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紙の寸法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
B4版から転送)

紙の寸法(かみのすんぽう)では、工業規格について記述する。サイズの系統にはA列B列四六判菊判ハトロン判AB判などがある。

国際的な紙の寸法の規格

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A列、B列、C列はISO 216で画定されている紙の仕上がり寸法の国際規格である。ドイツの工業規格 DIN 476が基になっており、世界各国で使われている。仕上がり寸法とはノートやコピー用紙など、製品に仕上がった紙の寸法である。

A列ならもとの大きさを「A0」、それを長辺で半分にしたものを「A1」、さらにA1を半分にしたものを「A2」という具合に呼び、サイズを下げていく際に長辺を半分にすることにより短辺と長辺の比率(白銀長方形)が同じ(つまり相似)になるように設計されている。しかし規格寸法は1mm未満の端数が出た段階でその端数値が切り捨てられるため、逆算で単純に短辺を倍にすることによりサイズを上げていくと規格寸法の数値に誤差が生じる。日本では「A1」を「A全」、「A0」を「A倍」と呼ぶことがある。

短辺と長辺の比は1:2(≒1.414)。数字が1減るに従い面積は2倍、辺の長さは2(≒1.414)倍になる。

A列

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A列。

A0の面積は1m2である。つまりメートル(m)で表した短辺と長辺の辺の長さは互いに逆数になっており、1/42(≒1.189)(≒0.841)m×42(≒1.189)mである。

An判の端数処理をした長辺は以下の数式で得られる。短辺はnを1増やせば得られる。(単位:mm)

1000/22n-1/4+0.2
短辺×長辺(mm 用途の例[1]
A0 841×1189  
A1 594×841
A2 420×594
A3 297×420
A4 210×297 写真集・美術全集
A5 148×210 学術書・教科書
A6 105×148 文庫本
A7 74×105  
A8 52×74
A9 37×52
A10 26×37

これらの値には許容値が定められているが、ISOや各国の国家規格で異なる。

延長サイズ

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「ISO 5457 製図 - 製図用紙のサイズ及び図面の様式」では、「特に長い用紙が必要な場合」のために、以下のような「特別延長サイズ」および「例外延長サイズ」が定められている。

特別延長サイズ
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短辺×長辺(mm)
A3×3 420×891
A3×4 420×1189
A4×3 297×630
A4×4 297×841
A4×5 297×1051
例外延長サイズ
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短辺×長辺(mm)
A0×2 1189×1682
A0×3 1189×2523
A1×3 841×1783
A1×4 841×2378
A2×3 594×1262
A2×4 594×1682
A2×5 594×2102
A3×5 420×1486
A3×6 420×1783
A3×7 420×2080
A4×6 297×1261
A4×7 297×1471
A4×8 297×1682
A4×9 297×1892

B列

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B列。上のA列の図と等倍率。

B0の辺の長さは1m×2(≒1.414)mである。

B列のサイズは、A列と1つ小さいA列の間を等比分割する。つまり、B0:A0:B1:A1:…の隣り合う面積の比は全て2(≒1.414)倍、辺の長さの比は42(≒1.189)倍である。これは、A列内でA0:A1:A2:…の面積の比が2倍、辺の長さの比が2(≒1.414)倍となっている思想と一貫している。コピーを取る時などにA4→B4にする倍率とB5→A4にする倍率が同じ倍率となる利点を持っている。

Bn判の端数処理をした長辺は以下の数式で得られる。短辺はnを1増やせば得られる。(単位:mm)

1000/2n-1/2+0.2
短辺×長辺(mm) 用途の例[1]
B0 1000×1414  
B1 707×1000
B2 500×707
B3 353×500
B4 250×353 画集・グラフ雑誌
B5 176×250 週刊誌・一般雑誌
B6 125×176 単行本
B7 88×125  
B8 63×88
B9 44×63
B10 31×44

なお、一部の国(日本を含む)では、上記の国際規格のB列ではなく、日本を始めとする JIS B列が一般的に使用されている。国際規格のB列とJISのB列は呼称が同じものの寸法が異なるため、混同しないよう注意が必要である。例として、以下の寸法がある。

