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電気火災

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

電気火災(でんきかさい)とは、火災のうち電気設備機器など電気製品に起因するものを指す[1]東京消防庁ではリチウムイオン電池などを使ったモバイルバッテリーからの出火も電気火災として扱っている[1]

原因・発生例

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  1. 放熱異常や過電流過熱[2]
    • 電線を束ねることで放熱が足りず発火、あるいは電線の断面積不足やたこ足配線によって定格電流を超える電流が流れ発熱から発火に至る。
  2. 接触部過熱[2]
    • 設計上の接触面積よりも小さな面積で接触する事で、大きなジュール熱が生じ発火に至る。電線接続箇所の締め付け不十分やネジの緩みが原因となる。
  3. 半断線過熱[2]
    • 荷重や屈曲応力によって、より線の一部が断線し少ない芯線で電流を流すため断面積が不足し、大きなジュール熱が生じ発火に至る。
  4. 漏電(地絡)[2]
    • 設計経路以外を電流が大地に流れることで、電流が流れた経路や周囲の可燃物に炭化が生じ、発火に至る。
  5. 短絡(ショート)[2]
    • 一体成形型PVCプラグ[3]や電気器具の劣化、露出充電部間を繋ぐ異物(ホコリや水分)により閃絡の火花や発熱によって発火に至る。トラッキング火災とも呼ばれる。

例えば地震などで建築物が倒壊した場合、停電が復旧した際に、破損した状態の家電品に通電して漏電・ショートが発生したり、熱電器具(電気ストーブ、観賞魚用ヒーターなど)の上や周辺に可燃物が倒れたり散乱したりしている状態でその熱電器具が作動し発熱したりすることで[4]、火災が発生することがある。これを通電火災といい、阪神・淡路大震災東日本大震災で発生例がある[5]

過電流や漏電を検出するブレーカーを設置していても、短絡や漏電などの異常電流がブレーカーの定格電流よりも小さな場合は、ブレーカーは動作しない[2]

消火

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電気によるものであるため、当然ながら水では感電の危険性があり消火出来ない。 電気火災に対応した化学消火剤が必要となる。一般家庭においては消火器の設置率が低く、電気火災が発生した場合は決して水で消火せず、速やかに119番通報する必要がある。

脚注

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出典

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  1. ^ a b 電気火災を防ごう - 東京消防庁広報テーマ 2018年8月
  2. ^ a b c d e f 田村裕之, 「電気火災の動向と火災事例」『安全工学』 48巻 6号 2009年 p.413-418, 安全工学会, doi:10.18943/safety.48.6_413
  3. ^ 大谷英雄, 川村健太郎, 「PVCプラグの電気絶縁性の熱劣化に関する研究」『安全工学』 42巻 4号 2003年 p.216-221, 安全工学会, doi:10.18943/safety.42.4_216
  4. ^ 秦康範, 原田悠平, 「2011年東北地方太平洋沖地震における地震型火災の特徴」 『土木学会論文集A1(構造・地震工学)』 70巻 4号 2014年 p.I_1107-I_1117, doi:10.2208/jscejseee.70.I_1107, 土木学会
  5. ^ 電気の復旧進む仙台市内 「通電火災」が多発 - 河北新報、2011年3月15日

関連項目

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外部リンク

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  • 刊行物 消防白書 総務省消防庁
  • 大関崇, 吉富政宣, 「太陽光発電の火災リスクに関して」『安全工学』 52巻 3号 2013年 p.162-172, doi:10.18943/safety.52.3_162
  • 中田健司, 中野弘伸, 「電気設備からの発火及び火災の原因と防止対策」『電気設備学会誌』 29巻 8号 2009年 p.612-615, 電気設備学会, doi:10.14936/ieiej.29.612