コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

アリス・クーパー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Alice Cooperから転送)
アリス・クーパー
ドイツ・ヴァッケン公演バックステージ(2017年8月)
基本情報
出生名 Vincent Damon Furnier
生誕 (1948-02-04) 1948年2月4日(76歳)
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ミシガン州 デトロイト
ジャンル
職業
担当楽器
活動期間 1963年 -
レーベル
公式サイト https://alicecooper.com/

アリス・クーパーAlice Cooper1948年2月4日 - )は、アメリカ合衆国出身のミュージシャンシンガーソングライター俳優

ロック音楽と演劇的ショーの融合を実践し、1970年代前半にはアメリカのグラムロックの代表格だった。その幻想的かつ創造的なパフォーマンスは「ショック・ロック」とも形容された。代表曲には「ポイズン」(Poison)「スクールズ・アウト」(School’s out)「アリスは大統領」(Elected)「ノー・モア・ミスター・ナイス・ガイ」(No More Mr. Nice Guy)などがある。

1973年にはシュルレアリスム画家のサルバドール・ダリが自ら希望して彼のショウに出演した。

2011年、『ロックの殿堂』入り[5]

人物

[編集]
若き日の素顔 (1976年)

ミシガン州デトロイト出身、出生名はヴィンセント・デイモン・ファーニア(Vincent Damon Furnier)。アリス・クーパーの名は、若い頃に見た夢に出てきた魔女の名前からとったというエピソードが有名だが、真相は、可愛らしい女の子の名前を付けて実際の音楽とのギャップを狙ったものであると、本人が『プライム・カッツ』のなかで証言している[注釈 1]

1960年代後半にデビュー[注釈 2]。1970年代初頭にはグラム・ロックのスターだった。「ショック・ロック」を打ち出したことで一部のロッカーに慕われている。「オジー・オズボーン」「エアロスミス」「トーキング・ヘッズ」「ガンズ・アンド・ローゼズ」をはじめ、特にグラムロック、ハードロックのミュージシャンが、アリス・クーパーのファンであることを告白し、アリスのベスト盤特別収録曲ではバッキング・メンバーとして参加している。

来歴

[編集]
トレードマークの顔ペイント開始の頃 (1972年)
近年の素顔 (2012年)

1969年、バンド『アリス・クーパー』のデビュー・アルバム『プリティーズ・フォー・ユー』をフランク・ザッパストレイト・レコードから発表。同年9月13日のトロント・ロックンロール・リバイバルに出演し、翌日の全国紙でニワトリを噛みちぎってその血を聴衆に吹きかけたと報道された。しかし本人は、ニワトリを聴衆に向かって投げたところ車椅子の観客に踏み潰されただけだ、と語っている[6]。ストレイト・レコードからは1970年に『イージー・アクション』、1971年に『エイティーン』を発表。後者の共同プロデューサーの一人にボブ・エズリンを迎えた。

同年、ワーナー・ブラザーズに移籍して『キラー』を発表。翌1972年に発表したアルバム『スクールズ・アウト』がティーンエイジャーを中心に支持され大ヒットし、一躍人気ロッカーとなった。『スクールズ・アウト』のオリジナル・アナログ盤は、紙製のパンティーに包まれていたことも話題となった。またアルバムのプロモーションのために、実際にアメリカ大統領選挙に出馬している。アリスの回想によれば、「アリスは大統領」を気に入ったジョン・レノンは、三日間続けて彼のもとへ通ってきたという[7]。若い頃からパンダのようなメイクをしており、ダミ声ともいえる唱法で一世を風靡した。『ビリオン・ダラー・ベイビーズ』(1973年)の「ノー・モア・ミスター・ナイス・ガイ」もヒットした。アルバム『マッスル・オブ・ラヴ』(1973年)を最後にバンド『アリス・クーパー』は解散。

1974年、映画『007 黄金銃を持つ男』の主題歌候補として「黄金銃を持つ男」[注釈 3]を歌うが、最終選考でルルに敗れた[8]

