麻婆春雨
麻婆春雨(マーボーはるさめ)は、春雨と挽肉等を炒めた創作中華料理。1981年に永谷園が家庭向け惣菜の素として販売したことで知られる。
歴史
[編集]1979年、永谷園は当時開発企画室長であった能登原隆史を「ぶらぶら社員」として任命[1]。日本だけではなく、世界中を旅行[2][3]、レストラン・料理店を食べ歩くうちに[4]、とある料理店で食べた濃い味の中華スープからヒントを得て[5]、春雨と豚肉、たけのこ、きくらげ、ピーマンを使用した惣菜、『麻婆春雨』を開発する[1]。麻婆豆腐と同様の味付けをした具入りソースと春雨などがセットになっており、他の材料を用意せずそのまま調理して完成することが特徴[6]。
1981年(昭和56年)11月から九州地方で先行発売[1]。発売後、月商1億円の売り上げを達成し、西日本、信越まで販売地域を拡大[7]。
永谷園の麻婆春雨は1983年(昭和58年)には和田アキ子のCMで爆発的ヒットし、年売上7億となる[4]。1988年(昭和63年)には、年10億円、1994年には年13億の売り上げとなる[4]。
1997年(平成9年)には年30億円の売り上げを達成するも、このころになると、類似商品が市場に進出している。同年にはケンミン食品の『麻婆ビーフン』に対して販売差し止めの裁判も起こしている[8]。1999年(平成11年)には味の素から『ごはんがススムくん 麻婆春雨』、丸美屋食品工業から『春雨シリーズ』がそれぞれ発売されている[9]。
なお、類似する古典的な四川料理の一つとして「螞蟻上樹」(春雨と挽肉の辛味炒め煮、直訳すると「木登りするアリ」の意味)がある。永谷園の麻婆春雨は中華スープを原点としているため、螞蟻上樹と比較すると汁気が多いのが特徴である[10]。日本では「麻婆春雨」の方が知名度が高いため、「螞蟻上樹」を「麻婆春雨」と称して提供する店舗もある(写真の店舗など)。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c 日経産業新聞1981年10月31日 8面
- ^ “第2話 いざ、食べ歩きへ マンガ「麻婆春雨」の開発秘話 今日も元気に開発日和♪ぶらぶら社員が行く! 麻婆春雨(マーボはるさめ) 商品ブランド 永谷園”. 永谷園. 2016年2月15日閲覧。
- ^ “第3話 ヨーロッパへ マンガ「麻婆春雨」の開発秘話 今日も元気に開発日和♪ぶらぶら社員が行く! 麻婆春雨(マーボはるさめ) 商品ブランド 永谷園”. 永谷園. 2016年2月15日閲覧。
- ^ a b c 日経産業新聞1995年7月9日 17面
- ^ “第5話 これだ! 麻婆春雨! マンガ「麻婆春雨」の開発秘話 今日も元気に開発日和♪ぶらぶら社員が行く! 麻婆春雨(マーボはるさめ) 商品ブランド 永谷園”. 永谷園. 2016年2月15日閲覧。
- ^ 日経産業新聞1981年9月26日 19面
- ^ 日経産業新聞1982年4月8日 11面
- ^ 日経産業新聞1997年10月20日 19面
- ^ 日経産業新聞1999年4月24日
- ^ 『週刊宝石』光文社、1983年7月29日、38頁。
関連項目
[編集]- 麻婆茄子 - 四川料理の「魚香茄子」(ナスと挽肉の炒め煮)を麻婆豆腐と同様の味付けでアレンジした料理。「麻婆豆腐」「麻婆春雨」同様、家庭用合わせ調味料の販売で普及した。