陸奥圓明流
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陸奥圓明流(むつえんめいりゅう)とは川原正敏の漫画『修羅の門』とその続編『修羅の門 第弐門』、その外伝作品である『修羅の刻』に登場する架空の古武術。本記事では分派である不破圓明流(ふわえんめいりゅう)についても記述する。
概要
[編集]陸奥圓明流
[編集]1000年の長きに渡って陸奥家に受け継がれてきた、一子相伝・門外不出の格闘術。武器を使わない無手の流派で、地上最強である事を目指し代々あらゆる剣豪や格闘者と相対し闘いを重ねており、未だ一度も敗北を知らない。
多対一や対剣術のみならず対銃器の状況をも想定した実戦的な殺人技術が多く見られる。一般の古武術には無い多彩な蹴り技を持ち、組み技に於いては「投げる」「極める」「折る」が一連の流れで同時に行われるものが多く、中には打撃が組み込まれているものもある。「技」はものによっては門外の人間にも使えるが、「業」は生まれた時からの修練によってのみ身に着けられるものである為、圓明流の家に生まれた者以外に圓明流を完璧に使いこなす事は出来ない。
陸奥圓明流にとって陸奥の名は最強と同義であり、その為自らを「陸奥」と名乗れるのは当代の継承者のみとなっている[1]。名を継ぐと鍔の無い小太刀を継承の証として同時に受け継ぐ。この小太刀の切れ味は非常に鋭く、継承者も木刀を事も無げに斬る技量を見せているが、これが武器として戦闘に使われる場面は無く、むしろ生活用品として用いられる事が多い。
国内の山奥に一族が生活を送る里には先祖代々の墓標が並んでいるが、眠っている一族の名は刻まれていない。歴代継承者が強者を求めて漂泊の暮らしを続ける事が多い為か先祖代々裕福ではなく、昭和時代に入っても自給自足の生活を送っている。近代に入って用いている圓明流の道着は外見上空手着に似ているが、足首の部分を絞ってある点が空手着と異なる。
なお、陸奥には「富める者からの恵みは感謝するだけで良いが、そうで無い者からの恵みの恩を忘れない」という家訓が先祖代々受け継がれており、その恩を返す為に命掛けで闘う事もある。
不破圓明流
[編集]安土桃山時代に分かれた陸奥圓明流の分家である。双子の弟である陸奥狛彦との立合いに敗れた兄・虎彦が、父・辰巳から不破姓を与えられ、以降不破圓明流を名乗る様になり、以後陸奥と同様に業と名を子孫に受け継がせてきた。最強を目指し「時代の影に生きた」と称される陸奥に対し、不破の一族は暗殺等によって糧を得てきた事から「時代の闇に生きた」と言われているが、歴代継承者が得てきた報酬が莫大な資産として積み立てられた為、近代に入ると生活の為に「仕事」を行う事は無くなった。陸奥と違って歴代継承者の記録は詳しく残っているという。
名目上の本家である陸奥を不破が立てていたことと、戦った場合にどちらかの不敗の歴史が無くなるを両家が恐れた事から、分家して以降約400年間両家が激突する事は無かった。現代に入り、正統継承者だった不破北斗が陸奥九十九と戦って命を落とし、また先代だった不破幻斎も病没した事から不破圓明流の正統は途絶えた。しかし幻斎の弟の現が健在である為、不破圓明流の使い手自体は現存している。
使う技は基本的に陸奥圓明流と同じであるが、鉛玉や針等の暗器も組みこまれており、『神威』など陸奥に無い独自の技も開発している。
歴史
[編集]作中では創始された時期は明らかになっていないが、平安時代末期には既に数代に渡って受け継がれていた事が確認されている。主に『修羅の刻』に於いて、陸奥の一族は日本の歴史に以下の様な関係を持っていると語られている。
