A-192
A-192(M) | |
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種類 | 艦砲 |
原開発国 | ロシア |
運用史 | |
配備期間 | 就役中 |
配備先 | ロシア海軍 |
開発史 | |
開発者 | アルセナル設計局[1] |
製造業者 | アルセナル機械工場 |
諸元 | |
重量 |
25,000kg(A-192)[1] 24,000kg(A-192M) |
要員数 |
5人(A-192) 3人(A-192M) |
| |
砲弾 | 33.4kg |
口径 | 130mm70口径長 |
銃砲身 | 単装[1] |
仰角 |
-15°- +80°(A-192)[1] -12- +75°(A-192M) |
旋回角 |
±170°(A-192)[1] ±180°(A-192M) |
発射速度 | 最大30発/分[1] |
初速 | 880m/秒 |
最大射程 | 23,000m |
装填方式 | 弾倉方式 |
照準 | FCSによる方位盤射撃 |
A-192 130mm単装砲 は、ロシアが開発した艦砲である。
開発
[編集]1980年代に採用されたAK-130 130mm連装砲は、砲塔に装甲を施した結果、マウントの重量が約98tにもなり、搭載できるのは満載排水量8,000t以上の大形艦に制限された[2]。そこで、AK-130を開発したアルセナル設計局は、AK-130を単装にして軽量化した後継砲の開発を始めた。
原型であるA-192Pは、ソ連崩壊直後の1991年に試験が完了したが、ロシア海軍に採用されなかった。その後、艦艇の更新に伴いA-192が採用された。
設計
[編集]単装砲にしたことや操砲の省力化により、マウントの重量は約25tとAK-130の4分の1まで軽減された。これに伴い、より小形の艦艇にも搭載可能となり、兵器としてのみならず、輸出品としての価値も向上した[1]。
砲塔は複合材を用いた多面体で、ステルス性を意識した外見となっている[1]。砲塔内は無人で、装填手は砲塔下方の装填室で砲弾を装填する。
主砲は単装で、AK-130と比べて発射速度が遅くなったが、稼働時間の短縮で最大30発/分の発射速度を有する。21世紀の艦砲の流行に合わせ、A-192は地上への艦砲射撃が考慮されているが、この射撃速度で対空砲としての機能も維持されている[1]。
砲射撃指揮装置(GFCS)としては、モスクワ研究所によって開発された5P-10ピューマが搭載された。これは、Xバンドのフェーズドアレイ・アンテナを用いた火器管制レーダーのほか、レドームに収容された小型の捜索レーダーも備えた自己完結型のシステムである[3]。当初、アルセナル設計局が"カルタウン-プーマ"を開発したが、開発が大幅に遅れた上に問題があったため[4]、2013年にアメチスト設計局が開発する"アルマート-プーマ"の開発に切り替えられたという経緯がある[5]。
比較
[編集]AGS | H/PJ-45 | A-192M | Mk45 Mod 4 | 127mm/54C | Mk8 Mod 1 | Mle.68 | 76mm C/SR | Mk110 | |
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砲身数 | 単装[6] | ||||||||
口径 | 155 mm | 130 mm | 127 mm | 113 mm | 100 mm | 76 mm | 57 mm | ||
砲身長 | 62口径 | 70口径 | 62口径 | 54口径 | 55口径 | 62口径 | 70口径 | ||
重量 | 106 t | 50 t[6] | 24 t | 28.924 t | 37.5 t[7] | 26.4 t | 22 t | 12 t | 7.5 t[8] |
要員数 | 完全自動 | 不明 | 3名 | 6名[注 1] | 2-8名[9] | 給弾手2名 | 無人[注 2] | 給弾手3名 | 完全自動 |
仰俯範囲 | +70°/ -5° | +75°/ -12° | +65°/ -15° | +83°/ -15° | +55°/ -10° | +29° | +85°/ -15° | +77°/ -10°[8] | |
旋回範囲 | 全周 | 不明 | 340° | 330° | 340° | 40° | 全周 | ||
発射速度 | 10発/分 | 40発/分[6] | 30発/分 | 16-20発/分 | 45発/分[7] | 25発/分 | 78発/分 | 80発[注 3]/分(C) 120発/分(SR) |
220発/分[8] |
冷却方式 | 水冷 | 不明 | 空冷 | 水冷 | 空冷 | 水冷 | |||
最大射程 | 118,000 m[注 4] | 29,500 m[6] | 23,000 m[注 5] | 37,000 m | 23,000 m[注 6][注 7] | 21,950 m[注 6] | 17,000 m[注 8] | 18,400 m[注 6] | 21,000 m[注 9] |
搭載艦
[編集]2014年9月に アドミラル・ゴルシコフ級フリゲート1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」にA-192が搭載された[1][12]。その後も、アドミラル・ゴルシコフ級フリゲートの同型艦にA-192Mが搭載されている。また、現在計画中のリデル級原子力駆逐艦にも搭載予定。
派生型
[編集]- A-192P
- 1991年に開発された試作型。
- A-192M
- 2018年に開発が完了した改良型。2021年に採用され、アルセナル機械工場で製造が始まった。さらなる軽量化や省力化が図られたほか、仰角や旋回角度も拡大した。また、誘導砲弾や反応弾頭など、将来的に新開発された砲弾の運用が想定されている。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j 「世界の艦載兵器」 『世界の艦船』第811集(2020年1月増刊号) 海人社 P.92
- ^ 「世界の艦載兵器」 『世界の艦船』第811集 P.93
- ^ 多田智彦「ロシア海軍の新しい艦載兵器 (特集 ロシア海軍の現況)」『世界の艦船』第817集(2015年6月号) 海人社 P.86-91
- ^ СМИ: Передачу ВМФ фрегата "Адмирал Горшков" отложили из-за проблем с артустановкой
- ^ Кораблям облегчат пушки в четыре раза
- ^ a b c d 多田 2015, p. 110.
- ^ a b 大塚 2014.
- ^ a b c 多田 2015, p. 109.
- ^ 梅野 2007, pp. 177–182.
- ^ a b Friedman 1997, p. 436.
- ^ Friedman 1997, pp. 450–451.
- ^ Фрегат "Адмирал Горшков" получил артустановку