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5-デヒドロ-m-キシレン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
5-デヒドロ-m-キシレン
識別情報
CAS登録番号 681440-83-5 チェック
特性
化学式 C8H7
モル質量 103.14 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

5-デヒドロ-m-キシレン(5-dehydro-m-xylylene、略称: DMX)は、芳香族有機トリラジカルであり、フントの最大多重度の規則に反する有機分子として最初に知られた例である[1]

その電子基底状態四重項ではなく開殻二重項英語版である。すなわち、3つの半占有分子軌道中の不対電子が、1つの電子がその他2つの電子と反対のスピン状態を持つ低スピン状態を形成する。フントの規則は、系が最大の多重度を持つために、基底状態では3つのラジカル電子全てが互いに同じスピン状態を有する(互いに逆向きにはならない)と予測する。

本化合物は、両方のスピン状態の不対電子が結合しているため、反強磁性を示す。同様の基底状態は、遷移金属原子を含む分子では観察されるが、有機分子では前例がない。

5-デヒドロ-m-キシレン陰イオン(DMX)も広範に研究されている。この分子はフェニルアニオンとm-キシレンビラジカルから構成される三重項基底状態を有する[2]

出典

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  1. ^ L Slipchenko (2004). “5-Dehydro-1,3-quinodimethane: A Hydrocarbon with an Open-Shell Doublet Ground State”. Angewandte Chemie International Edition 43 (6): 742–5. doi:10.1002/anie.200352990. PMID 14755709. 
  2. ^ Tamara E. Munsch, Lyudmila V. Slipchenko, Anna I. Krylov, and Paul G. Wenthold (2004). J. Org. Chem. 69 (17): 5735–5741. doi:10.1021/jo049555t. 

外部リンク

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