AN/USQ-20
AN/USQ-20は、アメリカ海軍のコンピュータ・システム[1]。UNIVAC(後のユニシス)のCP-642コンピュータを中核として、制御コンソールやテープドライブなどを連接したものである[2]。
概要
[編集]海軍戦術情報システム(NTDS)は、開発段階では表面障壁トランジスタを用いたAN/USQ-17コンピュータを使用していたが、艦上試験以前の1959年の時点で、既に性能不足が指摘されていた[3]。この課題に対し、UNIVAC社は、プレーナー型トランジスタを用いたコンピュータであれば大幅な改善が見込めると提案し、他にも多くの大型プロジェクトを抱えていたにもかかわらず、わずか9か月半で完全に新しいコンピュータの設計を完成させた[3]。これによって開発されたのがCP-642である[3]。
USQ-17と同様に30ビットのプロセッサを用いているが、スループットは倍増し、約100 kIPSとなった[3]。命令のレパートリーは62個であった[2]。主記憶装置としては磁気コアメモリが採用され、メモリサイズは32キロワード、サイクルタイムは、初期モデルであるCP-642Aコンピュータでは8マイクロ秒であったが、CP-642Bコンピュータでは2-3マイクロ秒に短縮された[2]。筐体のサイズは高さ1.83メートル×幅0.97メートル×奥行き0.94メートルであった[2]。
CP-642は1961年より運用を開始し、初期のNTDSの主計算機として用いられた[2]。その後、1962年には改良型のCP-642Bが登場し、こちらも広く用いられたが[2]、1969年に後継機であるAN/UYK-7が登場すると[4]、以後に開発されたシステムではこちらが用いられるようになり、順次に代替されていった[1]。
採用国と搭載艦
[編集]- アメリカ海軍
- 航空母艦・揚陸艦
- 水上戦闘艦
- 原子力ミサイル巡洋艦「ロングビーチ」[5]
- オールバニ級ミサイル巡洋艦[5]
- リーヒ級ミサイル巡洋艦[5]
- ベルナップ級ミサイル巡洋艦[5]
- 原子力ミサイル巡洋艦「ベインブリッジ」[5]
- 原子力ミサイル巡洋艦「トラクスタン」[5]
- カリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦[5]
- ファラガット級ミサイル駆逐艦[5]
- ガーシア級フリゲート「ヴォーグ」「コーレシュ」[5]
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]参考文献
[編集]- Boslaugh, David L. (2003). When Computers Went to Sea: The Digitization of the United States Navy. Wiley-IEEE Computer Society Press. ISBN 978-0471472209
- Boslaugh, David L. (2021年). “First-Hand:Legacy of NTDS - Chapter 5 of the Story of the Naval Tactical Data System” (英語). Engineering and Technology History Wiki. 2022年1月15日閲覧。
- Friedman, Norman (1997). The Naval Institute Guide to World Naval Weapon Systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 978-1557502681
- 海人社(編)「艦載コンピュータの現況と将来 (特集 システム艦隊)」『世界の艦船』第594号、海人社、2002年4月、86-89頁、NAID 40002156293。
- 香田洋二「国産護衛艦建造の歩み」『世界の艦船』第827、海人社、2015年12月。 NAID 40020655404。