- 平安時代
- 陸奥庚とその姉の綱が源頼光と出会い、頼光は庚に「坂田金時」、綱に「源綱」の名を授ける。後に二人は頼光に合力して、大江山の酒呑童子の討伐に加わる。(修羅の刻・酒呑童子編)
- 奥州藤原氏の覇権に協力。この功績によって陸奥は「王の上に立つ守護神」と呼ばれ、藤原氏は陸奥の金璽を持つ者の願いを必ず叶えるという約定を結んだ。
- 平安時代末期 - 鎌倉時代
- 陸奥鬼一が武蔵坊弁慶と五条大橋にて戦い勝利、その場に居合わせた源義経に金璽を授け、弁慶と共に奥州へ向かわせる。義経の挙兵後、鬼一は様々な形で義経に助力。鬼一の妹・静は義経に嫁いで静御前となり、一人息子・虎若を産んだ。
- 鬼一は平泉にて、藤原氏の裏切りによって襲い掛かった軍勢に立ちはだかった弁慶の死を見届けた後、義経の身代わり(義経の首が差し出されない限りは頼朝の侵攻が続く為)となって自決。義経、静、虎若は陸奥の里へと逃れ、やがて義経と静が見守る中、成長した虎若は陸奥虎一として陸奥の名を継いだ。(修羅の刻・源義経編)
- 室町時代
- 若き日の織田信長と出会った陸奥辰巳が、信長の妹・琥珀を娶り、双子の息子・虎彦と狛彦を授かった。辰巳は後に桶狭間の戦いの勝利に陰ながら協力している。(修羅の刻・織田信長編)
- 安土桃山時代
- 虎彦と狛彦は伯父・信長の天下統一に助力。虎彦は武田信玄の暗殺を始めとして織田家の裏の仕事を担い続け、狛彦は石山合戦において因縁のあった雑賀孫一を倒すが、孫一が晒し首にされた事で信長と袂を分かつ。兄弟は本能寺の変において激突し、勝利を収めた狛彦は辰巳から陸奥の名を受け継いだ。敗れた虎彦は山崎の戦いから敗走する明智光秀を殺害した後、安土城跡に信長の遺骸を埋葬。辰巳から不破姓を貰い、不破圓明流の始祖となった。(修羅の刻・織田信長編)
- その後狛彦は、小牧・長久手の戦いにて信長の部下だった羽柴秀吉に助力、徳川家康配下の猛将・本多忠勝との因縁が生まれた。関ヶ原の戦いでは島津豊久の手から忠勝を救い、その10年後、陸奥の名を息子・八雲に継がせた後忠勝の元を訪れて対決し勝利した。(修羅の刻・東国無双編)
- 同じ頃虎彦は九州へ渡り、新陰流の丸目蔵人を倒した後立花統虎と立ち合って勝利、統虎の正室・誾千代との間に子供を儲け、圓明流の業を教え込んだ。関ヶ原の戦いの後には討ち死に覚悟で進軍する統虎を降伏する様説得し、後の立花家再興・旧領回復の遠因を作っている。虎彦本人は狛彦に敗れる恐怖から生涯再戦を挑む事は無く、打倒陸奥の夢は子孫へと託した。(修羅の刻・西国無双編)
- 江戸時代初期
- 安芸国で九鬼無双流一門を滅ぼした陸奥八雲が宮本武蔵と対決。八雲は武蔵を倒し、武蔵は後年この戦いを生涯唯一の敗北と認めているが、武蔵の剣撃を防御する為に抜刀した事から八雲は勝利ではなく引き分けであると語っている。(修羅の刻・宮本武蔵編)
- それから約20年後、八雲の息子・天斗が、一族の悲願である将軍殺害を目論む真田幸村の忘れ形見・圓と共に御前試合へ出場。天斗は試合で東郷重位の一撃をかわして勝利。圓は田宮重正を倒し、次戦の柳生十兵衛との試合中に徳川家光の暗殺を試みるも、その醜態を見て殺害を放棄。直後に天斗は十兵衛と立合い、十兵衛の片目を奪って勝利した。後年十兵衛は遊猟中に急死するが、その死因は天斗との再戦によるものと示唆されている。(修羅の刻・寛永御前試合編)
- 宮本伊織は、幼少期に八雲と武蔵の対決に立ち会った後武蔵の養子となり、青年時代に天斗と共に御前試合に出場した。
