コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

31平均律

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

31平均律: 31 equal temperament)は、31-tET, 31-EDO, 31-ET, とも略称され、オクターブを31段の等間隔なステップ(等しい周波数比)に分割することにより得られる音律である。各ステップは周波数比 ( )、または 1200/31 ≈ 38.70967742 セントである。

歴史

[編集]

オクターブの31段への分割は、レッサー・ディエシス(オクターブと3重の長3度の比、128:125 あるいは 約41.059セント) は、ほぼ全音の1/5、あるいは半音の1/3である、というルネッサンス音楽理論から自然に起こった。

1666年にLemme Rossiが最初にこの平均律を提案し、その後まもなく、独自にそれを発見した有名な科学者クリスティアーン・ホイヘンスがこれに関し記述した。

この時代の標準的な調律のシステムが、5度が51/4の周波数比に調整される1/4コンマ中全音律であったが、31平均律はそれよりもわずかに約0.196セント広いだけの約696.774セントの音程を持つ。

ホイヘンスは、31平均律が7限界和声の素晴らしい近似を提供することに注目した。このことは当時先進的な洞察であった。

20世紀に至り、物理学者であり音楽理論家・作曲家でもあるAdriaan Fokkerは、ホイヘンスの著述を読み、この調律システムに対する関心の復活を導いた。

スケール図

[編集]

これはスケールにおける31音程のうちの21である:

間隔 セント 77 39 77 39 39 39 77 39 77 77 39 77 39 39 39 77 39 77 77 39 77
音名 A A# B♭ B C♭ B# C C# D♭ D D# E♭ E F♭ E# F F# G♭ G G# A♭ A
音程 セント   0    77  116 194 232 271 310 387 426 503 581 619 697 735 774 813 890 929 1006 1084 1123 1200

残りの十の音を加えることができる。例えば、5つの「重変」音および5つの「重嬰」音、あるいは四分音システムと同様に半嬰音や半変音を加える。

音程

[編集]
音程名 サイズ(段) サイズ(cent) 純正比 純正(cent) 誤差(cent)
自然七度 25 967.742 7:4 968.826 1.084
完全五度 18 696.774 3:2 701.955 5.181
広い七限界三全音 16 619.355 10:7 617.488 -1.867
狭い七限界の三全音 15 580.645 7:5 582.512 1.867
狭い十一限界の三全音 14 541.935 11:8 551.318 9.382
完全四度 13 503.226 4:3 498.045 -5.181
十三限界の半減四度 12 464.516 13:10 454.214 -10.302
七限界の長三度 11 425.806 9:7 435.084 9.278
十一限界の長三度 11 425.806 14:11 417.508 -8.298
長三度,純正 10 387.097 5:4 386.314 -0.783
十一限界の中立三度 9 348.387 11:9 347.408 -0.979
短三度,純正 8 309.677 6:5 315.641 5.964
七限界の短三度 7 270.968 7:6 266.871 -4.097
七限界の全音 6 232.258 8:7 231.174 -1.084
全音,大全音 5 193.548 9:8 203.91 10.362
全音,小全音 5 193.548 10:9 182.404 -11.145
大きな十一限界の中立二度 4 154.839 11:10 165.004 10.166
小さな十一限界の中立二度 4 154.839 12:11 150.637 -4.202
七限界の全音階的半音 3 116.129 15:14 119.443 3.314
全音階的半音,純正 3 116.129 16:15 111.731 -4.398
半音階的半音,純正 2 77.419 25:24 70.672 -6.747
十一限界のディエシス 1 38.71 45:44 38.906 0.196
七限界のディエシス 1 38.71 49:48 35.697 -3.013

12平均律の中におおよその適合がなく、しかも19平均律では適合不良しかない7:6、8:7、および7:5の比率に、31平均律は非常に近い適合を示す。

特に、調和級数の7番目と11番目の部分音に対する良い一致のために、作曲家Joel Mandelbaum(1932年生まれ)は、この調律系を使用した。[1]

この調律は中全音律であると考えることができる。そこには、4重の5度の重なりが長3度と同じであるという必要な特性がある。また、10:9(小全音)と9:8(大全音)のサイズの中間にある"中全音"を含む。

脚注

[編集]
  1. ^ Six American Composers on Nonstandard Tunnings: Douglas Keislar; Easley Blackwood; John Eaton; Lou Harrison; Ben Johnston; Joel Mandelbaum; William Schottstaedt Perspectives of New Music, Vol. 29, No. 1. (Winter, 1991), pp. 176-211.

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]