  • JIS B5:182mm×257mm
  • セミ B5:179mm×252mm

C列

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C列。上のA列・B列の図と等倍率。
A列・B列(ISO)・C列の比較。

ISO 269ではC列が規格化されている。C列は、B列(ISO)とA列の間を等比分割する。つまり、B0:C0:A0の隣り合う面積の比は42(≒1.189)倍、辺の長さの比は82(≒1.091)倍である。

Cn判の端数処理をした長辺は以下の数式で得られる。短辺はnを1増やせば得られる。(単位:mm)

1000/24n-3/8+0.2
短辺×長辺(mm)
C0 917×1297
C1 648×917
C2 458×648
C3 324×458
C4 229×324
C5 162×229
C6 114×162
C7 81×114
C8 57×81
C9 40×57
C10 28×40

C列は主に封筒に使われる。C4サイズ(日本の角形20号と同じ)はA4より一回り大きいため、A4を折らずにそのまま入れられる。A4二つ折りを送るときはC5サイズ(日本の角形6号と同じ)を選ぶ。

RA列およびSRA列

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RA列、SRA列はISO 217英語版で画定されている原紙寸法の国際規格である。原紙寸法とは印刷時に紙の端を機械のツメがくわえたり、裁断加工時のトンボに必要な余白を加えたもので、仕上寸法よりひとまわり大きい。RA列、SRA列はそれぞれ同じ番号のA列に対応する。

短辺×長辺(mm)
RA0 860×1220
RA1 610×860
RA2 430×610
RA3 305×430
RA4 215×305
短辺×長辺(mm)
SRA0 900×1280
SRA1 640×900
SRA2 450×640
SRA3 320×450
SRA4 225×320

各国における独自の紙の寸法の規格

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DIN(ドイツ)

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ドイツの工業規格 DIN 476は1922年に公表され、後にISOのA列、B列などの基になった規格であるが、DIN 476はA0より上の2A0と4A0が規格化されており、それぞれA0の2倍ないし4倍の寸法となる。

短辺×長辺(mm)
4A0 1682×2378 2
(≒1.414)
2A0 1189×1682

SIS(スウェーデン)

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スウェーデンSISスウェーデン語版英語版 014711ではISOのA列、B列、C列に加え、D列、E列、F列、G列が規格化されている。D列はB列と1つ大きいA列の間を等比分割し、D0:B0:C0:A0:D1:B1:…の面積の比は42(≒1.189)倍となる。E列・F列・G列はそれをさらに等比分割してD0:F0:B0:G0:C0:E0:A0の面積の比は82(≒1.091)倍、辺の長さの比は162(≒1.044)倍となる(A0とD1の間を等比分割する規格はない)。

JIS(日本)

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日本では、1951年に制定されたJIS P 0138「紙加工仕上寸法」が「ISO-Aシリーズ」(A列)と「JIS-Bシリーズ」(B列)の寸法を規定している。この規格は、1929年商工省日本標準規格第92号として発表した「紙ノ仕上寸法」が元になっている。なお「紙ノ仕上寸法」は1940年臨時日本標準規格第138号としても制定されており、JIS P 0138の規格番号はこの数字を引き継いだものである。

JIS P 0138のA列はISOと同じだが、B列は国際規格との互換性がない。JISのB0は面積が1.5m2となるように定義されている。よって辺の長さは41.12544.5m(約1.03m×約1.456m)となり、ISOのB0より約3%大きい。B列の長辺の長さはA列の対角線に等しく、短辺の長さは1段階小さいA列の対角線に等しい。

ISOのA列とB列は相似比が42倍(約1.189倍)と一定なのに対し、JISにおいては、A列より一回り大きいB列と、B列より一回り大きいA列で相似比が異なる。B列はA列の1.5倍(約1.225倍)で、A列は1段階小さいB列の4/3倍(約1.155倍)である。

JIS B列はほとんど日本中国台湾の3地域のみで使われている。江戸時代の公用紙である美濃紙をもとに定めた美濃判に由来する[要出典]

