コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

9-BBN

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン
{{{画像alt2}}}
{{{画像alt3}}}
識別情報
略称 9-BBN
CAS登録番号 280-64-8 ×
PubChem 6327450
ChemSpider 71299 チェック
UNII 4K4J8L1OG9
EC番号 206-000-9
特性
化学式 C16H30B2
モル質量 244.03 g mol−1
密度 0.894 g/cm3
融点

153 ~ 155 ℃

への溶解度 水と反応する
危険性
GHSピクトグラム 可燃性腐食性物質
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H250, H260, H314
Pフレーズ P210, P222, P223, P231+232, P260, P264, P280, P301+330+331, P302+334, P303+361+353, P304+340, P305+351+338, P310, P321
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

9-BBN とは、有機合成化学において用いられる試剤のひとつ。IUPAC命名法による正式名称は 9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン (9-borabicyclo[3.3.1]nonane) 。ボランの誘導体としてアルケンヒドロホウ素化反応に用いられる。一般に「ナインビービーエヌ」と読まれる。

9-BBN は 1,5-シクロオクタジエンへのボラン付加反応により得られる。ボランをジメチルスルフィド錯体 (H3B•S(CH3)2) の形で用い、ジメトキシエタン (DME) を溶媒とする手法がハーバート・C・ブラウンらにより報告されている[1][2]。またボランのテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、THF中で反応させる方法も知られる[3]

9-BBN の合成

他のボラン誘導体に比べ、9-BBN は純粋な状態でも比較的安定である。その安定性は 9-BBN が B-H-B 架橋による二量体を作ることによる。市販品としては、この固体状態の二量体、または THF溶液の形で入手可能である。

9-BBN によるヒドロホウ素化反応は、一般に非常に高い立体選択性により anti-マルコフニコフ付加体を与える。これは、9-BBN が持つかさ高さのためである[4][5]

また、9-BBN 付加体を鈴木・宮浦カップリング反応の基質とし、sp2炭素ハロゲン化物とカップリングさせることもできる[5]

参考文献

[編集]
  1. ^ Soderquist, J. A.; Brown, H. C. J. Org. Chem. 1981, 46, 4599-4600. DOI: 10.1021/jo00335a067
  2. ^ Soderquist, J. A.; Negron, A. Organic Syntheses, Coll. Vol. 9, p. 95 (1998); Vol. 70, p. 169 (1992). オンライン版
  3. ^ 鈴木章宮浦憲夫「9-Borabicyclo [3.3.1] nonane (9-BBN)」『有機合成化学協会誌』第30巻第4号、有機合成化学協会、1972年、406頁、doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.30.406 
  4. ^ Pelter, A.; Smith, K.; Brown, H. C. Borane Reagents; Academic Press: London, 1988.
  5. ^ a b Ishiyama, T.; Miyaura, M.; Suzuki, A. Organic Syntheses, Coll. Vol. 9, p. 107 (1998); Vol. 71, p. 89 (1993). オンライン版