818型巡視船
818型巡視船 (Zhaoduan級) | |
---|---|
基本情報 | |
船種 | 巡視船 |
運用者 | 中国海警局 |
要目 | |
排水量 | 4,000 t以上[1][2] |
満載排水量 | 4,000 t[3] |
全長 | 138 m (453 ft)[3] |
最大幅 | 16.0 m (52.5 ft)[3] |
吃水 | 5.0 m (16.4 ft)[3] |
機関方式 | CODAD方式 |
主機 | SEMT ピルスティク 16PA6A-280STC ディーゼル×4基[3] |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸[3] |
出力 | 28,200 hp (21.0 MW)[3] |
最大速力 | 30 kt 以上[2] |
航続距離 |
15ktで10,000 nmi (19,000 km)[2] 18ktで3,800 nmi (7,000 km)[3] |
兵装 |
H/PJ-26 76mm単装砲×1基[3] 630型 30mm6銃身CIWS×2基[3] 放水砲×4基[4] |
搭載機 | Z-9ヘリコプター×1機[3][注 1] |
搭載艇 | 小型複合艇×1隻[4] |
レーダー |
347型射撃管制用レーダー[4] 363型水上捜索レーダー[4] 航海レーダー[4] |
818型巡視船(簡体字中国語: 818型巡逻舰)は中国海警局の巡視船。NATOコードネームはZhaoduan級[5]。文民職員ではなく、中国の武装力である人民武装警察の身分を有する職員により運航され、設計も軍艦(簡体字中国語: 舰)としてのものとなっている[6][7]。
来歴
[編集]818型は国境警備を目的として[8]、中国海軍に就役している054A型ジャンカイII級ミサイルフリゲートの船体を基に設計された[3]。1番艦、2番艦が2017年に海南総隊に引き渡された[9]。6番艦まで就役が確認されている[3]。
設計
[編集]船体
[編集]満載排水量4,000トン、全長138メートル、最大幅16.0メートル、喫水5.0メートルと見積もられている[3][1]。但しヒッキー氏らは排水量を4,000トン以上と見積もっている[2]。 船型は単胴長船首楼型、船首は傾斜型、船尾は若干オーバーハングしたトランサム型とし、船尾の上甲板は開放甲板となっている。054A型において対艦ミサイル発射筒が設置されていた船楼甲板中央には新たに甲板室が設けられた。煙突両側の船楼甲板は一層低くなり、右舷側は救命艇、左舷側は作業艇(複合艇)の搭載スペースとなった[4]。
機関
[編集]主機は高速ディーゼルエンジン(SEMT ピルスティク 16PA6A-280STC)2+2基のCODADを採用し、推進軸は2軸のスクリュープロペラと推定されている[3]。 ヒッキー氏らは最大速力を30ノット以上と見積もっており、その根拠としてオリジナルの排水量から減量していることを挙げている。彼らの論文では排水量4,000トン以上と表示はしているものの、後述するようにオリジナルの設計から武器装備を減らした設計となっており、排水量の減量が予想される。航続距離は15ノットで10,000海里、18ノットで3,800海里と見積もられている[2][3]。
装備
[編集]艦砲として、60口径76ミリ単装砲(H/PJ-26)1基を前部甲板に搭載している[3]。近接武器システム(CIWS)に関しては、ジェーンズ海軍年鑑ではAK-630の国産品である630型6銃身30ミリCIWSが2基搭載されていると言及している一方で[3]、ヒッキー氏らは撤去されたと言及しており意見が分かれている[2]。雑誌「艦船知識」はCIWSではなく、30ミリ単装機関砲(H/PJ-17)2基の搭載を表示している[4]。対空および対艦ミサイル発射機は撤去されている[2]。Z-9、AW109、又はEC135などのヘリコプター1機を収容できる格納庫とヘリコプター甲板を持つ[2]。その他に4基の放水砲を搭載している[4]。
船橋屋根のコンパス甲板には射撃管制用レーダーのための台座が設けられ、その上に76ミリ砲用に347型射撃管制用レーダーが据えられている。メインマスト上部には363型対水上捜索レーダーが据えられている[4]。長距離の軍用電子機器(3次元対空監視レーダーと推察する。)は撤去されている[2]。
同型艦
[編集]舷番号[3][2] | 造船所 | 進水 | 就役 | 所属総隊 | 状態 |
