コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

イカル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
から転送)
イカル
イカル Eophona personata
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ目 Passeriformes
: アトリ科 Fringillidae
: イカル属 Eophona
: イカル E. personata
学名
Eophona personata
Temminck & Schlegel, 1848
英名
Japanese Grosbeak

イカル桑鳲、学名:Eophona personata)とはスズメ目アトリ科鳥類である。

名称

[編集]

木の実を嘴(くちばし)で廻したり転がしたりするため古くは「マメマワシ」や「マメコロガシ」、木の実を好んで食べるため「まめうまし」、「豆割り」などと呼ばれた。イカルという名の由来は奈良県斑鳩とも鳴き声が「イカルコキー」と聞こえるからとも言われるが、定かではない。また古来より「イカルガ(鵤、斑鳩)」とも呼ばれる。なお、前者「鵤」については「角のように丈夫な嘴」を持つ当鳥に由来しているが、後者「斑鳩」の字を充てることは厳密には誤用であり、首に模様があるジュズカケバトを指していたという説もある。清少納言枕草子」(第四十一段「鳥は」)には好ましい鳥の一つとして「頭赤きいかるがの雄鳥、たくみ鳥[1]」と記されている。

学名は Eophona がギリシア語で「暁の声」、personata がラテン語で「仮面をかぶった」を意味する[2]

分布

[編集]
イカル分布図

ロシア東部の沿海州方面と日本で繁殖し、北方の個体は冬季に中国南部に渡り越冬する。

日本では北海道本州四国九州の山林で繁殖するが北日本の個体は冬季は本州以南の暖地に移動する。

形態

[編集]

全長は約23cm。太くて大きい黄色いを持つ。額から頭頂、顔前部、風切羽の一部が光沢のある濃い紺色で体の上面と腹は灰褐色で下腹から下尾筒は白い。大雨覆と尾羽に紺色の金属光沢があり、初列風切羽に白斑がある。雌雄同色。[3]

生態

[編集]

主に樹上で生活するが、非繁殖期には地上で採食している姿もよく見かける。木の実や草の種子を採食する。時には、昆虫類も食べている。冬季にはジュズダマの実や刈田に残ったを食べたりする。ムクノキの実や木のなどの柔らかいものを好んで食べるが、硬い木の実も食べる。[3]

Eophona personata personata

繁殖期はつがいで生活するがの周囲の狭い範囲しか縄張りとせず、数つがいが隣接してコロニー状に営巣することが多い。木の枝の上に、枯れ枝や草のを組み合わせて状の巣を作る。産卵期は5-7月で、3-4個のを産む。抱卵期間は約14日。雛は孵化してから14日程で巣立つ。

非繁殖期は数羽から数十羽の群れを形成して生活する。

波状に上下に揺れるように飛翔し、群れで飛ぶ場合は群れ全体も波状に動く。

聞きなし

[編集]

各地に様々な聞きなしが伝わる。

  • 比志利古木利(ひしりこきり)
  • 月日星(つきひほし)

月・日・星と囀ることから三光鳥とも呼ばれている。

また、「蓑笠着い」と聞きなす地方もある。これは、繁殖期が梅雨に当たるため、この鳴き声を聞いたら、雨具である蓑と笠を用意した方がよいとするものである。 一般的には日本においては、「お菊二十四」「オキクニジュウシ」との聴きなしをすることが多い。

参考文献

[編集]
  • 高野伸二他 『山溪カラーガイド 日本の野鳥』、山と溪谷社
  • 柴田佳秀 著、樋口広芳 編『街・野山・水辺で見かける野鳥図鑑』日本文芸社、2019年5月、222頁。ISBN 978-4537216851 
  • 上田恵介監修 『鳥類図鑑』 東京書籍、2006年、134頁。ISBN 4-487-80128-1
  • 叶内拓哉、阿部直哉、上田秀雄『山渓ハンディ図鑑7 新版 日本の野鳥』山と溪谷社、2014年。 ISBN 978-4-635-07033-1

脚注

[編集]
  1. ^ ミソサザイのこと
  2. ^ 『鳥類図鑑』、134頁。
  3. ^ a b 『山渓ハンディ図鑑7 新版 日本の野鳥』、623頁。

関連項目

[編集]