コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

赤鉄鉱

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
雲母鉄鉱から転送)
赤鉄鉱
赤鉄鉱
分類 酸化鉱物
シュツルンツ分類 4.CB.05
Dana Classification 4.3.1.2
結晶系 三方晶系
へき開 なし
モース硬度 5 - 6.5
光沢 金属光沢
鉄黒色
条痕 赤褐色
比重 5.3
文献 [1][2][3]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
テンプレートを表示

赤鉄鉱(せきてっこう、: hematite[4]イギリス英語: haematiteヘマタイト)は、酸化鉱物の一種。化学組成Fe2O3酸化鉄(III))、結晶系三方晶系赤鉄鉱グループの鉱物。

赤鉄鉱の形状はさまざまで、産状によって、鏡鉄鉱(きょうてっこう、英: specularite[5])、雲母鉄鉱(うんもてっこう、英: micaceous hematite[5])、腎臓状赤鉄鉱、血石、アイアンローズ(英: iron rose)、マータイト(英: martite)、レインボーヘマタイト、およびチタノヘマタイトと呼ばれるものがある。

産出地

[編集]

赤鉄鉱は、地球上ではとてもありふれた鉱物で、特に上質の赤鉄鉱は、イングランドメキシコブラジルオーストラリア、およびアメリカ合衆国カナダスペリオル湖で採取される。

性質・特徴

[編集]

は黒から銀灰色、茶色から赤茶色ないし赤色であるが、どれも条痕色は赤錆色である。

ときどき少量の二酸化チタンを含有する。

赤鉄鉱(α-ヘマタイト)はモーリン点(Morin transition, 250 ケルビン〈K〉)以下では反強磁性で、それより高温では反強磁性または弱強磁性に、さらにネール温度 (948 K) を超えると常磁性に変化する。

灰色の赤鉄鉱の層は、流れていないがあったかまたは鉱泉だった場所、例えばイエローストーンなどに多く見られる。この鉱物は水中で沈殿し、、鉱泉やその他の流れていない水の底に層をなして集積する。水がない場合でも、火山活動の結果として生成することもある。粘土レベルの大きさの赤鉄鉱の結晶は、土壌風化作用によって形成される二次鉱物としても生じる。他の酸化鉄または針鉄鉱(FeO(OH))のような水酸化鉄と共に、熱帯古代、または高度に風化した土壌が赤色を呈する原因になっている。

用途・加工法

[編集]

主要な鉄鉱石として採掘されている。赤鉄鉱の色は顔料としてもよく用いられる。

美的価値の高い物は宝石となりえ、装飾品として加工されるときには、しばしばブラックダイヤモンドとも呼ばれる。

北海道旧石器時代の2万年前の遺跡「柏台1遺跡」の調査から毛皮の着色料として赤鉄鉱が用いられたとみられ、褐鉄鉱を300 程度の温度で焼いて赤鉄鉱にした可能性が指摘されており、赤鉄鉱を得るための一種の化学的技術が共用されていたと証拠とされる[6]

磁気入り赤鉄鉱

[編集]

「磁気入り赤鉄鉱」と呼ばれるものがある。赤鉄鉱は自然に産出されるが、磁気入り赤鉄鉱は「バリウムフェライト」という人工物。

サイド・ストーリー

[編集]

英語hematite という名は、ベンガラ(赤鉄鉱の粉末化したもの)のように、しばしば赤色であることから、ギリシア語の「」に由来している[注 1]

赤鉄鉱は、ローマ神話の戦いの神マルスの石といわれ、勝利に導くといわれている。「マルス」は火星をも意味している。

2004年火星探査機オポチュニティが、部分的または大部分が赤鉄鉱でできていると思われる小さな球を発見した。この球は直径数ミリメートルで、火星がまだ水で覆われていた数十億年前に、水中で形成されたものだと考えられている。ローバーは、搭載した機器によって、火星のメリディアニ平原で見つかったその赤鉄鉱を分析した。

赤鉄鉱グループ

[編集]

脚注

[編集]

注釈

  1. ^ ヘモグロビンと同じ語源を持っている(ヘモグロビンは赤血球に含まれる酸素を運ぶ分子で、血液を赤く見せているのはである)。

出典

  1. ^ 国立天文台編 編『理科年表 平成20年』丸善、2007年、639頁。ISBN 978-4-621-07902-7 
  2. ^ Hematite (英語), MinDat.org, 2012年4月16日閲覧
  3. ^ Hematite (英語), WebMineral.com, 2012年4月16日閲覧
  4. ^ 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年、125頁。ISBN 4-8181-8401-2 
  5. ^ a b 日本地質学会編『地質学用語集 - 和英・英和』共立出版、2004年。ISBN 4-320-04643-9 
  6. ^ 白石太一郎 編『倭国誕生』吉川弘文館〈日本の時代史 ; 1〉、2002年、121頁。ISBN 4-642-00801-2 
  7. ^ Mindat org, Tistarite

参考文献

[編集]

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]