1185年5月1日の日食
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本項は、1185年5月1日に発生した日食について述べたものである。中央アメリカ、大西洋、北欧、東欧、現カザフスタンにかけて日食現象が発生した。
通過した地域
[編集]日食は、始め中央アメリカ西海岸で発生した。その後北西へと移動し、ニカラグア、イスパニョーラ島を通過して大西洋に至った。北大西洋を横断した日食は、スコットランド、北海、そしてノルウェーとスウェーデン南部、フィンランド湾を経てロシアへ至った。ロシアでは現サンクトペテルブルク、ノヴゴロド、ロストフを通過し、南東方向のニジニ・ノヴゴロド、カザン、ウファ、マグニトゴルスクを越えてカザフスタンに入った。最終的には、カザフスタン内でアスタナに到達する前に現象は終了した[1]。
史料上の言及
[編集]ルーシ(現ロシア・ウクライナ・ベラルーシ)の文学作品『イーゴリ軍記』には、リューリク朝、ノヴゴロド・セヴェルスキー公国の公イーゴリの軍勢が、ドネツ川へ進軍中、夕暮れ近くに、日食に遭遇したことが記されている[2]。作品中には、日食を不吉な出来事の前兆と恐れる部下たちを励ましながら進軍するイーゴリの言葉が述べられており[3]、同じくルーシの年代記・『原初年代記』(ラヴレンチー年代記[4]、イパーチー年代記[5][6])においても同様の記述がみられる。
出典
[編集]- ^ Total Solar Eclipse of 1185 May 01
- ^ Святский Д. О. Астрономические явления в русских летописях с научно-критической точки зрения // Астрономия Древней Руси. — М.: «Русская панорама», 2007.
- ^ 田中陽兒、倉持俊一、和田春樹編『世界歴史大系 ロシア史 1 -9世紀~17世紀-』山川出版社、1995年。P402
- ^ Полное собрание русских летописей. — СПб., 1846. — Т. 1. — С. 167.
- ^ Полное собрание русских летописей. — СПб., 1843. — Т. 2. — С. 130.
- ^ 中澤敦夫「『イパーチイ年代記』翻訳と注釈(1) : 『原初年代記』への追加記事(1110~1117年)」『富山大学人文学部紀要』第61巻、富山大学人文学部、2014年8月、207頁、CRID 1390853649736563968、doi:10.15099/00000292、hdl:10110/12937、ISSN 03865975。