コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

飛狐外伝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

飛狐外伝』(ひこがいでん、簡体字: 飞狐外传拼音: Fēihúwàizhuàn)は、金庸武俠小説のひとつ。『雪山飛狐』の外伝的作品であり、胡斐の少年時代が描かれている。「外伝」と銘打ってはいるが、本編の3倍近い分量であり、主客が逆転しているような印象すら受ける。また、『書剣恩仇録』とも内容がつながっており、共通するキャラクターが多数登場する。

飛狐外伝
各種表記
繁体字 飛狐外傳
簡体字 飞狐外传
拼音 Fēihúwàizhuàn
注音符号 ㄈㄟ ㄏㄨˊ ㄨㄞˋ ㄓㄨㄢˋ
ラテン字 Fei1hwu2wai4chihwan3
発音: フェイフーワイズァン
広東語拼音 Fei1 Wu4 Ngoi6 Zyun6
広東語発音: フェイウーニョチン
上海語拼音 fij wu nga dzeu
上海語発音: フェオーヌガズ
閩南語白話字 hui-hô͘-gōa-thôan
閩南語発音: フェイフー
台湾語発音: フェイフーニェヅゥアン
日本語読み: ひこがいでん
英文 The Young Flying Fox/Flying Fox Tales
テンプレートを表示

概要

[編集]

1960年から、小説雑誌『武俠與歷史』に連載された。

時代は乾隆年間。「武」のみでなく「俠」をも兼ね備えた人物としての胡斐を描いており、どんな恩義も忘れない義俠心の厚さが語られている。

登場人物

[編集]
胡斐(こひ)
胡一刀の遺児。のちに「雪山飛狐」と呼ばれることになる少年俠客。幼い頃、趙半山と義兄弟の契りを交わした。の扱いが得意で、ついには「追魂奪命剣」の無塵道人(紅花会二番差配)と500手を超える打ち合いをするまでに成長する。義俠心に厚く、ほとんど見も知らない鍾阿四一家のために鳳天南への報復を誓い、幼い頃に自分のために命乞いをしてくれた馬春花のため福康安と戦う。
程霊素(ていれいそ)
毒手薬王の弟子。の扱いについては兄弟子達を超える腕前を持つ。また大した知恵者であり、思慮の足らない胡斐のサポートを担当する。胡斐に惚れており、命がけで尽くした。
袁紫衣(えんしい)
謎の女性。名前は紫色の着物を着ていたことから、便宜上「紫衣」と呼ばれているが本名は「円性」。胡斐が思いを寄せる少女。武術の達人で各流派の掌門(道場主のようなもの)を打ち破り、実力で9つ半分の流派の掌門になる。
苗人鳳(びょうじんほう)
かつて胡斐の父親・胡一刀と親友になりながらも、数奇な運命から死闘を繰り広げた。妻が田帰農と駆け落ちして以来、娘と二人暮らし。田帰農の卑劣な手段によって一時的に失明していたが、胡斐の活躍により視力を回復。胡斐の父の仇ではあるのだが非常な人格者であり、胡斐は復讐に疑問を感じ出す。
馬春花(ばしゅんか)
胡斐の幼い頃、彼の命乞いをした女性。そのため、胡斐は恩を感じている。福康安との間に双子を生むが、連れ去られてしまう。
趙半山(ちょうはんざん)
紅花会の三番差配。暗器の達人で、書剣恩仇録にも登場。幼い頃の胡斐に武術を教えた人物。のちに北京の「天下掌門人大会」で胡斐と再会を果たす。
鳳天南(ほうてんなん)
鍾阿四が田を売らないという理由で、鐘一家を皆殺しにした。また、これに対し義俠心を燃やす胡斐を買収しようとしており、完全な悪役。袁紫衣の母親との因縁がある。
福康安(ふくこうあん)
乾隆帝の私生児。武林の力を弱めようと、「天下掌門人大会」を開催する。

書誌情報

[編集]
単行本
  1. 風雨追跡行 2001年9月刊行 ISBN 4-19-861409-1
  2. 愛憎の親子 2001年10月刊行 ISBN 4-19-861426-1
  3. 風に散る花 2001年11月刊行 ISBN 4-19-861441-5
文庫本
  1. 風雨追跡行 2008年8月1日刊行 ISBN 978-4-19-892830-8
  2. 愛憎の親子 2008年9月5日刊行 ISBN 978-4-19-892848-3
  3. 風に散る花 2008年10月3日刊行予定 ISBN 978-4-19-892861-2

映像化作品

[編集]
映画
  • 『飛狐外傳』 香港 1980年・・・銭小豪(胡斐)、鹿峰(胡一刀)、郭追(苗人鳳)、江生(田帰農)※日本未公開
  • 『新飛狐外傳』 香港 1984年・・・フェリックス・ウォン(胡斐)、梁家仁(胡一刀)、萬梓良(苗人鳳)、クウ・クワンツォン(田帰農)※日本未公開
  • 『飛狐外傳』 香港 1993年・・・レオン・ライ(胡斐)※日本未公開
テレビドラマ

雪山飛狐』の原作はかなり短く、逆に外伝の『飛狐外伝』は長い。そのため、この2作をあわせてドラマ化することが多い。その際のタイトルは『雪山飛狐』。