1980年代初頭には勢いを失うが、1980年代中期から再び脚光を浴び、1989年には豪華ゲストを迎えた『トラッシュ』が大ヒットを記録した。その後も幾度となく浮沈を繰返したが、現在においてもなお精力的に活動を行っており、「キッス」や「エアロスミス」と並ぶ、アメリカン・ハードロック界の重鎮ともいえる存在である。

また、アリスのバンドからは、後に「ウィンガー」を結成するキップ・ウィンガーや、後に「メガデス」等で活躍するアル・ピトレリ等、多くのプレイヤーを輩出した。

米国『TEC Awards』にて俳優仲間と (2017年1月)

俳優としても活躍し、TVシリーズ『名探偵モンク』シーズン5第2話「悪夢のゴミ戦争」に本人役で出演、映画『エルム街の悪夢』シリーズの『ザ・ファイナルナイトメア』にも出演[9]。映画『ダーク・シャドウ』にも本人役で出演した[10]

ハリウッド・ヴァンパイアーズ - ロシア公演 (2018年5月)

近年は、そのジョニー・デップらと意気投合したスーパーグループ・プロジェクト「ハリウッド・ヴァンパイアーズ」を発足させ、ボーカリストとして名を連ねている[11]

マスメディアはアリスを政治的な保守派だと決めつけるが、2016年の大統領選挙で出馬を検討したり、トム・ハンクスに投票すると語るなど、一筋縄ではいかない人物である[7]。時にその実際の姿が、世間でイメージされているクーパー像との乖離を生じ、パーティー・クラッシャーと誤解されがちな一面も持つ。当人の実像は、パーティーも好む気さくな人物である。

ギャラリー

[編集]

アリス・クーパー・バンド

[編集]
現ラインナップ
  • アリス・クーパー (Alice Cooper) - ボーカルハーモニカ (1963年- )
  • ライアン・ロキシー (Ryan Roxie) - リードギター (1996年-2006年、2012年- )
  • トミー・ヘンリクセン (Tommy Henriksen) - リズムギター (2011年- )
  • ニタ・ストラウス (Nita Strauss) - リズムギター (2014年- )
  • チャック・ガーリック (Chuck Garric) - ベース (2002年- )
  • グレン・ソーベル (Glen Sobel) - ドラムス (2011年- )

日本公演

[編集]
8月18日 大宮ソニックシティ、20日-23日 NHKホール、27日,28日 大阪厚生年金会館、30日 瀬戸市文化センター
3月25日 新木場STUDIO COAST、27日 大阪IMPホール
10月14日「LOUD PARK 17」さいたまスーパーアリーナ

ディスコグラフィ

[編集]

スタジオ・アルバム

[編集]
  • 『プリティーズ・フォー・ユー』 - Pretties For You (1969年)
  • 『イージー・アクション』 - Easy Action (1970年)
  • 『エイティーン』 - Love It To Death (1971年)
  • キラー』 - Killer (1971年)
  • スクールズ・アウト』 - School's Out (1972年)
  • ビリオン・ダラー・ベイビーズ』 - Billion Dollar Babies (1973年)
  • 『マッスル・オブ・ラヴ』 - Muscle of Love (1973年)
  • 『悪夢へようこそ』 - Welcome To My Nightmare (1975年)
  • 『アリス・クーパー地獄へ行く』 - Goes to Hell (1976年)
  • 『レースとウイスキー』 - Lace & Whiskey (1977年)
  • 『閉ざされた世界』 - From the Inside (1978年)
  • 『フラッシュ・ザ・ファッション』 - Flush The Fasion (1980年)
  • 『スペシャル・フォーセス』 - Special Forces (1981年)
  • 『ジッパー・キャッチズ・スキン』 - Zipper Catches Skin (1982年)
  • 『DADA』 - DaDa (1983年)
  • 『コンストリクター』 - Constrictor (1986年)
  • レイズ・ユア・フィスト・アンド・イェル』 - Raise Your Fist and Yell (1987年)
  • トラッシュ』 - Trash (1989年)
  • ヘイ・ストゥーピッド』 - Hey Stoopid (1991年)
  • 『ザ・ラスト・テンプテーション』 - The Last Temptation (1994年)
  • 『ブルータル・プラネット』 - Brutal Planet (2000年)
  • 『ドラゴンタウン』 - Dragontown (2001年)
  • 『ジ・アイズ・オブ・アリス・クーパー』 - The Eyes of Alice Cooper (2003年)
  • Dirty Diamonds (2005年)
  • He's Back(2006年)
  • Along Came a Spider (2008年)
  • 『悪夢へようこそ 第2章』 - Welcome 2 My Nightmare (2011年)
  • Paranormal (2017年)[12]
  • Detroit Stories (2021年)
  • Road (2023年)

