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Cromemco Cyclops

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Cromemco Cyclops
Cromemco Cyclops
メーカークロメンコ
レンズマウントDマウント
レンズ25mm f2.8
センサー改造1kiB RAM IC
イメージセンサー種類MOS
最大解像度32×32画素、16階調グレースケール
フレームレート30 Hz
発売1975年

Cromemco Cyclops(クロメンコ サイクロプス)は、クロメンコ1975年に発売したデジタルカメラであり、世界初の商用化された完全デジタル処理のカメラである。

解説

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画像素子としてMOSイメージセンサを使用していた[1]。初のマイクロコンピュータへのインターフェイスを持つデジタルカメラである。イメージセンサは1 kbDRAMメモリチップを改造したもので、解像度は32×32画素(0.001メガピクセル)だった[1]

Cyclopsとは、ギリシャ神話に登場する単眼の巨人キュクロープスのことで、このカメラが単眼であることからその名がつけられたものである[2]

背景

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1974年7月25日付の『ポピュラーエレクトロニクス』誌編集長からのカメラプロジェクト「CYCLOPS」の取材記事掲載についての手紙。

Cyclopsは、テリー・ウォーカー、ハリー・ガーランドロジャー・メレンの3人によって開発され、『ポピュラーエレクトロニクス』1975年2月号でホビイストの電子工作として紹介された[3]

その1ヶ月前の同誌では、MITS社のマイクロコンピュータAltair 8800が紹介されていた[4]。『ポピュラーエレクトロニクス』誌の技術編集者であるレス・ソロモンは、CyclopsとAltairのインターフェイスに価値を見出し、Cyclopsの開発者の1人のロジャー・メレンと、MITS社の社長であるエド・ロバーツに連絡を取り、コラボレーションについて話し合うことにした[5]

メレンはニューメキシコ州アルバカーキのMITS本社でロバーツと会った。ロバーツはメレンに、AltairとCyclopsのインターフェイスを製作することを勧め、彼らがこのプロジェクトをすぐに開始できるよう、メレンにAltairを速やかに送ることを約束した[6]

カリフォルニアに帰ったメレンは、ガーランドと、Cyclops等のAltair用の製品を製造するためのパートナーシップを結び、その名前をクロメンコとした[7]。1976年1月、MITS社はAltairの最初の周辺機器としてCromemco Cyclopsを発表した[8][9][10]

技術

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Cyclopsで使用されているクロメンコ社製1024画素MOSイメージセンサ
Cyclopsの内部。Cyclopsの電子回路は3枚の基板で構成されている。一番左の基板にある2つの赤色LEDは、低照度時にセンサの背景を照らすためのバイアスライトである。

Cyclopsは、MOSメモリチップを改造した革新的なイメージセンサを使用していた[11]。チップ上面のカバーを取り外し、そこにガラスの板を取り付けて、半導体に直接光が当たるようにした。動作理論については、『ポピュラーエレクトロニクス』のオリジナル記事に記載されている[3]。最初は、32×32の配列に配置された1024個のメモリセルが、全て"1"の状態になっている。光が当たったメモリセルは、その状態が"0"に変化する。光が強ければ強いほど、"1"から"0"に変化するスピードが速くなる。

25mm F2.8のDマウントレンズにより、イメージセンサに像を結ぶように調整されている。各メモリセルの状態のスキャンを計16回行う。1回目のスキャンでは、全てのメモリセルの状態が"1"になっている。当たる光が強いセルほど"1"から"0"に早く変化するので、各セルが"1"から"0"に変わったタイミング(すなわち、そのときのスキャン回数)によって、各セルに当たる光の強さが分かる。ほとんど光が当たっていないセルは、最後まで"1"のままである。このようにして、Cyclopsは16階調のグレースケールのイメージを取得する。

Cyclopsには2つのバイアスライトがついており、低照度環境での感度を向上させることができる。このライトは手動でも、コンピュータ制御でも調整可能で、センサに均一な低レベルの光を照射することができる。一度調整すれば、低照度環境下でも、イメージからのわずかな入射光に対しても感度が向上する。

脚注

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  1. ^ a b Building the First Digital Camera”. Hackaday (17 April 2016). 30 April 2016閲覧。 “the Cyclops was the first digital camera”
  2. ^ 脇英世 (2009年8月11日). “クロメンコを作った2人”. @IT. 2020年5月24日閲覧。
  3. ^ a b Walker, Terry; Garland, Harry; Melen, Roger (February 1975). “Build Cyclops”. Popular Electronics (Ziff Davis) 7 (2): 27–31. 
  4. ^ Edwards, H. Edward; Yates, William (January 1975). “Altair 8800 minicomputer”. Popular Electronics (Ziff Davis) 7 (1): 33–38. 
  5. ^ Freiberger, Paul; Swaine, Michael (2000). Fire in the Valley: The Making of the Personal Computer (Second ed.). McGraw-Hill. p. 48. https://archive.org/details/fireinvalleymaki00frei 
  6. ^ Levy, Steven (1984). Hackers: Heroes of the Computer Revolution. Garden City, NY: Anchor Press/Doubleday. pp. 202. ISBN 0-385-19195-2 
  7. ^ Levering, Robert; Katz, Michael; Moskowitz, Milton (1984). The Computer Entrepreneurs. New American Library. pp. 36–40. ISBN 0-453-00477-6. https://archive.org/details/computerentrepre00leve/page/36 
  8. ^ Allen, Paul (2011). Idea Man: A Memoir by the Cofounder of Microsoft. New York: Penguin Group. p. 108. ISBN 978-1-59184-537-9. "The Altair even debuted a digital camera back in 1976." 
  9. ^ Holley, Michael. “Popular Electronics, February 1975”. 2014年10月31日閲覧。 “The Cyclops was the first product of Cromemco. It was modified to be used with the Altair 8800 computer and an advertisement ran in the January 1976 issue of MITS Computer Notes.”
  10. ^ “Cyclops”. Computer Notes (MITS) 1 (7): 8. (January 1976). オリジナルのOctober 6, 2014時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20141006100202/http://startup.nmnaturalhistory.org/gallery/notesViewer.php?ii=76_1&p=8 May 8, 2013閲覧。. 
  11. ^ CROMEMCO Computing”. 2014年10月31日閲覧。 “The sensor for that camera was a memory chip.”

外部リンク

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