するのであれば、多くの顧客に対してサービス停止を行わなければならないとした[2]。
ロシア政府
[編集]2014年1月、DDoS-Guardはロシア最大のレジストラであるReg.ruと提携を開始し、その後ロシア政府と関係するクライアントとの連携を開始したと報じられた。2016年からはロシア国防省へDoS対策サービスを提供している他、2018年にはロシア政府のディープ・パケット・インスペクションテストに協力を行った。また、ロシア連邦中央銀行とも密接な関係があることが報じられた[2]。
Parler
[編集]2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件後にAmazon Web Servicesなどのプロバイダからサービス提供を受けられなくなったSNSのParlerに対して、DDoS-Guardは2021年1月からDoS攻撃対策サービスの提供を開始した。Wiredによると、下院監査政府改革委員会はParlerに対する調査の中で、Parlerに対し、特にロシアとの団体に関する資料の提出を求めた[17]。
脚注
[編集]- ^ Murdock, Jason (19 January 2021). "What Is DDos-Guard? Parler Website Back Thanks to Russian Tech Company". Newsweek. 2021年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月19日閲覧。
- ^ a b c d e f Kolomychenko, Maria (29 January 2021). Igumenov, Valery (ed.). "'Remove this infection from your network' The small Russian company that 'saved' Parler has other, far more odious clients". Meduza. Translated by Rothrock, Kevin. 2021年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月9日閲覧。
- ^ Krebs, Brian (5 January 2021). "Hamas May Be Threat to 8chan, QAnon Online". Krebs on Security. 2021年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月19日閲覧。
- ^ "Parler website partially returns with support from Russian-owned technology firm". The Guardian. 19 January 2021. 2021年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。Reutersより2021年2月9日閲覧。
- ^ a b c Krebs, Brian (21 January 2021). "DDoS-Guard To Forfeit Internet Space Occupied by Parler". Krebs on Security. 2021年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月9日閲覧。
- ^ "Database, source code allegedly related to bulletproof hosting, once Parler's service provider, up for sale on hacker forum". Group-IB. 1 June 2021. 2021年6月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月3日閲覧。
- ^ Guglielmi, Giorgia (28 October 2020). "The next-generation bots interfering with the US election". Nature. 587 (7832): 21. Bibcode:2020Natur.587...21G. doi:10.1038/d41586-020-03034-5. PMID 33116324。
- ^ Neiwert, David (17 January 2018). "Conspiracy meta-theory 'The Storm' pushes the 'alternative' envelope yet again". SPLC. 2019年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月14日閲覧。
- ^ Collins, Ben; Zadrozny, Brandy (11 August 2020). "The far right is struggling to contain Qanon after giving it life". NBCニュース. 2021年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月9日閲覧。
- ^ Rosenberg, Eli (30 November 2018). "Pence shares picture of himself meeting a SWAT officer with a QAnon conspiracy patch". Washington Post. 2021年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月9日閲覧。
- ^ "Broward SWAT sergeant has unauthorized 'QAnon' conspiracy patch at airport with VP, report says". サン・センチネル. 30 November 2020. 2021年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月9日閲覧。
- ^ Moore, Mckeena (2 August 2018). "What You Need to Know About Far-Right Conspiracy QAnon, Which Was Present at the Tampa Trump Rally". Fortune. 2021年2月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月9日閲覧。
- ^ Roose, Kevin (10 July 2019). "Trump Rolls Out the Red Carpet for Right-Wing Social Media Trolls". NewYork Times. ISSN 0362-4331. 2021年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月9日閲覧。
- ^ Weill, Kelly (13 November 2020). "QAnon's Home 8kun Is Imploding—and Q Has Gone Silent". The Daily Beast. 2021年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月21日閲覧。
- ^ Thomas, Elise (17 February 2020). "Qanon Deploys 'Information Warfare' to Influence the 2020 Election". Wired. 2021年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月21日閲覧。
- ^ Paul, Kari; Harding, Luke; Carrel, Severin (15 January 2021). "Far-right website 8kun again loses internet service protection following Capitol attack". The Guardian. 2021年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月19日閲覧。
- ^ Newman, Lily Hay (20 January 2021). "Parler Finds a Reprieve in Russia—but Not a Solution". Wired. 2021年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月20日閲覧。
関連項目
[編集]- Cloudflare - アメリカ合衆国のCDN企業
- Epik - ネオナチなどのサイトをホストしていることで知られるアメリカ合衆国のホスティング企業