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AlphaGo対柯潔

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

AlphaGo対柯潔は、中国囲棋協会所属のプロ棋士・柯潔と、Google DeepMindが開発したコンピュータ囲碁プログラム・AlphaGoの三番勝負。

概要

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2016年3月、世界トップクラスの棋士である韓国の李世ドルAlphaGoが4勝1敗と勝ち越し、世界中に衝撃を与えた(詳細はAlphaGo対李世ドルを参照)。しかし、この対局を見た柯潔は「自分なら勝てる」と自信を見せていた[1]

その後、2016年の年末から年明けにかけて「Magister」「Master」と名乗るプレイヤーが東洋囲碁や野狐囲碁に姿を現し、トッププロらを相手に非公式の早碁ながら60連勝を記録した(詳細はMasterを参照)。その中には柯潔に対する3勝も含まれている。この60局の対局後、DeepMindのデミス・ハサビスはその正体がAlphaGoの新たなバージョンであることを明らかにし、2017年内に公式対局の舞台を設けることを明言した。こうして、当時世界レーティング1位の柯潔が人類の「最後の砦」として立ちはだかることとなった。なお、三番勝負の前に公開したMasterの棋譜はこの60局以外には自己対戦の棋譜50局のみであり、膨大な学習データの一部しかオープンにされない点には疑問の声も上がった[1]

2017年5月、中華人民共和国浙江省烏鎮にあるインターネット国際会展センター(世界インターネット大会英語版の永久開催地)で開催された囲碁の未来サミットで対局は行われた。Masterは4つのTPUを用いており、DeepMindは前バージョンとは3子もの実力差があるとしていた。結果はMasterの3連勝であった。

この結果を受け、AlphaGoは人間との対局から引退するとGoogleは発表した[2]。なお、人間との戦いからは引退したものの、研究はその後も続けられており、のちに新たなバージョンとなるAlphaGo ZeroAlphaZeroが開発されている。

対局

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対局はすべて中国ルール、コミ7目半で行われた。

第1局

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5月23日に行われた。黒番が柯潔、白番がMaster。

99手目まで
100手目から199手目まで (黒139は)
200手目から289手目まで

初手に小目、三手目に三々といった地に辛い布陣を敷き、黒7とAlphaGoが愛用する序盤の三々入りを講じるなど、実利先行に徹した。柯潔はこの三番勝負以前、こうしたMasterのような手を序盤によく打つようになっていた[3]。しかし、Masterの手堅い打ち回しの前に半目負けとなった[4]

第2局

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5月25日に行われた。黒番がMaster、白番が柯潔。AlphaGoは白番での勝率を高く見積もっており、柯潔は自身が白番であるこの対局をチャンスと考えていた。

99手目まで
100手目から155手目まで (白104、132、黒137は, 黒129、135は101)

DeepMindのデミス・ハサビスは、本局における柯潔の打ち回しを「50手まで完璧」と賞した。そして、100手目あたりまでも接戦が続いていたとしたが、結果はMasterの中押し勝ちとなった。柯潔も対局後に「試合の中盤、とても興奮してしまいました。なぜなら、勝てそうな気がしたから」と語っている[5]。これでMasterの三番勝負の勝ち越しが決まった。

第3局

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5月27日に行われた。第2局に引き続き、Masterの黒番、柯潔の白番である。

99手目まで
100手目から199手目まで
200手目から209手目まで

第3局は柯潔が勝機を見出すチャンスをつかむことなく、Masterの勝利に終わった。柯潔が対局中に苦悩の涙を見せるシーンもあった。試合後の会見では、自身のミスについて語るとともに、対局に対する強い緊張などについても吐露した[1]

脚注

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