ドラム・ビート
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(4ビートから転送)
ドラムビート (drum beat) は、音楽においてドラムセットやその他の打楽器を用いて表現されるリズムパターンのことである。ドラムパターン (drum pattern)、グルーヴ(Groove) とも呼ばれる。
概要
[編集]西洋音楽において音楽の三要素とは旋律(メロディ)、和声(ハーモニー)、律動(リズム)だが、現代ポピュラー音楽では、このうちの拍節(リズム)と節回しを強調して演奏し、グルーヴと称してその躍動感を楽しむ。音楽でグルーヴを楽しむ流れは、黒人の音楽から来ているとされている。
基本的なドラムビートの多くは、ベースドラム(オンビート)とスネアドラム(オフビート)のストロークを交互に行うことで拍節を確立しながら、細分化された音符(サブディビジョン)をライドシンバルまたはハイハットで演奏する[要出典]。
ドラムビートには様々な種類があり、各々の楽曲も様々なスタイルを取り込んでいて一様ではないが、主に以下のように分けられる。
2ビート
[編集]- 2ビートのパターン例
4ビート
[編集]- 4ビート(フォービート)とは、ドラムビートの態様の1つで、4分音符を基本単位としたビート。2拍目と4拍目にアクセントをおくバックビートのスタイルを持つ。ジャズ、ブルースなど幅広く使われる。4分音符を分けた3連符がリズムの基本に流れている。ベースとなる音の数は少なく、センスで音を打っていく。楽譜の記述上、ライドシンバルまたはクローズドハイハットの演奏の2拍目と4拍目は8分音符、または付点8分音符と16分音符の組み合わせで記述することが多いが、実際の音は3連符の真ん中を抜いたものである[1]。4ビートのベースプレイでは、4分音符を上下させるウォーキング・ベースが基本となる。
- 4ビートのパターン例
8ビート
[編集]- 8ビート(エイトビート)とは、ドラムビートの態様の1つで、8分音符を基本単位としたビート。2拍目と4拍目にアクセントをおくバックビートのスタイルを持ち、ロックをはじめ、多くの現代ポピュラー音楽で使われているスタイル[2]。
- 8ビートのパターン例
16ビート
[編集]- 16ビート(シックスティーンビート、じゅうろくビート)とは、ドラムビートの態様の1つで、16分音符を基本単位としたビート。2拍目と4拍目にアクセントをおくバックビートのスタイルを持つ。ジャズとロックが融合して、1960年代後半に生まれたとされる[3]。フュージョンのスタイル。ベースとなる音の数が多いので、ドラムスの演奏では難易度は高い[3]。
- 16ビートのパターン例 (譜面では16分音符のハイハットが書かれているが、16分以外の8分や4分の音符で演奏されても上記の説明の様に「16分音符を基本単位としたビート」となっていれば16ビートである)
ハーフタイム
[編集]- ハーフタイムとは、各音符の音価を倍の長さで演奏することで、1/2倍速の流れを感じさせる手法。ポピュラー音楽の幅広いジャンルで使われる。通常のドラムビートからハーフタイムへと移行することで音楽的な効果を発揮することが多い。
ダブルタイム
[編集]- ダブルタイムとは、各音符の音価を半分の長さで演奏することで、2倍速の流れを感じさせる手法。カントリーミュージックの代表的なリズムであるほか、ゴスペル音楽、HR/HM等の幅広いジャンルで使われる。
- スラッシュビートのパターン例
ブラストビート
[編集]- ブラストビートとは、ベースドラムとスネアドラムによる拍節を8分音符または16分音符に置き換えたもの。エクストリームメタルのジャンルおいて用いられる。
3連符のドラムビート
[編集]- 3連符のドラムビートは、ドラムビートの態様の1つで、3連符によって細分化したスタイル。2拍目と4拍目にアクセントをおくバックビートのスタイルを持つ。ブルースをはじめ、多くの現代ポピュラー音楽で使われているスタイル。
12/8拍子としての表記
[編集]- 4/4拍子の3連符のドラムビートは、12/8拍子として表記されることも多い。各小節は4つの付点4分音符で構成され、ハイハットシンバルは3つの8分音符に分割される。
- 3連符のドラムビートと1.5倍のテンポの12/8拍子を演奏する場合、聴感上の違いはない(例えば、100bpmの3連符ビートと150bpmの12/8拍子は同等である)。ただし、比較的ゆったりとしたテンポで8分音符を強調して演奏する場合に、12/8拍子を用いることが多い。
3/4拍子、6/8拍子のドラムビート
[編集]3/4拍子のドラムビート
[編集]- 3/4拍子のドラムビートは、ジャズワルツをはじめ、一部のポピュラー音楽で演奏されるスタイル。
- プログレッシブ・ロックなど可変拍子で構成された楽曲の一部として用いられる場合もある。
6/8拍子のドラムビート
[編集]- 6/8拍子のドラムビートは、1小節が2つの付点4分音符で構成され、ハイハットシンバルは3つの8分音符に分けられる。ゴスペル音楽、バラードなど一部のポピュラー音楽において用いられるスタイル。
- 12/8拍子との違いは、12/8拍子が3連符の4/4拍子と同等であるのに対し、6/8拍子は3連符の2/4拍子と同等であることである。
- 3/4拍子、6/8拍子のドラムビートは1小節の長さが同じであるが、拍節の数、細分化した音符の鳴らし方などから、それぞれ違ったスタイルのものとして演奏される。
英語表記について
[編集]- 8ビート、16ビートといった表現は和製英語であり、英語圏では通用しない。英語では4ビートを「Swing Beat[4]」など、8ビートを「8th note Groove[5]」「8th note beats[6]」などと呼ぶ。バリエーションとして、特徴的な楽器や、そのビートが使われる代表的なジャンルを表す語(“Tom Tom” や “Rock” など)が付け足される場合もある。[6]
脚注
[編集]- ^ YAMAHAドラムス教則本『TRY-V』 1979 pp.82,78.
- ^ YAMAHAドラムス教則本『TRY-V』 1979 p.64.
- ^ a b YAMAHAドラムス教則本『TRY-V』 1979 p.72.
- ^ Maroni, Joe (2008). Introduction To Swing-Style Drumming.. Mel Bay Publications, U.S. ISBN 978-1-61065-283-4. OCLC 1100913167
- ^ Scott, Justin (2009-01-23) (英語). Drummers Bible. Chartwell Books. ISBN 9780785823643
- ^ a b Michalkow, Mike (2008-10-01) (英語). The Total Rock Drummer: A Fun and Comprehensive Overview of Rock Drumming. Alfred Music Publishing. ISBN 9780739052686
参考文献
[編集]- YAMAHAドラムス教則本『TRY-V』猪俣猛 1979年(昭和54年)
- 中央アート出版社『リズムに強くなるための全ノウハウ』市川宇一郎 ISBN 978-4-8136-0405-1 2007年(平成19年)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- How to Play Drums(wikiHow)2009年8月1日閲覧.