ライブ・アルバム

[編集]
  • 『ライヴ!!アリス・クーパー・ショー』 - The Alice Cooper Show (1977年)
  • Live at the Whiskey a Go-Go, 1969 (1992年)
  • 『フィストフル・オブ・アリス』 - A Fistful of Alice (1997年)
ほか

コンピレーション・アルバム

[編集]
  • 『アリス・クーパーの人生と罪状の箱』 - The Life & Crimes of Alice Cooper (1999年)
ほか

ビデオ作品

[編集]
  • Good to See You Again, Alice Cooper (1974年)
  • Welcome to My Nightmare (1976年)
  • Alice Cooper and Friends (1978年)
  • Alice Cooper: The Nightmare (1983年)
  • The Nightmare Returns (1987年)
  • Video Trash (1989年)
  • Alice Cooper Trashes The World (1990年)
  • Prime Cuts: The Alice Cooper Story (1991年)
  • British Rock Symphony (2000年)
  • Brutally Live (2000年)
  • Live at Montreux 2005 (2006年)
  • Theatre Of Death: Live At Hammersmith 2009 (2010年)
  • The Strange Case of Alice Cooper (2012年)
  • Raise the Dead: Live from Wacken (2013年)

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 現在は戸籍上の実名もアリス・クーパーに変えている。
  2. ^ デビューから1973年までは『アリス・クーパー』はグループ名でもあった。
  3. ^ 詞も曲も異なる。

出典

[編集]
  1. ^ Waksman, Steve (2022). Live Music in America: A History from Jenny Lind to Beyonce. Oxford: Oxford University Press. p. 522. ISBN 978-0-197-57053-1 
  2. ^ Sexton, Paul (2021年10月18日). “【特集】グラム・ロックがいかに世界を変えたか:その誕生と退廃”. uDiscovermusic.jp. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. 2023年4月3日閲覧。
  3. ^ a b c Erlewine, Stephen Thomas. “Alice Cooper Biography, Songs, & Albums”. AllMusic. RhythmOne. 2023年4月3日閲覧。
  4. ^ CDジャーナル編集部『ロック&ポップス名曲徹底ガイド(3) 1970-74年編 名曲240決定盤CD816』音楽出版社、東京都千代田区、2006年、138頁。ISBN 978-4-861-71018-6 
  5. ^ アリス・クーパー、トム・ウェイツ、ロックの殿堂入り - BARKS
  6. ^ Hear How Alice Cooper’s Infamous Chicken Incident Really Happened
  7. ^ a b アリス・クーパーが分析する"奇妙な"米大統領選:「俺はトム・ハンクスに投票する」 - Rolling Stone
  8. ^ BBCを英語で読む「ボンド映画の主題歌になれなかった名曲たち」(3)
  9. ^ 天は二物を与えすぎ!! ジョニー・デップの超絶ギター - Aol.
  10. ^ ジョニデとアリス・クーパーが白塗りメイクでご対面!サプライズ演出いっぱいのバートン監督最新作! - シネマトゥデイ
  11. ^ ハリウッド・ヴァンパイアーズ、ジョニー・デップ映像を公開”. BARKS (2015年9月11日). 2018年9月4日閲覧。
  12. ^ アリス・クーパー、新作にZZトップのギボンズとU2のラリーが参加 - BARKS

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]