- 江戸時代中期
- 陸奥左近が雷電爲右衞門と立合うも、「雷電には足りないものがある」と立合いを放棄、谷風梶之助を倒した。10年後、雷電と再戦する機会を得ないまま病没した左近に代わり左近の娘・葉月が雷電に挑むが、今度は「葉月には足りないものがある」と雷電が立合いを放棄。さらに20年後、葉月の息子・兵衛が雷電と対決、互いに死力を振り絞った戦いの末雷電は立ったまま絶命した。兵衛は、雷電と葉月の間に生まれた子とも示唆されている。(修羅の刻・雷電爲右衞門編)
- 幕末
- 坂本龍馬の親友だった陸奥出海は、京都に於いて龍馬の護衛役として活躍。しかし中村半次郎による龍馬暗殺を食い止めている隙を伊東甲子太郎に突かれ、龍馬を殺害されてしまう。実行犯である伊東は出海の復讐によって撲殺された。
- その後、試衛館時代から因縁のあった沖田総司・土方歳三との決着を着けるべく、結核で病床にあった沖田の最期の対決に臨み、箱館戦争に赴いて土方と立ち合った。(修羅の刻・風雲幕末編)
- 明治時代
- 出海の弟・雷が漂流の末に西部開拓時代のアメリカ合衆国へと渡り、恩義あるインディアンのネズ・パース族を滅亡の危機から救う為、騎兵隊に単身立ち向かい命を落とした。雷は早撃ち勝負でワイアット・アープに勝利している。ネズ・パースの末裔は後世、一族を救われた恩に報いるべく陸奥九十九に協力している。(修羅の刻・アメリカ西部編)
- 出海の息子・天兵が、講道館四天王と呼ばれた柔道家・西郷四郎と立合い勝利。西郷はこれによって講道館を離れ、後年、講道館門下生だった前田光世に天兵と立合った時のことを語って聞かせた事で陸奥と前田の因果が紡がれた。(修羅の刻・西郷四郎編)
- 戦後
- 陸奥真玄が日本空手界の麒麟児と呼ばれていた空手家・龍造寺徹心に勝利。徹心はこれを機に史上初のフルコンタクト空手の流派・神武館を立ち上げ、世界中に自流を普及させた。
- 現代
- 真玄の孫・九十九が神武館の四鬼竜を倒し(『修羅の門』・第一部)、全日本異種格闘技選手権に優勝(第二部)、アメリカにてプロボクシングヘヴィ級統一王者となり(第三部)、ブラジルに於いて前田光世を祖とするグラシエーロ柔術の伝承者を倒しヴァーリ・トゥードを制覇した(第四部)。それからおよそ3年を経て、日本の総合格闘技界に復帰(修羅の門 第弐門)。現代の総合格闘技は九十九の活躍を発端として隆盛したものと言われている。
- 不破圓明流は、全日本異種格闘技選手権決勝で不破北斗が九十九に敗れ死亡した事で断絶した。また九十九は陸奥圓明流について「自分の代で終わらせる」と明言している。
家系図
[編集]劇中で確認できる人物のみを記載。作中で親子関係が明示されている人物同士は実線で繋ぎ、間に何代か入る場合等は破線で繋いでいる。横の破線は婚姻関係を示す。兵衛の父が雷電であるか否かについては、作者が公式に「明らかにしない」としている為[2]疑問符付きで記載した。
★は作中で陸奥圓明流の継承者である事が明示されている人物。
陸奥庚★ | 綱 | ||||||||||||||||||||||||||||||
(鬼一の父) | |||||||||||||||||||||||||||||||
鬼一★ | 静 | 源義経 | |||||||||||||||||||||||||||||
虎一★ | |||||||||||||||||||||||||||||||
雑賀孫一 | 辰巳★ | 琥珀 | 織田信長 | ||||||||||||||||||||||||||||
