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BAKUDAN

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
BAKUDAN
ジャンル 少年漫画
漫画
作者 宮下あきら
出版社 集英社
掲載誌 週刊少年ジャンプ
レーベル ジャンプ・コミックス
発表号 1994年42号 - 1995年8号
巻数 全2巻
テンプレート - ノート

BAKUDAN』(ばくだん)は、宮下あきらによる日本漫画作品。

概要

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日本一のヤクザを目指そうとした不良少年・瀑僚介が、地上げで来たボクシングジムで才能を見出され、日本人初のヘビー級チャンピオンを目指す。

作者の宮下あきらはボクシングの知識が乏しかったことから連載前に渡米してラスベガスで取材したという。

前半は「傷害罪=ハシカ」、「殺人未遂=キメゴロ」、「刑期=まんじゅう」など裏社会の隠語が多く登場する。

後半になると人気の低迷が顕著になりタイトルの下に焦った表情の僚介が描かれていたり、扉絵で作者と思しきキャラクターを僚介が茶化すイラストのような自虐ネタが描かれていた。

本来なら時間を掛けて日本王者に上り詰めてから渡米する展開が描かれる予定だったが、短縮の影響で最終回ではプロデビューから日本王者、世界戦までがダイジェストで描かれた。

最終回のラストでは見開きで主人公の僚介だけでなく『魁!!男塾』の剣桃太郎など過去の代表作品の主人公たちが勢揃いして読者に応援を感謝する形で本作は締め括られたが、このページだけは単行本では未掲載となっている。

宮下は本作の終了後、舞台を青年誌に移した影響で2021年現在、『少年ジャンプ』における最後の連載作品となっている。

あらすじ

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暴走族を一人で壊滅させた少年・瀑僚介は特少で2年1か月の受刑を終え出所、未来の大物チンピラとして暴力団桜蘭華組の預かりとなる。組に立ち寄る前に地上げのシノギで、ザウルスジムのオーナー兼トレーナー・ケン玉城とジムの権利書を掛けて闘う。

