4M (安全工学)
4M(よんえむ)は、リスクアセスメントの分析方法の1つで、リスク要因を4つの分類で行う方法。 合わせて、5M、8Mなどもここで説明する。
4M
[編集]4M(よんえむ)とは、安全工学における人 (Man)、機械 (Machine)、媒体または環境 (media)、管理 (management) の4つを指す。 事故や災害の原因分析や対策検討の際に要因を同4つのジャンルに整理することにより原因の本質を捉えやすくなり、4M分析と呼ばれる手法も用いられている。
基本的4M
[編集]- Manは本人及び本人以外の直接関与した人のヒューマンファクタに関与する要因
- Machineは設備、機械等のハード的な因子が関与した要因
- Mediaは作業環境、マニュアル、作業情報といった、主としてmanとmachineの媒体となるものが関与した要因
- Managementは管理システム、方法が関与した要因
事故や災害を防止する上で管理すべき対象として、生産の現場における4Mと同様、「人 (Man)、機械 (Machine)、取り扱い物質 (Material)、方法 (Method)」として扱う場合もある。
戦略的エラー対策の4M
[編集]ヒューマンファクタに関係する事故対策には、ヒューマンエラーの発生そのものを防止する発生防止の段階と、発生したエラーが事故に結びつかないようにする拡大防止の段階がある。ヒューマンファクタに関係する戦略的な事故対策を、次の4つのステップの頭文字を取り戦略的エラー対策の4Mと呼ぶ[1]。
- 危険を伴う作業数を減らす (Minimum encounter)
- 各作業においてエラー確率を低減する (Minimum probability)
- 多重のエラー検出策を設ける (Multiple detection)
- 被害を最小にするために備える (Minimum damage)
応用
[編集]4M-4E
[編集]基本的4Mで要因分析をした後、それらの対策を4Eで検討し細分類する。 [2]
- 4E
- Engineering (工学的対策)
- Education (教育的対策)
- Enforcement (矯正、賞罰的対策)
- Example/Environment (率先垂範、事例提示等の対策/環境的対策)
4M-5E
[編集]上記の Example/Environment を分割し5分類としたもの。[3]
4M-3H
[編集]3Hとは、失敗しやすいシチュエーション(はじめて、へんこう、ひさしぶり)を分析するもので、4Mと合わせて実施するものが[4M-3H]である。 [4]
- 3H
- 初めて
- 変更
- 久しぶり
5M
[編集]5Mは、4Mより「Mission」の分類が追加される。 コーネル大学のセオドール・ポール・ライト(en:Theodore Paul Wright)博士によるマン-マシン-環境の三連構造に関する独自研究 [5] に基づき、5Mモデルは3つの連動する円と1つのすべてを含む円が組み込まれる。小さい円には、Man、Machine、Mediumのラベルがあり、それらの全てが中央で重なる場所が、Missionになる。大きい円はManagementの領域になる。
- Man(人):関係者の生理学と心理学、および彼らのパフォーマンスと習熟度を含む。
- Machine(設備):設計、製造、保守、信頼性、性能などを含む。
- Medium/Mesurement(環境、検査):天候、地形、障害物、照明などを含む。
- Mission(目的):これらの3つの要素が一緒にされる理由となる。
- Management(リーダーシップ):規制、ポリシー、手順、および確立、運用、維持、および廃止に伴う態度の観点からの一般的な監督アプローチを含む。
8M
[編集]8Mは5Mの分類に下記の3個の追加がある。
- Metarial(原材料、消耗品、および情報を含む)[6]
- Method/mother nature(プロセス、環境)
- Maintenance メンテナンス
参考
[編集]出典
[編集]- 4Mの節 : 不明
- 5M/8Mの節 : en:5M mode
脚注
[編集]- ^ 原田悦子、三浦利章(編著)『事故と安全の心理学:リスクとヒューマンエラー』 東京大学出版会 2007年、ISBN 978-4-13-011121-8 pp.202-203.
- ^ JAXA ヒューマンファクタ分析ハンドブック p.42 https://sma.jaxa.jp/TechDoc/Docs/JAXA-JERG-0-018A.pdf
- ^ 4M5E分析手法マニュアル,(公財)原子力安全技術センター http://www.n-iinet.ne.jp/Manual4M5E.pdf
- ^ https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/02057/
- ^ Stolzer, A.J.; Goglia, J.J. (3 March 2016). Safety management systems in aviation. ISBN 978-1317059837. OCLC 944186147
- ^ Weeden, Marcia M. (1952). Failure mode and effects analysis (FMEAs) for small business owners and non-engineers : determining and preventing what can go wrong. ISBN 0873899180. OCLC 921141300