蛍 | 陸奥狛彦★ | 不破虎彦 | 誾千代 | ||||||||||||||||||||||||||||
八雲★ | |||||||||||||||||||||||||||||||
天斗★ | |||||||||||||||||||||||||||||||
左近★ | |||||||||||||||||||||||||||||||
雷電爲右衞門? | 葉月 | ||||||||||||||||||||||||||||||
兵衛★ | |||||||||||||||||||||||||||||||
出海★ | 雷 | ||||||||||||||||||||||||||||||
天兵★ | |||||||||||||||||||||||||||||||
真玄★ | |||||||||||||||||||||||||||||||
静流 | 現 | 不破幻斎 | |||||||||||||||||||||||||||||
冬弥 | 九十九★ | 北斗 | |||||||||||||||||||||||||||||
技
[編集]不破圓明流の技も含む。
投げ・関節技
[編集]- 蔓落とし(かずらおとし)
- 相手の拳打を受け流しつつ、その腕に自らの腕を巻き付けて関節を極め、もう片方の腕で相手の襟を掴み、相手の踏み込みの勢いを利用して投げる。受身が取れない投げ技であると同時に、極めた関節を折る効果もある。
- 上腕蔓ひねり(かみうでかずらひねり)
- 立っている状態で腕緘(V1アームロック)をかけ、そのまま投げる。相手の肩は折れる。
- 雷(いかずち)
- 逆関節を極めた一本背負いで相手の腕を折りつつ頭から落とし、逆さになった相手が空中にある間に頭部にローキックを入れる。逆関節を極めず通常の一本背負いを用いる場合もある。
- 飛燕十字蔓(ひえんじゅうじかずら) / 飛燕裏十字(ひえんうらじゅうじ)
- 飛びつき腕十字をかける際、足で相手の顔面を刈るかわりに強烈な蹴りを入れる。蹴りを入れてそのまま仰向けに倒せば十字蔓、同時に前から足を払ってうつ伏せに倒せば裏十字となる。
- 斗浪(となみ)
- 横蹴りで頭部を狙うと見せかけ、その蹴り足の踵を引いて後頭部を打ち、そのまま跳躍して両足を相手の首に絡め、首を極めつつ身体全体を捻って投げ、頭から落とす。
- 狼牙(ろうが)
- 立っている状態でアームロックを極め、相手の眉間に肘を打ち込みながら大外刈の要領で後方に刈り倒す。地面に激突すると同時に、相手の眉間は体重の乗った肘に押し潰される。訃ノ蔓(ふのかずら)と呼ばれる。
- 巌颪(いわおろし)
- 相手の顔面に掌打を叩き付け、そのまま頭部を掴んで地面に押し倒し、相手の頭や喉に膝を落とす。投げてから膝を落とすパターンもある。
- 獅子吼(ししこう)
- 相手のパンチで腕が伸び切った瞬間、自らの首を支点にし、クロスカウンターの様に外側から腕を叩き付けて肘を折る。
- 羽車(はねぐるま)
- 転がした相手の片腕を十字固めに極めようとし、それを返そうと相手が腕を持ち上げるのに合わせて体を回転させ、同じ腕を裏十字固めに極める。
- 傾葵(なだれあおい)
- 相対した相手を前のめりに引き込んでの三角絞め。相手を前のめりに引き込む事を「傾(なだれ)」、三角絞めを「葵蔓(あおいかずら)」といい、その二者を組み合わせたもの。不破圓明流での呼称。
- 葛風(くずかぜ)
- 相手を背負投で投げてからの関節技。不破圓明流での呼称。
蹴り技
[編集]- 弧月(こげつ)
- 仰向けに倒れ込むようにして片手で逆立ちになり、下から真っ直ぐ突き上げる様に相手を蹴る技。空振りになった状態から踵落としに移行し後頭部を蹴る『裏』がある。