人物

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瀑僚介(ばく りょうすけ)
チンピラ→プロボクサー。通称「バクダン」。小学生時代に自身に給食費を盗んだ疑いを掛けた担任を半殺しにして以降は数々の傷害事件(裁判の場で日本一の極道になるためのトレーニングと語った)で前科を重ね、特別少年院(本人曰く極道のエリートコース)に2年1か月収監されていた。新若衆指名順位決定会(若手の取り合いを防ぐために開かれた極道版ドラフト会議)で鳴り物入り(参加した全ての組が僚介の一本釣りを目論む)で一位指名される怪物。自らの拳だけで日本一のヤクザになることを目標としていたが、自身をスカウトしようとした玉城の試合を見たことで心を揺さぶられ彼の想いが込められた手紙を読んだことで考えを改め、世界一のボクサーを目指すようになる。バクダンらしく「オレの導火線に火がついちまったぜ」「大爆発」が口癖。
身長185センチ、体重95キロ。
ケン玉城(ケン たまき)
元プロボクサー、ザウルスジム会長。46歳。通算成績は13戦13勝、12KOで現役時代は黒いカミカゼと呼ばれて恐れられており、根強い人気を持ち今でも熱心なファンがいる。在米軍人の父と日本人の母の間に生まれたハーフ。幼少期に物心がつく前に両親と死別したことで愛情を受けることなく育ったため、少年時代はかなりの不良で何度も警察に逮捕され少年院に収監されたこともあった。彼自身も遼介と同じように腕力で裏社会のボスになろうとしていたが、父親の友人から渡された遺品でもあるボクシンググローブに書かれた「夢を持て 誇りを持て 我が息子よ」のメッセージを見て、自身が愛されていたことを知り生まれて初めて涙を流し、心を改めてボクシングに打ち込むようになる。プロデビュー以降は日本人で唯一ヘビー級の世界ランクに入り、チャンピオン確実と思われたが八百長を断ったマフィアに左の親指を指詰めさせられ引退に追い込まれ、その一件から裏社会の人間を激しく憎むようになった。引退後は自身が果たせなかった夢を託せるものが現れることを信じてヘビー級専門のジムを立ち上げ運営するが、門下生は集まらず金欠の日々を送っていた。地上げにやって来た僚介と一戦交えたことで彼に素質を見出し、ボクサーとしてスカウトしようとした。自身の試合のチケットを僚介に渡すために親子盃の現場に乱入(カチコミ)、ダンビラ使いの辰を相手にし、辰の突きを左拳の甲側を通させる精妙なパンチコントロールでダンビラを封じ込め、右アッパーでKO、現役時代の活躍に対して夢を魅させてもらっていたとの賛辞を赤松より送られ、不問に処された。鷹条との試合では彼の右ストレートを額で防ぐなど最初の内は善戦するが、左手を使えないことで徐々に追い込まれ敗北する。試合後は心を改めた僚介と共に世界チャンピオンを目指すようになる。特訓のためにスズメバチを多数育てている(僚介からは「養蜂家か、アンタ…」と言われた)。
藤丸菊一(ふじまる きくいち)
プロボクサー。デビュー戦で玉城から送られたトランクスに残っていたスズメバチに刺され、腫れ上がった巨大なイチモツで恥をかかされ失踪、資格を失う。玉城への復讐のため30歳のラストチャンスで再びプロテストを受ける。僚介からは「猿丸」と呼ばれる。最終回でも登場し、防衛戦に臨む僚介にセコンドとして付き添う。俺の分まで頑張ってくれと檄を飛ばし、彼との再戦を誓った。主人公の僚介とはプロデビューから世界大会までと長く関わりがあったことになるが、本編でその顛末が描かれることは無かった。
鷹条ユウキ(たかじょう ユウキ)
日本ヘビー級チャンピオン。世界チャンピオンになることを期待されている大物で、得意技は巨大化したように見える強烈な右ストレート。実力者でありながら相手を決して侮らず見下すようなことはしない心意気を持っている。スーパーエキシビジョンで玉城を破り、僚介の前にたちはだかる厚い壁になるはずだったが最終回で1ページノックアウトされた。
身長191センチ、体重105キロ。
赤松梅政(あかまつ うめまさ)
関東金瓶梅連合桜蘭華組七代目組長。61歳。普段は温厚だが激怒した時は僚介でさえ怯むほどの迫力(若頭の倉石曰く「ウチの親父より怖い人はこの世におらん、あの人に睨まれたら御仕舞いだ」)を見せる。僚介の素質に惚れ込み日本一の極道にしようと意気込んでいたが、玉城の決死の土下座で一旦正式な組員になることを保留する。そして玉城の試合を機に僚介がボクサーを目指すことを決意した際は、絶対にチャンピオンになるように言い残して去っていった。ヘビー級タイトルマッチでは鉢巻を巻いて客席に座っていた。
倉石義光(くらいし よしみつ)
桜蘭華組若頭。冷静な性格で組長を補佐する。
桑沢(くわさわ)
特少の囚人。殺人未遂で入所しており、囚人たちの中ではリーダー格の存在となっていた。初日からケンカを売ってきた僚介を抹殺の標的にしていたが、火事に巻き込まれた際に危険を顧みず命がけで助けられたことで彼を認めるようになり代を譲る。僚介が出所する際はいつでも戻って来いとエールを送った。
根本良昭(ねもと よしあき)
桜蘭華組若衆。僚介の教育係を任せられ、特少を出所したところを出迎えるが小物ぶりを見せてばかりだったため、完全に舐められていた。しかし馬鹿にされながらも舎弟を見殺しにはできない度胸は持っており、盃の儀式で無茶をした僚介を咄嗟に助けた。車に対しても独特の拘りがあり、ナンバーをゴクドーと読める5910にするため、陸運局の前にテントを貼って3日間座り込んだこともある。
自身を馬鹿にしたことに対する腹いせが目的だったものの地上げを任せて対決に発展したのを機に玉城が僚介に可能性を見出すことに繋がったので、僚介がボクシングの道に進むきっかけを作った人物とも言える。単身アメリカで闘い続けたケンを「若い時分の超ヒーロー」と語るだけあり、地上げの際に舎弟の伸一に詳しく説明していた。
大江鉄丸(おおえ てつまる)
イーグルジム会長。関西訛りで話す。鷹条の実力と素質を高く買う一方で、試合を申し込んで来た玉城を金目当てのロートルと馬鹿にしていた。
三原(みはら)
毎朝スポーツの記者。玉城とは古くからの友人であり、スーパーエキシビションでは彼のセコンドを務めた。
25番の受験生
プロテスト受験生。本名不明。プロテストで藤丸と戦い彼の中でトラウマとなっていた出来事を暴露して追い詰めていくが、僚介に檄を飛ばされ闘志を取り戻した藤丸に敗れる。
俵精一郎(たわら せいいちろう)
プロテスト受験生。高校ボクシングで三冠を取りアトランタ五輪の代表を蹴ってまでプロテストを受けた。相手を見下す典型的なエリートで、端正な顔立ちと華麗な動きから女性人気も高い。プロテストでは僚介と戦うが、スズメバチの特訓で実力をつけた彼の敵ではなく追い込まれるが、反則を交えた反撃と「ボクシングはケンカと同じ」と発したことで僚介を本気にさせてしまい、最後は顔面が変形するほどの一撃でリングの外まで殴り飛ばされる。
アニメ漫太郎(アニメまんたろう)
ヘビー級11位日本ランカー。筋骨隆々とした体格に美少女キャラの顔といった風体をしている。最終回で一コマでK.Oされる。
エセロック・野郎(エセロック・やろう)
ヘビー級8位日本ランカー。十字のネックレスを掛けている。最終回で一コマでK.Oされる。
ボッタクリズシ・親父(ボッタクリズシ・おやじ)
ヘビー級3位日本ランカー。頭に捻り鉢巻を巻いている。最終回で一コマでK.Oされる。
バブル・銀行(バブル・ぎんこう)
ヘビー級2位日本ランカー。最終回で一コマでK.Oされる。
ジョージ・ヘンドリックス
世界ヘビー級王者。史上最強のチャンピオンと称され七度目の防衛戦で僚介と対戦するが、試合の様子がまともに描かれることはなかった。