JIS Bn判の端数処理をした長辺は以下の数式で得られる。短辺はnを1増やせば得られる。(単位:mm)

10003(≒1732)/422n+1+0.2
短辺×長辺(mm)
JIS B0 1030×1456 1.414
JIS B1 728×1030
JIS B2 515×728
JIS B3 364×515
JIS B4 257×364
JIS B5 182×257
JIS B6 128×182
JIS B7 91×128
JIS B8 64×91
JIS B9 45×64
JIS B10 32×45

原紙寸法の規格としては、ISO 217を元に日本独自の寸法を規定したJIS P 0202「紙の原紙寸法」が存在する。以下の5つが定められている。

種類 短辺×長辺(mm)
A列本判 625×880 1.408
B列本判 765×1085 1.418
四六判 788×1091 1.385
菊判 636×939 1.476
ハトロン判 900×1200 1.333

ANSI(アメリカ合衆国)

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ANSI A - E。
A4レター(ANSI A)の比較。

アメリカ合衆国ANSI/ASME Y14.1では、伝統的なデファクトスタンダードだったレター(レターサイズ)を基準とした用紙サイズが規格化されている。

A列などと異なり、レターがAとなり、アルファベット順に面積が倍になる。

ANSI A(レター)はA4に似るがやや短く、短辺と長辺の比は2(≒1.414):1ではない。そのためANSI系列は、面積が倍になるにつれ短辺と長辺の比が1.294倍と2/1.294(≒1.546)倍の間で交互に入れ替わる。辺の長さも2(≒1.414)倍にはなっていない。

  短辺×長辺 通称 近似のISO
mm in
ANSI E 864×1118 34×44 1.294   A0
ANSI D 559×864 22×34 1.546 A1
ANSI C 432×559 17×22 1.294 A2
ANSI B 279×432
432×279
11×17
17×11
1.546 タブロイド
レジャー
A3
ANSI A 216×279 81/2×11 1.294 レター A4

その他のデファクトスタンダード

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数多くのデファクトスタンダードがあるが、プリンターDTPが多く対応しているものを挙げる。

北アメリカ

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  短辺×長辺 ANSI 近似のISO
mm in
タブロイド
レジャー
Tabloid
Ledger(LDR)
279×432
432×279
11×17
17×11
1.546 B A3
リーガル Legal(LGL) 216×356 81/2×14 1.647    
フォリオ Folio 210×330 8.27×13 1.625
クォート Quarto 229×279 9×11 1.222
レター Letter(LTR) 216×279 81/2×11 1.294 A A4
エグゼクティヴ Executive(EXEC) 184×267 71/4×101/2 1.448  
ステイトメント
ハーフレター
Statement(STMT)
Half Letter
140×216 51/2×81/2 1.545 A5

なお、フォリオやエグゼクティヴには複数のサイズがあり、また他の国(チリ、フィリピン、メキシコなど)には別寸法のリーガルもある。このため購入などでサイズを指定する時には、名称でなくインチ数で表した方が無難である(レター・・・81/2×11 Eight and a Half by Elevenなど)。

日本

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本の判型などに使われる。このほかにも多くのデファクト・スタンダードがある。

菊判・四六判は正確な寸法が定まっておらず、ここに記したのは一例である。AB判はA4の短辺とB5(JIS)の長辺を持つ。B40判・三五判はB5・A5(32取)の80%の幅である。

短辺×長辺(mm) 全紙取り
AB判 210×257 1.225 AB判16取
菊判 152×218 1.434 菊判16取
四六判 127×188 1.480 四六判32取
B40判 103×182 1.768 B判40取
三五判 84×148 1.768 A判40取

写真

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写真の焼付け用紙は、508mm×610mm(20in×24in)の原紙から切り出す場合が多い。したがって四つ切、六つ切など分割数を名称に冠する。英語ではインチ数で表記する。美術におけるカンバスサイズとは異なっている。