- 無刀金的破(むとうきんてきは)
- 相手の武器を白刃取りで受け止め、同時に金的を前蹴りで打つ。
- 紫電(しでん)
- 上段への後ろ回し蹴りと見せ、当たる直前に蹴り足の軌道を変えて金的を攻撃する。
- 旋(つむじ)
- 跳び後ろ回し蹴りから、そのまま空中で回し蹴りへ繋ぐ連続蹴り。胴回し回転蹴りから回し蹴りを繰り出すバージョンもある。
- 斧鉞(ふえつ)
- 高く跳び上がって前方宙返りし、片足ずつ連続で踵落としを繰り出す。それぞれの足を斧と鉞に準えている。九十九は当たった時により痛い方が鉞だと語っている。
- 『修羅の刻・酒呑童子編』で陸奥庚が使用した際に、実姉の綱が「知らぬ技」と反応したことから、庚の先代の時点では圓明流に存在しない技。咄嗟に繰り出した偶然の産物だったが、威力が高かったが故に源頼光により斧と鉞に準えて技名が与えられた。
打撃技
[編集]- 虎砲(こほう)
- 相手に拳を当てた状態から、全身のパワーを一気に相手に叩き込む技。中国武術の寸勁に似ている。当たった箇所が陥没する程破壊力が高く、「虎砲を放って倒せなかった男は、陸奥圓明流千年の歴史の中でも数名しかいない」とされる。作中全般を通して多く用いられている。海堂は撃つ瞬間を避け、飛田は頑強な肉体で耐え、竜造寺巌は添えられた拳に肘を落とす事で対抗した。
- 基本的には手(拳)で使う技なのだが、不破圓明流はこれを脚で使う術を密かに編み出しており、『陸奥も知らない技』として後述の「神威」に磨き上げ、代々伝えていた。
- 蛇破山(じゃはざん)
- 拳を敵のガードに叩き付けた後、当てた拳を押し込んで相手のガードを下げさせ、胸部に肘を叩き込む。
- 朔光(さくこう)
- 蛇破山の変形(裏)。相手の攻撃を上方に受け流し、懐に潜り込んで鳩尾に肘を叩き込む。
- 牙斬(がざん)
- 相手の繰り出した拳の小指を狙い、カウンターでパンチを叩き付ける。直撃すると、小指から前腕にかけて牙で抉られたような傷ができる。
- 浮嶽(ふがく)
- 自分の頭の上に拳を置いて相手の懐にもぐり込み、立ち上がる勢いを利用しながら頭上の拳で相手の顎を打ち、追い討ちでアッパーを叩き込む。一撃目の拳は虎砲の変化形で、相手の顎を粉砕する程のパワーがある。
防御技
[編集]- 浮身(ふしん)
- 相手から打撃を受けた際、力の方向に合わせて跳ぶ事により、受けた攻撃の衝撃を逃がす。傍目には相手の技を受けて強烈に吹き飛ばされた様に見える。
- 指穿(しせん)
- 徹底的に鍛え上げた指を、相手の肉体に突き入れる。主に相手から組み技を受けた際に使用する。
- 金剛(こんごう)
- 筋肉を収縮させる事によって、肉体に突き刺さる針や弾丸を筋肉で止める。応用すれば首に喰い込んだ150kgの重量に耐えられる特殊なワイヤーを断ち切る事も出来る。
その他
[編集]- 訃霞(ふがすみ)
- 唾を礫にして口中から飛ばし、相手の視力を奪う。不破圓明流では本来、針または鉛玉を飛ばす。
- 雹(ひょう)
- 小石や弾丸等小さな物体を高速で投げる。投げた物や当たり所によっては相手の命を奪うこともできる。
- 『修羅の刻・織田信長編』で狛彦の台詞により、虎彦・狛彦兄弟の父である辰巳が種子島に伝来した火縄銃に勝つ為に、弾丸を避ける業を会得する目的で編み出した事が示唆されている。「無手」を掟とする圓明流本来の流儀から外れる「裏」の技。
奥義
[編集]圓明流に於いては己の潜在能力を一瞬間限界まで引き出す技を奥義と呼ぶ。
- 無空波(むくうは)