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31301 | 武昌造船所 | 2016 | 2018[w 1] | 上海 | 就役中 |
31302 | 武昌造船所 | 2016 | 2018[w 2] | 上海 | 就役中 |
31303 | 黄埔造船所 | 2016 | 2017[w 3] | 上海 | 就役中 |
46301 | 黄埔造船所 | 2016 | 2016[w 4] | 海南 | 就役中 |
46302 | 黄埔造船所 | 2016 | 2017[w 5] | 海南 | 就役中 |
46303 | 武昌造船所 | 2017 | 2017[w 6] | 海南 | 就役中 |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 実際に運用されているかは不明。
出典
[編集]論文・リポート等
[編集]- ^ a b Martinson 2017, pp. 16–17.
- ^ a b c d e f g h i j ヒッキー, エリクソン & ホルスト 2020, pp. 145–148.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Saunders 2019, p. 173.
- ^ a b c d e f g h i 舰船知识编辑委员会 2016.
- ^ ONI 2019.
- ^ 越智 & 四元 2014, p. 134.
- ^ Martinson 2017, p. 6.
- ^ ヒッキー, エリクソン & ホルスト 2020, p. 149.
- ^ Martinson 2017, p. 17.
WEB
[編集]- ^ “上海 中国海警31301舰交付”. www.nhjd.net (2018年3月23日). 2020年10月1日閲覧。
- ^ “海事海工海洋科技 短讯:本批次最后一艘海警818型舰交付”. 超级大本营 (2018年7月21日). 2020年10月1日閲覧。
- ^ “上海 远洋边防巡逻舰“中国海警31303”下水”. www.nhjd.net (2018年2月13日). 2020年10月1日閲覧。
- ^ “【海警】中国海警46301舰胜利交付!”. 微博 (2016年12月2日). 2020年10月1日閲覧。
- ^ “中国海警46302舰顺利归建”. 个人図书馆 (2017年11月7日). 2020年10月1日閲覧。
- ^ “海南 中国海警46303舰交付”. www.nhjd.net (2018年3月23日). 2020年10月1日閲覧。
参考文献
[編集]- 越智均、四元吾朗「中国海上法執行機関の動向について : 中国海警局発足後の海警事情を中心として」『海保大研究報告, 法文学系』第59巻第2号、海上保安大学校、2014年、123-145頁、NAID 120005602043。
- ヒッキー, ジョシュア、エリクソン, アンドリュー・S、ホルスト, ヘンリー「中国の海上法執行海上プラットフォーム」『中国の海洋強国戦略』五島浩司 (訳)、原書房、2020年、128-154頁。ISBN 978-4562057450。
- 舰船知识编辑委员会「818型海警巡逻舰多视图」『舰船知识』第443号、舰船知识杂志社、3頁、2016年8月。ISSN 1000-7148。
- Saunders, Stephen (2019). Jane's Fighting Ships 2019-2020. Jane's Information Group. ISBN 978-0710633194
- Martinson, Ryan D. (2017年6月). China Maritime Report No. 2:The Arming of China’s Maritime Frontier (Report). China Maritime Studies Institute, U.S Naval War College.
- ONI (2019年10月). CHINA PEOPLE'S LIBERATION ARMY NAVY (PLAN), COAST GUARD, AND GOVERNMENT MARITIME FORCES: 2019-2020 RECOGNITION AND IDENTIFICATION GUIDE (Report). Office of Naval Intelligence, United States Navy.