近年はフォトプリンターの普及でこれをもとにしたサイズの写真用プリンター用紙がつくられているが、ビジネス用途との互換性からA・B判が用いられることも多い。またA・B判の出力幅を活かしたままで伝統的なカメラ(35mmフィルム・デジタル一眼レフ)の2:3の寸法比率をなるべくトリミング(切り取り)せず出力できるよう、この分野特有のノビ判サイズの用紙も使用されている。

A3ノビは写真プリンター特有の紙型である。デジタルカメラスマートフォンの普及と共に、最近家電量販店での印画紙はほぼ日本的なL版および2L版(および国際的なKG版が少々)になってきている[2]

  短辺×長辺
mm in
大全紙 508×610 20×24 6:5(1.200)
全紙 457×560 18×22 11:9(1.222)
A3ノビ 329×483 13×19 19:13(1.462)
半切 356×432 14×17 17:14(1.214)
大四つ切 279×355 11×14 14:11(1.272)
四つ切 254×305 10×12 6:5(1.200)
六つ切ワイド 203×305 8×12 3:2(1.500)
六つ切 203×254 8×10 5:4(1.250)
2L 127×178 5×7 7:5(1.400)
ハガキ(KG) 102×152 4×6 3:2(1.500)
L(サービスサイズ) 89×127 31/2×5 10:7(1.429)
DSC 89×119 31/2×4.69 4:3(1.333)

新聞

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国際的な新聞判型の比較
  • 国際的な判型 - おおむねの規格寸法。地域や新聞社によって違いがある。世界的には紙面小型化と発行コストの削減を目的に、従来より安価な幅が狭いロール紙で印刷できるように紙面レイアウトを再設計する「ウェブカットダウン」(Web cut down)と呼ばれる取り組みが進んでおり、ブロードシート判でも左右寸法がタブロイド判並みに狭い新聞もある。
判型 短辺×長辺
mm in
ブロードシート判(Broadsheet) 375×600  
ノルディッシュ判(Nordisch) 400×570
レニッシュ判(Rheinisch) 350×510
350×520
360×530
スイス判(NZZ判、Schweizer Format) 320×475
ベルリナー判(Berliner) 315×470 123/8×181/2
タブロイド・エクストラ(Tabloid Extra) 305×455 12×18
ハーフ・ブロードシート判(Half Broadsheet) 300×375 12×143/4
ハーフ・レニッシュ判(Half Rheinisch) 255〜265×365〜370 10〜101/2×141/2
260×325 101/4×123/4
ハーフ・スイス判(Half Schweizer Format) 240×330 91/2×13
ハーフ・ベルリナー判(Half Berliner) 230〜240×310〜320 9〜91/4×121/4〜121/2
タブロイド判(Tabloid) 285×400 111/4×153/4
235×315 91/4×121/2
  • 日本ローカルの判型
    日本の主要な新聞社が採用している。
    ブランケット判の半分の大きさで、国際的なタブロイド判のサイズとはやや異なる。夕刊フジ日刊ゲンダイフジサンケイ ビジネスアイなどのほか、自治体の広報紙、新聞形式のフリーペーパー機関紙、新聞の折り込み広告などで、広く採用されている。
    • 菊判 - 469mm×636mm(菊半裁)、318mm×469mm(菊四裁)
    • オフセット枚葉機による印刷を行っている中・小規模地域紙においては、ブランケット判代用としてJIS B3判(364mm×515mm)を、タブロイド判代用としてJIS B4判(257mm×364mm)を用いる例が多い。

その他の規格

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  • バイブルサイズ(聖書サイズ) - 95mm×170mm
元になったのはFilofax社がシステム手帳に用に販売している「Personal」と「Slimline」であるが、こちらは33/4in×63/4in(95mm×171mm)であり、日本国内で流通するサイズより僅かに長辺(縦)が長くなっているが、1mm差なのでバインダーは共通である。またB6に比べ短辺(横)が短くなっているが、B6の判形が収まるバインダーも多い。
携帯用聖書に広く使われるサイズに近いため、山根一眞がシステム手帳の解説本で「バイブルサイズ」と表現したことから日本国内ではこう呼ばれる。

脚注

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関連項目

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外部リンク

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