- 虎砲と同じく相手に拳を当てた状態から、腕を激しく振動させ、全身のパワーを衝撃波として相手に叩き込む。振動は拳を当てた瞬間に伝播され、また直接相手に触れなくても衝撃波は伝わり、相手にダメージを与える為、虎砲と異なり回避は不可能である。しかし振動が威力を持って伝わるまでには若干のタイムラグがあり、また使用後は腕や拳が激しく損傷する。技の性質上グローブなどで拳を覆っていると100%の威力を発揮する事は出来ない。鎧を着ている相手の脳を揺らして倒す事を目的に編み出された。
- 海堂晃との初戦及び『修羅の刻・宮本武蔵編』では、振動を伝播させた後に虎砲を繰り出す連続技の様な描写になっていた。
- 龍破(りゅうは)
- 相手を高速のフットワークで眩惑し、続いて相手の首を両足で挟みこむ様に高速で交差させる。挟む攻撃を避けても、かまいたちが相手の頸動脈を切り裂く。交差される両足が龍の顎に見立てられている。
- 飛田戦・片山戦で使用。
- 神威(かむい)
- 不破圓明流独自の奥義。相手が自分を仰向けに倒すように覆いかぶさってきた時、相手の腹に足を当て、一緒に倒れ込むと同時に当てていた足で虎砲を放つ。初見では何気無い「巴投げの失敗」の様にも見える上、密着した状態で倒れ込みながら放つ為、相手には逃げ場が無い。第弐門までに九十九も会得し、ライアン戦で使用した。
四門
[編集]陸奥圓明流のみに伝わる、奥義の上に存在するものの総称。奥義以上の力を気力で無理矢理引き出すもので「死門」とも呼ばれ、「その門を潜った者には死が待っている」とされる。それぞれの技は、技名になった四神を模した動きとなっている。
相手の攻撃を驚異的な機動でかわし、超人的なフットワークで相手に残像を見せて眩惑(この時相手からは、使用者が4人に分身した様に見える)、その後青龍・白虎・朱雀・玄武の四神と総称される4種類の技のうち一つを繰り出し相手を攻撃、殺害する。白虎を除いた他の技は首を中心とした頭部の破壊に主点を置かれ、白虎もまた、四門状態に於けるフルパワーによる両手の指穿を脇腹に叩き込み内蔵を激しく損傷させる等、全ての技が「死門」の名に違わぬ破壊力と残虐性を見せる。 人体の限界を上回る動きを見せる為、使用者に掛かる負担は奥義を遥かに凌ぐ。九十九曰く「速く動く事が四門ではない」とし、不破現曰く「リミッターカットによるブースターの様なもの」。真玄の言葉によると、九十九以外に「四門を開いた」継承者は、少なくとも真玄の知る範囲ではいないという。
- 朱雀(すざく)
- 背後から相手の頭上に飛び付いて両足で相手の首を挟み、そのまま体を捻って首を折りながら地面に倒し、相手の頭部に肘を当て、落下の勢いを利用して地面と挟み込む様に眉間を潰す。対不破北斗戦、海堂晃との再戦で使用。海堂には見切られ破られた。
- 玄武(げんぶ)
- 背後に仰向けに寝転んで両足で相手の片足を絡め取り、相手をうつ伏せに倒しながら猛スピードで起き上がり、相手の延髄に頭突きを叩き込む。対レオン・グラシエーロ戦で使用。但しこの時九十九は両腕が使用不能だった為、止めが頭突きであるのかは定かではない。
- 白虎(びゃっこ)
- 仰向けに寝転び、膝をついて前のめりになった相手の首に正面から脚を絡めて抑え、無防備になった両脇腹に深々と貫手を突き刺す。対ケンシン・マエダ戦で使用。使用した際は九十九を立たせまいとしたマエダにより寝技の攻防からそのまま白虎に持ち込み、分身はしなかった。
- 青龍(せいりゅう)
- 両足で頭部を挟み潰す様に強烈に蹴り、挟んだままの頭部を地面に叩きつける。対姜子牙戦で使用。