コンテンツにスキップ

電力系通信事業者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
電力系NCCから転送)

電力系通信事業者(でんりょくけいつうしんじぎょうしゃ)とは、日本各地域の電力会社の出資で設立された電気通信事業者、およびそれを継承した電気通信事業者で構成されるグループ。

概要

[編集]

PNJグループ(パワー・ネッツ・ジャパン・グループ)とも呼ばれる。地域ネットワークから全国ネットワークまで、全国に張り巡らされた光ファイバー網をインフラ面で支えている[1]

1985年通信自由化により日本電信電話公社(電電公社)がNTTとして民営化され、それまで電電公社の独占市場であった通信市場に競争原理が導入された[2]。 これにともない設立された第二電電(DDI)や日本テレコム日本高速通信などの全国規模の新電電(NCC)に対抗して、各地域の電力会社9社[注 1]が電力系NCC・地域系NCC[注 2]とも呼ばれる通信事業会社を設立し参入を果たした[3]。 DDIや日本テレコムはゼロから通信網を構築したが、これに対し電力系NCCは電力業務用の光ファイバーを活用できる、という優位性があった[4]

またかつて各社の出資でアステル地域会社を設立し、簡易型携帯電話PHSのサービスも行っていた[注 3]。PHSではない携帯電話に関しても、東京電力・中部電力が日本移動通信(IDO)に、それ以外の電力会社8社が同地域のDDIセルラーグループの事業会社に出資していた。[注 4]

事業者

[編集]

HOTNet、TOHKnet、HTNet、OTNetは個人向け事業から完全撤退している。TTNetを合併したパワードコムも合併後に個人向け事業を売却した。

NTT西日本エリアの電力系通信事業者は個人向けFTTHサービスを展開しており、そのうち、HTNetは元から展開しておらず、OTNetは個人向けFTTHサービス (ひかりふる) を系列会社化した沖縄セルラー電話に売却[注 5]している。それ故に、個人向けFTTHサービスを展開しているエリアのフレッツ光のシェアがNTT東日本エリアや北陸電力エリアと比べて低くなっている。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 最終的には「事業者」項に記載の10社が新規参入を果たした[3]
  2. ^ 通信自由化当初は「地域系NCC」には電力系通信事業者とケーブルテレビ事業者だけであり、総務省でも長距離系・地域系と分類していたためこのような表現が存在したが、後に海外の通信事業者なども参入したため、この表現は実態にそぐわなくなっている[3]
  3. ^ ただしアステル沖縄だけはその後もサービスを継続し、最終的にソフトバンクY!mobileのPHSサービスに引き継がれている。
  4. ^ 現在はKDDIのauブランドに集約されている。電力会社が出資していた名残で、沖縄県は他社が九州地方扱いとしていたのに対してauのみ独立したエリアとなっている他、新潟県はネットワーク上では東北地方扱いとなっている。また、沖縄県を受け持っていた地域会社はKDDIに吸収されず独立した法人(沖縄セルラー電話)として残されている。
  5. ^ auひかり ちゅら」が後継。その経緯のため、OTNetの光回線が使われている。

出典

[編集]
  1. ^ PNJグループのご紹介 - ケイ・オプティコム(2017年2月17日閲覧)
  2. ^ 通信自由化30年 - 総務省(P1) - 総務省(2017年2月17日閲覧)
  3. ^ a b c 通信自由化30年 - 総務省(P5,P6) - 総務省(2017年2月17日閲覧)
  4. ^ 幻に終わった「NTT対抗軸」 電力系めぐり曲折…違いすぎた企業文化 - SankeiBiz(2017年2月17日閲覧)
  5. ^ PNJ-Cを軸としたPNJグループの事業体制強化について」、株式会社東京通信ネットワーク、2001年4月12日
  6. ^ 大京とNTT-ME、マンション向け常時接続サービスの合弁会社」『INTERNET Watch』 インプレス、2000年10月16日
  7. ^ 大京、マンション向けISP子会社のFNJをパワードコムへ譲渡」『INTERNET Watch』 インプレス、2004年8月25日
  8. ^ KDDIがパワードコムを吸収合併、東京電力とはCDNと光ファイバを統合」『INTERNET Watch』 インプレス、2005年10月13日
  9. ^ 総務省 「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表 (平成30年度第2四半期(9月末)) 別紙」 総務省、2018年12月21日 別紙11ページの脚注を参照。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]

事業者